◈魔笛
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季節は夏。
照りつく太陽の暑さに負けそうだ。魔笛と呼ばれる俺はいつもの様に自室に籠もり書類へと筆を走らせている。
「神崎四席」
『あ゛ぁ?』
「Σ‥総隊長が、お呼びですι」
『チッ。分かった』
ゆらりと立ち上がって部屋を出た。
「四席、大丈夫かι」
「かなり機嫌悪いからなぁι」
《暴れなきゃいいがι》
―――――――――‥
あちぃ‥。
クソッ、暑い中呼び出しやがって。どうせ仕事だろ、書類で寄越せばいいのに面倒だ。悪態ついても仕方ないのは分かってるが‥苛つく。
ギィィィ―‥
相変わらず威圧感だけは凄いな此処は。
総「わざわざすまぬな」
『そう思うなら文書にしてくれ』
京「機嫌悪いねェ、あやめちゃん」
『三日間徹夜で寝てないからな。その上、この暑さだ。悪くもなる』
浮「三日間も!?身体に悪いじゃないか!食事と睡眠はきちんと取りなさい」
何で浮竹隊長に注意されてるんだ?
母親みたいだな。
『書類が溜まってるから仕方ないんだよ』
日「またか‥」
『隠し溜めしやがったんでな(ギロッ』
更「‥ι」
『で?仕事だろ?場所は?』
総「今から行く気か?」
『時間を掛けていられる程暇じゃない。憂さ晴らしにもなるし』
そうしれっと言う俺に呆れ顔の冬獅郎が見えた。
事実なんだけどな――。
殆どが期限間近の書類だから遅れるワケにはいかないんだよ。
隠した理由を問い詰めれば、
草「“##NAME3##が忙しいから後にしてたら忘れたんだって!”」
心配してくれたってのは有り難いが‥期限間近まで忘れるか?
総「今の体調では少々不安だな。よって明日にするように」
『‥チッ』
京「女の子が舌打ちしちゃダメでしょう」
『俺の勝手だ。用がないなら帰るぜ』
背を向ける俺に柔らかくも厳しい声に呼び止められた。見なくても分かるのは彼女の下で働いていたからだろう。
『何でしょうか‥卯ノ花隊長』
卯「今日はゆっくりと休んで明日に備えて下さいね?
睡眠もそうですが、食事はきちんと取るように。いいですね?」
『はい‥』
相変わらずにっこり笑ってるのに何故か威圧感があるなぁ‥。怒らせると怖い人だとは知ってるけど、こうして呼び出されるようになってからだな‥注意されるのは――。
日「任務、まさか一人で行く気じゃねーよな?」
『ん?‥面倒なんだけどな。ウチで暇な奴いたらだろうさ』
いる気はしないが。
何せ明日は夏祭りがあるから――。やちるが大騒ぎしてたから大半はそっちだろう。
日「手伝う」
『明日の夏祭り行くんだろ?やちるから聞いたぜ』
幼なじみと約束してるのをやちるが聞いたらしく、それを理由に一緒に行こうとせがまれたんだ。
日「‥別にいい」
『約束くらい守れよ。俺なら平気だ』
日「俺が勝手に心配してるだけだ。祭りに興味ねーし」
『ふーん。俺は好きなんだけどな』
屋台というよりは“花火”が。
日「行かないのか、祭り」
『随分と行ってないな。
何せ“化け物”が祭りを楽しんでるなんて周りからすれば不快だろ?』
日「‥‥化け物言うな」
『事実は変わらない。今更の話だ、気にしてない』
冬獅郎の優しさは伝わってる。けれど、周りの奴は受け入れられる程出来ちゃいない。
歩み寄ろうとしなけりゃ分からない事もあるからな。
『じゃあ―‥ん?』
別れる筈が何故か手を掴まれ、そのまま十番隊の隊主室へと連れて来られた。
相変わらず強引な所がある冬獅郎に振り回されてる気がするな。
日「ソファ貸すから寝ろ」
『命令かよ』
日「うるせぇ。部屋に戻って仕事する気だろ?だから連れて来たんだ。
此処なら誰も来ないし、俺だけだ」
『見張る気か?』
日「当たり前だ」
呆れた――。
『気遣いは有り難いんだけど、この暑い中で寝ろって無理難題だろう?』
日「まぁな‥。寝なくてもいいからそこ居ろ」
『退屈だ』
日「駄々っ子」
席について書類に視線を移した冬獅郎に溜め息を吐いて座った。
『(頑固者‥)』
する事もないこの状況にまた溜め息。
大体、冬獅郎は心配性なんだよ。徹夜明けって言っても仮眠はしてる。食事だって全く食べてないワケじゃない。そこまで心配する必要ないのに‥‥はぁ~‥。
コンコン、
日「入れ」
?「失礼します」
何が誰も来ないだよ。ぞろぞろ来てるだろうが‥。
