◈仮面の下の素顔
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「別に仁王にバラしたりしねーからさ!俺にもーー・・・」
?「何を、教えて欲しいんだ?」
「Σ!?」
『・・・・ι』
?「俺の妹に何を教わりたいのかって聞いてんだよ。クソ餓鬼、なぁ?」
面倒になった。一番面倒くさいコトになってしまった。最悪な休日だよ。てか、なんで此処に居るんだろう? 出張とか言っていたような・・。
『(今はそれどころじゃないか。・・・うわぁ~ι 青ざめてるよ。そりゃいきなり現れた高身長の目つきの悪い男に睨まれればそうなるよね・・)
あのね、兄さん。ただの同級生相手に睨まないでくれる?』
「副会長の、お兄さん・・ι」
「ヤバくねι」
「あれ? もしかして、モデルの樹紀-タツキ-じゃない?!」
「ホントだ!」
『(あー、うん。もうなんでもいいや)
とりあえず、その手を離してあげて?』
樹「チッ。可愛い妹の頼みだからな。
だがな!
次、妹に気安く触れたら・・・分かってんだろうなぁ(ギロリ」
「はい! すんませんしたっ!!」
はぁ~。また、面倒くさいコトになったなぁ。彼女達のコトだから言いふらすだろうね。まぁ、隠していたワケじゃないし。知ってる人は知ってる。別に珍しくもない。
樹「何なんだ?アイツ等は?」
『色々あるの。それよりも出張とか言ってなかった?』
樹「ちゃんと行ってきたぞ!早めに終わったから帰る次いでに様子見に来たんだ」
『そっか。律子さんは?』
樹「先に家行ってる。お前携帯持たずに家出ただろう?」
『あー、買い物だけだから持たなかった』
樹「ったく。携帯出ねーし。近く探してたら絡まれてるし。兄ちゃん心配したんだぞ?」
『ごめんなさい。それと、ありがとう(微笑)』
モデルとして働く兄だけど。この人、元ヤンで名の知れた暴れん坊だったのだ。大人になり落ち着いたかと思ったけど、相変わらず睨むだけで相手は腰を抜かしそうなほど強力な所は健在のようです。
因みに律子さんもモデルでよく二人での仕事が多いのだ。そもそも兄をモデルに誘ったのは律子さんなんだけどね。
樹「一人で寂しかったろ?」
『もう子供じゃないよ。それに、毎日欠かさず電話くれるじゃない』
樹「一緒にいるワケじゃねーんだから心配するんだよ。
まぁ、男が出来たって聞いたからなぁ」
『出来たね(キッパリ』
樹「なんで兄ちゃんに教えないんだ!!」
『出会って秒で殴るでしょう?』
樹「当たり前だ!何処の馬の骨とも知らねー奴に可愛い妹をやらなきゃならないんだぞ!殴らねーと気が済まねーよ!」
『馬鹿だよね、兄さんは。しかも、父親の台詞じゃない』
樹「親父に威厳なんぞないだろ?」
『兄さんに威厳があったコトに驚きですよ』
別に両親に愛情がないわけじゃない。信頼されていると言うか。私があまりにも落ち着いているから安心していると言われたことがある。別にいいんだけどね。今は雅治が居てくれるから寂しさも紛れてるから。
両親と律子さんには話した。一応、男と一緒にいるのは後でバレる方がややこしくなるからね。温かく見守ると言ってくれたんだけど。一番の問題はこの兄なんだよね・・・。絶対、会って秒で手が先に出るような暴れん坊だからなぁ・・・ι
しかも、当たり前だ!なんて悪びれもなく言うし。
『殴ったら兄さんからの連絡拒否る』
樹「Σなっ?!・・・兄ちゃんはあやめの幸せを願ってだなι」
『じゃあ聞きますけど。
貴方の妹は最低な男を選ぶ程、見る目がないと?』
樹「それはっ・・ι あやめが決めたなら・・いい奴なんだと、思うけどよ・・」
『心配してくれるのは有り難いよ。
その彼氏なんだけどね。見た目が銀髪でチャラそうな第一印象で誤解される性格なの。悪い噂も多いし、否定も肯定もしない。諦めてるみたいで。ほっとけなかった』
話して関わって分かった。
