仁王
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桜が咲き誇るあの日‥
俺は、天使-カノジョ-に恋をした‥。
仁「ふぁ~‥ダルいのォ」
丸「よっ!相変わらずダルそうだな~仁王」
仁「事実ダルいんじゃ‥(眠)」
朝っぱらから元気な奴じゃ‥。そもそも、どうしたらそんなにテンション高くなるんか?不思議で仕方ないのォ‥。
サボるか‥‥ん?
バサバサッ
仁「‥‥‥ハァ~‥」
丸「うわぁ~‥‥モテる男は大変だなぁ(笑)」
笑い事じゃないんじゃがのォ‥こう、毎日毎日、下駄箱に入れて行かれるのは迷惑なんだが‥ハァ~‥女はよぉ分からんな‥。
とりあえず、拾わんと。
丸「毎回思うんだけどさ‥」
仁「なんじゃ?」
丸「このラブレターどうしてんだ?」
仁「‥‥‥ちゃんと読んでから捨てとる。取って置いてもしゃーないからな」
丸「まぁな。」
嘘。
ほとんど‥というより、全然読んでない。面倒じゃし‥何より、ラブレターなんて貰っても興味なんぞない。告白もされた事もあるが、俺にはなんの意味もないからの。
たったひとりからの好意しかいらん。
乱暴に拾い集めたラブレターを鞄に押し込み、隣で話すブン太に軽い相槌をしながら教室に向かう。
――――――――――‥
「おはよー!あやめvV」
『おはよ、琉奈』
「朝っぱら保健委員の仕事?委員長殿(笑)」
『うん、やり忘れたことがあって(苦笑)』
「良くやるわね~‥」
『一応委員長ですから(笑)』
「でも、そろそろHRはじまるから行くわよ!」
『うん』
委員会のプリントは放課後やれば間に合うし‥HRに遅れたら不味いよねι
私は立海大附属中学に通う中学三年です。
一年の時に保健委員になってから三年間続けていることもあって委員長に指名され、今では保健医の先生に頼りにされて、保健室は勝手知ったる‥な場所になっていた(笑)まぁ‥頼りにされてるのは正直嬉しいけど―‥‥たまに、保健室を空ける度に“あの貼り紙”をするのは止めて欲しいんですよねι
予鈴が鳴り、授業が始まる。窓際の席から外を見るとグランドでサッカーをやっていた。
『(三年、か‥)』
あの日からもうそんなに経つんだ‥。桜のように淡く色づかせた恋の花弁が散った‥あの日。
たくさん、ドキドキして
たくさん、悩んで
たくさん、泣いた‥
でも、それがあったからこそ、私はやりたいことを見つけられたんだよね。
『‥‥ありがとう』
小さく微笑み、黒板に視線を戻した。
キーンコーン‥カーンコーン…
やっと終わったぜよ。
しかし、サボるつもりが抜き打ちテストで出来んとはなι昼休みじゃし‥屋上で昼寝でもするかのォ。気だるい身体を起こし廊下に出る‥そこで、ひとりの女子に目が行く。派手ではなく、かと言って地味でもない‥大人しめのソイツは柔らかい笑みを浮かべて笑っとる。
丸「何見てんだ?」
仁「別に、何も見ちょらんよ」
丸「なんだそりゃι‥‥って!どこ行くんだよ!」
仁「昼寝じゃ‥」
ブン太に話したりしたら大変じゃからな。
屋上の扉を開けると、気持ち良い風が吹き抜けていく。指定の場所に寝転びながら、アイツのことを考えとる自分に笑えてきた。
詐欺師と呼ばれる俺もアイツのこととなると上手くいかん。情けない話しじゃが‥‥。
柳生と仲が良いこともあって、少し話す程度。これと言って親しい訳じゃない‥。
仁「どうしたもんかのォ‥」
アイツの性格上、男と仲良く話せるタイプじゃないし‥内気だからな‥神崎は‥。いまだに、俺と話す時は目を合わさんし。悶々と考えとったら、いつの間にか授業が始まってた。
仁「‥このままサボるとするか」
眠りに落ちる瞬間、浮かんだのは‥満開の桜を見上げて微笑むお前さんの姿‥‥。
――――――――――‥
『‥‥また、貼ってあるι』
今日一日の学業を終えて、委員会のプリントをまとめる作業をしようと保健室に来た所までは良かったんだけど‥‥入り口に貼られた“あの貼り紙”が貼ってあり、苦笑い。
〔会議の為、保健室に用のある生徒は保健委員または、保健委員長の神崎 あやめさんに声をかけて下さい。〕
分からなくもないんだけど‥なんで、私の名前を書く必要があるのかι保健委員だけでいいと思うんだけどなぁ‥(苦笑)貼り紙を外して、留守中のプレートをかけて中に入った。
『さて、始めなきゃ‥』
ガラッ
『‥‥ぁ‥』
「‥ん?神崎‥保健医の先生居るか?足捻ってさι」
『会議で居ないの‥私で良ければ、手当て‥するけど‥』
「悪ィ、頼む!」
『ぅん‥‥』
驚いた。入って来たのは、サッカー部部長の叶君。
私の‥初恋の人、だった―‥。
過去形なのは、告白して振られたから―‥‥。一年生の時の話、今はもう吹っ切れてる。
テキパキと慣れた手付きで手当てをし終え。
「流石!保健委員だな!」
『ぁりがと‥‥//』
「サンキュー!」
出て行った彼の言葉が素直に嬉しい‥今でも好きという訳ではなくて、自分なりに勉強してたから。
私のやりたいこと、それは‥保健医だから‥。
先生に教えてもらったり、調べたり‥そうして覚えたことが役立ってると言うことが嬉しかった。一度は止めてしまおうとさえしたけど、二年の時ある人に
「ありがとさん‥お前さん、医者とか向いてそうじゃな」
そう言ってくれた人がいたから‥また、頑張ろうと思ったんだよね。だけど‥元々、内気だから男の子と面と向かって話すなんて出来なかった。その子が誰なのかわからない‥同じ学校の筈なんだけどι終わった筈の恋の花は、小さな芽を膨らませていた。
あの子に私は‥恋をしたんだね。
出来れば、今度はちゃんと‥目を逸らさずに話したいなぁ。
『さぁ、頑張らないと!』
今は恋よりも目の前のプリントを仕上げないと。
――――――――――‥
仁「なんじゃ…赤也の奴また何かしでかしたんか?」
柳「おや、仁王君。
実はですね…授業中居眠りばかりしているみたいでしてね。職員室で怒られているところを‥」
仁「真田に見られたわけか‥」
柳「えぇ」
災難じゃのォ赤也も‥。
まぁ、自業自得といえば、その通りじゃが‥真田もよくやるな。
「あらぁ~‥今日も切原くんはグランドですか(笑)」
柳「おや、三上さん」
丸「おっ!!琉奈!
