◈仮面の下の素顔
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さて、前回の話を簡単に話そう。
無表情で有名な副会長の私はある日、会長である友人の加奈子から匿いたい相手がいると聞かされた。
その人物は、学校一の有名人。我が校が誇る。男子テニス部レギュラーで。詐欺師と名高い。同い年の仁王 雅治だった。
悪い噂が絶えない人物であり。女子からの人気も絶大。なんとも関わるのが面倒な人が来た。初めはそんな程度だった。
関わり合う内に告白されて。戸惑いながらも彼の優しさに胸があったかくなるコトに気付き、私は彼に惹かれているのだと自覚した。
付き合い始めた私達は色々と噂になっていた。
相手がモテ男とあっては話題にならないわけがない。女子からも散々質問責めにあったし・・。嫌がらせとか、呼び出しがあるかと思ったけど、意外にもなかった。男子からのからかいはあるものの今のところ女子からは特にない。生徒会役員だからかは分からないが・・。何もないに越したことはない。
しかし、そんな穏やかな日々にも変化はある。
これは付き合って1ヶ月が経った頃の話です。
◈◊◈◊◈◊◈◊◈◊◈
『あのさ、加奈子。聞きたいことがあるんだけど?』
加「ん?」
『最近の雅治・・変じゃない??』
加「仁王が変人なのは今に始まったことじゃないだろう?」
『そうじゃなくて・・。
1ヶ月経ったって落ち着いたかと思ったら、雅治の様子がおかしいのよ』
加「そうか?別段変わったことはないが・・」
『分かっててシラを切るのね・・(ジトリ』
加「そう睨むなι すまない。
何かあったのかは分からない。教室ではいつも通りだし、変わった所はないのは本当だ」
『なら、アレは一体何なのかなぁ?』
加「離れたくないだけじゃないのか?」
『1ヶ月経ったのに? 理由聞いても答えないし。柳生くん達にも聞いたけど分からないみたいで・・』
加「ふむ。(迷惑、ではないな。仁王の心配をしているんだろう。とはいえ、理由を言った所であやめは信じないだろうからなぁ・・ι)」
『(本当に何もないならいいんだけど・・)』
ーーーーーーー・・・
最近。恋人同士になった彼氏様の様子がおかしいのだ。
何がおかしいと言うとーー・・・。
例えば、休み時間に廊下で柳くんと話をしていると。
『それからーー・・!』
むぎゅ、
蓮「・・・・・」
『・・・・・・・』
やっぱり来た。後ろから抱き着く彼氏様だ。
最近の雅治は学校でもこの調子。別に話もしないでずっと抱き着いてるだけ。しかも、私を見つけた場合のみ。教室に現れてまではしない。あくまでも廊下で、なのだ。
初めは甘えたいだけなのかとも思ったんだけど、原因がある気がしてならない。
見せつけているのか。それとも、甘えたいだけなのか。分からないのだ。本人に聞いてもはぐらかされるしね。
とりあえず、気にしないで柳くんと話の続きを再開。
『・・・ーーーというコトです』
蓮「分かった。それにしても神崎。後ろの相手をしてやらなくていいのか?」
『それなんだけど。何か知らない?ここ最近、ずっとこの調子なんだけど?本人に聞いても答えないの』
蓮「成る程。大方の予想は思い浮かぶが。俺から言うのはやめておこう」
『なんで?』
蓮「お前達二人で話し合うべきだ。じゃあ、俺は戻る」
逃げられた。理由が分からないんじゃ対処のしようがないのに。そもそも、話し合えってそんな大事なの?まったく身に覚えがないんだけど・・ι
『ねぇ、雅治。いい加減教えてくれない?私が何かしたなら謝るから』
仁「・・・・・」
『(まただんまりか・・)』
ホントに何だっていうのよ。周りは知ってるのに私は分からない。この状況が嬉しいと思えないんだけどなぁ。雅治に抱き締められてるのに、モヤモヤするなんて。
肩口に顔を埋める雅治は何も言わない。私何かしたのかもしれないなぁ。知らず知らず雅治を傷つけたのかも・・。
ぽんぽん、
『何したか分からないけど、ごめんね・・』
仁「あやめは何もしとらん・・・(ボソッ」
『雅治?』
仁「あやめは悪くないぜよ」
顔を上げて言った雅治は優しく笑ってて。理由を聞こうとしたらチャイムが鳴っちゃって、聞けなかった。
モヤモヤは晴れることなく私の心を覆い始めていた。
ーーーーーー・・・
『はぁ~・・』
溜め息が出る。毎日毎日、抱き着くだけで何も言わないし。不満があるなら言って欲しいのに。
そりゃあ、彼氏様に抱き締められて嬉しくない筈がない。でも、モヤモヤしてる今だけは素直に喜べないんですよ・・。
『(嫌われたワケじゃない筈だけど・・・モヤモヤしてしまう) はぁ~・・』
?「どうかされましたか?」
『柳生くん・・』
柳「先程から溜め息が尽きないようですが・・」
『お宅のパートナーが分からなくて悩んでます』
柳「仁王くんですか・・ι ここ最近、神崎さんにベッタリだと噂になっていますしね。朝練の時も丸井くんと切原くんにからかわれていましたし」
『甘えてるだけなら可愛いんだけど。・・・何が不満なのかさっぱり分からなくて』
