日番谷
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小さな頃
祖母が話してくれた縁結びの話
神社にある泉で
心から愛する人を想いながら
泉に入るそうすると‥
「おはよーあやめ」
『おはよー、志乃』
「毎日朝からこの騒ぎは凄いわι」
『あはは‥ι』
そう、私が通う高校にはちょっとした有名な人たちがいる。
個性的な集団だけど、みんな格好いいし、可愛いしでかなりの人気なのだ。そのため、登校するも凄い人だかりでなかなか教室までたどり着かない‥ι
「来た来たvV!!」
「日番谷君格好いいvV」
「雛森さんが羨ましい~」
「美人だよな、乱菊さんに織姫さん///」
キャッキャッと騒ぐ生徒の間から見える綺麗な銀の髪‥。
彼は、日番谷 冬獅郎君‥運動神経抜群で成績は常に学年トップの天才。
しかし、授業をサボる不良とも言われている。
まぁ‥どう見ても不良集団に見えなくもない‥‥。
「大丈夫?あやめ」
『大丈夫だよ‥三年も前のこと引きずってないよ』
心配してくれる志乃に笑って言う―‥‥上手く笑っていたか不安だけど‥。
あの日からもう三年も経つのか‥‥。銀の髪の少年を思い出す‥‥三年前、私は彼のことが好きだった。元々、引っ込み思案でどちらかと言うと目立たないタイプの私なんかが彼に釣り合わないのはわかっていた‥だけど、志乃に励まされ気持ちだけでも伝えようと手紙を書き‥‥‥私の片思いは終わった。
散々な幕引きで―‥‥。
「あの時はホントにごめん‥‥」
『もぅ~気にしてないってば!!ほら、授業始まっちゃうよ!!』
「あ!待ってよあやめ~ι」
志乃は今でもあの日のことを謝ってくる‥自分のせいで、って‥でも私は感謝してるんだよ?志乃に励まされなきゃずっと言わずにいたはずだから―‥。結末は最悪でも‥‥私はスッキリしたから‥。そう、言い聞かせて―‥‥。
―――――――‥
黒「しっかし、毎日毎日鬱陶しいなぁ!女子の目当ては冬獅郎だろ?何とかしろよ」
冬「俺が知るか‥勝手に騒いでんだ」
恋「モテる男は大変だなぁ~冬獅郎?」
ル「自分がモテないからと言ってひがむな恋次」
乱「カッコ悪いわよぉ~vV」
桃「そんなことより、早く行かなきゃ遅刻だよ!!」
織「大変!?」
どうでもいいが、いい加減この人だかりをどうにかして欲しい‥鬱陶しいにも程があるだろ?毎日毎日、俺たちは珍獣か?溜め息を吐き出すと、一人の女子が視界に入った。あれは確か‥‥志乃って名前だったよな。
「待ってよぉ~あやめ」
あやめ‥!?