「嫌」
まだ、何にも言ってねーだろぃ!」
「どうせ、お腹空いたんでしょι」
仁「お前さん、三上を見つけては毎回同じこと言っとるじゃろ」
「私はあんたの飼育係りじゃないわよ?」
丸「俺は動物かよ‥ι」
毎回毎回、飽きない奴らぜよ。
三上は写真部部長で各部活の風景なんか撮っとったのォ‥真田がよく逃げよったが、今じゃ幸村と変わらん位末恐ろしい‥‥
「何か言いたいことでもあるの?仁王(黒笑)」
仁「‥‥‥プリッ」
目が笑っとらんぞ三上。
丸「今日、家庭科でクッキー焼いてたろぃ」
「‥‥ハァ~‥仕方ないな‥はい」
丸「やりぃ☆」
用意のいいことじゃ…レギュラー全員にとは‥。
まさか‥‥
「保証はないわよ(黒笑)」
仁「お前さん、誰かにソックリぜよ‥」
「あら、じゃあこれはいらないかしら?あやめの作ったクッキーなんだけどなぁ~‥」
仁「なんで、お前さんが知っちょるんじゃι」
「見てればなんとなくわかるわよvV
本人はまったくだけどね(苦笑)」
柳「そういうことに関しては鈍いようですからね、彼女」
仁「参った‥柳生は兎も角、お前さんにまでバレとるとは‥ι」
詐欺師の名が泣くぜよ‥。
本人は気づいてさえないんじゃろうとはわかっとるが、面倒な奴にバレてしもうた‥ハァ~‥。
第一、本人の了承なく渡していいんか?
「了承はもらってるわよvV誰にあげるかは言ってないけど(笑)」
仁「‥‥お前さん、心が読めるのかι」
「秘密よvV
はい!ちゃんと食べなさいよ」
仁「‥‥おぉ‥」
「派手にモテる立海テニス部の詐欺師が、ごく普通の女の子に一年も片思い中とはね~‥」
柳「彼も健全な中学生ですよ」
「そうね、上手く行けばいいんだけどι
あやめってそういうことには疎いし‥仁王も大変ね(苦笑)」
柳「そうですね私たちは暖かく見守りましょう」
「そうね!」
仁「ハァ~‥」
複雑よ‥貰えたのは嬉しいが‥本人からなら、なお良しなんじゃがな‥。
どうも、神崎を前にすると上手くいかん‥それとなく、アプローチはしとるが‥まったく効かんし‥。前に、柳生に話したら‥正攻法で‥なんていわれたが‥。それが、苦手なんじゃがな…。
仁「‥‥一年か」
早いもんじゃ‥まったく‥
仁「いつになったら気づいてくれるのかのォ」
――――――――――‥
『これで、終わり!』
下校時間に間に合って良かった。戸締まりも大丈夫‥よし!
琉奈も終わったかなぁ?多分、テニス部の所なんだろうけどι丸井君と仲が良いからっていうのもあるけど‥幸村君とは従兄弟なんだよね‥たまに、幸村君並に怖くなるしι
なんて、考えていると‥‥前方に琉奈の姿を見つけた。
丸井君と言い合ってるみたいだけどι
「あ!あやめ!」
『今日は終わり?』
「そっ!帰りなんか食べて帰ろ☆ブンちゃんの奢りで(笑)」
丸「何でだよ!?」
仲良いなぁ(笑)
再び言い合ってるふたりに小さく笑いながら、どうしたものか‥考えていると‥。
「仁王はどうする?」
仁「暇じゃし‥行くぜよ構わんか?神崎」
『へっ?‥‥ぁ‥はぃ‥』
目を合わせられない‥。
私の短所を挙げるならまさにこれだと思う。男の子に限りなのが不思議だけど‥。
仁王君‥嫌な思い、させちゃった‥よね‥。
仲が良いっていう訳じゃなくて、柳生君と話していた時に初めて言葉を交わした程度。それでも、彼は私に声を掛けてくれる。上手く話せないのに‥と何度も疑問に思った。柳生君にも相談したことあったけど‥彼は‥
柳「仁王君は貴方のそういう所を嫌いになったりするような、心の狭い人じゃありませんよ。神崎さんのペースで彼と話せばいいんです」
そう言って優しく微笑んでたっけ‥。
私のペース‥‥そうだよね‥無理に背伸びしても疲れちゃうもん。面倒だって思うなら話しかけて来ないよね?