今日は調理実習の為、話していても問題はない。作っているのはお菓子というコトでクッキーになった。ちなみに、ヒヨコ型です(笑)
『柳くんに聞いたけど、自分達で話し合えと言われました』
柳「そうでしたか。・・・ところで、何故ヒヨコの形なんですか?」
『雅治がよく"ピヨッ"と言うから(笑)
次いでにチョコペンでメッセージ書いてあげようかと』
柳「きっと仁王くん、喜びますよ(微笑)」
『だといいんだけど・・。飽きられたのかなぁ、と思うコトが増えてね』
柳「神崎さん・・。
(それは絶対にないと断言できますが・・。これは予想外にも危険な状況ですねι)
・・ーーΣ神崎さんッ?!」
『聞いても答えてくれないので書いてみた』
柳「・・・・ι (にこやかに言ってはいますが。かなりご立腹の様ですねι)」
わざわざ手紙というのもおかしいのでクッキーに書いてみる。柳生くんは驚いているが私も我慢の限界なのです。一言一言、丁寧に書いたのでちゃんと伝わるはずだ。・・・多分ι
さてさて、ラッピングされたクッキーを片手に廊下を歩いていると。何やらザワついているではないか。仕方ないけど。
何となく様子を窺って見れば、案の定。囲まれている男子がいた。今日の調理実習は私のクラスだけじゃないから分かってはいたんだけど。まぁ、付き合っているのを知っていて渡しているのだから溜め息も出る。とはいえ、本人が拒否しなければいくら彼女とはいえ口を挟むのはおかしい。囲まれている彼氏様の手には渡された物があった。断るのも面倒なのかは分からない。
『(断りもしないのか・・)』
私としては断って欲しかったんだけどなぁ。あんなに貰ってるならいらないかもね。はぁ~・・・。
『美味く出来たんだけどなぁ・・・(ポツリ』
?「なんだ、くれないんか?」
『・・・・そんなにあるならいらないでしょう?』
いつの間に抜け出したのか。雅治が笑いながら隣に立っていた。
仁「断るのが面倒でな。とりあえず貰って後でブン太にやろうと思っての。もちろん、あやめのはちゃんと食べるぜよ」
『そぅ・・。じゃあ、はい』
仁「ありがとさん」
『雅治のクラスは実習したの?』
仁「まだナリ。明日じゃ。あやめにあげるから楽しみにしときんしゃい」
『うん。(今なら答えてくれるかな・・?)
あのさ、雅治・・』
仁「ん?」
『聞きたいんだけどーーー・・・
「あ!仁王、いたー!」
・・・・・はぁ~・・』
仁「あやめ?」
『いい。呼ばれてるよ。行って上げて』
仁「ああ・・」
タイミング悪いなぁ・・。聞き出せるかと思ったら女子に呼ばれるし。というか、私の彼氏様なんですが?なんで、私が譲らないといけないのか・・・。
大人な対応をする彼氏様に視線を落として教室へと入った。
ーーーーーー・・・
時刻はお昼休み。賑わいを見せる教室を後にした私が向かったのは裏庭。今日は一人でお昼ごはんだ。雅治はミーティングも兼ねて部活のメンバーで。加奈子は何やら忙しそうに教室を出ていったとか。久し振りの一人でのお昼に気分転換をしようと裏庭に来てみた。
夏が近いせいか、大分暑く感じる今日この頃。日陰に座りお弁当を広げた。
校舎内の賑やかさが遠くに聞こえる。静かで落ち着く一時にリラックス。だけど、いつも隣にいる彼が居ないのはやっぱり寂しい。
『(気持ちいい~・・・)』
ふと、空を見上ながら雅治のコトを考えた。不満があるとしたら私はどうするだろう?
内容にもよるけど。付き合ってからも私達はこれといってカップルらしいことはない。
外でデートなんてせずに家デートばかり。何かするわけでもなく。映画見たり。テレビ見たり。宿題したり。それから、夕飯を食べて、雅治が帰る。それだけだ。
もちろん、家にいる時は片時も離れず。くっついてるけど。果たしてこれが付き合っていると言えるのかは分からないι
『ご馳走様でした。・・ん~ッ、はぁ~。気持ちいいなぁ。眠くなっちゃうよ(笑)』
ポカポカで日陰だから丁度いいし。雅治がいたらお昼寝タイムだったなぁ。
『・・・・』
雅治は何を考えてるのかなぁ・・。
最初は私だって恥ずかしかった。周りもザワつくし、女子からは悲鳴が上がるし。居たたまれない気持ちにもなった。だけど、わざわざ目立つように抱き着いては何も言わない雅治に何かある様に感じてからは何も気にならなくなったけどね。
不満があるなら言って欲しい。だけど、私には非がないと言われたら何が原因なんだろう。
・・・ーーー雅治が分からない。
『(図書室行って本借りよう)』
お弁当箱を手提げに入れて裏庭を後にした。
校舎内を歩いていると親しげな男女が見えた。楽しげに笑い合って、触れ合って。微笑ましいものだ。
付き合って1ヶ月でモヤモヤするとは思わなかったなぁ。ただでさえモテる男なのに。とはいえ、一途な気持ちは伝わってる。私が考え過ぎるだけなんだろうか。
考え込んだまま図書室へ入って、本を借り。生徒会室へと向かう。その途中、以前話した女子生徒に声をかけられた。
「神崎さんと仁王くんが仲良いのは知っていたけど。ホントに付き合っちゃうとはビックリだよ!」
『そうですか』
「最近、男子が言ってるんだよ?
