◈仮面の下の素顔
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†side:仁王†
沙「あやめは大丈夫だったの?」
仁「ああ。とりあえず追っ払ったぜよ」
沙「ご苦労様。ところで・・
いつから嫁になったの?」
仁「さて、いつかのぅ」
聞かれとったのか・・。面倒なヤツに聞かれてしまったもんじゃ。このマネージャーは会長同様に腹黒いんじゃよなぁ。なんだってあやめと友人になれたのか不思議ぜよ。
口を滑らせた俺が悪いんじゃがの。イラついてつい、嫁って言ってしまったが・・。あやめになんて言われるか、不安ナリ。
沙「別に嫁にするのはいいけど、コートに一人は危ないわよ」
仁「そうじゃな。見に来てくれるのは嬉しいが、絡まれるのは困るのぅ」
沙「アンタの彼女になるって大変ね」
仁「・・・・」
マネージャーの言う通りじゃな。俺の彼女ってだけで周りは騒ぐ。あやめが嫌な思いをしないように守りたいが。その原因が俺だと思うと凹むぜよ。相手が柳生なら周りも納得するんだろうな・・・。悔しいナリ。
沙「仁王でも溺愛するんだ」
仁「意外か?」
沙「イメージない。とはいえ、あやめが幸せそうだからいいわ」
仁「幸せそうかのぅ?」
俺が我が儘で、あやめが折れてるだけじゃないだろうか。聞き分けが良すぎる気もするし。
沙「柳生とか柳にも笑うけど、アンタにはとびきりイイ笑顔してるわよ。愛されてるわね。旦那さん」
仁「・・・//」
沙「ほら、さっさと着替え済ませなさい。嫁を一人で待たせてるんでしょう」
仁「プピーナ。そうじゃったな。早くせんと」
また絡まれてたら。そう思うと足も早くなる。
沙「まさか、あの仁王が嫁とか言い出すとは思わなかったわね」
蓮「うむ。データの更新をしなくてはな」
ジャ「柳、何に使うんだ、そのデータ・・・ι」
丸「まぁ、相手が副会長となれば興味も出るわな」
柳「友人としては見守って欲しいモノです」
幸「大丈夫じゃないかな。仁王と神崎さんなら」
真「(恋愛はよく分からんがι)・・・たるんどる!」
なんて、他の連中が言ってるのを知らずに俺は急いで着替えを済ませて可愛い嫁の元へと急いだ。
仁「すまんの。待たせて」
『ううん。むしろ早くない?急いだの?』
仁「まぁな。また、絡まれてたらと心配した」
『ありがとう。ところで、私はいつから嫁になったの?』
仁「・・あ~、いつからだったかのぅι」
やっぱり気になったか・・。いきなり嫁なんて言われれば気にもなるわな。心の中でだけだったんじゃが。つい、出てしまったぜよ。どうするかのぅι
『言いたくないならいいよ。あ!赤也!』
仁「・・・・」
赤也の元へと走る背中から視線を落とし、頭を抱えた。
カッコ悪いから言えん。彼女じゃなく嫁にしたいなんぞ、付き合って1ヶ月しか経っとらんのに。俺は彼女に溺れてる。自分でも知らない己に驚くぜよ。
こんな俺でもあやめは嫌わないだろうか。誤魔化した俺に呆れてるかもしれん。カッコ悪る過ぎて凹むナリ。
仁「(どうでもいいのか・・・)」
赤也と話すあやめの表情は優しい。事情を知った真田の怒鳴り声も聞こえるのぅ。いつものことだが、今日は彼女が間に入って真田を叱ってる?ん?何で、真田が叱られとるんじゃ?面白いが。
柳「おや、仁王くん」
仁「何で真田が叱られとるんじゃ?」
柳「いつものように説教を始めてしまったんですが。神崎さんが止めに入ったのですが、真田くんが黙っているよう彼女に言ってしまいまして・・ι」
沙「キレたあやめが、黙るのは真田の方だって言い返したもんだから真田が驚いてね。淡々と説教が始まったのよ」
蓮「神崎は弦一郎に言い返せる数少ない女子の一人だからな」
仁「成る程。副会長は伊達じゃないってコトか」
淡々と説教する副会長と動揺する真田。物珍しいその光景にテニス部の誰もが驚いているナリ。それもそうだ。真田相手に言い返せるのはマネージャーだけだと思っていたからのぅ。まさか、副会長さんまでもがそうだったとあれば、ある意味恐ろしく見えるだろうな。マネージャーがアレだからの。
沙「あやめ。それくらいにしといたら。本題からずれてるし、旦那が拗ねるわよ?」
『そうだった。というか、旦那が拗ねるってなんで?』
沙「放ったらかしにして他の男を構ってるから」
『こんな構われ方を羨む程、心狭くはないわよ。ウチの旦那様は』
仁「!」
旦那様・・・あやめが旦那様って言ったか?