仁王君はこんな私でもちゃんと話しかけてくれるんだもの‥少しずつ、顔を上げられるようにしてみよう。
「あやめは寄りたいところある?」
『うーん‥ぁ‥雑貨屋さん寄って行きたいかな』
仁「何か買うんか?」
『はぃ‥髪留めを‥‥』
「了解☆いつもの所ね!」
『うん‥』
丸「じゃあ、行こうぜ」
いつもの店‥私が気に入っているそのお店には和柄の小物を扱ってるお店。元々、派手な物を好んでいるタイプじゃないから和柄が私にはちょうど良かった。このお店を教えてくれたのは琉奈なんだよね。
何かと気に掛けてくる彼女は、大切な親友だ。
『(どうしよ‥ι)』
色とりどりの髪留めを前に困ってしまった。いつもなら、琉奈が合うやつを選んでくれるんだけど‥完全に丸井君と盛り上がってるんだもんι
どうしよう‥ι
みんなを待たせるのも悪いから、また今度に‥‥
仁「そんなに悩んで、どうした」
『‥ぁ‥‥その‥』
仁「‥‥あぁ、なるほど‥」
『???』
仁「‥‥ちょっと待っときんしゃい」
『‥ぇ‥?』
何がなんだかわからない私に対して、仁王君は一つのバレッタを手にとって行ってしまった。
本当に不思議な人‥‥何も言ってないのに、理解してたみたい。
もしかしたら、違うかも知れないけど‥‥あんまり遅いから怒ってるのかも‥‥‥なんてね‥。
彼は、そんな人じゃない‥。
親しいわけじゃないけど、なんとなく‥そう思う。柳生君も言ってたしね。
仁「待たせたな」
『‥ぁ‥‥ぃぇ‥』
仁「ほら‥お前さんにプレゼントだ」
『ぇ‥?』
プレゼント?
どういうことなのかなぁ?誕生日でもないんだけど‥ι困惑する思考に首を傾げる。
仁「三上からクッキー貰っての」
クッキー‥‥あ、家庭の授業で作った。確か、テニス部のレギュラー全員に渡すって言ってた‥‥あれ?でも、私は関係ない筈‥なんで??
ますます、わからない私に仁王君は続けて話してくれた。
仁「俺が貰ったやつだけ三上のじゃなくて神崎のじゃったんでな」
『‥ぇ‥ι!?』
仁「なんだ‥もしかして、知らんかったのか?」
『‥‥ぅん‥』
何考えてるのよ琉奈はι
確かに、琉奈に私が作ったクッキーわたしたけど、あれは自分の分がないからあげたのに‥冗談で、誰かにあげたらごめんね☆なんて、言ってたけど‥‥まさか、本当にあげたなんてι
仁「すまんな‥」
『‥ぇ‥』
仁「他にあげる奴居たなら謝らんと」
『‥ち、違う‥の‥』
仁「ん?」
『ぁげる、人は居ないから‥気にしないで?』
誤解されたくなくて、仁王君が悪いわけじゃない‥そう、ちゃんと伝えたくて‥‥少し、顔を上げて彼を見る。
近くで見た銀色の髪はとても似合っていて‥恥ずかしくなって、俯いた。
『‥ただ‥‥その、味‥大丈夫、でしたか?』
仁「そのことなら心配しなさんな、うまかったぞ」
『‥‥ありがとう‥』
仁「だから、それはクッキーのお礼じゃ受け取ってくれんか?」
『‥ん‥ありがとう』
仁「俺の好みで選んでしまったからな。気に入らなかったら捨ててしまって構わんぞ」
袋の中には、可愛らしいバレッタ。青のグラデーションに桜の桃色が綺麗な落ち着きのあるモノ。
すごく、私好み。
『捨てたりしません‥すごく、気に入ってしまいましたから』
仁「‥それは、なにより」
『ありがとう、ございます(微笑)』
その後は、少しブラブラして帰る。楽しかった‥丸井君も気さくで普通に接してくれる。少しだけど、打ち解けられたかな?