神崎さん雰囲気柔らかくなって、可愛いって」
『はい?』
「自覚なかったんだね。仁王くんのお陰なのかな(微笑)」
『あまり変わったとは思っていませんが。周りから見たら変わった様に見えるんですね』
「クスッ・・でも、あんなに見せ付けられたら羨ましくなっちゃうよ」
『見せ付け、ですか・・』
「違うの? 声を掛けようと見計らってると仁王くんがいるって男子が言ってたよ。
あ、友達待たせてるんだった!わたしは二人のコトお似合いだと思うよ!」
『ありがとう、ございます・・。
(もしかして私、守られてたの・・・?)』
私に男子が近付かない様に。雅治なりにヤキモチを焼いていたんだろうか。言ってくれれば・・・否、言われたところで信じなかった。彼女の言葉を信じたワケじゃない。ただ、身に覚えがあった。
男子からやたら声が掛けられるようになった。馴れ馴れしいから不快だった。でも、雅治が抱き着く様になってからそれも減った・・。
『なんだ、そうだったのか・・』
生徒会室に入ると気が抜けたように座り込んで一息吐き出した。
不安なんて抱かなくてよかったんだね。雅治の言葉を信じていれば良かったんだ。そう思うと愛しさが増してくる。こんなにも愛されているのに、何を不安になっていたんだか。馬鹿らしくなる。
『ちゃんと謝らないと・・・』
そして、伝えたい。どれだけ嬉しかったか。愛しかったか。どれだけ、私が彼を想っているか。
『会いたい・・・(ポツリ』
そう呟いた瞬間ーー・・・。
ギュッ、
大好きな匂いに包まれた。
†side:仁王†
1ヶ月前。友人の生徒会長に匿ってもらう約束で生徒会室へ柳生と行った。そこにいたのはあまり関り合いのない副会長の神崎 あやめがいた。無表情で淡々とした物言い。苦手なタイプの彼女と初めて話した日から今日までを思い返すと自分でも笑っちまうくらい彼女に夢中だったナリ。
気さくで優しい。面倒見がよく。手厳し。真面目で家庭的。知れば知るほど彼女にハマっていった。
付き合ってからあまりの可愛さに何度理性を失いそうになったことか・・。一定の距離を好むかと思いきや。くっついていたい、甘えたタイプで驚いた。好きなタイプが"甘やかしてくれる人"とは言っていたが、冗談だと思っていたからな。猫みたいで可愛い彼女との時間は幸せで心地良い。
だが、1ヶ月が経とうとした頃。
俺の心中は穏やかじゃなくなったぜよ。
ーーーーー・・・
仁「ふぁ~ぁ・・。(寝過ぎたな・・)」
「変わったよなー。副会長!」
仁「(あやめが変わった?・・変わったかのぅ?)」
教室へ戻る途中で聞こえた男子の声に足が止まり、聞き耳を立てた。
「変わったか?」
「変わったって!なんつーか、雰囲気が柔らかくなった!」
「あ~ぁ。言われてみれば何となく、変わったかもな。仁王と付き合ってからか」
「だろう!笑った顔も可愛いしさ!」
「なに、お前。副会長狙ってんのかよ?仁王相手に勝てるわけないだろう」
「わっかんねーだろうッ!仁王は飽きっぽいし。ヤることヤったら捨てるって噂じゃん!」
「ただの噂だろう。仁王だって本気かもしれないぞ。てか、なんで副会長なんだよ」
「ギャップ萌え的な!」
「ハイハイ。まぁ無理だろうが。がんばれー」
「ひっでぇな!」
そんな会話を耳にして穏やかでいられる程、余裕な大人にはなれん。
確かに。彼女は変わった。前よりも柔らかな雰囲気があるとは誰もが思っていたからな。女子だけじゃなく男子も彼女に気兼ねなく話し掛けるのも何度か見たぜよ。じゃが、副会長という立場もあって仕方ないと思ってはいたが。あんな下心ある奴までいるなら話しは別だ。とはいえ、学校ではあまり大っぴらにはイチャついたり出来んし・・・。彼女を困らせる様なことはしたくないが。男が近付くのはもっと嫌じゃ。
仁「・・・」
廊下で話す彼女の姿。表情は変わらないものの、雰囲気は確かに変わったぜよ。
多少の愛想笑いが出来るようになったって所かの。話し終えたと思えば、相手は男子じゃ。しかも、テニス部以外の。その瞬間にさっきの会話を思い出した。
『そうですか。ではーー・・!!?』
気付いとらん彼女の背後から抱き着けば、流石に驚いたのか。話が途切れたナリ。
『・・雅治?』
仁「・・・・」
『・・・・。すみません、話の途中でしたね』
「え、あ、うん・・・ι」
冷静になったのか。再び話を始める彼女に感心するぜよ。この状況で淡々と用件を済ませるとは。周りの視線を感じるが離れることはせずに首筋に顔を埋めて抱き締めた。
『さて、どうしたの?いきなり背後から抱き着くとは驚いたよ』
仁「・・・・」
言おうか悩むのぅ。言ったところで素直に信じないだろうしな。
仁「あやめがいたから抱き着きたくなっただけじゃよ」
そう誤魔化した俺に呆れながらも笑ってくれる彼女がどうしようもなく愛しいと思ったナリ。
それからも見かけては抱き着き、他の男が寄らん様にした。じゃが、流石におかしいと思い始めた彼女に問われても誤魔化し。挙げ句には黙秘した。
会長もそうだが、あやめも勘が鋭いぜよ。
結局、今日まで止めることもせず至るんじゃが・・・。
丸「仁王が飯食ってる!?」
ジャ「何だよいきなりι 仁王だって飯くらい食うだろう」
柳「そうですよ。寧ろ、今までがおかしいんです」
幸「クスッ。気持ちは分からなくもないけどね」
蓮「ああ。昼休みとはいえ、購買も食堂にも行けなかったんだからな。無理もない」
切「あやめ先輩の手作りッスか!美味いッスよね!何度か食ったことあるんですけど」
仁「そうか・・・」
まぁ、赤也のコトを可愛がっとるからな。あるだろうとは思ってはいたが。・・ムカつくのぅ。
ミーティングを兼ねた昼休み。俺達は空き教室で飯を食ってる。本当ならあやめとが良かったが仕方ない。少し寂しそうに笑ってたしな。会長と一緒ならいいんじゃが。一人を狙ってケモノが近づいとったらと思うと落ち着かんぜよ。
ミーティングだというのに、俺の頭の中は彼女で埋め尽くされてるし。話しはまったく入っても来ない。
弁当を食べ終え、貰ったクッキーを開けた。
丸「お!お菓子じゃん!」
仁「コレはやらん。こっちならやるぜよ」
丸「マジ!サンキュー!」
ジャ「まだ食うのかよι」
切「食って大丈夫なんですかね?」
仁「変なモンは入ってないと思うが・・」
真「貴様ら!!話を聞かんかーーッ!!」
切「スンマセンι」
ジャ「悪いι」
丸「~~vV」
仁「プピーナ」
幸「おやおや(微笑)」
真田の説教も無視してクッキーを取り出して固まった。
別に変わったクッキーではない。ヒヨコの形のクッキーだ。驚いたのはメッセージが書いてあったコトだ。他のも確認。
"部活ガンバレ"
"カッコイイ"
"ダイスキ"
・・ーーと。なんとも可愛らしいメッセージに口元が弛みそうなのを必死で堪えた。
仁「(嫁が可愛すぎる///)」
もう一つ書いてある。それを見た瞬間。ゆっくりと立ち上がり、野暮用とだけ言って空き教室を出た。
仁「(あやめの不安を煽ってたとは気付かんかった!)」
もう一つのメッセージ。それはーー・・。
"キョリオク?"