入って来たのは幼なじみの副隊長を筆頭に仲のいい副隊長達だ。
乱「神崎、何してるのよ?」
『強制連行された上に監視されてるとこ』
雛「どういうこと?」
日「三日間徹夜した挙げ句、まともに飯食ってないから休めって卯ノ花に言われたんだよ。
コイツのことだから戻っても仕事するだろうから連れて来たんだ」
『冬獅郎が心配性なだけだろ?』
日「うるせぇな//」
照れた冬獅郎が珍しいのか、凄い驚いてる。基本的には難しい顔してるからだな。
ぼんやりとそんな事を考える俺を余所に話は夏祭りで弾む。
賑やかな中に取り残されるなら部屋に戻りたいが‥‥監視されてるから無理。
『(退屈、だ‥)』
ゆっくりと意識が沈む。眠るとは違う。考えに浸るような感じ。
――夏祭り、か。
一度だけ剣八達と行ったことがあったな。それ以降は行ってないけど‥。
日「あやめ」
『‥ん?』
日「眠るなら横になれよ」
『‥‥終わったのか』
日「ああ。悪いな、うるさかっただろ」
『別に。気にしなきゃいいだけだ‥』
今に始まった事じゃないし、気にもならない。
パサッ、
日「掛けてろ」
そう言って渡された羽織から香る冬獅郎の匂いに肩の力が抜ける。愛しい人に包まれて心が穏やかになるのを感じ、笑みが浮かぶ。
さらり、
『何?』
髪を撫でる冬獅郎を見上げれば、唇を指で撫でるなり口付けされた。
――ちゅ、くちゅ、ぴちゃ
『ん‥はぁ‥んぅ‥///』
日「ん‥っ‥‥ハァ‥悪ぃ///」
『‥構わない。嫌いじゃないもの‥冬獅郎の口付け。寧ろ、好き(微笑)』
日「そぅ、か///
(何でこんな可愛いんだよ///)」
無意識だったのかな?
自分からしておいて真っ赤になるなんてね。
ホント、可愛い人――。
冬獅郎は席に戻り、私は退屈な時間を寝て過ごす事にした。折角の彼の優しさを無駄にするのも気が引けるから。
横になって羽織を口許まで掛けると眠気が襲う。彼の匂い、温もり、気配、優しさを胸いっぱいに感じながら私は瞼を下ろした。
―――――――――‥
『ん‥』
日「起きたか」
『‥冬獅郎?』
重い瞼を開ければ声を掛けられて視線を動かす。すると、何故か、冬獅郎に膝枕をされていた。
状況が理解出来ない私に冬獅郎は髪を弄りながら言う。
日「就業時間終わっても起きねーし、起こすのも悪ぃから寝顔見てたんだ」
膝枕も自分からしたようで気にしないよう言ってくれた。
日「それと、明日の任務だが‥やっぱり俺も行く」
『それは――』
日「雛森との約束ならちゃんと断った」
『‥信用ない?』
日「心配なだけだ」
『そぅ‥。
そうね、信用なくても仕方ないか』
日「そうじゃ―‥」
反論しようとした冬獅郎の唇に人差し指を当てて制した。
『だって私は――‥
“戦う事で死にたがっているんだから”
信用なくても仕方ない』
日「‥ああ。怪我も死でさえもお前は恐れない。だから心配なんだよ」
『優しいね』
日「別に、当たり前だろ///
お前は‥俺の大事な女なんだし、な///」
真っ赤な顔を隠すように逸らして言う冬獅郎に愛しさを感じながら思う。私の命は私だけのモノではないのだと。
やちるも心配してはくれるけど冬獅郎とは違う気がする。
私が死ぬということは、冬獅郎が一人になってしまうということ。
そしてそれは、とても辛く悲しいことなのだろう‥。もし私が冬獅郎に置いて逝かれたら――。
そう考えて、怖くなった。心を通じ合い、触れ合い、温もりを感じ、お互いが求め合っている今の私達が離れてしまったら‥‥私は、何も出来なくなってしまうだろう。それだけ、私は彼を愛し、拠り所にしているのだ。
『冬獅郎が居るなら、生きてるのも悪くない』
日「あやめ」
『だから――』
手を伸ばし頬を撫で言った。
『離さないでいてね?』
日「ああ、離さねーよ」
手を重ねて誓い合う。
貴方が私の帰る場所である限り死を望んではいけない。
こんな私を愛してくれているのだから――。
『そろそろ部屋に戻るわね』
日「‥‥ああ」
ゆっくりと身体を起こした私に冬獅郎は寂しげ。
――ふふっ。
普段から大人びた冬獅郎からは想像出来ない表情に笑みを浮かべる。最近増えたのは冬獅郎が傍に居るようになってからだろう。
日「何だよ?」
『可愛いと思って』
日「なっ///!?」
『私が居ないと寂しい?』
日「Σっ‥悪ぃかよ///」
ツンデレってこういうことかな?