その名に反応し、探す。居た‥‥長い黒髪をなびかせ、眼鏡を掛けたおとなしめの女子。
三年前、手紙をくれたアイツに俺は‥‥酷いこと言って傷つけた‥‥‥。
ホントは―‥‥。
黒「いいのか?アイツに誤解されたままで」
冬「関係ねーだろ‥」
今更、どの面下げて会えばいい?俺はアイツを傷つけた―‥‥本心なんかじゃない‥それでも、傷つけたことには変わりはない―。笑っているアイツの笑顔が俺に向くことは‥‥絶対にない‥。
―――――――‥
『よし、終わった‥』
すっかり遅くなってしまった。
今日は図書の本の整理だった為志乃には先に帰ってもらった‥遅くまで待たせるのは可哀想だしね。
昼間の暑さに比べたら大分マシになった夕方。
夏の為、日は延びているから明るい。
そろそろ夏休みに入るんだよね‥特に予定はないんだけどι外を見ると部活動に励む生徒たち‥‥その中に彼の姿もあった。サッカー部なんだよね‥。黒崎君や阿散井君も一緒‥仲良いな~‥いつもの集団は放課後も一緒なんだ。一際目立つ女子の姿もある。
『やっぱり、格好いい‥‥』
自分の気持ちにけじめをつけた‥‥つもりだったんだけどな‥。
無意識に目で追ってしまう彼の姿―‥。
どうして、彼だったのか―‥話したことはないのに、気付いたら‥‥好きになってしまった。前も、こうして‥窓から見てたんだよね‥。
『‥‥好き、だよ‥』
きっと‥もう、伝えられないから‥‥せめて、此処から想うコトを許して下さい―‥。
今でも、貴方が‥‥好きです―‥。
―――――――‥
乱「よし、休憩―――ッ!!」
黒「やっとかよ‥ι」
恋「かなりハードだよな‥ι」
冬「練習試合があるからだろ」
いつもよりハードな練習メニュー。サボり魔のクセに部活動は張り切るんだよな‥なんでだかι
タオルで汗を拭いていると、不意に図書室の窓を見上げる。
冬「見てるわけねーか‥」
未練がましいと自分でもわかってる。それでも、無意識にアイツを探してしまう‥。
自分でも驚く―‥‥アイツとはクラスが一緒というだけで話したことはない‥なのに、俺はアイツに―‥あやめに、惹かれた。
黒「‥そんなに気になんなら会って来いよ」
冬「‥‥別に、そんなんじゃねー‥」
相変わらず目ざとい奴ι
‥‥わかってはいるんだ‥会って誤解解いて‥ちゃんと伝えたい―‥。
だけど、拒絶されたら‥‥そう、思うと柄にもなく足がすくむ。
‥情けねー‥
けど、あやめに対する気持ちは今も変わらねーんだ。
無意識にまた図書室の窓を見上げる自分に自嘲気味笑ってしまう。
冬「‥‥ぇ‥」
さっきは居なかった筈の窓に人影がある、良く見ると―‥‥あやめの姿。こっちに気づいたと思ったら、逸らされた‥‥。
誰を、見てたんだ?
俺じゃない誰かを‥‥見てたのか?
モヤモヤとするのがわかった。嫉妬してる‥俺がすんのもおかしいが‥
それでも―‥‥
冬「‥ムカつく」
黒「どうかしたか?冬獅郎」
冬「別に‥」
勝手だな‥俺‥、それでも―‥‥。
―――――――‥
『び‥っくりした~~///ι』
本の整理をしているのに、どうしても窓の外に目が行ってしまう‥。
自分でも重症だと思う―‥‥彼が‥日番谷君が気になって、一生懸命部活に打ち込む真剣な彼を見たくて‥足が窓に向う‥‥無意識に‥。
でも、まさか‥こっちを見てるなんて思わなくて‥‥。
『おもいっきり逸らしちゃった‥‥ι』
不自然だったよねι
こっち見てたんじゃないかもしれないのに‥でも、久しぶりに見た気がする‥。
あの綺麗な翡翠の瞳を―‥正面から‥。
私、ドキドキしてる‥‥変なの。
『振られたのに‥‥未練がましいなぁ‥』
壁に背を預けたまま、ズルズルとしゃがみ俯く‥。
この気持ちは、どうしたら無くなってくれるの?