冗談じゃないぜよ!今距離を置かれたら男が近寄るだろう。それだけは、絶対、嫌だ。
生徒会室に走ったが鍵か掛かってる。仕方なく教室へ向かい会長を見つけた。
加「仁王?ミーティングは終わったのか?」
仁「ああ。それより、あやめ知らんか?生徒会室行ったが居なくてな」
加「あやめ?さて、私も用があって、今日は一緒に食べてなかったからなぁ」
仁「一人、なのか・・?」
加「・・・クスッ。心配し過ぎだろう。生徒会室に居ないなら裏庭じゃないか。気分転換によく行っているから」
仁「裏庭じゃな」
加「過保護な彼氏様だなぁ(笑)」
ーーーー・・・
裏庭に走ったが、やっぱり居ない。
どこ行ったんじゃ。まさか、他の男に呼ばれたりしとらんよな・・。不安が胸の中をゆっくりと埋め尽くそうと広がる。
校舎内に戻ってとりあえず探し歩いた。
途中、通りすがりの女子に副会長さんを見たか、と聞けば図書室で見たと聞き向かえば。またもや入れ違い。
会いたい時に限ってなかなか会えんとか有り得ないぜよ。
仁「生徒会室で待ってみるか」
まだ昼休みだし、生徒会室には来るだろうし・・・。
「副会長?マジで?」
今度は誰じゃ。男子なのは分かるが。いい加減にして欲しいぜよ。
「スッゲェ優しかったんだよ。先輩の話じゃ冷たいのかと思ったけどさ・・」
「てか、副会長ってテニス部の仁王先輩と付き合ってるじゃん」
「だけど、遊び人って噂だし。副会長は遊ばれてるんだよ」
仁「随分と好き勝手言ってくれるのぅ」
「!?」
仁「その優しい副会長さんは遊ばれてると分かってて付き合う様な女なのか?」
「そ、それは・・ι」
仁「アイツはそこらの女子と違うんよ。まぁ、お前さんみたいな噂に流されるような奴にやるつもりはないぜよ」
腹立つ。ムカつく。あやめが優しいのは分かってる。そもそも、俺の噂が悪いんじゃがな。
足早に廊下を歩き、生徒会室の扉を勢いよく開いた。
ガッ、
『Σ!?・・・・まさ、はる?』
仁「・・・・」
へたり込むあやめは驚いた顔で見上げてる。俺は何も言わずにキツく抱き締めた。
『?・・・とりあえず、ノックはしてね?あと、ドアは静かに開けて。壊れちゃうから』
仁「あやめが悪い・・・」
『ん?』
仁「クッキー。キョリオク?なんて書かれて焦ったぜよ。しかも、なかなか見つからんし・・。(我ながら女々しいのぅ・・)」
独占欲丸出しで余裕もない。カッコ悪いのは自分でも分かってる。それでも、誰にも取られたくないんじゃ。
『その事なんだけと。訂正してもいいかな?』
仁「訂正?」
『うん。雅治は理由を話してくれなかったけど。やっと分かったの。
ほら、前に放課後話し掛けてきた子いたでしょう?』
仁「ああ」
『その子にね、教えてもらったの。
最近、私の雰囲気が変わって男子が話してたって。男子に声かけられる様になったのはそのせいで。それが減ったのは雅治が抱き着く様になってからだって。
やっと理由が分かって安心したら腰抜けちゃったよ(笑)』
ごめんね。そう言って、抱き締める俺の背中に腕を回して抱き返した。
仁「俺の方こそ、ちゃんと言わんですまん」
『ううん。言われても素直に聞き入れなかっただろうから。だから、加奈子も柳くんも答えなかったんだし。
ごめんね。それから、守ってくれてありがとう(微笑)』
すり寄る彼女の可愛さに口元が弛む。不安にさせたのは事実なのに優しいのぅ。それに、冷静だ。普通ならケンカしてもおかしくないしな。ちゃんと整理して、理解して。許してくれる。
だからこそ、思うんよ。
仁「彼女を守るのは当然ナリ。じゃが、不安にさせたのは配慮が足らんかった。すまん・・」
『うん。あ、お昼休み終わっちゃう。教室戻ろうか』
仁「イヤじゃ・・・」
『はい?』
仁「やっと会えたんにまた離れるとか。イヤじゃ。このままサボるぜよ。
もちろん、あやめもな」
『(ちゃんと出なさいと言うべきなんだけど・・・) 分かった(微笑)』
仁「なんだ、素直じゃな」
『私も、雅治と居たいから・・///』
仁「(あ~、もうダメじゃ)」
『・・・雅治?』
目と目が合うだけでドキドキするのはお前さんだからじゃよ。こんなにも愛しいなんて柄にもないコトを思うのもな。
額を合わせると鼻先が触れ合いそうな距離。頬を染める彼女の可愛さに笑みを浮かべて、親指の腹で柔らかな唇をなぞる。
仁「その顔は誰にも見せられんな」
情欲が滲む艶やかな表情。俺だけの特権だと思うと嬉しくて噛みつきたくなる。とはいえ、大事な時間じゃき。堪能せんとな。優しく上唇を啄む。何度も。その度に彼女の細い肩がピクンッと跳ねる。可愛い反応じゃ。