やちるがよく冬獅郎はツンデレだって言ってたけど、よく分からなかった。
デレっていうよりはテレくらいだよね。
――可愛い過ぎだ。
ちょっと、からかってみるかな。
ギシッ、
日「なんっ、だ‥///?」
顔を近付けると真っ赤になりながら狼狽える冬獅郎。そんな反応も可愛いと思いながら耳元に唇を寄せて言う。
『二人きりで過ごせたら、冬獅郎のしたいこと叶えてあげるね』
ちゅっ、
日「‥///」
『じゃあね(微笑)』
パタン‥、
日「‥なんか、してやられたって感じだ///
(小悪魔かよ‥あやめの奴)」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
翌朝。いつものように身支度を済ませていると元気いっぱいの明るい声がした。
『やちるか』
草「おっはよォ!」
『おはよ。朝からどうかしたのか?』
草「今日は夏祭りだよ!」
『成る程』
待ち遠しいのは分かるが仕事してくれ‥。
草「##NAME3##はお仕事だよね!花火までには帰って来る?」
『どうかな?行ってみないと分からないが‥多分、無理だろうな』
草「えぇ~~っ!?
明日じゃダメなの?」
『一応命令だからな。これが最後ってワケじゃないし気にしてない。
祭りに行くならちゃんと仕事終わらせろよ?』
草「分かってるよ!」
ホントに分かってればいいんだけどな‥‥不安だ。気にしても仕方ないから諦めることにしよう。無駄な期待は疲労に繋がるからな。
そう思い直して隊舎を出た。
早すぎるとは思ったが、厄介な仕事のようだから丁度いいだろう。
『(花火、見たかったな‥)』
?「はよ」
『おはよ‥。よく分かったな?冬獅郎』
待ち合わせもしてないのに待っていた冬獅郎に驚いた。
日「何となくだ」
『そっ。なら、行くか』
日「ああ。
(一人で行く気だったな、コイツ)」
『(冬獅郎には負けるわね)』
―――――――――‥
『さて、どうする?』
日「とりあえず出現したって場所に行ってみるか」
『そうだな』
出現先は公園だったな。
にしても、暑い‥。出来るだけ早く事を済ませたいんだけど‥そんなに簡単なら俺が出る必要もないよなぁ‥。
日「此処か」
着いたのはごく普通の公園、なんだが――‥。
『随分多いな。
‥――カップルが』
どうやら、デートスポットってやつらしい。そこら中に手を繋いだり、腕を組んだりしてる男女の姿に文句を言うつもりはないが‥居心地が悪い。
どうやらそう思っているのは俺だけじゃないらしいけど――。
『(顔赤くして。本当に、可愛い人)』
視線を移せば、頬を染めた冬獅郎に思わず笑みが浮かぶ。
寄り添い歩く恋人達は幸せそのものだ。人の目を気にする事なく触れ合い、過ごせる‥‥ちょっと羨ましい。俺には出来ないから――。
冬獅郎と付き合っているってだけで批判が凄いからな‥。化け物が色仕掛けで冬獅郎をそそのかしたって噂にまでなっているくらいだ。
別に、それが嫌でいつも部屋で過ごすワケじゃない。
冬獅郎は優しいから―‥自分も背負おうとする。
俺はそんなの望んじゃいないんだ。周りが何て言おうが俺は冬獅郎が居るだけで幸せだから。背負っては欲しくない―‥。
日「どうかしたか?」
けれど、
『羨ましいと思ってさ』
日「何が?」
『あのカップルが』
やっぱり羨ましいと思ってしまう。
あっちの世界じゃ俺は虚勢を張って男のように振る舞ってしまうからな‥‥部屋ならそれも解けるんだ。
初めはそれでもいいって思ってたんだけど‥一度くらい、仕事を忘れて普通の女の子として過ごしてみたいと思うようになってしまった。
『楽しそう‥』
日「あやめ‥。
(そんな、寂しそうな顔すんなよ)」
ぎゅっ、
『冬獅郎?』
日「見て回るぞ//」
『‥うん』
不意に繋がれた手に驚いたけど、冬獅郎を見れば分かる。
気にしてくれたって事だよね?