嫌いになれないよ‥‥。
振られてもまだ‥彼が好き―‥‥好き、なの‥。
―――――――‥
『(志乃ったら、まさか机に手紙入れたなんて///ι‥でも、ダメで元々‥だしね)』
「おぉッ!!冬獅郎またお前にlove letterだぜ!しかも、あやめからの!!」
『‥‥ぇ‥(私、の‥)』
「―――‥だってよ、どうすんだよ!」
冬「‥興味ねーよあんな暗い女‥」
『‥‥‥』
「まぁ、アイツはあり得ねーよな‥暗いし面白くなさそうιお前には雛森が居るもんな(笑)」
『‥‥ッ‥』
冬「アイツはただの幼なじみだって言ってんだろι」
「あやめ?どうしたの?」
『なッでもないよ!早く帰ろッ(笑)
ーーーーーーーー
『‥ん‥』
朝‥‥随分と懐かしいというか‥悪夢を見た気分だ。
あの日の翌日にはクラスに広まり、陰口を言われた‥それは、日番谷君の居ないところで‥‥男女問わず。よっぽど私が告白したのが珍しかったのだろう‥憂鬱になる中で、志乃が私を支えてくれたから‥また、笑えるようになったんだよね。
『なんで、あの夢見たのかな‥?』
まるで、好きになるだけ無駄だと言われてる気さえしてくる‥‥。そんなの、私が一番良くわかってる‥‥わかってるけど、この胸に芽生えてしまった気持ちが無くならないの‥無駄って頭で言い聞かせても、気持ちは膨らむばかりで―‥。
『悔しいなぁ‥』
私ばかり彼に振り回されてる気分。
『‥ぁ‥こんな時間、着替えなきゃ』
夏休みに入り、それなりに宿題も出された。
宿題を出す先生方はヤケに楽しげだったなぁι
私服に着替え、バックに宿題とお昼のお弁当を持って家を出る。向かうのは学校だったりι
夏休みだからと言って予定なんか私にはない‥志乃は彼氏と旅行に行ってるし、部活動に入ってもいない。
何故、私が学校に行くか‥それは―‥。
浮「お!また来たのか」
『おはようございます浮竹先生、また来ました(笑)』
浮「図書室なら開いてるから好きなだけ居ていいぞ!俺は職員室に居るからな」
『はい、ありがとうございます!』
浮竹先生に挨拶を済ませると図書室に向かう。
予定のない日は先生に頼んで図書室を開けてもらって過ごしてる。
本当なら飲食禁止なんだけどそこも先生からお許しをもらえた。
中に入ると外とはうって変わってクーラーがちょうど良く効いて涼しい。いつもの窓際の席に荷物を下ろし、不意に窓の外を見ると‥‥。
『サッカー部も練習なんだ‥』
炎天下の中、グランドを走るサッカー部が見えた。
でも、私の目は‥たったひとりに釘付けになってる‥。
ハッとして、激しく首を横に振る。
『目的を忘れるところだったι危ない危ない‥』
椅子に座りバックから宿題を取り出し、始める。
―――――――‥
「ヤベッι聞かれたかな?」
冬「‥多分な‥(最悪だ‥)」
「まぁ、どうせ断るんだし‥良かったんじゃ
ガタンッ
冬獅郎?」
冬「帰る‥じゃあな」
ダンッ
冬「何やってんだよ‥俺はッ‥」
久しぶりに見た‥俺の過ち―‥いまだに後悔してる‥なんで、あんなこと言っちまったのか‥自分はどれだけガキだったんだって‥。
あの日から少し経って陰口を言われてることをアイツの親友‥志乃から聞いた。