チュッ、チュッ、
『んッ///まさ、はる・・///』
仁「可愛いぜよ。物足りないんかのぅ?」
『~~・・・///』
仁「なんじゃ?聞こえんよ(妖笑)」
『・・・意地悪するなら言いません///!』
プイッとそっぽを向いてしまった彼女にニヤニヤが止まらんぜよ。後ろから抱き締めながら項にキスをすれば小さな悲鳴を上げた。
『雅治ッ///』
仁「ん~・・可愛いのが悪い。もっと聞きたいのぅ」
『学校ですよ///!?』
仁「誰も来んよ」
『そういうことじゃない///
そんなにがっちり抱き締めなくても・・・///』
仁「あやめを離したくないだけ。なぁ、もっとキスしたくないか?」
『・・・したい///』
仁「こっち向いて」
再び向き合えば、ゆっくりと唇を重ねた。啄みながら彼女との時間を堪能する。深くはせずに啄むだけ。見つめ合っては唇を啄む。もどかしい気もするが甘い時間を堪能するには丁度いいぜよ。
何より、あやめの反応が可愛い。それ見たさなんじゃけどな。
『まさ・・///』
仁「そんな顔しなさんな。食い付くしたくなるぜよ」
とはいえ、此処でヤったら会長になに言われるか分からんからな。甘いデザートは2人きり邪魔の入らない所で食べないとな。
結局、チャイムがなるまでイチャイチャしとったナリ。
□■□■□■□
加「成る程な。それで、仁王の奴慌ててあやめを探していたのか」
『慌ててたの?』
加「ああ!心配性な彼氏様だな!」
『そうね』
放課後。いつものように生徒会の仕事をしながら加奈子と昼休みのコトを話していた。
加「しかし、あやめを気にする男子が増えるとはな!」
『嬉しくないから。それに、雅治がいるし』
加「その彼氏様の噂が問題なんだろう?遊び人みたいに言われてるから下心のある奴等が近寄ってるんだし」
『鬱陶しいわ』
私自身、そんなに変わってはいないつもりだ。けれど、周りからはーー・・。
雰囲気が柔らかくなった、とか。
優しい所もあるんだな、とか。
今更なんなんだ。というか、何様なんだ。不愉快であるのは間違いないけど。
雅治も似たようなコトは言ってたなぁ。否、違うか。だって、雅治はちゃんと私と関わって知ってくれた。でも、周りと一緒にするのはおかしいね。
『何が変わったんだか。自分じゃ分からないわ』
加「そうだな。変わったと言うか・・・仁王といる時の雰囲気が男子には珍しく映るんじゃないか」
『それって、相手が雅治だからであって。他の男子はいつも通りに対応してるんだけど?』
加「"もしかしたら"そんな淡い期待を抱いているんだろうな。まぁ、相手が仁王じゃ勝ち目はないから大丈夫だろう」
『そうね・・』
加「逆は大丈夫なのか?」
『そもそも、そんな隙ないよ。ずっと雅治がいるしι』
加「あ~ぁι ずっとベッタリだもんな(笑)」
『可愛いけどね』
雅治のお陰で近寄る男子も居なくなったし。女子も来ないし。至って平和だ。
加「あ、そういえば・・。そろそろクリーン作戦があったな」
『あ~ぁ。学校周りと駅前の2ヶ所でしたか』
加「そうだ。クラスごととも思ったが、部活動ごとにしようと思ってな」
『テニス部ですか?』
加「毎年、2ヶ所で女子の騒ぎが凄いからな。いっそのこと一塊にして軽減しようと思ってな。テニス部を駅前に置いて、生活指導の横尾先生を置けば騒ぎも減るだろうしな!」
『(雅治や赤也も流石にサボれないわねι)
私達はどうするの?』
加「そうだな・・。2班に分かれるか」
『そうね。じゃあ、先生にもそう伝えておくわ。各部の作業先は顧問の先生から伝えてもらえばいいね』
加「ああ!」
戻った2人も話をして。今日の活動は終了した。
生徒会室を出て、下駄箱へ向かう途中、忘れ物をしていることに気づいて一人教室へと早歩きで向かう。流石に副会長が廊下を走るわけには行かないからねι
『あった・・』
「神崎じゃん。忘れ物?」
『はい』
同じクラスの・・・佐藤くんか。話したことはある。サッカー部の部長だからね。
「俺もなんだ。さっき部活終わったのにツイてないよなぁ」
『お疲れ様です』
「サンキュー! そういやさ、ウチの一年が副会長に興味持ってるみたいだぜ」
『はぁ・・・』
「まぁ、ソイツ等だけじゃないけどな。学年問わず男子の誰もが副会長に興味持ってるみたいだし。俺の周りでも聞くんだ。
最近の副会長が可愛いってさ!」
『そうですか』
帰りたいんだけど、なんで話し始めてんだろう?