優しさも可愛さも。繊細でちょっとしたコトで傷つく弱いところも。私は好きになってた。
『イケメンで学校じゃモテる彼氏なんだよ』
樹「兄ちゃんの方がカッコいいだろう?」
『兄さんもカッコいいよ』
樹「まぁ、お前が選んだなら殴るのは止めとく。・・・多分」
『だから話したくなかったの。・・・最初は関わりたくない人だったんだよ。悪い噂を聞いてたから。でもね、違ったの。
ペテン師なんて呼ばれるだけあって、人をからかうのは好きで。女子からプレゼントはとりあえず受けとるし。のらりくらりしてるから彼に好意を抱く女子は減らないし』
樹「あやめ。聞いてる限りじゃ、遊ばれてるんじゃないのか?と心配になるぞ」
『そうだよね。でも、真剣に向き合ってくれたの。加奈子曰く、私の言葉一つで一喜一憂してるんだって。私自身よくは言われないよ?無表情で有名らしいから』
樹「ソイツ等全員ぶん殴る!」
『犯罪だからね?』
まったく。ここまでシスコン全開でいいのか・・・。イケメンでモデルの有名人は極度のシスコンだった!なんて週刊誌に載ったらどうするんだか・・ι
?「あら、お帰りなさーい」
樹「よ・・・!?」
『雅治?』
家の前で待っていたの優しい笑みを浮かべて手を振る律子さんと部活が終わった雅治。どうやら、終わって帰って来たはいいけど出迎えた人物が違って驚いただろうね。
それにして、雅治が不機嫌だ。大方、隣の人物が気になるんだろう。面識ないからね。
そして、隣の兄はと言えば・・・。
『(あれが彼氏だとは認識してるのか・・)』
必死に自分の右腕を自分で押さえている。何とも奇妙な行動だけど、そこは妹ですから。理解してます。私が殴ったら兄さんからの連絡拒否るって言ったから殴りたいの我慢してるのだ。
樹「(くっ!落ち着け、俺!今殴ったりしたら可愛い妹に嫌われるッ!つーか、なんだあの銀髪野郎ッ。チャラいと思いきやしっかり俺を威嚇してるじゃねーの!)
あれが彼氏か・・?」
『そうだよ。仁王 雅治。テニス部所属の同級生』
樹「チャラいと言ってた割にはガンくれてんだけどな」
『ヤキモチ焼きさんですから。それに、兄が居るとは言ってあるけど。見たことはないからね』
樹「それもそうか」
『落ち着いた?』
ぽふっ、
樹「可愛い妹との約束だからな!」
『ありがとう、兄さん(微笑)』
一応は頑張って我慢してるけど、これ多分・・殴るわね。
『でもね、兄さん。私の見てないところで殴ったりしたら・・』
樹「・・・したらι?」
『・・・・・』
樹「無言は止めろーー!怖いから、怖いから止めてくれーー!」
『じゃ、殴らなければいいだけです』
樹「それが一番難しいんだよ!」
なんでだよ・・ι
†side:仁王†
仁「(なにやっとんじゃ?つーか、誰だよ。俺の嫁に・・)」
律「あらあら。仲良しさんね(笑)
あやめちゃんの隣にいるのが兄の樹紀よ」
仁「兄、じゃったのか・・ι」
律「ふふっ。雅治くんはホントにあやめちゃんが大切なのね」
仁「・・・・//」
ふわりと笑う美人は、あやめの家に帰って来たら出て来た。
かれこれ数十分前ーー・・。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
仁「・・・・・ι」
律「・・・?」
知らん女が出て来たナリ
部活で疲れた体をやっとのコトで家まで運んだ。今日はマネージャーの機嫌が悪く。挙げ句に赤也が余計なコトを言った為にいつものメニューが倍になりやがったもんだから、終わると早々に帰って来たんじゃぞ。それなのに、インターフォン鳴らしたら知らん女が出て来るって・・・。
律「あやめちゃんの彼氏?」
仁「まぁ・・・」
律「そうだったのね。話しは聞いてるわ。
私は義理の姉で律子と申します」
仁「仁王 雅治です。あの、あやめは・・?」
律「買い物に出てるみたいなの。携帯置いたまま」
何のための携帯なんじゃι
