◈仮面の下の素顔
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チャイムが鳴って、授業終了。お昼休みとなれば賑やかに始まるランチタイム。グループに集まって楽しげだ。
『ふぅー』
柳「神崎さん、お昼は生徒会室ですか?」
『かなぁ。加奈子も一緒だし。柳生くんもたまには一緒にどうですか?』
柳「そうですね。では、ご一緒させて頂きます」
『うん。じゃあ、A組に行こう。仁王くんに辞書返さなきゃいけないし』
柳「はい」
辞書と手提げを持って、加奈子のクラスへと移動。隣だからちょっとの距離。クラスを覗いて、傍にいる子に呼ぶように頼んだのだが・・・。
『なに、アレ・・・ι』
柳「はて?仁王くんの機嫌が悪いようですね」
『それだけ・・ι』
明らかに近づくなオーラが出てるんだけどι
しかも、クラスメートですら近づかない。さっき頼んだ子も怖くて無理と言われたし。
辞書借りに来た時はそうでもなかったんだけど。
仕方なく教室に入って幸村くんに声をかけた。
幸「やぁ、神崎さん。柳生も」
『アレ、なに?』
幸「あー、アレ。実はね。クラスメートが神崎さんのドコがいいんだ?とか言い始めてね。あんまりしつこくされたもんだから不機嫌になって困ってたんだ(微笑)」
『(微塵も困ってるように見えないんだけどι)』
面白がっているだけじゃないのだろうか?
まあ、加奈子同様に突っ込むだけ無駄だから言わないけど。
幸「神崎さんなら機嫌直せると思うよ」
『どうやって?』
幸「例えば、神崎さんが落ち込んだりした時にされて嬉しいコトをすればいいんじゃないかな」
『嬉しいコト、ねー・・』
あるにはあるけど、それでも機嫌直るかな?
やってみるしかないか。お昼休み終わっちゃうし。柳生くんも待たせてるしね。
ポフン、
仁「!!」
『お昼休みですよ。お弁当食べないんですか?』
仁「・・・・食う」
『なら、行きますよ』
仁「ん・・」
ゆっくりと立ち上がった仁王くんにさっきまでの不機嫌オーラはない。
『(相手が私じゃなければ彼が不快な思いをすることもなかったのにね・・・)』
仁「副会長さん?」
『ううん、何でもない。早く行こう』
仁「おう」
柳「やれやれ。神崎さんのお陰ですね」
幸「本人はかなり鈍いけどねι お似合いだと思うよ、俺は」
柳「私も同感です」
幸「(さっさと付き合えばいいのに)」
柳「(神崎さん、貴女を見る仁王くんはとても幸せそうですよ。頑張って下さい)」
『柳生くん?行かないの?』
仁「置いてくぜよ」
柳「おっと、すみません。では、幸村くん。私はこれで」
幸「ああ(微笑)」
生徒会室へ向かう途中、幸村くんと何を話してたのと柳生くんに聞いたから、
柳「お二人は仲が良いと、そんな話です」
と言われ、赤面した。恥ずかしい気持ちの中に嬉しさを感じたのは多分、そういうことだと思う。
『(認めるしかないな・・)』
楽しげなランチタイムを過ごしながら、私は自分の気持ちを見つめ直していた。
先延ばしにして、逃げて。それでも、待っていてくれる。なにも言わず、急かさず。一緒に居てくれる彼なりの優しさに惹かれたんだ。
『(とはいえ、返事をするタイミングが分からない・・ι)』
困ったなぁ。自分から言うのって結構勇気がいるんだけど。タイミングが掴めない。そもそも、言えるんだろうか・・ι
仁「副会長さんや」
『ん?』
仁「今日も居残りか?」
『ううん。今日は帰るよ』
仁「残念。一緒に帰ろうと思ったんじゃが・・」
『そんなにしょげないでよι』
加「今日は部活か。帰るまでに降らないといいな」
『そういえば、午後から雨だっけ』
柳「確率が高かったですからね。仁王くん、傘は持って来たのですか?」
仁「いや。持っとらんよ」
『天気予報は確認しておきなよι』
仁「副会長さんに入れてもらうつもりじゃったんよ」
『・・・・・ι』