しどろもどろではあるけど‥ちゃんと聞いてくれる。仁王君なんかは、言い終わる前に理解してるみたいだった。
時折見上げた横顔はドキッとする程素敵で、女子が騒ぐのも分かる。
『私なんかには‥眩しすぎる‥』
机に置いたバレッタ‥大切な宝物。
いつからか、彼の優しい一面に触れて‥惹かれている自分に気づいた。
だからといって、告白する勇気なんて持ってない‥‥。私よりも素敵な子はたくさん居るもの。
『今は‥‥ただ、思っていたい‥』
ちゃんと貴方を見られるように‥貴方と向き合えるように‥頑張ります。
――――――――――‥
仁「‥‥‥」
「仁王‥顔、怖いわよ?」
仁「気のせいじゃろ‥」
丸「どこがだよι機嫌悪いだろぃ」
仁「さぁの‥」
顔に出してるつもりはないんじゃが‥どうやら、隠せん程イラついてるようだの。
「まぁ‥原因はわかってるけどね」
丸「そうなのか?」
「‥‥ブンちゃん、精市がさっき呼んでたわよ?」
嘘だな。
まぁ‥気を遣ってくれたんだろうが、笑顔が怖いぜよ‥‥。
本当に‥幸村に似とるのォ‥。
「さて‥一応先に言っとくけど、叶とは昨日怪我の手当てしてあげたらしくて、そのお礼を言いに来たらしいわよ」
仁「ほぉ‥何度もお礼を言う奴なんか」
俺が見かけたのは三回‥礼なら一度で十分なはずじゃろ?
随分と律儀な奴‥‥それだけじゃないのは見てたら分かる。
しかも、三回とも俺が話し掛けようとした瞬間‥偶然、じゃないだろうな。
「まぁ、好意を持ってるのは確かみたいよ?さっき私の所に来て、あやめに好きな人居るか聞いて来した」
仁「なるほどのォ‥三上に聞けば確かだろうからな」
「ちなみに、最近仁王と仲が良いから気にしてるみたいね」
仁「だからか‥‥」
偶然じゃなく‥ワザとってことか‥。
「あやめね‥。最近、少しだけど変わってきたのよ」
仁「変わった?」
「気付かなかった?
あんたと話す時、少しだけど顔を上げてるって」
そういえば、そんな気がするな。いつも、隠れてた表情-カオ-が少しじゃが見えるようになった。
何が変えたんか‥。
自分であったなら、どれだけ嬉しいことか‥。
「(ここまで、詐欺師を困らせるあやめって‥ある意味凄いわι)
あの‥
丸「琉奈、仁王!」
うわっ!?」
仁「なんじゃ?」
丸「神崎が女子に呼び出されて怪我したらしい!」
「怪我って!」
丸「引っ張ったかれたらしくてよ‥って!仁王!」
「とりあえず行きましょう」
迂闊じゃった‥‥もしかしたら、とは考えて気をつけてたつもりだったが‥失敗。
「大丈夫か?」
開けようと伸ばしたドア越しに聞こえる声‥叶の声‥なんで、アイツが居るんじゃ?
考えられるのは‥その場に居合わせ、神崎を助けた‥そんなとこか‥。
「あんな奴に、構うことなんかねぇよ‥」
散々な言われようじゃな‥間違いではないがな‥。ドアを開けるのを止め、来た道を戻る。
「仁王?」
仁「取り込み中らしいぜよ‥」
俺が‥行くのは場違いじゃろうからのォ‥。
――――――――――‥
昼休み。
琉奈とお弁当を食べた後、保健の先生に呼ばれた帰り数人の女の子達に呼ばれて‥‥頬を叩かれた。
理由は簡単。
最近、私が仁王君と仲が良いのが気に食わない‥そう言われた。
可愛いわけでも‥綺麗なわけでも―‥‥ない。
それは、私自身が知ってる‥‥だからといって、彼女達の行動が理解出来ない‥。
嫉妬からの行動だってわかるけど‥‥こんなことしたら、仁王君が傷つくだけじゃないの?
彼を困らせるだけじゃないの?
現に、目の前に居る彼は、仁王君のせいだ‥関わるな‥そう、言ってる。
ガラッ
「‥‥大丈夫?」
琉奈の姿を見たら、出なかった涙が溢れ出す。
でも‥この涙は、怖かったとかじゃなくて‥
彼が傷つくことが‥‥
悲しいんだ
『叶君‥もう、大丈夫ですから‥』
「送って!
『琉奈が一緒ですから、大丈夫です‥』
‥わかった」
これ以上‥彼を悪く言っているのを聞きたくなかった‥。
助けてくれたのは感謝してる‥‥けど、私は仁王君のせいなんてちっとも思ってない。
「内気なあやめがあんなにはっきり断るとこ、初めて見た」
『私も、びっくりしてる‥』
「変わったね。」
『そう、かな?』
「うん、いいと思うよ?私は」
変わった‥‥自分じゃよくわからないけど‥そうだとすれば、このバレッタは‥私にとって御守りだろうな‥。
変われるキッカケを与えてくれたから‥。
「仁王も駆けつけたんだけど‥入りずらかったみたいで引き返しちゃったι
ブンちゃんも一緒にね」
『そっか‥心配、させちゃったね‥。
大丈夫かな?』
「何が?」
『仁王君‥。自分のこと責めてないかな、って』
「‥‥」
『仁王君は何も悪くない。
あの子達の行動を気に病むことないの‥私より彼の方が‥痛いはずだよ‥』
「‥‥あやめ‥」
好きな人を困らせるような行動に意味なんてないのに‥‥。
好きなら、尚更、嫌われるようなことしない‥。
負わなくてもいい罪を彼が背負うのが、凄く‥‥辛い。
こんなに、自分が彼を思ってるなんて‥。
だけど‥。
翌日、仁王君が私に話しかけて来ることはなかった。
『‥‥ぁ‥』
仁「‥‥‥」
通り過ぎる彼に、声をかけるなんて‥出来ないよ。完璧に目をそらされたよね‥。
ズキンッと胸に小さな痛みを感じる。寂しさや、悲しさが混じり合って息苦しい‥‥。
『‥‥ごめんなさい‥』
優しい君のことだから、私を守る為に関わらないようにしてるんだよね?