沙「旦那と言われることに否定しないのね」
『その旦那様が嫁と言ってるからね』
沙「嫌がると思ったけど、そうでもなかったのね」
『嫌がった方がよかったんだろうか?』
沙「あやめが気にしないならいいんじゃない。周りがどうこう言うのはおかしいでしょうし。ね、旦那さん」
仁「・・・・・」
あやめが旦那様って。マジか。嫌がると思ったんじゃけど、そうでもなかったんかの?
否、そもそも、また俺のせいであやめがからかわれたりするんじゃないか?
それどころか、嫌な思いを更にさせるんじゃ・・。
沙「旦那、どうしたの?」
『なんか考え込んでるようですね』
蓮「お前が旦那様と言ったことに驚いたんだろう」
柳「多分、自分の発言のせいで貴方が嫌な思いをしないか。心配しているのかもしれませんよ」
『心配性な旦那様だこと(苦笑)』
周りの声なんか全く入っていない俺は彼女が嫌な思いをしないか心配でそれどころじゃなかった。自分で言った手前、やっぱりナシなんて言おうモノなら確実に彼女の機嫌を損ねるし、口も聞いてくれないかもしれんぜよ。
『雅治?』
仁「ん、あぁ。なんだ」
『帰らないの?』
仁「そうじゃった。赤也はいいのか?」
『とりあえず、ちゃんと言ったから大丈夫だと思う。一応、舞花にも知らせるつもり』
仁「さよか。なら、早く帰るぜよ」
『急ぎの用でもあるの?』
仁「あやめとの時間がなくなるから」
『そうだね(微笑)』
いつもより早く帰れるなら。いつもより長く一緒に居られる。少しでも長く一緒に居たいナリ。
□■□■□■
いつからだろう?
帰り道が寂しくなくなったのは。
いつからだろう?
並んで歩くこの時間が嬉しいのは。
いつからだろう?
繋いだ手から伝わる温もりに安心するのは。
答えは決まっている。
彼と帰ったあの日から始まったんだ。
『(当たり前になったコトだけど、今でもドキドキしてるのは私だけなのかな・・)』
雅治はドキドキしたりするんだろうか?
なんとなく、余裕そうだから不安になる時がある。愛されてる自覚はあるんだけど、なんとなく、余裕な旦那様に少し・・少しだけど、不満。
『(嫁なんて言われたコトには驚いたけど、嬉しかった///)』
大切にされてるなぁと感じる度に私は何を返せているのかと考える。雅治は不満とかないのかなぁ。私が知らないだけであるんじゃ・・。聞いた方がいいのだろうか?否、もし聞いても答えてくれないんじゃないか?直ぐはぐらかすし・・。
『(でも、もしあるなら直したい。私の出来る範囲で!)
・・ーー雅治』
仁「ん?なんじゃ?」
『その・・・不満、とか・・あったり・・しますか・・・?』
あ、自分から聞いといてなんだけど。凹む。
仁「不満?あやめにか?」
『ぅん・・』
仁「どうしたんじゃ?不満なんてないよ。あやめが笑ってくれるだけで幸せじゃき(微笑)」
『あり、がと・・・』
あれ? なんか、寂しい? 違う。悲しい。
笑ってくれるだけで幸せ、か。なんだろ。なんか、私が思ってるのとは違う気がする。
仁「あ、明日だけど」
『明日?』
仁「ほら、部活休みだって言ったろ?遊園地行こうって約束」
『あ、うん』
仁「待ち合わせるのもいいが。それだと待たせそうだから迎えに行くぜよ」
『別に気にしないよ』
仁「俺が気にするんじゃよ。ナンパされとったら嫌じゃし」
『ふふっ。ありがとう』
初めての外デートだなぁ。遊園地も初めてだけど。楽しみ!
雅治は優しい。いつも私を優先してくれるし、傍に居てくれる。こんなにも愛されてるのに、雅治が遠く感じるのは何でだろう?