さらっと言うなぁ。悪気もないから怒れもしないけど。柳生くんには注意されてますがね。
それから、お喋りしながら食べ終えると加奈子と柳生くんは先に戻ると生徒会室を出た。
気を遣われてるのかもしれないね。
隣の仁王くんを見れば、背もたれに肘をついて頬杖しながら、視線は窓の外に。なんとも絵になる姿に見とれてしまう。
『ねぇ、仁王くん』
仁「ん?なんだ?」
『・・・なんで、私なの?』
不思議だった。彼と話したのはつい最近なのに告白されたのが。
だって、私には好きになってもらえるところなんてない。どこにでもいる普通の女子だ。容姿が良いわけでもない。だから、分からない。彼の言葉が。私の何を好きだと言うのか。
イケメンと名高い仁王くんに告白されたなんて夢の様で信じられないのだ。
『前にも言ったけど、仁王くんの周りには可愛い子いっぱいいるでしょう。私みたいなタイプだって、可愛い子いるし』
仁「・・・あやめは、俺みたいなタイプじゃ嫌か?」
『また遠回りする・・。
嫌じゃないよ。まぁ、どこまでが素なのか分からないけど。少なくとも、私が見てきた限りでは優良物件だね。私には、勿体ないけどね・・』
仁「それは俺も同じぜよ。
あやめには柳生みたいなタイプがお似合いだと思った。俺には勿体ないとな。
じゃが、他の男にやりたくない。例え、柳生でも。お前さんを渡したくない」
『(素直だなぁ・・聞いたこっちが恥ずかしい///)』
仁「まぁ、どうやったら落ちるのか。分からんがの・・・」
それはつまり、私に問題があると?
いや。あるかもしれないけど。素直に受け止めない私が悪いのは分かってる。でも・・仕方ないじゃないか。仁王くんは女子なら羨む程の王子様なんだもん。
ーー・・・それから、お互い黙ったまま。昼休みは終わった。
†side:仁王†
お昼休み終わってから彼女との会話が頭から離れなかった。
仁「(俺の言葉ってそんなに信用出来んのか・・)」
本気の相手に俺にしては素直に告白したつもりなんじゃけど。
「仁王~vV」
仁「(これが悪いのか?)」
勝手に話し始めた女に溜め息を吐き出し、無視した。そんな気分じゃないぜよ。
告白してきた男が女に囲まれては信じきれんだろうな。自分に自信がない彼女からしたら不安でしかない。俺の意図じゃないんだが・・・。
午後の授業が始まっても俺の頭は彼女でいっぱいのまま終わった。
気だるい体を持ち上げて部活へ向かう。気乗りはしないが、またサボると真田よりも幸村の方が怖いからの・・ι
ーーーーーー・・・・
幸「よし、今日はこれで終わりだ。雨が降らないうちに帰宅するように!」
幸村の声に返事をして片付けが始まった。
空は雲が掛かり、風も冷たく感じる。部室に戻って着替え。いつもと変わらない日常。
あれだけしごかれたのに元気な赤也に呆れる。
はぁ~、彼女に会いたいとか思ってる俺は重症ぜよ。
柳「おや?雨ですかね」
仁「なんじゃ、もう降ってきたのか?」
柳「その様です。弱くはありますが。途中まで傘に入って行きますか?」
仁「男同士で相合傘はゴメンぜよ。このくらいなら平気じゃ」
柳「風邪等引かない様にしてくださいね?」
仁「プピーナ」
心配する柳生には悪いが、男と相合傘はいくら親友でも無理ナリ。一人帰り道を歩ていると・・。
仁「最悪じゃ・・・」
小雨かと余裕をかましてれば本降りになりやがった。しかも、雨宿りしようにも何もない場所でだ。やっと雨宿りした頃にはずぶ濡れぜよ。全く、ついてない。弱くなるのを待つにしても寒いし。風邪引きそうナリ。
ふと、彼女の住むマンションが近いことを思い出した。
仁「(まぁ、一人暮らしの女の家に遠慮なく上がれる程無神経にはなれんがのぅ)」
そんなことになったら手を出さない保証はないぜよ。待つとは言ったものの、傍にいれば我慢するのも必死だ。
とはいえ、このまま待っていても風邪引くだけじゃし。仕方ないが走るか。