連絡くれれば買って来たんに。折角早く帰っても嫁がおらんかったら意味ないぜよ。
しかも、義理の姉と二人きりは正直、キツい。
穏やかそうな性格が滲み出てるような優しい笑みの美人さんじゃ。姉貴と同い年くらいかの。心配して様子見に来たのか。
律「此処じゃなんだから、下で待ってましょうか。そんな遠くに行ったワケじゃないだろうから」
仁「はぁ・・・」
律「そんなに警戒しなくても大丈夫。貴方のコトは聞いてるって言ったでしょう」
仁「(なんて聞いとるんかのぅ・・ι)」
仕方なく着いて行くしかない。あやめに会えんのは辛いからな。俺の癒しじゃき。
はぁ~・・あやめに会いたいぜよ。
律「仁王くんがモテるって聞いてたけど、その外見なら理解出来るわね。ウチのモデル事務所に欲しい人材だわ(微笑)」
仁「モデルは嫌いぜよ。それに、あやめに嫌われたくはない」
律「うふふ。そうね。あやめちゃんは独占したいタイプだと言ってたし、分からなくもないわね」
仁「仲良いんじゃの」
律「本当の妹みたいに思ってるからあの子の兄はシスコンだけどね」
仁「シスコン・・・。兄さんも来てるんか・・ι」
律「来てるわ。だから、仁王くんに会えたのが私で良かった。あの人のコトだから出会って秒で殴るだろうから(微笑)」
仁「殴られるんか、俺は・・・ι」
しかも、出会って秒で殴るって・・。とりあえず殴らんと気が済まんてコトか。何とも暴力的な兄貴じゃな。
律「あの人ね、元ヤンだから。口より先に手が出ちゃうのよねェ」
仁「元ヤン・・」
律「意外でしょう? あやめちゃんと似ても似つかない兄でね。だけど、とても仲良しな兄妹なのよ」
連絡を欠かさず寄越す兄だと笑っていたのを思い出す。兄妹仲は良いんだと思っていたが。まさかの元ヤンでシスコンとはの。
というか、俺・・殴られるんかιこんな見た目だし。確実に誤解されるぜよ。大事な妹が俺みたいなチャラそうな野郎見て不審に思わん方が無理じゃろ。
律「大丈夫よ。あやめちゃんが止めるわ。あの人妹の言葉には逆らえないから」
仁「アンタは信用出来るんか? 俺のコト」
律「短時間で分かることは出来ないでしょうね。だけどね? あやめちゃんが決めた人なら大丈夫って思えるのよ。あの子ってなかなか懐かない子だから、そんな子が好きになった人なんだもの。信じてあげたいの」
あやめが決めたから、か。
そんなモンが信じられる理由になるとは思えんな。この人はそうでも兄貴の方は違うだろう。事実、俺の噂はロクなのがないからな。そんな噂の持ち主が彼氏なんて知ったら殴りたくもなるよ。溺愛してる妹の彼氏となればな。
あやめとの交際を認めない、なんて言われたら立ち直れんぜよ。
この幸せが続く様に信じさせないといけないんじゃ。約束したからな。殴られても認めてもらえるように努力するしかないか・・。
律「傍に居てくれるのが仁王くんで良かった。あやめちゃんのコト、宜しくお願いしますね」
仁「・・・・」
律「少なくとも私は仁王くんが悪い子じゃないと思ってるわ。外見だけでは分からないコトもある。少しだけど君がどれだけあやめちゃんを想っているかは伝わったもの(微笑)」
どうだか。大して言葉にしとらんのに何が伝わったんかの・・。詐欺師と言われる俺の言葉なんぞ誰も信じてはくれん。ましてや、ついさっき会ったばかりの奴は特にな。
あやめのコトはよく分かっとるみたいやし、俺と言うよりはあやめを信じとるだけだ。
律「信じられないって顔に書いてあるわよ?」
仁「!」
律「ふふっ。いきなり現れた人を信じるなんて出来ないわよね。
これでも、人を見る目はあるの。この業界も色々な人がいるからね。
何より、あやめちゃんが嬉しそうに君の話をしてくれるの」
仁「俺の・・?」
律「一緒に居てくれる優しい人だって。
外見だけで誤解されること多いんでしょうけど、大事なコトはハッキリさせなきゃダメよ?」
仁「・・・・」
律「仁王くんなら大丈夫ね。
・・ーーーあ、お帰りなさ~い」