泣きながら―‥‥
ひっぱたかれたんだよな。
アイツの気持ちを‥素直に喜べたら、今‥‥隣にお前が居たのに‥。俺のせいで辛い思いさせて‥‥最低にも程がある‥。
黒「はぁ‥休憩だとよ」
恋「はぁ‥‥はぁ‥やっとかι」
浮「おっ!!頑張ってるな!!」
織「浮竹先生、こんにちは!」
乱「そりゃあ頑張りますよ~次の練習試合の相手あの有名な強豪校ですからねんvV」
しーーーー‥‥んッ
《えぇ――――――――‥ッ!!!?》
そうか、それで最近やたらと張り切っていやがったのか‥ι全国大会常連校相手に練習試合を組むか?普通‥ι
ウチのサッカー部も弱小ではないが、全国大会は数回行っただけだ‥‥‥大丈夫なのかよι
かなりの驚きに一護や恋次は真っ青になりながら松本に迫っているが‥当の本人はやる気満々だι
浮「勝ち負けではなく、精一杯頑張ることが大事だぞ!」
恋「無謀だろ‥ι」
黒「かなりなι」
ル「まさか、あの有名な強豪校とはι」
織「流石、乱菊さんだよねι」
浮竹‥‥‥先生の言葉も今は意味がねーな‥‥全員の心の中は‥
ーーーーー有り得ない
その一言だろうな‥。
俺もそうだし‥。
浮「そうだ、お昼を食べるなら図書室に行くと良い、あそこなら涼しいからな」
ル「ですが、図書室は飲食禁止では‥?」
浮「そうなんだが、ひとりの生徒が夏休み図書室を開けて欲しいと頼まれてな、夕方まで居るもんだから夏休みの間だけ許しているんだ」
乱「夏休みなのに、図書室通いってι」
恋「それよりも、随分優遇されてんなァ」
浮「あの子は本が好きで図書室が落ち着くらしい今日も来てるから仲良くするといい」
黒「まっ、こんな暑い中で昼飯食うよりはいいんじゃね?」
冬「まぁな‥」
本が好き‥‥‥まさかとは思うが、アイツか?――‥‥って、何期待してんだか‥。例えアイツだったとしても‥‥話すなんて、出来やしねーだろうな‥。
いつまで、片思いしてんだよ‥‥さっさとしねーと‥‥誰かに―‥‥。
乱「‥日番谷!!」
冬「うわぁッ!!?」
黒「大丈夫か?冬獅郎」
恋「どうしたんだよ、ボーッとしてよ」
織「熱射病かな?大丈夫、冬獅郎君」
ル「少し涼んだ方が良いのではないか?」
浮「そうするといい、何なら図書室に行きなさい」
冬「‥‥‥ι」
断りずらい‥ι
浮竹に促されるまま校舎に足を運んだ。
アイツだったら―‥‥そう、期待するも不安もあった‥。
ゆっくり、ドアを開けると涼しい冷気が汗ばんだ頬を撫でる。
恐る恐る中に入る‥そんな自分に笑いが零れた。アイツの指定席になってる場所‥‥そこに―‥居た。
冬「‥‥寝てる‥」
‥腕を枕にして‥。
緊張が解け、息を吐いた―‥‥よっぽど緊張してたんだな、俺―。人の気も知らず眠り続けるあやめに歩み寄った。
こんなに近くで見たのは、久しぶり‥だな‥。
気持ち良さそうに眠るあやめに口元が綻ぶのがわかる‥不意にノートを見ると、小さな字で二文字が‥モヤモヤとしたモノが胸に広がる。
冬「‥誰、なんだよ‥」
そこに書いてある文字‥
好き
たったその二文字が俺の心を揺るがす‥。
サッカー部の誰かか?