モテる旦那様なのは今更だ。考えたって仕方ない。頭では分かってるのにモヤモヤする。
そもそも私、雅治の好きなコトとかモノを知らないーー・・・。
『雅治は遊園地、最後に行ったのいつ?』
仁「最後に行ったのは・・。一昨年かの。幸村達と遊びに行ったナリ」
『一昨年・・・。それって加奈子や紗奈も一緒じゃなかった?』
仁「ああ。鈴木はマネージャーだが、会長も話しに混ざってたからな。聞いてたんか?」
『うん。お土産貰ったし。柳生くんからも。楽しかったって言ってた』
仁「・・・・」
『雅治?』
仁「柳生から何貰ったんじゃ・・」
『キーホルダー。家の鍵に付いてるよ。ほら、コレ』
ゆらゆら揺れる猫のマスコット。可愛くて大事にしてる。お気に入りだ。
仁「なんか、ムカつくぜよ」
『妬いても仕方ないでしょう? 一昨年は同じクラスでも関り合いなかったんだもん。柳生くんは悪くないよ』
仁「分かっとる。それでも、なんか・・・ムカつくナリ」
なんとも理不尽な理由に苦笑い。
だって、まさか、関わりたくない相手が恋人になるとは思わなかったし。こんなに溺愛されるとも思わなかった。
『じゃあ、明日お揃いでストラップでも買わない?』
仁「ああ」
『それにしても、大人数で遊びに行ったね。大変だったでしょう?会長の相手』
仁「かなり疲れた。あの会長に付いていけるあやめがスゴいぜよ」
『付き合い長いし、一緒に居る時間も長いからね(笑)』
思えば不思議の出会いでもある。
才色兼備で人当たりも良い。私とはタイプの違う人間なのに妙に気があって中学から今日まで一緒に生徒会役員をしているなんて私自身思ってもいなかった。
まぁ、一番驚いたのは加奈子が雅治に告白してたってコトだろうなぁ。
『加奈子はタイプじゃなかったの?』
仁「うーん。気楽ではあったが、彼女にしたいとまでは思わなかったのぅ。見た目よりも性格がアレだからな」
『そうだね・・ι アレを彼女にした男はある意味勇者だろうね』
仁「じゃな。なかなか居らんじゃろうなぁ」
『・・・・』
仁「ん?なんじゃ?」
『・・・・』
仁「あやめ?」
雅治が遠く感じる。否、ただ単に妬いてるんだ。雅治をよく知るのは加奈子の方だから。知らないコトが不安になるとは。良き友人に嫉妬する日が来ようとは思ってもいなかった。
雅治がよく柳生くんに嫉妬する気持ちが今やっと分かった気がする。
仁「どした?」
『・・・・ムカつく』
仁「は?」
『なんでもない。明日、寝坊しないでね?』
仁「それは分かっとるが、ムカつくが気になるんじゃけどι」
『雅治と加奈子は仲良しだなぁ、と思ったらムカついた』
仁「! それって、ヤキモチか?」
『だったら何よ・・(ムゥ』
仁「(あやめがヤキモチ!?マジか!!てか、膨れてる。可愛いんじゃけど!嫁可愛い!)
今すぐギュウ~ってしてもえぇか?」
『恥ずかしいからダメ///!』
仁「ギュウ~したいナリ」
『~~~ッ/// 家、なら・・いいよ///』
家の前には着いていたけど、ここでギュウなんかされたら誰かに見られかねない。家ならなんて言ったら、早足で自宅まで。玄関開けたら直ぐにギュウが実行された///
仁「俺の嫁は最高に可愛えぇの」
『どこが・・///』
仁「ヤキモチ焼いてるとこ」
『・・・・///』
仁「心配せんでも会長とは友達じゃ。それ以上には見れん。それに、俺はあやめに夢中で溺愛中ナリ」
『ホント?』
仁「ホント(微笑)」
優しく笑ってる雅治を見れるのは私だけなんだと思うとスゴく嬉しい。
不安になることもあるけど、雅治ならちゃんと分かってくれる。そう思えた。
『雅治・・』
仁「ん?」
『・・・大好き///(微笑)』
仁「!? (可愛い!上目遣いヤバい!!嫁最高じゃ!!)
・・ーー俺も大好きじゃよ」
内心で最早クールじゃない雅治が誕生したことに私はまだ気付いていなかった。
ーーーー
翌日。約束の遊園地デートの日。
いつもより少し早く起きてしまった私は服装で悩んでいた。
元よりあまりそういったことに疎い上に興味がなかったのだ。まさか、服で悩むことになるとは思わなかったなぁ。
『動きやすい方がいいよね』
お洒落<機能性を重視した結果。七分丈のジーンズに白のインナーに紺色のロングカーディガンという、なんともシンプルな格好に決まった。
この際、洒落っ気なくてもいいや。そもそも私が旦那様に釣り合ってないのは今に始まったことじゃないし。折角の遊園地なんだから楽しまなきゃ損しちゃう。なんて言い訳を並べて迎えを待つ。
ピンポーン、
チャイムが鳴り、インターフォンへ。
『はい?』
仁「仁王じゃ」
『待ってて』
パタパタと玄関へと走り、ドアを開けた。
仁「おはようさん」
『おはよう。早かったね』
仁「あやめに会いたくて早く目が覚めたナリ」
『・・・ありがとう(微笑)』
仁「(素直な嫁が可愛いぜよ///)」
『ちょっと早いけど、行こうか』
仁「そうじゃな」
仲良く家を出て駅へと向かいながら、気になったコトを聞いてみた。
『雅治。さっきの荷物は何?』
仁「アレか。帰るの面倒じゃき、泊まろうと思っての。迷惑だったか?」
『ううん。じゃあ、夕飯何にしようか?』
仁「あやめの手料理ならなんでもいいぜよ」
『分かった。明日は部活でしょう?』
仁「ああ。午後からじゃき、ゆっくり出来るぜよ」
お泊まりまで計画してるとは思わなかったけど、嬉しいな。だって、折角楽しい気分で帰って来ても帰ってきたら一人っていつも以上に寂しいもん。それを考慮してくれたのかは分からないけど。スゴく嬉しい。
仁「ご機嫌じゃな」
『うん。ずっと一緒にいられるんだもん。嬉しくてニヤけちゃうよ(微笑)』