てか、褒めてるつもりなんだろうけど。あいにく可愛いなんて言われても嬉しくないんだけど。本当に身勝手な話だ。
「それにーー・・・」
『すみませんが、これ以上は下校時間ですのでお帰り下さい。私も帰りたいので』
「あ、悪ィι 途中まで一緒に・・」
?「お断りするぜよ」
そう聞こえたと思ったら手をいきなり引かれて。振り返ると、怒った雅治がいた。
『雅治?どうして此処に?』
仁「校門で会長にあった。あやめがまだ校内だって聞いてな。慌てて走って来たんじゃよ。よからぬ男といるんじゃないかって思っての」
『よからぬ男?』
仁「悪いがあやめは俺のじゃ。渡すつもりはないぜよ(ギロリ」
睨まれた佐藤くんは慌てて逃げ。私は助けられたのだと気付いた。校門から走ったのなら大変だっただろうに。部活後で疲れてるのに駆け付けてくれたんだ。そう思うと、胸が熱くなって。キュンッvVてしてしまった。恥ずかしいけど、嬉しい。
『お疲れ様、雅治』
仁「あぁ。とりあえず、一人になるのはやめてくれ。俺がいない間に近寄ってると思うと気が狂いそうだ」
『私は雅治しか見てないよ』
仁「おまんはそうでも野郎共は隙あらば狙っとるんよ」
『男って単純だね』
仁「そうじゃな」
『あ、下校時間だ。一緒に帰ろう』
仁「もちろんナリ」
仲良く手を繋いで歩く。
例え、どんなに男子が寄ってきても流されない自信がある。何故なら、こんなにも素敵な紳士を知らないから。一途で優しくて、頼れる王子様。そんな彼が傍にいるのに他に気が向くワケがないよね。
仁「クリーン作戦?そういや、なんか言ってたのぅ」
『テニス部は駅前だからね。ちゃんとやってよ?』
仁「あやめはどこじゃ?」
『さぁ。当日に決めるから分からないな』
仁「同じがいい・・・」
『そう言われてもι 一応、生徒会は監視役でもあるから』
雅治が可愛いんだけど///
加奈子が心配性だと言ってたけど、ここまでとは・・。愛されてるなぁ。こんなにも愛しいなんて。高校生程度で思うとは驚きだ。
『雅治って溺愛彼氏だね』
仁「当たり前ぜよ。溺愛し過ぎて、怖いけどな」
『そうかな?』
仁「気が狂いそうになるくらい・・・あやめが好きだからな」
『・・・////』
仁「ちゃんと大切にするぜよ(微笑)」
『・・・・お願いします////』
こんなにもサラッ言ってしまう辺り、チャラそうだけど。雅治の言葉一つ一つが嘘じゃないと思えるのは、私も同じ想いでいるからなんだろうなぁ。
『ずっと一緒に居たいね』
仁「そうじゃな」
ーーーー
翌日。いつものように雅治と登校していつもの日常が始まった。
何事もなく午前の授業が終わるとお昼休み。今日は暑くなってきたので生徒会室で。加奈子と柳くんが一緒。話があった為、珍しくなのです。集まりがある時は声を掛けるけど、お昼休みを一緒に過ごすのはあまりない。なので、メンバーとしては珍しい感じがする。
加「クリーン作戦の日取りが決まったぞ。明後日だ」
『その日って・・』
蓮「ああ。先生方の会議がある為。午前中で終わる日だ」
『じゃあ、四時間目にやるの?』
加「そうだ。HRを済ませてな。その後は部活がある生徒もいるだろうから、一度学校に戻ってその場で解散となる」
『テニス部は?』
蓮「無論、部活だ」
『そう。じゃあ、お弁当作るね』
仁「・・・・・」
加「あからさまに拗ねることないだろうι 生徒会役員として話をしているんだし」
蓮「貴重な神崎との時間だからな。拗ねるのも仕方ない」
仁「・・・参謀、からかっとるだろ?」
蓮「いや。だが、お前のデータは更新しているぞ」
『何のデータなの?』
加「気にするだけ無駄だ。柳のデータ集めはよく分からんからな」
柳くんの集めたデータって、どう役立てるのか分からないもんなぁ。凄いよねぇ。
加「まさか、詐欺師の色男は心配性だと思わなかったな」
『心配性・・。確かに、意外だよね』
蓮「それに比べて神崎は冷静だな。心配したりはないのか?」
加「そういえばそうだな。色男な彼氏様だろう。心配事はないのか?」
『心配事、ねぇ・・・』
なくはないけど、余り心配はしていないかも。そもそも、雅治が他の子と仲良く話しているのを見ていない。気付くと隣に居るし、基本的には一緒に居るからなぁ。
『特にないかも。あるとすれば、行動がまったく読めないコトぐらいかなぁ』
加「それは難しいな」
蓮「ああ。俺でも難しい」
仁「プリッ。あやめが嫌がることはせんよ」
加・蓮「(アレは嫌がらないと思っていたのか・・ι)」
『(雅治って、自由人だよねェ)』
それからも世間話をして加奈子と柳くんは席を外した。
ニヤニヤと笑いながら出て行った加奈子に呆れながらも感謝していれば、雅治の手が私の手に触れた。
『どうしたの?』
仁「今日、調理実習で作ったナリ」
『何を?』
仁「マフィン。上手く出来たからあやめにやるナリ(笑)」
『ありがとう!嬉しいよ!』
渡された紙袋の中にはチョコチップマフィンが。程よい焼き加減で美味しそうだ。
仁「ちゃんと俺が作ったんじゃよ?」
『そうなんだ。ありがとう(微笑)』
仁「~~・・・照れるナリ」