君は何も悪くないのに‥
君の責任じゃないのに‥
相手が私じゃなかったら、あんなことにならなかったよね‥。
ごめんなさい‥‥。
でも、君想うこの気持ち-ハナ-はまだ、枯らしたくない‥。
だから‥どうか‥想うことを許して下さい‥‥。
――――――――――‥
昨日のことは完璧に俺の責任ナリ‥。
神崎の配慮よりも、自分の気持ちが先走り過ぎた。
あの日、バレッタを渡した時に見せた照れた笑顔が嬉しかったんじゃ‥翌日には黒髪に綺麗な青が似合っとった。伝え損ねたが‥。
詐欺師と呼ばれる俺が、ここまで臆病になるとは‥‥修行が足らんな‥。
俺に関わることでお前さんが傷つくなら‥悲しませるなら‥この気持ちは隠してしまおうか‥。
欺くことが得意な詐欺師仁王じゃからのォ‥。
『‥‥ぁ‥』
仁「‥‥」
本気で想うから‥俺のせいで傷つく姿は見たくない‥。
通り過ぎた時聞こえた小さな声‥“ごめんなさい”。
その台詞は俺の方じゃろ?
「まったく‥馬鹿でしょ?」
仁「酷い言いわれようだの‥」
「ハァ~‥ま、あやめもだけどね(苦笑)
‥‥‥いいの?」
視界の端に叶と話す神崎の姿‥‥今すぐにでも引き離してしまいたい衝動に駆られる。
仁「構わんよ。俺なんかよりもアイツの方が‥‥悲しませることもないしの」
「‥‥それ、逆効果にならない?」
仁「さぁ‥どうだろな」
柳「心から想いあっているのですね」
「そうだね‥だから、擦れ違っちゃうんだよ」
柳「私には、できる限りのことすら見つかりません」
「それでも、陰ながら応援することは出来るよ‥」
柳「‥はい」
三上の言葉を軽く流して屋上に向かった。流石に、授業受ける気分じゃないからの。
仁「‥‥ハァ~‥」
ははっ‥情けないの。
自分から手放しておいて‥虚しさを感じるなんてな‥。
こんなに本気になったのはテニス以来か‥ひとりの女を想い続けてるなんざ、赤也なんかにバレたら騒ぎ出すじゃろな‥‥自分でも驚いてるし。
仁「あ~‥‥なんだ、らしくないの(苦笑)」
桜の下で笑っとったお前さんが目に焼き付いてるんじゃ‥花が綻ぶように笑うお前さんが好きだ‥。
伝えられんが‥‥。
仁「好いとうよ‥あやめ」
――――――――――‥
彼と話せないまま時だけが過ぎる。いつの間にか、私の隣に居るのは‥叶君。彼だった。
何故かはわからないけど‥。
正直言うと一年の時振られて良かった、なんて思う。
会話なんて一方的に叶君が話すだけ、強引なところもあるし‥‥仁王君とは、違う。
『‥何、考えてるのかな‥私』
ふたりを比べたりして‥。彼の言葉、仕草、優しさ‥全てが私を変えるキッカケになったから‥この想いがあるから、少しずつ顔を上げていけるんだよね。だからかな‥今の状態が寂しいのは‥。
元々、遠い存在だったのに‥今は、霞んでる‥‥。
私と仁王君を繋ぐのはこのバレッタだけ‥‥。
『本当に、大事な宝物‥』
そう‥‥本当に大切な宝物‥。なのに‥。
数時間後―‥‥あんなことになるなんて、思いもしなかった。
――――――――――‥
丸「間一髪だぜι」
ジ「あぁ」
幸「今日はここまでだ」
急に降って来た雨に練習は終了か‥もう少し、打っていたかったんだがな。
モヤモヤしとるから気晴らし位にはなるんじゃが‥。
柳「大丈夫ですか?」
仁「それは、なんに対してじゃ?」
柳「彼女のことです。」
仁「‥‥」
柳「ご自分の気持ちを偽ってまで距離を置く必要はないでしょう」
柳生の言いたいこともわからんでもない‥事実、距離を置いてる今の方が目で追ってるからな‥。
傍に居ないことが寂しい、なんてな。柄じゃないの‥。
仁「どうしたらえぇんかの‥」
柳「普段と変わりなく接してみてはどうです?」
仁「また、あんな目に遭ったら‥と考えると、な」
柳「仁王君らしくないですね。
何手先をも読むあなたなら二度繰り返したりはしない筈ですよ?」
仁「ははっ‥‥そうじゃったな」
流石、親友だな。
モヤモヤしとったんが、スッキリしたナリ。
そう簡単に諦められんぜよ‥。
「二人でなんの話?」
仁「お前さんか、今日はもう終わりだぞ」
「この雨じゃ仕方ないでしょうね」
柳「今日は神崎さんと一緒ではないのですか?」
「‥‥叶に取られちゃったの」
あからさまに不機嫌じゃなι
「まったく、仁王がはっきりしないからよ!」
仁「‥‥三上、それは八つ当たりナリ」
「うっさい!