仁「俺もじゃよ。いつも部活で構ってやれんからな」
気にしてくれてたんだ。私としては気にもしていなかったんだけどね。
テニスは雅治にとって大事なモノであり。仲間との繋がりだから。奪うなんてコトしたくないし、部活を優先させても怒るなんてコトしないのに。
本当に優しい。疲れてる筈なのに、デートに連れて行ってくれるし、朝早く迎えに来てくれる。こんなにも大切にされてるコトにはくすぐったさと愛しさを感じる。
仁「オフの日くらい、サービスせんとな」
『一緒にいてくれるだけでサービスになってるよ』
仁「あやめは安上がりじゃのぅ」
『そうかなぁ? 無理強いしたくないだけだよ』
仁「だとしても、もう少し我が儘言ってもいいと思うぞ」
『私の旦那様はモテ過ぎるので、見せびらかしたくないんですよ・・。私なんかよりも可愛い人に心変わりされたら困るし・・・』
絶対ないなんて言えない。だって、初デートだと言うのにお洒落一つ出来ない私よりも可愛く着飾る女子はそこら中にいるんだもん。外よりも中の方が安心出来るし。
『・・・・何、笑ってるんですか?』
仁「笑っとらんよ。ニヤけるのを堪えとるんじゃ」
『やっぱり笑ってるんじゃないですか・・(ムゥ』
仁「嬉しすぎてニヤけとるんよ。俺の嫁が可愛いコト言うから。愛されとるなぁ、と思ったら嬉しくての(微笑)」
『雅治って、クールとかミステリアスって言われてなかった?』
仁「そりゃ勝手に周りがイメージしただけじゃよ。まぁ、そう思われても仕方ない対応はしとったかもしれんがな」
『そうだね。私の前だと全然違うもんね』
仁「溺愛しとるからな。デレデレじゃ(微笑)」
『そう見えないけど?』
仁「一応はカッコつけとるからな・・ι」
『(表に出すのは恥ずかしいんだ)』
溺愛されてるのか~。だから、いつも私の隣に居るのかな?
ギュッ、
『!』
仁「離れない様に繋いでおかないとな」
『離れたりしないよ。でも、この方がデートらしいね』
仁「そうだな。はしゃいで迷子にならんようにな?」
『はーい』
ーーーーーーー・・・
『・・・・・(ムゥ』
仁「そんなに怒らんでも・・ι」
『だって・・・』
電車に乗って駅に着いた。着いたはいいけど、ちょっと御手洗いに行っている間に逆ナンされていたのだ
相手は年上のお姉さん。大学生くらいかな? 美人二人に囲まれてるその現場を見たとき、お似合いだと思ってしまった自分が情けない・・。自信がないのは今に始まったことじゃない。
問題はーー・・・。
仁「俺だって迷惑だったんじゃ。だが、意外としつこくて・・」
『嫌そうに見えなかったけど?』
そう、見えなかったのだ。愛想笑いしながら適当にあしらっていた。しかも、相変わらずの周りくどい言い方で。はっきり言えばいいのに言わないのはクセになっているのかもしれないと改めて実感した。
わざと名前を呼べば、値踏みするような視線に溜め息が出たよ。
分かってるよ? 釣り合わないのは百も承知ですから。遊園地までバスで移動してる間にイライラに変わって、今に至るわけです。
仁「折角の遊園地デートなんだし、怒ってたらもったいないぜよ」
『・・・・・そうだね』
仁「あやめ?」
初めてのデートなのに何やってるんだろう、わたしは・・。分かってたことじゃない。雅治が周りを魅了するのは。学校でもあの有り様なんだから、外だって同じだ。頭では分かっていても実際その状況になると冷静になれないなぁ・・。バカだよね、ホント。
ギュッ、
『・・雅治?』
仁「あやめは悪くないよ。逆の立場なら俺も同じように怒ってたし」
『ごめんなさい・・・』
仁「気にしなさんな。それより、ドコから行く?」
『簡単なのから』
仁「じゃあ、あそこから行くナリ」
『うん』
賑やかな園内は家族連れやカップル、友達同士と様々。天気も良いしではしゃいでる。笑顔が溢れる場所で今、私は顔に緊張を張り付けていた。
『雅治・・・簡単なのからって言ったよね?』
仁「遊園地って言ったらコレだと、赤也が言うとったぜよ」
『赤也を基準にしないで!』
仁「直ぐに終わるぜよ」
『怖いのに・・・』
何故か、ジェットコースターに乗っていたのですよ。初めてだし、怖いしで泣きそう・・。
仁「ほら」
『?』
仁「手繋いでれば安心するだろ?終わるまで目閉じとればよか」
『ぅん・・』
手を握り、目を閉じた。
一気に下るジェットコースターからは悲鳴が上がる中、私は声も出せずに手と目をキツく力を入れて終わるのを待っていた。
終わった頃には私はフラフラになっていた。
仁「大丈夫かι すまん、初めてにはキツかったな」
『絶叫系がダメだと知ることが出来ました・・ι』
仁「そうじゃな。なら、絶叫系以外を回るか」
『それは有難い・・。私に合わせてちゃ退屈じゃない?』
仁「あやめが楽しめればそれでよか」
『そぅ、なんだ・・・』
仁「どした?」
『ううん。次ドコ行こっか?』
仁「もういいのか?」
『うん! 時間がもったいないし、早く行こう!』
私は、雅治と同じ時間を共有したかったんだけどなぁ。デートってそう言うことじゃないの。
なんて、言えないよね。折角のデートで喧嘩したくないし、今は、流しておこう。
ーーーー・・・
それからも、色々と回り。お昼を挟んで、お土産を買って。あっという間に時間が経っていた。
『楽しい時間ってあっという間だよね』
仁「そうじゃのぅ。楽しめたか?」
『うん。雅治と一緒だから、楽しかったよ(微笑)』
仁「俺も楽しかったナリ。あやめと一緒だから」
『二人なら楽しいってことだね』
仁「そうだな。最後に観覧車乗るぜよ」
『うん!』
手を繋ぎながら隣を歩く。
同じ時間を共有出来るっていいなぁ。
雅治は、楽しんでいるんだろうか?