あの時、見てた奴のことが‥‥好きなのかよ‥。
イライラする気持ちを抑え、頬を撫でた‥。
『‥‥ん‥』
くすぐったいのか身じろぐあやめ、そんな反応に吸い込まれる‥‥気付いたら、口元にキス‥してた。
そのまま図書室を出ると、頭が冷える代わりに頬に熱が集まるのが自分でもわかる‥。
冬「何してんだ、俺‥ι///」
額に手を当て、頭を抱える‥無防備な‥ましてや、寝てる人間にキスするなんて‥
でも‥それだけ俺は揺らいでた―‥たったその二文字で‥。
あんだけのことしておいて、とはわかってる‥だけど、願っちまう‥。
俺を見て欲しい‥三年前のように―‥と。
―――――――‥
『‥‥ん‥』
私、寝ちゃってたんだ‥。
何しに来たんだかι
ふと、目に入る‥ノートの端に書いた二文字‥書きながら思い浮かべてたのは、やっぱり彼なわけで‥未練がましい自分に笑えて来た。
ガラッ
乱「涼しぃ~vV」
織「乱菊さん、図書室だから静かにしないとι」
恋「つっても、生徒ひとりだろ」
ル「まぁ、そうだが」
黒「騒がなきゃ大丈夫だろ」
冬「松本が居る時点で無理だな」
なんだか、騒がしくなったと思ったら‥サッカー部の人たちι
しかも、色んな意味で目立つ存在の‥
‥居ずらいな―‥‥
声からして間違いなく彼も居る‥。
織「あ!やっぱり、あやめちゃんだった!」
『‥姫ちゃん』
姫ちゃんとは中等部(エスカレーター式の学校なのだ)からの友達だったりする。
今じゃ、人気者のひとりだからあまり話すことがなくなってた。
私には、別世界の人に見える‥から。
それでも、すれ違えば声を掛けてくれる優しい子。
乱「織姫の知り合い?」
織「はい、中等部の時の友達で!今じゃ、あんまり話せなくて‥ι」
『クラス違うから仕方ないよ』
ごめんね、と言う彼女に笑って答えた。
少し話した後、姫ちゃんたちは二階の席で昼食をとっている。
なんだか、本当に居ずらいよ‥ι
楽しげな笑い声が響く中、食べ終えたお弁当箱をしまい‥本でも読もうと立ち上がる‥すると、同時にまたひとり入って来るなり二階に上がって行ってしまった。
『雛森さんか‥』
本当に可愛い人だと思う。彼の隣に並んでも違和感がないもんね‥私なんか‥‥そこまで考えて頭を振って止めた。
考えたって、初めからわかってることだから‥‥似合わない‥そんな、こと‥。
『本、探さなきゃ‥』
何かあるかなぁ?
確か、七緒先輩が新しい本を入れたって言ってたよね、この辺りかなぁ?
‥‥あ、結構入れたんだぁ~‥。
本棚にズラリと並んだ真新しい本たち‥その中から一冊、気になる本を見つける。
随分上だよι
手を伸ばすも僅かに足りず、仕方なく踏み台を持って来ることにした。読みたかった本に手を伸ばしていたら‥‥。
冬「‥‥うるせぇって言ってんだろッ!!」
『Σ!!?‥きゃァ!!』
バタンッ ドサドサッ
いたた‥ι
踏み台だってこと忘れてた‥‥いきなりの怒鳴り声に驚いて、足を踏み外し‥落ちた。肘擦りむいたぐらいで済んだ。
織「あやめちゃん!!大丈夫?」
『うん、ちょっとビックリして足を踏み外しちゃったι肘擦りむいたぐらいだから‥大丈夫だよ』
心配そうに走って来た姫ちゃんに笑って言うと、他の人も駆けつけてくれた。
自分の不注意だから、そう話す私に日番谷君だけは罰の悪そうな顔をしているコトに気付いた。
黒「ほら、立てるか?」
『‥ぇ‥ぁ、ぅん‥ぁりがと///』
冬「‥‥ッ‥」
差し出された手に、少し恥ずかしさを感じながら手を伸ばして立ち上がる。
チラッと気付かれないように彼を見ると不機嫌そうに顔を逸らしていた‥
私、嫌われてるな‥
わかっていてもやっぱり、チクッと痛みを感じた。
乱「まったく!日番谷が大声出すからよ!!