仁「! (誰じゃ、あの男。気安く嫁の隣歩きよって・・イラッ)」
高身長の男と親しげに歩いてくるあやめ。睨んでくる男に驚きつつも無意識に睨み返していたらしく、律子さんが笑っていた。
樹「よぉ、律子。ナンパか?」
『彼氏だって言ったよね?分かってて聞かないでよ』
律「タッちゃん。仁王くんは悪い子じゃないから睨まないで。それから、殴っちゃダメよ?」
樹「わーてるよ。あやめにも言われたし。着拒されたくねーしな」
『部活お疲れ様』
仁「おぅ・・・ι」
この状況でも淡々としてる嫁に尊敬してしまうぜよ。女同士で話が盛り上がる中、取り残される男二人。流石に気まずいナリι
樹「あやめが決めた野郎だからな。反対する気はないぜ。だがな、泣かせる様ならぶっ殺すから覚悟しとけよ(ギロリ」
仁「はぃ・・ι」
律「とりあえず、此処じゃなんだから中入りましょうか」
『そうだね』
殴られるんだろうか。不安じゃなι
ーーーー・・
律「お茶いれるわね」
『手伝うよ』
仁「・・・・」
樹「・・・・」
気まずい。かなり気まずいぜよ。
この状況で放置されるのはキツいぞ、あやめ。
しかも、かなり睨まれとるし・・ι
・・ーーにしても、似とらんな。
兄妹と言うには似たところがないぜよ。元ヤンで今はモデルか。雑誌で見掛けたコトがある顔じゃ。まさか兄貴とはの。
樹「はぁ~。お前みたいなのが妹の彼氏とはな。さっきはガン飛ばしてくれてありがとう」
仁「(ガン飛ばしたつもりはないんじゃが・・)
すんません。兄とは知らなかったんで」
樹「いや、度胸あると思っただけだ。さっきの同級生とは違ってな」
仁「さっき?」
樹「絡まれてたんだよ。なんでも、お前を落とした技を教えてくれとか言ってたな」
仁「・・・・」
技なんぞないぜよ。俺があやめに惚れただけだってのに。
樹「あんまいい噂ないらしいな。大方、あの連中もその噂を信じて絡んできたんだろうがな」
仁「・・・・ソイツ等は」
樹「俺が割って入ったら青い顔して逃げた。まっ、お前みたいな奴は周りから悪く言われるのが当たり前になってるから否定もしないんだろうが。
あやめに要らねー迷惑かけてんじゃねーよ(ギロリ」
仁「・・・・すみません」
樹「(落ち込んでんのか? 意外だな。チャラいと思ったが、そうでもねーのか。惚れてんだな。見る目がある奴だったワケだ)
あやめに本気で惚れてんならテメェの噂を否定しろ。誰になんて言われようが、信じまいが関係ねェ。
テメェのせいで惚れた女が悲しむなんざ見たくねーだろ」
仁「はい」
樹「なら、否定すべき時はしろ。じゃねーと、あやめが心配するから」
俺一人の問題じゃないんだよな。面倒になって誤魔化してきたツケが今になってあやめを傷付けてる。それでも俺はあやめを離してなんかやれない程に惚れてるんじゃ。樹紀さんの言うように否定すべき時はせんと。あやめを悲しませたくないしの。
樹「お前みたいな奴が彼氏なら任せられるな」
仁「え?」
樹「あの頑固な妹はな。素直に寂しいと言わねーんだよ。我慢してるのか、遠慮がちでな。兄ちゃんとしてはもう少し甘えて貰いたいんだが、言うと冷たい目で睨まれるんだよ・・・」
仁「・・・ι」
何と言えばいいのか迷うぜよι
確かにあやめは我慢するところがあるのぅ。俺にもそんなに素直に言ったりはせんけど・・・。
律「あやめちゃんなりに心配かけないようにしてるだけでしょう。シスコンもいい加減にしなさい」
樹「可愛い妹を心配してるだけだろうが!」
律「はいはい。仁王くんが居てくれるから大丈夫よ」
樹「それはそれで、寂しいぞ・・・」
律「タッちゃんが寂しいだけじゃない(微笑)」
愛されとるんじゃな。あやめは。
元ヤンとは言え妹思いの兄貴と優しい義理の姉。俺なんか居なくてもーー・・・。
『雅治、どうかした?』
仁「いや、なんでもないぜよ」
『・・・そう言えば、二人とものんびりしてて大丈夫なの?』