握られた手を解いて、指を絡めるように握り直すと更に真っ赤な冬獅郎に愛しさを感じた。
『職務中じゃないの?』
日「いいだろ‥別に///」
『そうね。――嬉しい(微笑)』
日「‥///」
手を繋いで公園内を歩く。
周りの恋人達のような時間に嬉しくなる。私達が見える人間は少ないから特別な時間だ。
こんな風に過ごせる事が私には幸せそのものだよ。
魔笛として、道具として‥女の幸せを諦めていたから。
愛してくれる人なんかいない。
愛されていい筈がない。
そう思って今に至っていたんだけど‥。
冬獅郎はそれを覆してくれた。
独りではないと、理解したいと――。
こんなに幸せなのは冬獅郎のおかげね。
日「気配はないか」
『ああ。夜まで待つか?』
日「そうするしかねーな。人も多いし」
『なら、木陰で休むか』
私達は公園内の人気がない木陰に並んで座った。
『冬獅郎って、たまに大胆だよね』
日「何だよ、たまにって‥」
『いきなりが多いのよ。手を繋ぐのも、抱き締めるのも、キスも』
日「っるせェ///」
『ふふっ。冬獅郎って奥手だと思ってたんだけど、違った』
真面目で誠実で鋭くて。隊長という立場を重く受け止める姿勢は幼さを奪ってしまう程、重荷なんだろう。
剣八を見てるとそうは思えないんだけど‥。
けれど、その反動からか、私には隠してる幼い部分を見せてくれるのかもしれない。
私が冬獅郎の前では私でいられる様に――。
『嬉しいよ(微笑)』
日「‥お前が」
『ん?』
日「お前が笑ってくれるから///」
ぎゅっ、
日「幸せそうに。それが見たくて、さ」
真っ赤な冬獅郎に愛しさが溢れてしまう。
こんなにも満たしてくれる彼の存在に私は何を返せているのだろうか?
傍に居るだけで満足してくれているのか?
不安はあるけど、こればかりは私にも分からない。だからこそ、冬獅郎が望む事はしてあげようと思う。
とん‥
日「あやめ?」
『時間が出来たら、デートしようか』
日「‥ああ///」
『楽しみ(微笑)』
寄りかかる私は繋ぎ合う手を見つめ瞼を下ろした。
心地良い二人きりの時間に身を委ねて――。
□■□■□
日「寝たか‥」
やっぱ疲れてんだな。
一人で書類を片付けて、キツい任務こなして。自分が居るだけで不快にさせるからって隊舎から出ないで部屋に籠もりきり。
女らしさも捨てちまったあやめの部屋は仕事の物が多く殺風景で、普段着すら見たことがない。
どんなに俺が許した所であやめが負った心の傷は埋まる事はないんだよな‥。それでも、こうして無防備な姿を見せてくれるって事は信頼されてるんだろうが――。
日「デートか‥」
俺自身そういった事には疎いからあやめがどうしたら喜んでくれるのか分からねー。
デートするなら現世だろうが、何処に連れて行ってやればいいんだ?
女と付き合った事もなければ、そんな事考えた事もない。
日「はぁ‥」
スヤスヤと眠るあやめの寝顔を見ながら思う。
コイツは―‥
“いつか、消えちまうんじゃないか”
そんな不安がいつも付きまとってる。それぐらい危ういんだ‥あやめは。
『ん~‥』
日「うわっ!?」
どさっ、
日「あやめ?」
『すぅ‥』
日「はぁ‥」
いきなり抱き付くから起きたのかと思ったんだが‥寝づらかっただけかよι
抱き合いながら寝転ぶ俺達。腕にしがみつくあやめから感じる柔らかな感触に動揺した。
外見はガキでも男だ。
好きな女が抱き付いてればそれなりに反応するし、その感触に気付けば嫌でも意識しちまうのは仕方ない。
女特有の柔らかさ、匂い、それらに誘われるように唇を重ねた。
否、重ねるだけじゃ足りない――。
日「ん‥」
唇を啄んでは舌を這わせ、焦らす。
『ん‥冬獅郎?』
日「はよ」
『‥寝込みを襲うなんて意外ね』
弧を描く口許、まだ眠そうな目、色気を醸し出すあやめにまた唇を重ねる。今度は焦らさずに舌を入れて深く絡みつくキスを送った。
『んふ‥っ‥はぁ、ァ‥んんっ‥//』
時折聞こえる吐息に興奮する自分がいた。腰を抱き寄せて夢中で舌を絡め、歯列をなぞった。
数分のそれは、永遠のように長く感じる。
邪魔される事なく二人きりを過ごせるなんてそうはないからな。
日「はぁ‥」
『ァ‥はぁ‥はぁ‥//』
潤む瞳、濡れた唇、荒い息、染まる頬――。
艶やかなあやめの姿に欲望が湧く。とはいえ、こんな場所で襲うなんて出来ねーよな‥流石に。
『冬獅郎‥』
日「ん?」
『もう少し、だけ‥』
日「!?」
あやめから重ねられた唇に一瞬驚いた。
俺よりも大胆じゃねーのか?
なんて思いながら、送られた口付けに応えるように舌を絡めた。
可愛い恋人を抱き締めながら、俺達は貪るように唇を重ねた。
―――――――――‥
日「んで?何しに来たんだ‥お前等」
『ふぁ~‥』
そろそろ始めるか、ってタイミングで現れた松本達。
乱「何ってお手伝いですよ!」
日「サボりの間違いじゃねーのか?」
雛「情報よりも多い数みたいだから手伝うように言われたんだよ」
日「誰に?」
阿「総隊長ッス」
日「総隊長‥?」
妙だな。いくら情報に誤りがあったとしても総隊長自ら指示を出すまでもないだろうに‥。
何かあるのか?