アイツ強引にあやめを連れて行ったのよ?
あやめの話なんて聞きやしない‥あの子も困ってたし」
仁「なるほどな‥」
どうやら、三上の言った通り逆効果みたいじゃな。
「さっさと奪い返しなさいよ!」
仁「これは、応援されとるんじゃろか」
柳「彼女なりの応援でしょう」
仁「なら、奪い返すとしようかの」
手放して、離れてしまえば守ることになると思ってたが‥やっぱ止めた。
俺のせいなら、好きな女を自分で守らな意味がないぜよ。今更だが‥他の男が傍に居るのは、いい気はしないからの。
さて、どうやって奪うか‥。
「やっと詐欺師仁王らしくなったわね!」
柳「えぇ(微笑)」
――――――――――‥
『見当たら、ない‥ハァ‥ハァ‥』
ザァァァァ―‥。
降り続く雨の中、川に足を入れバシャバシャと手で水の中を探る。
探しているのはバレッタ‥数時間前‥叶君に話があるから一緒に帰ろって誘われて、あの橋まで来た所で‥‥告白、された‥。
「本気なんだ!」
『私‥‥好きな人、居るんです‥だから‥‥!!?』
「仁王なんて忘れろよ!
あんな詐欺師なんて呼ばれてる奴、お前が悲しむだけだ」
『離、して‥』
「コレがあるから忘れられないんだろ‥」
『‥ぇ‥??』
「‥‥」
ポチャン‥
「これで、忘れられ‥‥神崎!?」
一瞬‥何が起きたのかわからなくて、数秒固まって‥脳が理解した時には走って川の中に入ってた。宝物だったから‥唯一の接点だった、のに‥‥大切な‥モノ‥なの‥。
川岸に膝を抱えて、泣いた‥。
少しして家に帰るとびしょ濡れの私に心配するお母さんに嘘をついて笑う。
『‥‥これで、接点がなくなっちゃった‥』
お気に入りだったのに‥
彼が選んでくれたモノだったのに‥
考えれば、考える程泣きたくなる‥。
本当に、好き‥なの‥。
無視されても、あのバレッタがあったから‥勇気を持てた
明日、もう一度探してみよう‥見つかることを願って眠りについた。
――――――――――‥
今日もいつものように気だるい体を引きずるように学校に向かう。不思議と気分は晴れとる‥昨日三上や柳生に応援されたからじゃろな‥応援か怪しい気もするがの(笑)
仁「よう、柳生」
柳「あぁ。おはようございます仁王君」
仁「‥神崎もおはようさん」
柳生と神崎を見つける。
今日はバレッタ、しとらんな‥なんて、考えながら久しぶりに声を掛けてみると、神崎の驚いた顔が見えた。
『‥おはよう、仁王君』
不安げに俯いた顔が驚いた後に綻ぶように笑う。
この顔が見たかった‥あのまま、距離を置いてたら‥後悔しただろうな。
『‥‥ぁ‥』
神崎の視線の先には―‥‥叶の姿。あっちも気づいて向かって来ると、神崎は俺と柳生の後ろに隠れとる。
何かあったのは様子を見ればわかる。
仁「そろそろHRじゃし、教室入るか」
柳「そうですね、行きましょうか」
『はい‥』
叶と目を合わさんように俯く神崎をちょうど登校して来た三上に預けた。
柳「彼と何かあったようですね」
仁「避けとるみたいだしの。
それに‥気づいとるか」
柳「えぇ‥彼女、体調崩してるように思いますね」
仁「無理しよるの‥神崎は」
やけに、頬が紅いから気づいたが‥いつ倒れてもおかしくないじゃろな。
三上も気づくとは思うが‥。
何があったか聞き出してみるか‥柳生に変装してな。
――――――――――‥
『心配、かけちゃったな‥』
教室に入って琉奈に声をかけられて直ぐに、私が体調崩してることに気づいて心配してくれた。
今は風に当たりたくて屋上に来てる。
正直、バレッタが気になって授業に集中出来ない‥‥。
久しぶりに言葉を交わせた時、驚いた反面凄く‥嬉しかった。
柳「おや、神崎さん」
『柳生君‥』
柳「どうかなさったんですか?」
『風に当たりたくて‥柳生君は?』
柳「貴女が悲しい表情をされていたので‥どうかなさったんですか?」
そんなにわかりやすく顔に出てたのかな‥?
柳生君になら話ても、いいかな‥。
琉奈に言ったら心配かけちゃうし‥。
『昨日、ね‥叶君に‥告白‥されたの』
柳「そうだったんですか‥」
『でもね‥好きな人、居るからって断ったんだけど‥‥
その時‥バレッタ、川に落ちちゃって‥‥探したんだけど、見当たら‥なくて‥』
捨てられた、なんて言えないよ‥。
あれ‥視界が、歪む‥。
泣かないように必死に堪える‥けど‥溢れ出した涙は、頬を伝わって‥零れる。気づかれたくなくて俯いて、顔を逸らす。
柳「とても、大切な物なのですね」
『‥そうだね‥。凄く、大切‥だって―‥‥』
好きな人からの贈り物だから‥‥。
キィィ―‥ッ
「‥‥神崎‥」
『‥‥戻ろうッ‥』
柳「あやめ!」
あれ?