あ、顔を隠した。机に突っ伏し照れ隠しをする彼氏様が可愛い。甘い匂いに誘われて1つ取り出して食べた。程よい甘さが口の中に広がって美味しい。
『美味しい(微笑)』
仁「良かったナリ・・。あんな真面目に取り組んだの初めてぜよ」
『だろうね。ちょっと見たかったかも』
仁「何を?」
『雅治のエプロン姿』
中学の頃にも調理実習はあったけど。関わりがなかったから気にもならなかったんだよね。なんて言えば、寂しそうな視線だけ寄越された(笑)
『今度、何か一緒に作ろうか?』
仁「いいぜよ」
『楽しみ(微笑)』
マフィンを食べながら幸せを感じた。
誰かの手作りを食べるのは久し振りだ。
仁「そんなに嬉しいか?」
『そりゃ、嬉しいよ。作ることはあっても、もらうことって少ないし。自分で作るばかりだかさ』
仁「・・・たまに、なら。作っちゃる」
『どうしたの急に?』
仁「あやめが喜ぶなら悪くないと思っただけじゃ//」
『ありがとう、雅治(微笑)』
照れ隠しする彼氏様の頭を撫でて思う。
やっぱり雅治は優しい、と。
こんなにも素敵な彼氏様だもん。女の子がほっとかないよね~。ウチの学校は美少女も多いし、美人もいる。雅治の周りの女の子はその手のタイプが集まるんだから凄い。私みたいな地味なタイプは釣り合わないと思ってるんだろうなぁ。見た目で選んだワケじゃないけど、イケメン好きと言われても仕方ないよね。
仁「・・・なぁ、あやめ」
『ん?』
仁「美味いか?」
『うん。美味しいよ。雅治も食べる?』
仁「いや、俺はこっちでいい」
『こっち?』
そう言うと。雅治の手が頬に触れ、距離が縮む。理解した私は目を閉じて待った。最近の雅治は隙あらばキスをしたがるなぁ。嫌ではないけど、学校ではマズイような気もしなくもない。誰か来たらと思うと・・。
それでも、受け入れてしまうのは。私も同じ気持ちが少なからずあるからだと思う。
『んっ・・///』
重なった唇を薄く開いて誘えば、入って来る舌にぞくっと背筋を走る感覚が。そのまま好き放題に動き回る舌に苦しさもあって、雅治の胸元のシャツを握る。深く貪る雅治は後頭部に手を回し、逃がさないとばかりに固定した。離れる頃には私の頭の中はぼんやりしていて雅治しか見えなかった。舌なめずりをしながら薄く笑う雅治の色気は媚薬のよう。
『・・・・』
仁「どした?苦しかったか?」
むぎゅ、
仁「なんじゃ、甘えたじゃなぁ」
『雅治にしか甘えられないから・・・』
仁「そうじゃな。(あ~、嫁が可愛すぎるぜよ/// ヤバい、足りん//)」
『(私の、だよね。他の子に気が向いたりしないでね)』
不安がないなんて嘘だ。私の知らない所で雅治が女子に囲まれているのは知ってる。色気を振り撒いてる自覚はないんだろうけど。女子の誰もがそれに当てられてる。私も、だ。だから、思ってしまう。
・・ーーーこの幸せがいつかは終わるんだろうな、と。
仁「あやめ?」
『・・・・』
仁「可愛いのぅ。そんなに抱き締められたら離せんよ?」
『・・・雅治の匂い、落ち着くから好き』
仁「そう、か///(学校だと忘れとるんかのぅ?可愛いけど//)」
今はこの幸せを大切にしよう。不安を抱く暇もないくらいに。
†side:仁王†
丸「Σえっ!? 仁王が家庭科の調理実習出たのかよぃ!?」
幸「そんなに驚くコトかい(苦笑)」
丸「だってよぉ。コイツ、中学の時は一切出てないんだよ。面倒だって言ってさ。
それが、彼女の為に真面目に出たとか。驚くだろぃ」
ジャ「いや、そもそも、授業だしなι」
柳「ジャッカルくんの言う通り。授業はきちんと出てください」
仁「プピーナ」
いつもならサボる調理実習だが。今回に限り真面目に出ればクラスメイトですら驚いてたなぁ。会長なんて貴重だと言いながら笑ってたし。幸村も笑ってからかってきたしな。
やたら騒がれたのぅ。女子なんか俺がマフィンなんて作っとるから可愛いなんて言ってたし。あやめの為であって見せもんじゃないんじゃが。ま、気にもせんかったが。
幸「神崎さんに上げたんだろう?喜んでたかい?」
仁「ああ。喜ばれたぜよ。今度は一緒に作ろうと約束したしな」
丸「お前ン家で?」
仁「あやめン家。一人暮らしだからな」
丸「へぇー。知らなかった。てかさ、家に上がるって緊張しねぇの?」
仁「どうかのぅ?慣れたんかもしれんな」
嘘。慣れるはずがないぜよ。家でのあやめは可愛すぎるんじゃ。
甘えたで、くっついて来るし、すり寄るし。猫みたいで可愛い。だから、理性を保つのに必死なんじゃよなぁ。こんなこと他の奴等には言えん。
丸「意外だぜぃ。彼女の為に調理実習を受けるなんてさ」
ジャ「確かに。イメージにはないな」
柳「お二人とも、あまりからかっているとペテンに掛けられますよ」
仁「プリッ」
イメージにないか。まぁ、仕方ない。俺自身、彼女を喜ばせたい一心で調理実習を受けるとは驚いたしな。
コンコン、
部室のドアを叩く音。ブン太が軽く返事をしてドアが開いた。
『すみません。柳生くんいますーー・・・・』
・・・・あι
丸「副会長!?」
『~~・・・すみませんッ、着替え中とは知らず///!今出ますね///!』