あやめの力はまだ分からない事が多い。
珍しいタイプでもあるし‥何か、考えでも――。
『そんなに考えなくてもいいだろう』
日「そうだが‥」
心配なんだよ――。
俺自身、あやめの全てを知ってるワケじゃない。だからこそ、些細な事でも不安になるんだ。
『‥――実験だ』
雛「実験?」
乱「何を?」
日「‥――まさか」
『そのまさかだ』
しれっと答えるあやめの反応を見れば分かる。
初めから知っていたんだ‥コイツは――。
阿「どういう事ッスか?」
日「あやめに来る任務の指令は全部――‥
“魔笛のデータ収集”って事だ」
雛「そんな!?」
乱「アンタ知ってたの?!」
『まぁな‥。
実験は十二番隊の得意分野だろ?
道具としての利用価値はあるがリスクもある。だから、データを取る必要があった。
四十六室からの命令でもあるから拒否権はないんだ』
淡々と説明するあやめに拳を握った。
結局、コイツは道具としての自分を受け入れるしかないんだ。
いつまで続くか分からない実験に、危険に‥その度にあやめは傷つくのかと思うとやるせない気持ちになっちまう。
阿「お前、そんな扱い受けて平気なのか?」
『‥言ったろ?俺には拒否権はないって』
雛「神崎さん‥」
乱「(隊長の言う通りね‥)」
『そろそろ始めるぜ』
日「ああ‥。お前等は下がってろ」
怪我人を出せばあやめが傷つく。本人にその気はないだろうが‥優しいから、無意識に背負って隠す所がある。
~~♪
雛「綺麗‥」
阿「これが‥魔笛」
乱「‥凄いわね」
暗闇に響く歌声は子守歌のように優しく落ち着かせてくれる。
あやめは‥何を思って歌ってんだろうな。
近くに居る筈なのに遠く感じるんだよなぁ‥マジで。
あやめに見惚れていれば近く霊圧の群れに斬魄刀を構えた。ぞろぞろと現れた虚の群れにあやめは薄く笑っている。
『へぇ、凄いな』
乱「笑ってる場合じゃないわよ!」
阿「どっから湧いて来やがるんだ!」
『さぁな。俺は誘い出すだけ。何匹来るかなんて知らねーよ』
ゆっくりと歩き出すあやめの背を見ながら不安になる。
“生きてるのも悪くない”
そう言っていたのは嘘なんじゃないか?
ホントはまだ、死にたいんじゃないか?
――そう思っちまう。
雛「日番谷くん」
日「俺とあやめでやる。サポートは任した」
乱「はい!」
あやめを追い、虚の群れへと向かう。
『これは、一人だったら死んでたかもな』
日「‥‥その方が、よかったのかよ?」
薄く笑ってるあやめに腹が立つ。けれど、そんな事あやめにとったら日常の一部に過ぎないんだ。今更知って止めた所であやめの気持ちが変わるワケじゃない。
必死に生きても認められず、否定されて来たからこそ諦めてるんだよな‥。
死んで欲しくないのに、繋ぎ止める術が俺には思い付かない。
『それに頷いたら一人にしてくれるのか?』
それは出来ないだろうな。
目の前で傷つくあやめを見ていられる筈がない。
『はぁ‥。冬獅郎がしたいようにすればいいだろう』
日「だが―‥」
それがお前にとっての苦痛にしかならないのなら‥俺は――‥。
『今更だろ。
土足でズカズカと入って来た勢いはどうしたんだよ?』
日「あやめ‥」
『言ったでしょ?
“私を離さないで”って』
日「!?」
『冬獅郎が私を離さないでいてくれれば―‥
“死に急いだりしないわ”』
嗚呼、やっぱり笑った顔が一番綺麗だ。
日「ああ‥。さっさと終わらせて帰ろうぜ」
『うん』
斬魄刀を抜き虚を斬る。
――迷う必要なんてないんだよな。
あの雨の中、あやめを探して走り出した時は躊躇いもなく真っ直ぐ行けたのに‥馬鹿だ。
あの日あの瞬間から俺達は始まったんだから立ち止まらず歩けばいい。
あやめを離さないと決めたんだ。
一緒に手を繋ぎ合わせていればいいんだよな?
俺が手を離さなければあやめは笑っていてくれるんだ。
雛「神崎さん!!」
そう、繋いでやれば――‥
ぐいっ、
『!?』
日「させるかよ」
『(こんな守られ方初めてだ‥)』
全ての虚を消し去り一息漏らせばニヤニヤ笑っていやがる松本を睨む。
日「松本、なんだその気持ち悪い笑いは」
乱「気持ち悪いって酷いじゃないですか!」
日「事実だ」
乱「仕方ないじゃないですか!