『仁王くん?』
仁「あやめ・・」
走り出そうとしたら彼女の声に視線を移した。
『ずぶ濡れじゃない!? 柳生くんに入れてもらわなかったの?』
仁「男同士で相合傘はゴメンぜよ。終わった時は小雨だったんじゃがな。次第に強くなってのぅ。ここまで来る頃にはこの有り様じゃ」
『そうだったの。このままじゃ風邪引いちゃうからウチに寄ってって』
仁「気持ちは有り難いがやめとくよ」
『遠慮しなくていいよ』
仁「そうじゃない。好きな女と二人きりなんて手を出さない自信がないぜよ」
『! でも、このままにして置けない。とりあえずウチに来て』
仁「人の話聞いとった?」
『いいから黙って来る!!』
仁「Σ・・・・ピヨι」
怖っ・・ι 怒らせると怖いぜよ。
結局、彼女に付いて行く。危機感がないのか、意識されていないのか。どちらにしても凹むナリ。会いたいと思ってたが、実際会えるとどうしていいか分からんぜよ。
『?』
仁「傘持つぜよ」
『ありがとう。ちゃんと入っててよ』
仁「俺はもう濡れとるからよかよ」
『よくない。もぅ~、買い物で出てたからよかったけど。会えなかったら確実に風邪引いてたよ?』
仁「自業自得じゃき、仕方ないナリ」
『はぁ~、電話してくれればいいのに。私のウチ近いんだし。通り道でしょう』
心配してくれる彼女の優しさに口元が緩む。
仁「だから、言っただろう。好きな女の家に遠慮なく上がれる程無神経じゃないぜよ」
『では、その件についてお話があるので寄ってもらえますか?』
仁「は? それって・・」
『お返事させていただきますよ』
仁「そうか。・・・怒っとる?」
『そうですね。こういう時はしおらしい様ですから。少し、ムカつきます』
しおらしい、だろうか。普通だろう。嫌われるようなコトしたくないし、だからといって我慢出来る自信もない。だから遠慮してるのに。ムカつくとは・・。
返事を貰えるのは嬉しいが、複雑じゃな。
断られたらと思うと素直に喜べんぜよ。
仁「なぁ、今聞いちゃダメか?」
『なんで?』
仁「フラれたら何するか分からん」
『フラれる前提なんだ』
仁「あのな。俺だって自信がないコトだってあるぜよ」
『ゴメン・・。じゃあ、確認だけど。
本当に私でいいの? 前にも言ったけど、寂しがり屋で嫉妬深いよ? それに、可愛げないし・・・』
俯きながら言う姿が何とも可愛いんじゃけど?
それに、その聞き方は期待していいって言ってるようなもんぜよ。
これは・・フラれなくても何するか分からんナリ。まぁ、許してくれるだろう。
仁「言ったろ? あやめならいいって。俺だって同じだ。嫉妬深い上に束縛するかもしれん。勿論、傷付ける様なコトはせんよ。
だから、あやめがいいなら付き合って欲しいナリ」
『・・・はい///
不束者ですが、宜しくお願いします(照笑)』
仁「・・・おぅ///」
ヤバいぜよ。可愛すぎるんじゃけど。
嫁入りの挨拶してるし。照れ笑いして可愛いナリ。こっちまで照れる。
『なんか、恥ずかしいね///』
仁「照れてるあやめは可愛いぜよ」
『Σ照れてないっ!!』
仁「照れ屋じゃのぅ」
『~~~っ/// 余裕そうでムカつく・・』
仁「そうか? そうでもないんだがな」
『・・・で?寄るの、寄らないの?』
仁「狼を上げてもいいのか?」
『・・じゃあ、風邪引かれても困るから寄って』
仁「・・・プリッ」
危機感ないんかのぅ。心配してくれてる優しさは素直に嬉しいが、我慢出来るか不安じゃな。
仁「(まぁ、彼女と一緒に居られるなら我慢するか)」
雨も悪くないとは、秘密にしておくかなーー・・・。
『ちょっと待ってて』
仁「あぁ」
マンションに入って部屋につくと妙な緊張が体を走った。一人暮らしとあって彼女は気にもしていない様子じゃ。少しは警戒して欲しいと思う反面、彼女と一緒に居られることの嬉しさが勝っとって口元が緩んでしまうぜよ。