結局、私に合わせてただけだし・・。はしゃぐ雅治って想像できないけど。少しは、子供っぽくはしゃいでもいいのに・・残念。
仁「疲れたか?」
『少し。はしゃぎ過ぎた(苦笑)』
仁「そうじゃな。学校じゃ見られないくらいはしゃいでたぜよ」
『雅治はいつも通りだね』
仁「不満か?」
『・・・ううん。楽しかったならいいよ』
仁「・・・・」
『あ、来たよ。行こう!』
仁「ああ・・」
ゴンドラへと乗り込み、ゆっくりと上へ。
何故か気まずい空気になってしまった。不満、というつもりではなかったんだけど。鋭いよなぁ、雅治は。
仁「あやめ」
『ん?』
仁「どんなデートを期待しとったんじゃ?」
『どんな、て・・。普通のデートだよ。同じ時間を共有する様な?よく分からないけど。
まぁ、雅治がはしゃぐ姿って想像できないけどね(笑)』
赤也なんかは分かりやすいんだけどね。雅治は落ち着き過ぎるのかなぁ。感情が表に出ないから困る時がある。その代わりなのか、行動で示す所があるよね。それはそれで可愛いから好きなんだけど(笑)
仁「・・・・」
『楽しかったのはホントだよ。二人きりで来れて嬉しかったし』
なんか、悪いこと言っちゃったかなι
黙り込んじゃったし。俯いてるし・・。
仁「隣に行っていいか・・」
『どうぞ・・』
向かい合わせから肩を並べる様に隣へ。ちょっと緊張しながらいると、不意に手を握られた。
『雅治?』
仁「楽しいのはホントだよ。ただ、表に出さないだけで。内心ははしゃいでるナリ」
表に出ないのにはしゃいでるって言われてもなぁι
『どう反応したらいいのかな?』
仁「難しいよな・・。すまん、表に出さないのが当たり前だったから上手く表情に出せないんよ」
『なるほどね。なら、仕方ないね。雅治が楽しかったって言うならその言葉を信じるよ』
仁「ありがとさん。実は、あやめのはしゃぐ姿が可愛くて隠し撮りしたくらいじゃ」
・・・・・ん? 隠し撮り?
『Σ今すぐ削除しなさい///!?』
仁「それは出来ん。俺のあやめコレクションぜよ。ロックも掛けとるから消される心配はないしの」
『・・・・はぁ~ι 誰にも見せないならいいよ』
何を言っても負ける気しかしない。
仁「呆れたか?」
『言い負かせる自信がないだけよ。それに、私も雅治の隠し撮り写真が待受だし』
仁「・・・何撮ったんじゃι」
『寝顔だけど?』
仁「・・・誰にも見せないでくれんかの」
『もちろん。私だけの雅治だもの(微笑)』
たまたま撮れた雅治の寝顔写真。
ウチに来た時に疲れていたのか眠ってしまって。シャッター音にも気付かないくらい熟睡していたのだ。
仁「可愛い嫁じゃな」
『旦那様も可愛いよ』
仁「嬉しくないぜよ」
『私からの褒め言葉』
仁「はぁ~。嫁には勝てんな」
『ふふっ。そろそろ頂上だね』
ゆっくりと上がるゴンドラは漸く頂上へと到着。外を眺める私に雅治の手が頬に触れた。
『? 雅治?』
仁「ずっと、俺の傍に居て下さい」
真剣な眼差しで告げる雅治に私の顔は真っ赤になっているだろう。
まるで、プロポーズの様なシチュエーションに心臓がドキドキとうるさい位鳴っている。
『・・雅治が、許してくれるなら。傍に居ます、ずっと///(微笑)』
仁「ああ。許すナリ。あやめにはずっと一緒に居て欲しいからな」
『私も。雅治と一緒がいい』
仁「好きだよ、あやめ」
『うん。私も、好き///』
ゴンドラが頂上に着くと同時に私達の唇は重なった。
ーーーーー・・・
遊園地から帰宅した私達は、一緒に夕飯作りをしていた。
『エプロン姿の雅治って貴重だよね』
仁「そうか? まぁ、そうそう着ないからな。あやめのエプロン姿は可愛いぜよ。
欲を言えば、もう少し可愛いエプロンがいいナリ」
『エプロンに可愛さはいらない(キッパリ』
仁「そんなことないぜよ。フリルとかはいらんが、もう少し明るい色だって似合うぜよ」
『センスよりも機能重視だからね。誰に見せるワケでもないし』
仁「だからって、黒とか紺はないだろうι」
『無難でしょう?』
汚れるのが前提で選んだからね。黒とか紺が一番無難だったんだけど。男からすると物足りないのだろうか?