律「この後の仕事はないんだけど。事務所に戻ってやることがあるわね。スケジュールの確認とか」
樹「めんどくせー」
『仕事でしょうが。あんまり律子さんに迷惑かけないでね?』
律「大丈夫よ。迷惑かけるなんて今に始まったコトじゃないから(笑)」
『確かに・・ι』
何とも話しに混ざれん。否、そもそもあんまりお喋りじゃないが・・ちょっと、つまらんナリ。
それから、少し話した後に帰る二人をあやめと見送る。
律「じゃあ、帰るけど。戸締まりには気を付けてね」
『うん』
樹「寂しかったらいつでも連絡寄越せよ」
『雅治が居るから大丈夫(笑)』
樹「兄ちゃん泣くぞ!」
『はいはい。兄さんも体に気を付けてね』
樹「ああ。雅治!可愛い妹はお前に任せるからな!」
仁「はい・・・ι」
『ふふっ』
見送った後、二人仲良くいつもの体勢で過ごす。
さっきまでの賑やかさが嘘のように静かだ。
『ごめんね。折角の二人きりの時間減らしちゃって』
仁「構わんよ。二人とも心配してたんだろうからな。いい兄貴じゃな。妹思いの」
『そうね。自慢の兄だよ(微笑)』
仁「すまんな。俺のせいでまた絡まれとったって・・」
『雅治のせいじゃないよ。気にしてないし、辛くもない。雅治のコトちゃんと知ろうとしない人相手にムキになっても仕方ないしね。
寧ろ、好きになってくれたのが雅治で良かったって思えたもの(微笑)』
そう言って笑うあやめに愛しさが込み上げる。こんな俺でも必要としてくれる。好きでいてくれる。甘えてくれる。可愛い俺の嫁は向かい合わせになるように体を捻って、ギュッと抱き付いてきた。ホント可愛い過ぎるナリ。
仁「甘えとるんか?」
『雅治だからね。それに、帰ってきたらハグしてくれるっていう約束だし』
仁「そうだったな。ハグだけじゃなくキスはいかがですかね?」
『・・・・お願いします///』
仁「かしこまりました」
そっと頬に触れるとほんのり色付く。可愛い。乱暴に奪いたくなる気持ちを静めながらゆっくり重ねては啄む。焦れったい口付けじゃが、長く堪能出来るし。何より、あやめの反応が可愛いんじゃ。
仁「寂しかった?」
『ぅん・・・っ//』
仁「連絡くれれば買い物したぜよ」
『ん・・・/// 牛乳だけ、だったから・・・ふっ/// それに、買い物くらいしか外でないから・・っ///』
仁「そうじゃな。ん・・・たまには、外出んとな」
『ぅん・・・///』
啄んでは舌先で唇をなぞり。唇を首筋へと移動。痕を残したい気持ちを抑えて、舌を這わせて優しく甘噛みすれば細い肩が跳ねる。
『雅治、くすぐったいよ///』
仁「可愛いのぅ。真っ赤じゃ」
『雅治のせいです///』
仁「そうじゃな。俺だけが知るあやめの可愛い顔ナリ」
額を合わせて見つめれば、柔らかな笑みを浮かべてくれる。愛しい、なんて言ったら笑われそうだが。それくらい幸せな気持ちになるんじゃ。あやめが好きすぎて堪らん。
甘い一時を過ごし。外は暗くなり始めた頃。そろそろ帰る時間。正直言えば帰りたくない。だが、明日は学校があるし。流石に親にも怒られかねん。名残惜しいが仕方ない。
仁「じゃあ、また明日な」
『うん。気を付けてね』
仁「おう」
玄関を開け、出る。見送るあやめが寂しそうにしてると思うと心が痛むぜよ。
パタン、
扉が閉まると息を吐いた。
仁「(帰ったら電話してやらんとな)」
足早に帰路を歩いてる自分に笑ったナリ。
■□■□■
翌日。
案の定、噂が回るのは早かった。
加「バレたのか?」
『うん。昨日ね。朝から兄さんの話で持ちきり』
加「今更なんだがな」
『そうなんだけどね。迷惑なんだけど・・』
加「次から次へと話題になるな(笑)」
『なりたくてなってるワケじゃないんだけど・・・』
兄が人気モデルと分かるや。大して話したことのない女子にまで群がって来た。
なんで隠してたの? と、聞かれれば。
自慢する気も、わざわざ話す気もないから。と、答えた。