『はい、タオル。軽く拭いたらお風呂入って。制服乾かしておくから。着替え用意したからね』
仁「あぁ・・ι」
テキパキと準備をしてくれるのは有り難いが・・風呂は流石に、とも言えず。言われるがままに風呂場へ。用意された着替えは意外にも男物ぜよ。父親のモノにしては若い気もするが・・。
仁「はぁ~・・・ι」
嫉妬しているとはの。彼女に男がいたとは聞いたことがない。何より、会長がそれを知らない筈がないからな。父親のじゃなければ、兄弟。兄がいるとは言っていたから、それだろう。
彼女と恋人になった嬉しさはかなりある。同時に今の状況がツラいのも事実。
いきなり押し倒して嫌われたくない。
仁「(もう少し、危機感を持って欲しいぜよ)」
風呂場から出て、彼女のいるリビングへ。
視界に入ってきたソファに姿はなく。キッチンの方から音がして、そっちに向かった。
そこに彼女の姿を見つけたが、声をかけられなかったナリ。
結われた髪にエプロン姿。学校での彼女しか見たことないから新鮮で。可愛い。何となく勿体ない気持ちがあり、そのまま見ていると彼女が気付いた。
『上がったなら声かけてよ・・ι』
仁「すまん。エプロン姿が可愛いから見とれてたナリ」
『お世辞が上手ですね・・///』
仁「お世辞じゃなく本当に可愛いぜよ」
『ハイハイ。恥ずかしいから終わり///』
仁「残念じゃのぅ」
『ココア淹れたけど、飲める?』
仁「もらうナリ」
『座ってて』
仁「ん・・」
ソファに座り、一息。
マジで可愛いんじゃけど///
なんか、ドキドキしてきた。試合でも緊張せんのに。彼女と二人きり。しかも、邪魔の入らない、彼女の自宅で。考えただけで緊張してるぜよ。
『どうぞ』
仁「ありがとさん・・」
ココアの甘い匂いと彼女の優しさに酔いしれながら少しの沈黙。
先に口を開いたのは隣に座る彼女だった。
『ちゃんと温まりましたか?』
仁「ああ。ほれ、あったかいじゃろ?」
彼女の手を取り、自分の頬に当てた。
普段は早々に済ませるが彼女に心配かけたくないからいつもよりゆっくり温まったつもり。
『あったかい。よかった。さっきまで凄く冷たかったから』
仁「心配してくれたのか?」
『当たり前です』
仁「ありがとさん」
くすぐったい気分じゃな。
ずっとこうしたかったが、いざそうなると緊張するもんじゃな。
触れたい。触れられたい。その思いは叶ったが、理性がヤバいぜよ。
俺の手は彼女の手を離したが。彼女の手は俺の頬に当てたまま。どうしたのかと彼女を見れば優しく笑ってた。
仁「なに笑っとるん?」
『笑ってた?』
仁「ああ。何を考えてたんかのぅ?」
『特に何も。ただ、夢じゃないんだなぁと思って』
仁「夢にされちゃ困るぜよ。やっと俺のモンになったんだからな」
恋い焦がれる、なんて柄じゃないが。それくらい欲しいと思った。特別になりたいと。
『学校一のモテ男にそう言われると嬉しいモノだね』
仁「あやめにしか興味ない」
『どうかしらね~。可愛げなくて飽きるかもよ?』
仁「そんな軽い想いじゃないから大丈夫ナリ。これから、イヤって程分からせちゃるきに。覚悟しとくんじゃな」
『楽しみにしてますよ(微笑)』
ずっと向けて欲しかった笑顔は今、俺だけに向けられてる。それが嬉しくてたまらんぜよ。
それから、喋りながら時間が過ぎ。暗くなる頃には雨も小降りになってた。干していた制服も乾き。そろそろ帰らないと、と言った彼女の言葉に寂しくなったぜよ。もっと一緒に居たい。欲を言えば、泊まりたい。じゃが、そんなことを言えば彼女を困らせるだろうコトは分かっとる。渋々、制服に着替え帰り支度。
仁「今日はすまんな。助かったぜよ」
『帰りも気を付けてね』
仁「ん。あやめも戸締まりには気を付けるんよ」
『はい(微笑)』
名残惜しいが仕方ないか。
玄関のドアを開き、じゃあな、と声をかけて出た瞬間ー・・。
ピシャアァァンーーー!!!