慌てて背を向けて出て行こうとドアが開いた時。
「あれ?副会長こっち来なかったか?」
聞こえた男の声。あやめを追いかけて来たのかは分からんが、1人で歩いてるのは危ないぜよ。何だって今更あやめに興味を持つのか。迷惑ナリ。
『雅治・・。
何でドアを閉めるのかしら??』
仁「・・・プリッι」
条件反射、かのぅ。出ようとしたあやめを引き止め、ドアを閉めている自分がいたぜよ。
ジャ「何してんだ?仁王ι」
丸「イチャつくなら家でやれ!」
柳「そう言うつもりではないと思いますが・・ι」
幸「ふふっ。男子の声がしたから無意識に阻止したんじゃないかな。副会長って聞こえたから」
『だとしても、この状況は辛い///ι 出ないから服着なさい///!』
仁「ピヨッ」
耳まで真っ赤にしてる。可愛いぜよ。
このまま抱き締めたいが、怒られるのは勘弁じゃ。口きいてもらえんくなるし。仕方なく離れて着替えを済ませた。
柳「すみません。お見苦しい所を・・ι」
『いえ、開けてしまった私が悪いから。すみませんι』
ジャ「いや、そもそも返事をしたブン太が悪いんだし気にするな」
丸「・・まぁ、そうだな。悪かったな、副会長」
『いえ・・・』
柳「私に用とは?」
『あ、うん。明日のクリーン作戦なんだけど。監視役として風紀委員の真田くんと柳生くんにお願いしたいの。先生だけじゃ大変だろうから。柳くんは・・赤也の監視を頼んでるしι』
柳「成る程。生徒会としては監視も兼ねていますからね。分かりました。真田くんへは私の方から伝えておきますね」
『お願いします。後ーー・・・』
仁「・・・・・」
柳生と話すのは仕方ない。生徒会と風紀だからとも分かってる。じゃが、いい気はしないぜよ。対象外とは言ってたが心配になる。柳生ほど彼女の近くにいる男は居ないだろうからな。
話し終えてコートへと向かう柳生達を見送った彼女が俺の傍に来た。
『みんな先に行っちゃったよ?』
仁「・・・・」
『雅治?機嫌悪い?』
仁「いや。何でもなか」
『・・・そう。部活頑張ってね。私は戻るから』
仁「(もう少し・・!)」
『! 雅治?』
出て行こうとドアノブに手をかけた彼女の後ろから手を伸ばして二度目の阻止。驚く彼女が俺を見上げた。
可愛いナリ。心配しているのか、困惑しているのか。分からんが。振り返った彼女の頬に手を添えてキスをした。
『ん・・はぁ・・・ッン・・//』
仁「(可愛い。もっと俺だけを感じて欲しいぜよ)」
ドアに彼女を押さえ付け、口内を貪るように深いキスをすれば細い肩が震えた。
仁「はぁ・・・」
『ふぁっ・・・・はぁ・・ァ///』
たっぷりと舌を絡めて離れると銀の糸がゆったり切れる。とろん、とした表情の彼女の首筋にキスをすれば肩を押し返すがちっとも力は入ってない。可愛い抵抗ナリ。
『コラッ///ここ、部室でしょう!誰か来たらっ///!』
仁「鍵掛かっとる」
『(Σいつの間に!!?) 部活、始まるよ・・///』
仁「仕方ないの。じゃあ、一緒に帰らん?」
『うん・・///』
仁「・・・名残惜しいのぅ」
頬を撫でるだけでピクンと跳ねる肩に潤む瞳。こんなん見たら我慢できんだろうが・・。
『雅治・・・///』
仁「ん?」
チュッ、
仁「ピヨッ・・」
『頑張ってね///(微笑)』
照れ顔で笑ってるあやめはそう言って去って行き。残された俺はしゃがんで頭をかいた。
仁「(反則だろう///)」
不意打ちのキスに驚いて、顔が熱いぜよ。
本当に可愛すぎる嫁じゃ。それに、行動も可愛い。
そろそろ本当に行かんと幸村に怒られるからの。部活が終わったら速攻であやめの元に行かんとな。
仁「頑張るか」
・・ーーー早く会って抱き締めたいナリ。
□■□■□■
放課後。いつものように生徒会室での仕事をしながら、ふと、窓の外に視線が向いた。
『(雅治・・真剣だなぁ・・・)』
遠くからでも分かる銀色は同じように真剣に素振りをしている。普段の怠けた姿が嘘のようで、同じ人物には見えない。テニスコートの回りには女子の姿もある。近くで見たくなる気持ちも分からなくはない。
本当にモテる彼氏様ですよね・・・。
雅治は私を守ってくれるけど、私は守れないなぁ。女子が怖い。雅治ファンを敵に回してイチャつく度胸は私にはない。申し訳ない気持ちが大きい。だって、独占欲と嫉妬はするんだもん。ワガママと言われても仕方ないよね。
『(今を大切にしなきゃね・・) そろそろ下校時間ですね』
加「ん、もうそんな時間か。では、今日はここまでにしよう」
舞・悟「「はい!」」
加「明日のクリーン作戦だが。悟は私と。舞花はあやめと頼む」
舞「場所はどうするんですか?」
『私達は学校周辺よ。運動部は駅前で文化系が学校周辺に分けたの』
悟「成る程。会長が運動部側にいれば心強いですね!」
加「うむ! では、明日は頼むぞ!」
舞・悟「「はい!」」
明日が大変だろうなぁ。絶対、サボれない環境ではある。まぁ、運動部相手には丁度いいかもね。後は帰宅部が学校側にいるのが問題よね~。私だけじゃ厳しいかも・・・。だからと言って聞いてくれるとも思えないけど。憂鬱だ。
後輩二人が帰ったあと、加奈子の言葉に耳を疑った。