隠しているつもりはなかった。ただ、自分から、
『このモデル、兄です!』
なんて言ったら自慢してるって思うでしょう。
生徒会のメンバーは家に呼んだときに会ったから教えた。あと知ってるのは沙奈だ。彼女の兄と私の兄は腐れ縁の悪友。今でも仲良く飲みに行ったりしてる。何かあったら頼る様に言ってくれる頼もしい人。まぁ、元ヤンですけどね(笑)
加「それにしても。お兄さんが仁王を認めるとは意外だったな。一発殴られると思ってた(笑)」
『殴りそうだったけどね。
何を気に入ったのか分からないけど、良かったよ』
加「そうだな。その仁王はどうした?てっきり部活休みだから付いて来てると思ったんだが」
『後で来るっては言ってたけど・・・』
いつもと変わらない昼休み。雅治に先に行ってるよう言われて来たんだけど。当の本人が遅い。昼休み終わっちゃう。どうしたんだろう? 時計を見て気にしていると。
コンコンッ、
ドアをノックされて一声掛けると。現れたのは雅治だった。
加「遅かったな。何してたんだ?」
仁「・・・告白されとったナリ」
『へぇ~・・』
仁「・・・ι 冷たい反応せんでくれん。ちゃんと断ったし、俺だって嫌々だったんじゃよ?」
『分かってますよ。モテる男は大変ね』
加「いっそのこと校内でもイチャついてたらどうだ?」
『十分イチャついてると思うけど?』
仁「イチャついてるというか、俺があやめにくっついとるだけだろ?」
『え、あれってイチャつくに入らないの?』
加「入らないだろう」
仁「入らんな」
『えぇ~・・・ι』
一体、イチャつくって何をもってイチャつくになるのよι
相変わらず雅治は私を見つけては抱きついてる。周りも慣れたのか。気にする人はいなくなった。慣れとは恐ろしい・・。
加「仁王のアピールだけじゃ足りないな。あやめから抱き着くなりしないと意味がないぞ?」
『やらないからね?』
仁「残念ナリ」
加「別にいいじゃないか。副会長とは言っても一生徒だし。校則に恋愛禁止はないしな」
『からかわれるの嫌いなんで。はい、雅治のお弁当。早くしないとお昼休み終わっちゃうよ』
仁「ん。ありがとさん」
加「いかん!先生に呼ばれていたのだった!」
『行ってらっしゃ~い』
慌てて出ていった加奈子に笑って、お弁当を広げた。
仁「随分と騒がれとったが、大丈夫か?」
『慣れっこだから大丈夫。ありがとう、心配してくれて(微笑)』
仁「なんかあったらちゃんと言うんよ?」
『心配し過ぎだから。大丈夫だよ。雅治がいてくれるもの』
仁「勿論ぜよ。(可愛い過ぎじゃ!なんなん?理性吹っ飛ばしたいんか?)」
あの時からかってきた同級生からのからかいはなかった。あの目に睨まれたからだろうね・・ι 大抵、睨めば勝つ。ある意味凄いよ。
頼りになる兄ですよ。元ヤンとは言ってもね。
雅治のコトだって同じくらい頼りにしてる。
だから、何があっても大丈夫だと思えるんだ。
『ご馳走さまでした』
仁「ご馳走さん。美味かったナリ」
『なら良かった。まだ、時間あるけどお昼寝する?』
仁「んー。昼寝もいいが。あやめとイチャイチャしたい」
『何それι?』
仁「あやめを全身で感じたい?みたいなやつ」
『意味分からないんだけど・・・ι』
仁「まぁ、細かいことは気にしなさんな。ほれ、屋上に行くぞ」
『え?』
何故にわざわざ屋上?
訳も分からないまま雅治に手を引かれるままに移動する。
今日も快晴の屋上は暖かいけど、大分暑く感じるようになってきた。今からこれじゃあ、夏は生き残れないなぁ。なんて考えてる私とは反対に少し日陰になっている場所へと手を引く雅治は座るなり抱き締めてきた。正面からだ。
イチャイチャしたいとは言ってたけど、抱き着きたいだけでは? なんて思いながら広い背中に手を回した。
仁「ええ匂いぜよ。落ち着くのぅ」
『そぉ?』
仁「そっ」
匂いと言われても特に何もしてないからなぁ。柔軟剤かな? それとも、シャンプーとか?