『エプロンってそんなに重要?』
仁「色っぽく見えるからな。男はロマンに生きとるんよ」
『なら、雅治が選んでよ。そのロマンに見合うエプロンを』
仁「そうじゃな。今度買いに行くか。俺のはあやめが選んで」
『分かったよ』
エプロン姿にロマンてあるだろうか?
色っぽく見えるのも分からないけど、雅治がどんなの選ぶのか。ちょっと楽しみだ。
食事をして。お風呂を済ませて、寛ぎタイムに入る頃には雅治はソファで寝てしまった。私を抱き締めたまま。
定置になった雅治の足の間に背面での体勢。眠る旦那様が寄り掛かって少し重いんだけどね。
『疲れたよね・・。ありがとう、雅治』
仁「ん~・・あやめ」
『そろそろ寝ようか。部活あるし』
仁「ん・・。終わったら来てもいーか」
『もちろん。さっ、ベッドに行こう』
仁「お~・・」
リビングの電気を消して、部屋へ。大して距離もないのに手を離さない雅治に笑った。
一緒にベッドに入るなり、ギュッと抱き締められる。
温かいし、心音が子守唄の様だし、雅治の匂いが私と同じで。幸せを感じながら眠りについた。
『(寂しくない・・) おやすみなさい、雅治』
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝。雅治よりも早く目覚めた私は、洗濯に掃除と勤しんでいた。もちろん、雅治を起こさない様に。
『ふぅ~。とりあえず、終わった。まだ時間があるけど・・そろそろ旦那様を起こさないと』
部屋へと向かい、ドアを開けて中へ。
ベッドへ歩み寄れば。スヤスヤ眠る旦那様。
普段結ってる髪が乱れてなんとも色気が・・。女よりも色っぽいとは、流石です。
『ぐっすりだなぁ。寝顔可愛い・・vV』
私だけの特権だよね~。こんな無防備な姿、そうは見せてくれないだろうし。可愛い・・けど、本当に起こさないと遅刻させてしまうι
『雅治ぅ~。そろそろ起きてくださ~い』
仁「すぅ・・すぅ・・」
『雅治ぅ~。起きて~・・』
仁「ん、ん~・・・あやめ・・」
『おはよー。部活遅刻しちゃうから起きて』
仁「・・チュー・・」
『ネズミ?』
仁「ちゃう。チューして欲しいぜよ」
寝ぼけ眼で何言ってんだ?
チュー、て。掠れた声でねだられるとドキドキしちゃうじゃないか///
しかも、起きる気ナシだ。
仁「あやめ~、チュー・・」
なんか、可愛い///
チューねだりながら手を伸ばしてるし。恥ずかしさ<可愛いおねだりに負けてしまった。
チュッ、
『これでいい///?』
仁「ん。おはよーさん」
『おはよー』
ギュッ、
起きるなりハグしてくれる旦那様が可愛くて愛おしい。
『ハグしてくれるのは嬉しいけど、動けないよ(苦笑)』
仁「ん、ん~。離れとうないナリ」
『部活遅れるよ?』
仁「・・・あやめも一緒がいい」
『テニス部じゃないからね?ムリ言わないの。帰って来たらいっぱい甘えていいから、支度して?』
ホントに可愛すぎる旦那様よね。駄々っ子だけどι まぁ、強く言えない私も甘いのかもしれない。
顔がいい上に甘えられると殺人級の可愛さって最早、凶器でしかないわね。
今だって、首筋にグリグリと額擦って甘えてるし。可愛すぎるんですけど///
仁「あやめ・・」
『なぁに?』
仁「俺のコト、好き?」
『うん。大好き』
仁「どのくらい?」
難しい質問だなぁ。どのくらいか・・。このての質問てどう答えるのが正解なんだろう。・・分からないι
『どのくらいと聞かれると分からないけど。
キスとか触れて欲しいって思うのは雅治だけだよ。これじゃ答えにならない?』
仁「・・・あやめのエッチ」
『・・・じゃあ、もうキスしてあげない』
仁「Σ・・・すまん。ゴメン。謝るから許して。あやめからキスしてもらえないのは辛いナリ」
そんなにか?