隊長があんなカッコ良く神崎を守るんですもん♪」
日「‥‥」
乱「やっぱり男ですよねェ。
抱き寄せて虚の攻撃防ぐとか見せつけてくれちゃってvV」
日「///!?」
雛「無意識だったんだι」
阿「(乱菊さん楽しそうだなι)」
松本のヤロー人をおちょくって楽しんでやがるな(怒)
やっぱり男って何だよ、俺は男だ!
ガキのクセにとか言いてェのか?
チビのクセにとか思ってんじゃねーよな?
いっそのこと凍らすか――。
やかましくはしゃぐ松本を無視してあやめへと視線を移す。何かを考えるようにぼんやりしてた。
日「あやめ、どうかしたのか?」
『否‥何でもない。終わりだろ?帰ろうぜ』
日「ああ‥」
――何だ?
雛「日番谷くん?」
日「何でもない。戻るぞ」
乱「はぁい。祭り終わっちゃったわよねェ。
せっかく浴衣新調したのに~」
阿「仕事ッスからι
雛森も今年も日番谷隊長と行く予定だったんだろ?」
雛「うん。でも断られてたし、総隊長自らの命令じゃ断れないしね」
阿「まぁ―‥
『断る理由くらい幾らでもあるだろ』
‥――出来るわけねーだろう。
それに感謝くらい言えねーのかよ」
マズいな。あやめの性格上、素直に感謝する筈がない。
大体からして如何にもあやめのせいで祭りに行けなかったと言わんばかりだろうが。
こうなるなら先に帰しときゃよかった‥なんて後悔しても遅いよな。
『面倒くせェ‥』
阿「あ゛ぁ?」
乱「止めなさい、恋次、神崎も!」
一触即発の二人に頭が痛い。
まだあやめと組ませるには早過ぎたな。信頼関係もない状態で共闘するのは難しい。
『なぁ、感謝ってさ何もしなかった奴へのか?
それとも、総隊長の優しさへのか?
‥――下らない』
阿「テメェ‥!」
『そんなに嫌ならこっちからお断りだ。生半可な気持ちで来て怪我でもされたら迷惑なんだよ』
冷たい眼差しが突き刺さる。
阿散井が掴み掛かろうとしたが、俺はそれを無言で制した。
『二度と組む事がないよう総隊長には俺から言っておいてやるよ』
先に歩き出すあやめに阿散井は怒りを吐き出した。
阿「何であんな言われなきゃならないんスか!!」
乱「気持ちは分かるけど落ち着きなさい」
雛「気に障る事言っちゃったかな‥」
日「ハァ‥。
自分のせいで祭りに行けなかった、みたいな言い方されたらああなるだろうが」
乱「そんなつもりで言ったんじゃないですよ!」
日「お前等はそうでもアイツはそう思ったんだろう」
乱「被害妄想ですよ!」
嗚呼‥面倒くせェ――。
日「お前等だって勝手な妄想でアイツを毛嫌いしてたんだろうが。同じだ」
自分を疫病神の様に思ってるから悪い方に考えるんだろうな。
普通の女のように生きられたなら違ったんだろうが出来ず‥‥隊舎内だけが落ち着ける場所とか、不自由過ぎる。
けれど、あやめは其処から出る事を望んではいないんだよな‥。
日「俺がお前等を下げたのは、万が一、怪我でもしたらあやめが傷つくと思ったからだ」
阿「何スか、それ‥」
日「アイツ絡みの噂は流れるのが早い。それも、アイツがさも悪いかのような噂ばかりだ。
お前等が怪我すればアイツのせいだと隊士達は言うだろうからな」
乱「そうですね‥。神崎の立場は依然悪いままだものね」
阿・雛「「‥‥」」
日「理解してやれとは言わない。関わりたくなきゃ関わらなければいい。お前等次第だ。
‥――帰るぞ」
あやめは優しい奴だから傷つけたくはないんだ。
俺がアイツを守る――。
そう誓ったんだからな、あやめの手を離さない、と――‥。
□■□■□
『‥‥――暑い』
翌朝、暑さで目を覚ました俺はぼんやり天井を眺めてた。
昨日は八つ当たりだよな‥多分。自分でも被害妄想だとは分かってるつもりでも、やっぱり‥辛い。ホント‥嫌になる。
――自分は周りとは違う。
そう割り切って今に至るのに、冬獅郎と出会ってから普通の女の子のように―‥そう望んでいる自分がいるんだもの。
『馬鹿だ‥‥』
満たされない心に苦しくなる。
冬獅郎はこんな私と居て幸せなの?
そんな疑問を抱えながら天井を見上げて過ごす。
今日は非番だから一日のんびりしてるだけ‥‥――なんて思ってたら朝から訪問者が―。
?「あやめ、起きてるか?」
『ああ。入って構わないぜ』
スッ、
『おはよう‥冬獅郎』
日「ああ、おは―‥‥Σ!?」
スパンッ、
閉められたー‥。
『どうかした?』
日「どうかしたじゃねー///!!