『(というか、唇・・触れてませんかι)』
耳元辺りに触れてるような・・・。微かに掠める程度なんだけど。しかも、吐息も。
緊張してしまう///
そんなこともお構い無しに、雅治は少し身体を離して額を合わせてきた。鼻先が触れる程の近い距離に心臓は早く鳴り。顔に熱が集まる。合わせられない視線を端にやるけど一向に次の行動がない。不思議に思いながら目線を戻すと。
『!?』
仁「やっとコッチ見たな」
ふっ、と笑う雅治と目が合う。鋭い眼差しは全てを見透かしてる様でちょっと怖い。けれど、細められた眼差しは優しいものだった。愛しそうに見つめる瞳。そこに映るのは自分だけ。そう思うと、大切に想われてるんだと分かる。
数秒の見つめ合い。どちらともなく唇を重ねた。
『ん、雅治・・・っ・・///』
仁「可愛いのぅ・・・」
深いモノじゃない。じゃれるようなキス。啄むのを繰り返しながら何度も何度も。チュッ、チュッと聞こえる度に恥ずかしさよりももどかしさが膨らんだ。別に、ヤらしい訳じゃない。決してない。だけど・・・。
仁「なんじゃ、物足りないか?」
『Σ・・・///』
仁「昼休み終わるしなぁ。どうする?」
『どう、て・・・///』
仁「サボってあやめの唇に噛みついてもいいか?」
そう言った雅治の瞳には最早、獲物を前にした獣のようだ。それが狙いだったんだろうな。最初から。
サボりはいけないと注意しなきゃならない立場なんだけど・・・。この瞳には逆らえない。結局のところ、私も物足りなかったと言うことだろう。
昼休みの終わりを告げるチャイムを遠くに聞きながら、私達は口付けに夢中になっていた。
『ぁ、んんッ///!』
仁「ハァ・・・ッ・・」
濡れた音がヤケに大きく聞こえる。それに、雅治の体温も少し熱い。角度を変えて絡められる舌使いに息苦しい。それを伝える様に雅治の胸元を力の入らない手で叩けば、名残惜しそうに放してくれた。
酸素を取り込み。頭の中は真っ白になっていて。思考が働かない。
仁「その顔、エロいのぅ」
『・・・・バカ///』
仁「ククッ。褒めとるんよ?可愛いって」
『雅治のエッチ///』
仁「あやめ限定じゃき。許してくれんかの?」
『・・・・・・・・許す///』
仁「ありがとさん。・・・好きじゃよ」
『私も、好き・・・///』
再び重ねる口付けは優しいモノだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
兄の件が静かになった今日この頃。
私は相変わらず生徒会の仕事に追われていた。顧問が仕事しないからだけど・・ι
雅治も試合が近いらしく練習メニューが厳しくなったと溜め息を吐きながら言っていたのを思い出す。そんな疲れた身体を引きずりながら欠かさずに生徒会室に来てはお弁当を食べる。たまには教室にしようかとも思ったけど。私も忙しくてお弁当を食べ終えると仕事に掛かるからそれも出来ず。雅治には申し訳ない気持ちで一杯だ。
『ふぅ・・・。これで大分減ったかな』
一息吐いて隣を見やれば。
気持ち良さそうに寝息を立てて眠っている。寝顔の可愛い恋人に手を伸ばして銀色に触れた。
朝早くから練習メニューこなして、放課後もこなして。身体はヘトヘトだろうに。朝練がない日くらい寝てたらって言っても、
仁「あやめと居られる時間が減るのはイヤじゃ」
と言って、同じ時間に来るんだよね。
まぁ、休みも基本は部活だし仕方ないんだけど。
『(少し心配になるなぁ。ちゃんと睡眠取ってるのか・・・)』
私との時間を大切にしてくれるのは有り難いけど。倒れたりしたらと心配になることが増えた。
仁「ん、あやめ・・・?」
『おはよう』
仁「ん。仕事は片付いたんか?」
『うん。お陰様で。 疲れてるなら私に付き合わなくてもいいんだよ?』
仁「あやめが傍に居るから寝れるんよ。それに、帰りも一緒に帰れんし。休みも部活。一緒に居られる時間が足りんぜよ」
『試合近いから仕方ないんだけどね(苦笑)』
仁「・・・・あやめは寂しくないんか?」
『そりゃあ、寂しいよ。でも、雅治が疲労で倒れたりしないか心配なの』
仁「・・・・」
『無理だけはしないでね?』
仁「・・・・無理じゃ」
『はい?』
仁「あやめが足りなくてもう無理じゃ」
それ、どうしたら満たされるのよ・・・ι
いきなりワケの分からないこと言い出した雅治に困惑。当の本人は拗ねている。・・・・え?何で拗ねてんの?