いや、まぁ、たまにあるか、ないか位の確率だけどね。雅治の中じゃそんなに重大なコトだとは思わなかったよ。
『逆に聞くけど。雅治はエッチじゃないの?』
仁「エッチじゃよ。正直言えば、頭ん中で何度あやめを抱いとるかわからん」
『・・・・そう///』
仁「気持ち悪いじゃろ?」
『別に、そんなこと思ってないよ。そういことに関して興味を持つのは当たり前でしょう。思春期だし。高校生ともなれば特に。
まぁ、男子と女子では考え方は違うだろうけどね』
仁「あやめも考えたりするんかの?」
『旦那が色っぽいからね』
仁「そうか?」
『無自覚って凄いね。とりあえず、そのお色気フェロモンのせいで世の女を虜にしているのは間違いないね』
仁「あやめが虜にならんと意味がないぜよ」
『じゃあ、頑張って。そう簡単に虜になってあげないから(微笑)』
仁「難関じゃな。でも、あやめならフェロモンじゃなく俺に夢中じゃなきゃ嫌じゃ」
『それもそうだね。フェロモンありきじゃ夢中とは言えないか』
仁「俺はあやめに夢中過ぎるくらいじゃがの」
『ありがとう(笑)』
と言うか、雅治の頭の中の私ってどんなんだろう?
しかも、抱かれちゃってる上に何度もってのは驚きだよね。うん。雅治も普通の思春期男子だったってことだ。
仁「あやめ?」
ほんの少し・・少しだけ、妬いてしまった。
『(恥ずかしくて言えない・・・///) 雅治・・』
仁「ん?」
『帰ったら、ハグしてくれる・・///?帰るまで・・』
仁「もちろん。そのつもりじゃよ(微笑)」
『ありがとう(微笑)』
それから、朝ご飯と言うには遅い時間に二人仲良くご飯を食べて。制服に着替えた雅治を見送る。
仁「離れたくないぜよ」
『そんなこと言わないの。私だって寂しいんだからね?』
仁「そうじゃな。なるべく早く帰るナリ」
『いいよ、急がなくて。事故にでも遭ったら大変だから。ちゃんと帰って来てくれれば、それでいいよ(微笑)』
仁「あやめは優しい子じゃな。
帰ったら離してやらんから大人しくお家で待っとるんよ?」
『はい』
仁「行ってきますのチューしちゃる」
そう言って甘い笑みを浮かべながら、腰を引かれて胸の中。ドキドキする心音が聞こえちゃいそうだなぁ。なんて思いながら、唇が重なり。数回啄んだ後に舌が侵入。吐息を漏らしながら絡め合う。
チュッ、
リップ音を鳴らして離れた唇。優しく細められた瞳が私を見つめて言う。
仁「続きは帰ったら、な?」
『ぅん///』
玄関を出ていった背中に寂しさを感じながらも、唇に残る感覚に頬が熱くなるのが分かった。
あんなキスされたら身が持たない///
雅治の頭の中の私はもっと愛されてるのか、と思うと・・なんか、悔しい気持ちになる。
『帰って来たら、お帰りのチューしてあげようかな・・///』
なんて考えながら雅治の帰りを待つ。
宿題と予習をしながら。
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『・・よし、終わった。んー・・カフェオレ飲もうかな』
そろそろ旦那様のご帰宅だなぁ。
夕飯食べてくんだろうし、用意しとかなきゃ。後、お風呂も。
『ホントの新婚さんみたい(笑)』
新婚さんがどんな感じなのか分からないけど。こんな風に帰宅する旦那様を待ちながら家事をしているんだろうなぁ。
雅治となら毎日が楽しいだろうね。帰りが待ち遠しい。
『あ、牛乳切らしてたんだった。仕方ない。買いに行こう。次いでに買い足せる物は・・』
冷蔵庫に引き出しの中の調味料のストックの確認をして家を出た。
いつものスーパーへと向かいながら夕飯のメニューを考える。偏食な旦那は野菜をあまり食べない。好物は肉。かなりの偏食ぶりに頭を抱えたなぁ。スポーツマンがそれでいいのか、とも思ったよ。
だから、なるべくバランス良く作るようにはしてるんだけど。心配もあるんだよねぇ。栄養士じゃないから。それでも、ちゃんと食べてくれるから嬉しいし、楽しい。誰かの為に作って美味しいって褒めて貰えるから。
『(雅治が居てくれて良かった・・)』
寂しさを感じなくなった。常に一緒ってワケじゃないけど。居られる時は傍に居てくれるし、私が寂しくないように来れなかった日は電話をくれる。ああ見えて結構マメだ。疲れてるだろうに、と思うけど。本人に声が聞きたくて、と言われたら嬉しいよね。うん。愛妻家って雅治みたいな人のコトなんだね。
『(この日常がずっと続いたらいいなぁ・・)』
不安になる時がある。
私たちはまだ子供だ。進学にしろ、就職するにしろ。社会の厳しさも知らず。自立していない以上、多くを望むのはまだ早いだろう。とは言え、環境が変われば心も変わると思う。出会いの場は増えるし。それは、異性との出会いにも繋がる。魅力的な異性に出会えば雅治だって揺らぐと思う。逆ならどうなんだ?と言われそうだけど。私はそう簡単に切り替え出来ない人間だと分かっている。相手がいながらに他に惹かれるコトはない。器用ではないから。
ただでさえ、私にはもったいない位の旦那を捕まえてしまったし(笑)
『(私の気にしすぎなだけ、なんだろうけどね・・・)』
自信がないんだ。
私のせいで我慢させてるんじゃないか。
退屈だったりしないか。
口煩いと思ってないか。・・・等々。
考えればいくらでも出てきそうなんだよね。
『(ホントに、嫌になるわ・・・)』
自分が雅治に似合っていないのは私が一番分かっているつもりだ。それでも、回りの声を気にしないフリをしている。雅治の言葉を信じていればいい、と分かっていてもやっぱり指摘されれば気になってしまうものだ。
だから、外に出たくないんだよ。
すれ違う女性が振り返る程魅力的な旦那様だから。隣に居るのが私みたいな地味っ子だから笑ってるんだろうなぁ、と思う度に虚しくなる。気にしないと言い聞かせてる時点でかなり気にしているんだと思う。強がりで意地っ張りな自分が嫌いだ。
『(もう少し、身なりに気を遣った方がいいんだろうか?)』
基本的にモノトーンばかり着ていて、色味がない。動きやすさ重視のせいかいつもパンツスタイルが多い。スカートは制服の時だけだ。楽でいいんだけど。
雅治もやっぱり可愛い格好の方がいいのかなぁ?
