第二話
夢小説設定
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四季達が新羅の森に入った後、残りの生徒達を一旦教室に戻して命は無陀野と共にその時を待っていた。
『一ノ瀬君、絶対皇后崎君に喧嘩売ってますよね』
「……」
命が無陀野に話しかけるが、彼は無言でトレーニングを続けていて、今はスクワットをしているところだ。
命も返事が返ってくるとは思ってないので、自身も鬼ごっこのために隣で軽く体を伸ばしていた。
そんな時、何処からともなく蝶がヒラヒラと飛んで来たのを見つけ、柔軟を止めてそっと手を伸ばすと蝶は命の指先に留まる。
それが嬉しくて思わず顔を綻ばせてしまう。
「相変わらず蝶が好きだな」
『えへへ』
その動作を見ていた無陀野がスクワットを止めて話しかける。
無邪気な子供のような笑みを浮かべる命に、無陀野の胸は人知れずざわめいていた。
そんな時だった。
「今日は学校説明だけじゃなかったー?」
突然、無陀野の背後にある木から声が響いた。
二人が振り返ると、木の後ろに隠れるように校長が佇んでいた。
「校長」
『お疲れ様です』
「初日で課題出すなんてさすがだねー」
「説明で1日消費するより、訓練する方が有意義ですよ」
「優しいね、全部あの子たちのための言葉だ。年間多くの鬼が殺されてるけど、そのほとんどが子供。血縁に鬼がいるだけで殺される子も多い。生きたまま連れ去り、研究の道具に…て例も…」
痛ましい事例が挙げられ、命は思わず俯いた。
自分もそうなっていたかもしれない。運が良かったのだ。
過程がどうであれ、生き残れたことに感謝するしかない。
「何も知らず何も分からず、ある日突然殺される子供たちは、最期に何を思って逝けばいいんだろうね。せめて全てにおいて平等な天国があることを願うよ」
「天国なんていりませんよ。強ければ死なない、シンプルな話です」
「やっぱり君は優しいよ。ね、命ちゃん」
『はい、とても』
「強くしてあげてね」
それだけ言って校長はその場を立ち去った。
残された二人にはなんとも言えない微妙な空気が漂っていたが、それはすぐに打ち消されることとなる。
ドォッ
「『?』」
突然、森の方から轟音が響き渡り二人は振り返る。
爆発が起きたような土煙が舞っていた。
『…なんでしょうか?』
「さぁな。…15分だ、行くぞ」
『はーい』
約束の15分になり、二人は共に森の中に入った。
一緒に土煙が舞った方へ向かっていく途中、命はあるものを見つけた。
『無人さん、これ…』
それは無陀野が投げたカラーボールだった。
もっと遠くにあると思われたが、風で飛ばされてきたらしい。
『その辺に放り投げておきましょうか?』
「貸せ」
無陀野は有無を言わさず、それを命の手から取り上げる。
その意味を察して命はうげっと顔をしかめた。
『いいんですか?それだと1人しかゴールできないんじゃ』
「他のペアは2人で1つのボールを追うんだ。これくらいの足枷は必要だろう」
『鬼ですね』
「鬼だが?」
そうだけどそうじゃない。
こうしてボールが1つ無陀野の手に渡り、生徒が知らず知らずのうちにゴールのハードルが上がってしまった。
『(みんな…ゴメン)』
故意ではないにしろ、命は四季達に心の中で謝罪した。
少し道草を食ったが、二人は改めて騒ぎが起きている場所へ向かった。
『あれは…屏風ヶ浦さん?』
目的地に着いた二人は、木の枝の太い部分に立って状況確認をする。
そこでは血の巨人が屏風ヶ浦を守るように四季と皇后崎に威嚇していた。
「屏風ヶ浦の血蝕解放か…」
『なんですかあれ…!鬼の血液量は常人より多いのは確かです。でもあれは異常です』
明らかに屏風ヶ浦の体に合っていないと命は指摘する。
無陀野は焦ることなく冷静に返した。
「アイツが起こした"事件"については知ってるな?」
『資料読んだので…まさか、
「そう考えるのが妥当だ」
彼が手を出さないということは、四季達がどう動くか観察するということだ。
命も一応、教官として彼と共に見守ることにした。