柳生君。今、名前で‥‥‥違う‥あぁ、入れ替わってたんだ。顔見てなかったから気づかなかった‥よ‥‥。
私はそこで意識を失った。
――――――――――‥
「あやめは!」
仁「風邪だとさ。まったく、ぶっ倒れるまで無理しよる」
柳「何か事情があったのでしょう」
叶が来ると目も合わせず逃げようとする。ただ、告白されただけじゃないだろうと念の為、叶本人から聞き出した。バレッタは落としたんじゃなく、捨てられた。それが、あの態度の真相。
まさか、そこまで気に入っとるとは‥少なからず好意があったらしいの。
神崎の心が読めないんじゃなく‥俺自身の問題じゃった。
仁「‥柳生よ。すまんが今日は部活を休むと真田に伝えてくれ」
柳「訳ありのようですね‥。
わかりました。真田君に伝えて置きます」
仁「悪いの、頼むぜよ」
「私、あやめの帰り支度して来るわ」
仁「おう」
さて‥行くとするかの。
見つかるかわからんが、この分じゃと自分で行きかねんからの神崎が‥。
たかが、バレッタだけでここまで必死にならんでもよかろうに‥。
ま、泣くほど大切になっちょるんやし‥頑張って探してみるとするか。
仁「待っときんしゃい。」
『‥ん‥』
涙を拭って保健室を出た。
お前さんの笑顔が見たいから‥柄じゃないが‥って、最近こんなんばっかりやの(笑)
――――――――――‥
『‥‥ん‥』
此処‥保健室‥?
そっか、私‥意識失って倒れたんだっけ。運んでくれたの‥柳生君‥‥じゃなくて、仁王君‥だったんだよね。
『なんだか、恥ずかしいこと言った気が‥‥///ι』
本人に聞かれるなんて‥‥って、不可抗力だよねι
でも、どうして‥‥わからないよ‥。
「あ、起きたんだね」
『琉奈‥』
「倒れたって聞いて驚いたんだから!
無理しないでって言ったのに~」
『ごめんなさい‥‥ι』
「まったく‥」
なんだかんだ言って優しい琉奈。本当に、いい友達を持ったと思う。嬉しくなって笑みが浮かぶ‥ありがとう、琉奈。心から感謝してる‥こんな私を気にかけて、心配してくれて‥。
仁王君にも、お礼言わなきゃ‥‥ちょっと‥恥ずかしいけど‥///ι
「私部活あるから寝て待ってる?」
『もう、大分楽だから帰るよ‥』
「本当に?」
『本当に、大丈夫だよ』
「わかったわ!鞄は持って来たからね」
『ありがとう、琉奈』
「気にしないで!気を付けて帰んなさいよ!」
『うん‥』
ごめんなさい‥やっぱり、バレッタが気になるから‥‥。
無理はしない‥約束、ね?
鞄を持ち、保健室を出た。途中、叶君に会ったけど‥横を通り過ぎる。
何でかな‥今、凄く仁王君に会いたい―‥‥。
いつから、彼に惹かれたんだろう?そんなに言葉を交わしたことなんてないのに‥。
あの時、恋した男の子が仁王君ならいいのに‥。
気が付けば、川に着いた。
穏やかに流れるせせらぎが聞こえる。
『‥‥仁王、君‥?』
川岸に座っている仁王君の姿に気づく‥。今日、部活がある筈じゃ‥?困惑する私に気づいた仁王君が手を振っているから、走って向かった。
――――――――――‥
あれから、どれくらい経ったかわからんくらいの時間が過ぎた。気が付けば、陽が沈み始めとるしι
手当たり次第に探してはみたものの‥見つからん。昨日の雨も手伝って流されたんかもしれんの‥。
仁「ここまで必死になるとはな‥本気は辛い」
笑えてくるぜよ。
テニス以外に本気になるモンがあったなんてな。
じゃが、悪くない‥。
仁「ん?‥‥‥見つけた」
神崎にやったバレッタ。
陽の光に照らされたそれを見て、浮かんだ笑顔。
これでやっと、笑ってくれるじゃろ‥。
ハァ~‥‥疲れた‥‥じゃが、よくわからんが達成感があるな(笑)
しばらく、体を休めてると橋に神崎の姿があった。
やっぱり、来たか(苦笑)
気づいたようじゃの。
仁「今しか、ないじゃろな‥」
一年も待ったし、脈ありだと思うんじゃけど。
――――――――――‥
『ハァ‥ハァ‥』
仁「走って来なくてもよかっただろ」
『そう、ですね‥‥』
確かにそうではあるんだけど。はやる気持ちを抑えることが出来なくて‥君に会いたいって願ってしまったから‥此処で会えたのが嬉しくて‥気が付いたら‥走り出してた。
『あの‥‥』
仁「ん?なんじゃ」
『‥‥保健室、運んでくれたの‥仁王君‥だよね?』
仁「それは違うの柳生じゃよ」
『柳生君‥私の名前、呼んだりしないと思う‥』
仁「俺も名前は呼んだことないがの」
そう言われたら『そうだね』としか言えない‥。
どう言ったらいいかわからなくなって俯く。
仁「あ~‥悪かった」
『‥ぇ‥?』
仁「だから、嘘ついて悪かった。お前さん運んだのは俺じゃ。柳生に変装しとったんじゃが‥まさか、バレるとはの」