雷が響き、流石に驚いた。
じゃが、それよりも驚いたのはー・・。
仁「あやめ!」
『・・・ッ・・』
仁「大丈夫か?」
『・・・・ごめんなさい。ちょっと、驚いた(苦笑)』
雷が鳴った後に聞こえた小さな悲鳴。閉じようとしたドアノブを引き寄せて開けば、耳を塞ぎながらしゃがみこむあやめの姿が。
声をかければ笑って大丈夫と言ったが、微かに震えとる。
仁「雷がダメなのか?」
『子供じゃないよ。さっきのは驚いただけだから、大丈夫です。
ほら、酷くなる前に帰らないと』
仁「・・・・」
『・・仁王くん?』
おもむろに携帯を取り出した俺にあやめは首を傾げている。気にせず自宅に連絡して友達の家に泊まると伝えた。
仁「という訳じゃ」
『ちゃんと説明しようか』
仁「心配せんでも手は出さんよ。寝るのもソファで寝る。だから、泊めてくれ」
『それは、いいけど・・』
仁「可愛い彼女が雷怖いとは知らんかったからな。そんな怯えたお前さんを一人にして置けん」
『・・ありがとぅ』
申し訳なさそうに俯く彼女の頭を撫でながら言えば、恥ずかしそうに礼を言われた。
まさか、雷が嫌いとはのぅ。今までも一人で耐えてたのかと思うと余計一人にしては置けないぜよ。
ーーーー・・・
『・・・眠れない』
あの後、仁王くんと夕飯を済ませてテレビを見て。寝る準備をした。
お休みと言葉を交わして自分の部屋に入ったけど、ドキドキとうるさい胸の音が気になって眠れない。
『(傍に居てくれるのかと思ったけど、流石にベッドには入らないよね・・・)』
雷は昔からダメだった。怖くて震えては泣いたものだ。小さい頃は兄がよく一緒に寝てくれたなぁ。懐かしい。一人になってからは必死に耐えた。他に選択肢なかったから。
でも、これからは仁王くんがいる。頼れば応えてくれるけど、この状況は少し不満だ。
私を思ってのコトとはいえ、傍に居て欲しかったんだけどなぁ・・・。
『(学校では、いつも傍に居てくれたのにな)』
分かってる。年頃の男女が一緒に居れば、そういうコトになるのは分かってるけど・・。それでも、傍に居て欲しかった。
『(喉乾いた。水飲も・・・)』
キッチンへと進みながら寝ているてあろう仁王くんを起こさないように静かに歩く。
どうやらぐっすり眠っているようだ。当たり前か。毎日ハードな練習してるんだもんね。
水を飲み、何となく足はソファに。起こさないように傍にしゃがみ寝顔を見る。
『可愛い(微笑)』
無防備な顔は幼さが残っていた。普段はあんなに大人っぽいのに。
しょげたり、笑ったり。意外と表情がコロコロ変わると知った。だからかな、もう少しくっついてたいタイプかと思ってた。でも違った。ちゃんと私のコトを考えてくれて。困らないように選んでは我慢してくれる。
私は仁王くんがいきなり襲う程、節操なしではないと思ってる。口では言うが実行はしない人だ。だからーー・・・。
『意気地無し・・・(ポツリ』
こういう時さえしおらしい。
私はどちらかというと、ベタベタしてたい気持ちもあるのだ。甘えさせてくれる人って言ったんだけどなぁ。まぁ、両思いになって。その日にお泊まりとか急展開だよね。
彼なりの配慮と優しさに文句を言うのも悪いか。待たせてしまった分、少しくらい叶えてあげたかったんだけど。
『紳士だね、仁王くんは』
そっと髪に触れながら呟く。
これ以上は起こすかもしれないから戻ろうと立ち上がろうとした、その時。
『!?』