興味がないから分からないけど、化粧とかした方がいいのか。色々考えてしまう。
『(律子さんに聞いてみようかな)』
律子さんとは、兄の彼女で絶賛同棲中の女性。おっとりとした清楚な人で優しい。何かと相談に乗ってもらうコトが多い。兄に言ったら面倒にしかならないから・・・。
『(雅治にも聞いてーー・・・)』
「副会長じゃん!」
休日だと言うのに、なんだってその呼び方なんだよ・・。学校じゃないのに。
しかも、明らかに面倒なタイプの男子に派手めな女子。如何にも雅治ファンの女子って感じだ。何言われるのか大方理解した。
「副会長の私服姿、初めて見たな!」
「シンプルで副会長に似合ってるよ!」
「イメージ通りだな(笑)」
褒めてないだろう、それ。馬鹿にしてますって顔に出てるからね? 休日とはいえ、普段ならすれ違っても声なんかかけないクセに。雅治と付き合ってるからなのか、無駄に絡んでくるんだよね。面倒だ。
「てかさ、仁王の隣にその格好って似合わなくない?」
「私も思った。折角、仁王みたいなイケメン捕まえたんだからお洒落した方がいいよ」
「仁王じゃなくても洒落っけは必要だろう!」
「確かになぁ。流石にその格好でデート来られたらテンション下がるな」
好き勝手言って来る連中の言葉が少なからず私の心に突き刺さった。今の今まで考えていただけにダメージが大きい。
『(この人達の意見が当たってるなら。昨日のデート、雅治はテンション下がったんだろうか・・・)』
そういえば、エプロンも可愛いのがいいって言ってたなぁ。
確かに、雅治はお洒落だったよね。モノトーンとは言え彼に似合ってた。
可愛い方がやっぱりいいのか・・・。加奈子も舞花も私服は可愛いもんね。お洒落だし。
「副会長さぁ。もう少し自分を磨いた方がいいよ?女子なんだから」
「そうそう!着飾った方がそそるしな!」
「そっちが目当てなだけかよι」
『(さっさと終わらせよう・・)
ご忠告ありがとうございました。では、失礼します』
そう言って切り上げようとしたのに、何故か引き留められてしまった。
「暇なんだろ?俺らと遊ばねェ?」
『は?』
「副会長に興味あんだよね。あの仁王さえ落としたワザとか」
『・・・何もしていませんけど?ワザなんてないです』
「嘘吐くなって。じゃなきゃあの仁王が副会長を選ぶとは思えねーし」
「確かに。私も聞きたい!参考に!」
「仁王を寝取る気かよ(笑)」
『・・・・申し訳ありませんが。皆さんが考えているようなコトはしていませんし。雅治は噂とは真逆の人間です。からかいただけなら他を当たって下さい』
気分が悪くなる。そんな考えしか浮かばない幼稚な脳ミソしか持たないこの人達と話しているだけで最悪だ。
雅治が噂通りの人間じゃないと困るのか?
イケメンでも中身が最低な男なら仕方ないとでも?
くだらない。雅治はこんな人達よりも繊細で優しい人だ。だからこそ、惹かれたのだから。
「噂とは真逆って、副会長騙されてんじゃねーの?」
「仁王が実は一途なピュアボーイだったとか。マジあり得ねぇって(笑)」
「副会長夢見すぎ~。ウケる(笑)」
嗚呼、こんな風に否定されてきたのか。
だから、あえて否定も肯定もしないでのらりくらりかわしていたんだ。
そう思うと本当の仁王 雅治を見ている人って極少数しかいないんだろう。私もそうだから。
『(傍に居てくれるのが雅治で良かった)
・・・夢、そうですか。あなた方が雅治をどれ程知っているのか。よく分かりました。
大して知りもしない相手を蔑みながら自分を守っていらっしゃるんですね』
「!?」
『折角の休日が無駄になりますので、これで失礼します』
最悪な気分だ。ムカつき過ぎて気持ち悪い。
さっさと立ち去りたいのにそれを再び阻まれた。いい加減にして欲しい。