着崩れしてるだろうが///!!」
『ん?‥あーぁ、ホントだ』
言われるまで気づかなかったな。
というかー‥
『そんなに勢いよく閉めなくてもいいんじゃない?』
日「仕方ないだろう‥‥いきなりで、驚いたんだからよ///」
『もういいよ。入って来な』
スッ、
日「寝起きだったか?」
『起きてたよ。非番の日は大抵こんな感じなだけ』
日「そっか」
『何か用だった?』
日「まぁ‥」
『?』
珍しい訪問に、歯切れの悪い返答、背を向けて小雪を撫でる冬獅郎に首を傾げた。
日「松本がー‥」
『何?』
日「松本が、現世の祭りに行きたいって騒ぎ出してさ。朽木から聞いて今日らしいんだが‥そのー‥お前を誘って来いって言われてんだ‥」
『そう‥松本副隊長が、ね』
ルキアって事は一護達も一緒か。とはいえー‥松本副隊長がって事は他にも誰か誘ってるだろうなぁ‥。
久しぶりに行きたい気もするけど、そこまで打ち解けた中じゃないし‥不快にさせるだけじゃないだろうか――‥。
日「黒崎達や松本の他にも雛森とかも一緒なんだが‥嫌じゃないなら、どうかと‥」
『嬉しいけど―‥やめとくわ』
日「‥‥だよな」
『うん‥。その中に私がいても、一人に感じそうだから』
日「ぇ?」
意外な答えに振り返った冬獅郎に笑って言う。
『これでも嫉妬するのよ?
だから、行かない―‥』
私は普通じゃないと一線を引いていないと挫けてしまうから。
『昨日の穴埋めと思って付き合ってあげなさい(微笑)』
日「‥分かった。邪魔したな」
パタン―‥
去り際に見た冬獅郎の背中は‥寂しそうだった。そうさせてしまったのは私だと自覚した所で何も出来やしない。
草「##NAME3##‥」
『やちる。聞いてたのね』
草「‥ひっつん可哀想だよ」
ぽすん、
布団に倒れ込んだ私をやちるは心配そうに近づき頭を撫でてくれる。
草「お祭り、行きたくないの?」
『行けるなら行きたいわ。
でも、一線を越えてしまったら私は‥‥そう思うと怖いの』
草「##NAME3##‥」
『あの日から全て捨てたのよ?
女としての自分を‥普通の幸せさえも。
なのに―‥欲しいと思ってしまった』
今のままでいいと、これ以上は高望みだと自分を制してきた。
けれど―‥冬獅郎が現れてから変わってしまった‥。
愛しさや優しさ、温もりを感じる度に募る想いがある。
『普通の女の子で居られたら、そう思う自分に笑ったわ。
‥人殺しの化け物の私が人並みを願っているのだから―‥』
草「##NAME3##は普通の女の子だよ!優しくてしっかり者でお料理上手な女の子だよ!」
『ありがとう。
‥それでも私に来る任務は危険過ぎるから。深入りはしたくないの‥‥もう、あんな光景は見たくない』
草「‥##NAME3##は##NAME3##だよ。十一番隊の、やちる達の大事な仲間だもん」
『ぅん‥』
やちるの言葉が嬉しい。
十一番隊で今の自分を、魔笛を受け入れたその時から強くなると決めた。
最低限のモノだけを持ち、その他を捨てる事で私は自分を保たなければならないのだから‥。
草「今日はゆっくり休んでね!」
『ぅん(微笑)』
笑顔で部屋を出たやちるに何度救われただろうか‥。
自分の置かれた状況を受けきれず、絶望の淵に立ったままだった私にいつも笑ってくれた。
『幸せだ‥』
泣いてしまいそうなくらいに――‥。
「四席、いらっしゃいますか」
『なんだ?』
スッ、
「十二番隊長から文書です」
『ご苦労さん』
パタン、
あの人からって事は嫌な予感しかしないな。目を通せば案の定、実験の協力指令書だ。
しかも今回は一人で――。
何を考えてるんだか分からないが拒否権はないし、面倒だがやるしか選択肢はない。
『‥‥冬獅郎』
嗚呼―‥こんなにも君が愛おしい。
この気持ちを抱く時だけは、今だけは――‥
『冬獅郎ッ‥』
“あの頃”の私でいたい。
溢れる想いを押し殺して泣いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『此処か‥』
一人、現世に降り立ち‥空を見上げた。
泣き明かした顔を洗って支度をした俺にやちるは心配そうな顔をしてたな‥。あの隊長が寄越した任務に今まで何度も死にかけたから不安なんだろう。
『始めるか‥』
行く前にネムさんから渡された小型装置を取り出す。
簡易な結界を作り出すらしい。外に霊圧が漏れないから邪魔も入らない、徹底して一人にさせたいらしいな。
でも、丁度いいかな‥今の俺には――。