仁「意気地無しとは聞き捨てならんぜよ」
『起きてたの?!』
仁「まぁな。(寝れるわけないだろうが・・)」
『ごめんなさい。起こしたなら謝る』
仁「寝れんかっただけじゃき、気にしなさんな」
『寝たフリですか・・。戻るから離して』
仁「なんだ?寂しいから傍に居たんじゃないのか?」
暗いから表情がよく見えないけど、笑ってるんだろうなぁ。ニヤニヤと。しかも、図星を指されてしまった。悔しいけど仕方ない。
『だったら何ですか?一緒に寝てくれるんですか?』
仁「・・・」
『(ほら、答えない) 冗談ですよ。困らせるつもりはないので気にしないで下さい』
あれだけ我慢するって言ってたから言えば困るのは分かってたんだけど。恋人同士って、ドラマやマンガみたいにはいかないものね。彼が我慢してるなら私も我慢しましょう。
『ちゃんと布団掛けるんですよ?風邪引きますからね』
そっと掴む手を外して背を向けた。
本音を言えば、一緒に居て欲しかったけど仕方ない。
ぎゅっ・・、
『! 仁王くん?』
仁「あやめが、いいなら・・・」
『ん?』
仁「一緒、寝たいナリ」
『!!』
驚いた。抱き締められたコトもだけど。あれだけ我慢だと言ってたのに、一緒に寝たいなんて。
もしかしたら、我慢すると言った手前、言い出せなかったのかもしれない。そう思ったらなんだか、可愛く見えてきた。
『我慢するって言ってなかった?』
仁「あやめが誘うから。意思が折れたぜよ」
『そっか。ごめんね。じゃあ、一緒に寝て下さい』
仁「ああ」
仲良く部屋に戻り、二人で寝るには少し狭いシングルベッドに寝る。
抱き締められる腕の中は安心出来る心地よさに温かさですり寄ってた。
仁「可愛いな」
『何が?』
仁「猫みたいにすり寄ってるあやめが」
『だって落ち着くんだもん』
仁「学校じゃ、クールな副会長さんとはえらい違いじゃな」
『彼氏にくらいは甘えたいもの』
仁「なら、いっぱい甘やかしちゃる」
『いいの?』
仁「もちろん。だから、俺には遠慮しちゃダメぜよ」
『じゃあ、私も甘やかしてあげるからちゃんと言ってね?』
仁「ああ。 あ、ならいっこ思い付いたぜよ」
『なに?』
仁「名前で呼んで」
『・・・まさ、はる///』
なんか、ドキドキする。
男子を呼び捨てなんて赤也を除いてはしたことないから結構、恥ずかしい///
仁「もっかい」
『雅治』
仁「ん・・嬉しいのぅ」
呼ばれた方はご満悦らしい。よかった。
抱き締められながらこの温もりが愛しいとさえ思えた。いつもは寂しさしかない部屋も、今日はどこかあったかく感じる。
こうして一緒に同じ布団に入ってるとは夢みたいな話だ。学校一のモテ男に溺愛されてるんだから。同時に、こんなにも彼を好きになっていた自分にも驚いてる。絶対有り得ないと思っていたからなぁ。人生何が起こるか分からない。
仁「そういえば、まだあやめから好きって聞いてないんじゃが」
『そういえば、そうだね』
仁「言ってくれんの?」
優しい声色に恥ずかしさよりも幸せが大きい自分に笑う。
待たせるし、我慢させるし、伝えてないし。私は随分と勝手な女だ。疑って、信じられなくて。よくもまぁ、気長に待っててくれたなぁ。感謝しなきゃね。
仁「ん?どしー・・・!?」
チュッ、
『好きだよ、雅治///』
仁「・・・ズルいぜよ///」
初めてのキスと共に贈った愛言葉に照れたのが暗闇でも分かるのは気のせいじゃないと思う。