『雅治・・・ι?』
仁「あやめが足りん」
『(え、と・・・ι)
どうしたの?拗ねてるみたいだけど。足りないと言われても・・どうしらいいの?』
仁「もっと一緒に居たいナリ」
あ~ダメだ。キュンキュンしてしまっている。
元が良いだけにそんなコト言われたら何とかしてあげたくなってしまうじゃないか。計算なのか、否かは分からない。相手は詐欺師だ。嘘ではないのは分かる。だから、甘やかしてしまうんだけどね。
『週末はお泊まりに来ない?』
仁「! いいのか?」
『うん。それなら一緒に居られる時間も増えるし。勿論、雅治の親御さんがいいって言わないとダメだからね』
仁「放任じゃから大丈夫ぜよ。この間の泊まりも彼女ん家って言ったからな」
よくそれで通ったなぁ・・・ι
仁「樹紀さんに許可取らんでエエのか?」
『一応、許可は欲しいだろうけど・・。騒ぐと面倒なんだよね、ウチの兄はι』
仁「愛されとるのぅ。じゃが、後からバレる方がヤバいだろう?俺が」
『そうだね(笑)
怒りに我を忘れて殴り掛かりそうだもんね。兄さんにはちゃんと連絡しておくよ』
仁「そうしてくれ」
多分だけど、許可はしてくれると思うんだよね。何を気に入ったのか分からないけど。雅治のコトちゃんと信頼してるみたいだから。
仁「楽しみじゃな」
『そうだね』
仁「四六時中一緒なら満たされるかもしれんぜよ」
『だといいんですけどね(笑)』
優しい笑みを浮かべてる雅治に笑って返した。嬉しそうにしてくれるだけで私も嬉しくなる。お昼休みが終わり、片付けて教室へ戻る途中。廊下に固まる男子からからかいが飛んできた。
「お熱いねー。お二人さん」
「生徒会室でナニしてんたんだ?」
「仁王もやるよなぁ。何人目だよ(笑)」
そのバカデカイ声は廊下に響き。他の生徒からも好奇な視線を注がれた。ヒソヒソと話してる女子。溜め息が出る。口を開こうとしたら、先に雅治が開いた。
仁「飯食ってただけじゃが?何を想像したんかのぅ。男女で二人きりだと何かしなきゃならんのか?」
『だとするなら、あなたたちの頭の中は卑しいんでしょうね』
「なっ!?」
仁「からかいたのは構わんが。おまんら、女子からイメージ悪くなるぜよ」
『既に遅いと思いますよ』
仁「そうか。手遅れか。御愁傷様ナリ」
イタズラに笑って言う雅治に私も笑ってしまった。
からかって恥をかかせるつもりが、恥をかいてるんだから。悔しそうな男子とその男子の卑しい思考に嫌悪してる女子。なんとも愚かな姿だ。
仁「言っておくが。俺はまだ一人も経験ないぜよ」
『!!』
仁「勝手に言いふらしてる女子の被害妄想ナリ。振られた腹いせにな。なんなら今此処でその女子の名前言ってやろうか?」
雅治のその言葉にバタバタと走り去った数人の女子がいた。どうやらこの場に居たらしい。二度目の御愁傷様を胸の内で呟いた。
仁「なんじゃ、逃げたのか?残念じゃのぅ」
『悪魔ですか、アナタは・・ι』
仁「さぁて、どうかのぅ?」
ニヤリと笑う雅治に恐れをなしたのか。男子は逃げていた。
『(詐欺師に喧嘩を売るのはやめた方がいいわね・・・・ι)』