開始時刻を確認して歌を紡ぐ。
~~♪
虚にしか届かない歌は乗せる想いもなく、空っぽなまま。
しばらくすれば感じる霊圧に斬魄刀を構えた。小さいモノから大きいモノまで集まった虚の群れに薄く笑う。
『あの変人隊長、またでたらめ言いやがったな』
何が数は少ないだ、どう見ても多すぎだろうが。
助けを呼ぶつもりはないけど‥怪我をしない自信はないぞ‥。
怒るだろうなぁ―‥やちる。
まぁ、仕方ないから諦めよう。今は目の前を取り囲む虚を片付けるのが先だ。
□■□■□
日「はぁ‥」
乱「溜め息吐くと幸せ逃げますよ。
神崎に振られたからって落ち込み過ぎじゃないですか?」
日「振られてねー‥」
乱「誘って断られたなら同じですよ」
グサッと刺さること言いやがったな‥コイツ。
乱「大体、誘うのに私を出しちゃダメですよ。一緒に行きたいって事を伝えなきゃ女の子はガッカリするんですからね!」
日「う゛っι」
乱「只でさえ隊長は雛森に対して過保護で通ってるんですから、相手は引いちゃいますよ」
日「過保護じゃねーし‥」
乱「一緒ですよ!雛森に何かあれば我を失うくらい大切なクセに、彼女なんか作って‥大丈夫なんですか?」
日「何が?」
乱「神崎の優しさに甘えて雛森ばかり構ってると捨てられますよ」
ドキッ、
日「別に、雛森ばかり構ってなんかないだろうが‥」
アイツは家族であって構ってるとかじゃない。
確かに雛森に何かあれば‥冷静さを欠いちまうけど‥‥あやめを殴っちまったしな‥。
乱「まっ、隊長より神崎は大人でしょうから線引きはしてそうですけどねェ」
日「どういう意味だよ?」
乱「嫉妬するって言ったんですよね?
それって、雛森に対してだって自覚あるって事じゃないですか」
自覚も何も、あんま外に出ねーあやめがなんで雛森に対して嫉妬すんだ?
日「‥‥分かんねー」
乱「はぁ~‥やっぱり隊長はまだまだ子供ですね」
日「テメェ‥(怒)」
乱「化け物呼ばわりされてるからこそ、女の子である事を捨てて強くなった神崎と副隊長でありながら可愛いって評判の雛森ですよ?
真逆じゃないですか。
ましてや、雛森は隊長の大事な家族で大の仲良しさん。自分にはなれない“普通の女の子”とのツーショットなんて目の当たりにしたら辛いだけじゃないですか」
日「!?」
乱「神崎にだって隊長の前では女の子で居たいと思いますよ。けど‥自分は人とは違うと線引きしていないと辛いんだと思うんです」
日「‥かもな」
それでも俺は、アイツの笑う顔が見たいんだ。
傷を作るしか出来ない優しすぎるあやめは闇に沈んだまま出ることもしない。出てしまえば傷つくだけだって分かってるからなのかもしれないが――‥。
乱「行く前にもう一度誘ってみたらどうです?」
日「ああ‥」
出来るなら、俺はアイツに笑ってて欲しいと思ってる。
祭りが好きだっていうなら一緒に行きたい、周りが気になるなら俺達を知らない現世でいいからあやめとの思い出を作ってやりたいんだ。
乱「神崎の浴衣姿、見れるといいですねェvV」
日「うるせー。
(浴衣―‥。それは見たいな//)」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
就業時間を終えてあやめの部屋を訪ねたが、居なかった。隊士に聞けば出掛けたとのこと。
結局、あやめには会えないまま松本達と現世へと向かった。浦原の所に着くと黒崎と朽木、井上が来ていたから松本が問い掛ければ、
黒「あやめから怪我したから井上を連れて来て欲しいってルキアに連絡があったんだ」
阿「怪我?」
ル「ああ。どうやら一人で任務に来てたらしく、着いてみれば切り傷に打撲、捻挫と動けずにいたようで」
乱「‥一人で」
日「あやめはどうしてる?」
黒「井上の治療受けてるぜ。
そのまま寝ちまったけどな」
日「そうか‥」
何で一人で任務になんて行ったんだ?
言ってくれれば一緒に行ったのに‥。
一人部屋を出てあやめの元へ。
スッ、
織「冬獅郎くん」
日「あやめはどうだ?」
織「もう大丈夫だよ」
日「そうか。すまない」
織「ううん。あやめちゃんの治療はこれが初めてじゃないから」
日「そうなのか?」
織「怪我した時は必ず頼ってくれるの。‥四番隊には、行けないからって」
日「‥‥あやめが女だって知ってたんだな」
織「初めて治療した時に斑目さんが教えてくれたんだ。
その時は、血だらけで酷くて‥女の子って聞いた時は驚いちゃった」
井上の話しに何も知らずにいた自分を恥じた。