なんだか、嬉しそうに笑ってる‥?そんな表情にさえ胸が高鳴る。
あぁ‥この気持ち-ハナ-が咲き誇ってしまった。
ポツッポツッ
『雨‥』
仁「通り雨じゃな橋の下で雨宿りするぜよ」
『‥はぃ‥』
橋の下に移動して、ちょこんと座る。何を話したらいいか‥なんてわからないし、自分からなんて話せない。
こんな時、自分の性格が嫌になる‥‥。
これじゃあ、もう‥見つからないね。
仁「そうじゃ‥ほら、見つけたぜよ」
『‥‥ぁ‥』
その手には探していたバレッタが‥。
受け取ると、嬉しさや見つかった安心感から涙が零れる。良かった‥見つかって‥‥。
『‥ぁり‥がとう‥』
ちゃんと、目を見て‥。
仁「まさか、そこまで大事にされとったとわな」
『‥///』
仁「コラコラι逃げるな」
知らず知らず後退りしてたみたい‥ι
流石に、その‥顔を近づけられたら‥恥ずかしいというか‥。なんて、心の中で言い訳してみたり。
仁「去年、お前さんに会っとるんじゃけど‥覚えてなさそうじゃの」
『???』
去年‥‥わからないιというか、男の子と目を合わせて話さないからわからないんだけどι
仁「本当に気づいとらんとわな」
『ごめんなさい‥ι』
仁「あ~‥謝るなって別に怒ってるわけじゃない」
『はぃ‥‥』
仁「放課後だったか‥外でお前さんとぶつかって、すり傷手当てしてもらったんじゃ」
『‥‥ぁ‥』
じゃあ、あの時の男の子が‥‥‥仁王君、だったんだ‥。
『ありがとう‥』
仁「なんで礼なんじゃ?」
『あの時、仁王君が言った言葉があったから‥また、勉強しよう‥って、思えたの。
それだけじゃない‥仁王君の優しさがあったから、ちゃんと顔を上げて話そうって思えたの‥だから‥ありがとう(微笑)』
仁「なんだか、告白みたいな言葉やの」
『‥‥‥///』
うっ―‥ι自分で言ったのに恥ずかしくなってきた///顔、上げられない‥俯いてると笑い声が聞こえる。チラッと上目で見ると楽しげに笑う彼。
仁「一年も待ったんじゃし。これくらいバチはないだろ」
『一年‥??』
仁「ま、俺は入学して直ぐの頃から神崎の事知っとったんだけどな」
『ぇ??』
仁「よく、桜の木を眺めてたろ?」
覚えがある。
入学したての頃校内にあった桜が凄く綺麗でよく眺めてた。まさか、その時から知ってたなんて‥。
仁「一つ質問‥なんでそれが大切なんじゃ」
『‥‥それ、は‥』
言ってしまった方がいいのかな?
断られるくらいなら言わずにこの気持ち-ハナ-を枯らせてしまう方が楽かな?
答えられずに俯いて、ギュッとバレッタを握り締める。
『‥ぇ‥』
仁「‥‥今のはズルいか、流石に。しゃーないのォ‥ここまで来たら言わなきゃ後悔しそうだしの」
『‥ぁ‥あの‥//』
仁「離すのは、俺の話が終わったらな」
いつの間にか私の後ろに移動してたことにきづかなくて‥なんでか‥‥その‥抱き締め、られてる。
逃げることも出来なくて、固まっちゃった。
仁「確信はあるが‥。ハァ~‥やっぱ緊張するのォ」
『??』
仁「俺は、神崎が好きだ」
『‥‥‥』
今、なんて‥‥。
好き?私が?
上手く頭が回らない。まるで、思考回路が停止したみたいに‥。
都合の良い夢でも見てるの?困惑する私に対して、抱き締める仁王君の体は震えてる‥‥。
『嘘‥‥じゃ‥
仁「こんなことで嘘なんかついたら最低じゃと思うけど」
‥‥だね‥』
仁「返事、聞きたいんじゃがの」
『離してくれたら、言う‥』
離れた温もりが少し寂しいと感じる。でも、ちゃんと‥目を見て伝えたいから。
クルッと後ろに体を向ける。いざ、伝えようとすると緊張して顔が上げられない‥‥でも、ちゃんと伝えたい。
バレッタを握り締め、ゆっくり顔を上げて唇を開いた。
『私‥も‥‥好き、です///‥‥キャッ!』
仁「長かったの。ハァ~‥‥疲れた」
『ぁ‥バレッタ‥探してくれて、ありがとう//』
仁「泣き出すくらい大事にしてるみたいだからの。
好いとうよ、あやめ」
『‥‥はい、私も好きです』
いつの間にか気持ち-ハナ-は綺麗に咲き誇り、幸せを感じる度に水を与える。
空には綺麗な虹が‥(全国大会お疲れ様)
(なんじゃ、見てたのか‥カッコ悪いとこ見られたの)
(ううん‥凄くカッコ良かったよ?)
(負けたのにか?)
(勝ち負けは関係ないと思う‥雅治さんが悔いなく試合をしたなら私はそれでいいの)
(‥‥ハァ~‥あやめには一生勝てそうもないな)
(そうかな?)
(フッ‥‥好いとうよ)
(私も、好き)
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