‥って、日番谷!?」
冬「‥‥‥」
松本先輩の言葉を無視して、足早に出て行ってしまった‥。
恋「どうしたんだ?アイツ」
ル「随分、機嫌が悪いようだが‥」
乱「謝りもしないなんて!!」
雛「乱菊さん、落ち着いてι」
首を傾げる松本先輩たちに対して私は‥私の心は‥小さな痛みを感じてる‥。
本を戻して、バックからポーチを取り出す‥確か、絆創膏が入ってたはず‥
‥あった‥‥ぁ‥。
外を見ると、さっき出て行った彼がグランドでリフティングをしている‥。
『‥‥日番谷君‥』
何があったのか‥私には聞くことも、権利もない‥‥それでも、気になるのは‥彼のあんな顔を見たから‥。
辛そうな‥悲しそうな‥‥そんな、複雑な顔を―‥。
織「あやめちゃん」
『ぁ‥な、何ι?』
織「今でも、好きなんだね‥冬獅郎君のこと」
図星を指されて恥ずかしさに俯く‥あの日のことは姫ちゃんも知ってるから尚更、恥ずかしい‥。
振られて尚、好きでいる‥
志乃にすら話していない‥。
『未練がましい‥よね‥私‥』
織「‥‥あやめちゃん」
『わかってるんだけど‥‥嫌いに、なれなくて‥
だから、せめて此処から見ていようって』
話せなくてもいい‥
見てもらえなくてもいい‥
私が勝手に好きでいるだけだから‥。
織「‥明日、一緒にお祭り行かない?」
『お祭り?』
織「うん!花火大会でもあるんだよ!明日なんだけどあやめちゃんも行こう!」
お祭り‥あそこの神社の花火大会か‥去年は志乃が居たけど今年は居ないから諦めてたんだよね‥。
花火見たいし‥‥。
『うん、私も行きたかったから是非』
織「やった―!!じゃあ、明日ね」
『うん!』
笑顔で喜ぶ姫ちゃんにつられて笑う。
松本先輩たちが部活に戻って行くと再び図書室は一気に静かになった。
再び、窓の外を見つめる‥。
―――――――‥
イライラする‥。
あれから、昼休みが終わり部活が再開しても俺の心はどす黒いモンでモヤモヤしている。
冬「‥チッ‥」
あの時、雛森があやめのことを覚えていたからあの日の話になった。一護や井上は事情を知ってるから、なんとか逸らそうとしたが無駄に終わり、イライラして‥‥怒鳴った。
まさか、アイツに怪我させるとは思わなかった‥‥雛森への罪悪感より、あやめへの罪悪感が強く残る。
自分の不注意だと笑う‥アイツに一護が手を差し伸べ、それを恥ずかしそうに赤らめているのを見て確信した。
一護が好きなのだと
嫉妬深い自分に笑えてきた。こんなにも独占欲が強かったのか‥。
言い寄って来る女なんてたくさんいた‥外見だけで騒ぐ、女子なんてそんなモンだと思ってた。
だけど、あやめは違った‥。ただ、ずっと窓越に見てるだけ‥そんな奴初めてで、気が付いたら‥俺も目で追っていたんだ。
冬「‥‥らしくねーな‥」
練習中、ずっとアイツのことを考えてるなんて‥。
黒「そういや、明日花火大会だから全員来いって乱菊さん言ってたぞ」
冬「面倒くせェー」
恋「けどよ、参加しねーと後が面倒だぜェ」
黒「確かになι」
冬・黒・恋「「「はぁ‥‥ι」」」
家に着いてベッドに寝ころぶ。
頭に浮かぶはあやめの顔‥。
此処まで来ると重症だろ?
三年―‥‥あの日からずっとアイツのことしか気にならなかった、告白されても断って‥‥。あやめ以外興味ない‥どうしようもなく好きなんだ‥お前が―‥。
いっそ‥奪ってしまおうか?
‥‥虚しいだけだ‥
幾度となく繰り返す自問自答‥馬鹿らしさにまた笑えてきた。やっと近づいたってのに‥‥また、離れて行くのかよ‥!
冬「‥どうしたら‥‥お前は俺の傍に居てくれるんだ?」
自分で傷つけておいて、今更だけど‥‥好きなんだ‥ずっと、触れたくて‥抱き締めたくて‥‥。そっと唇に触れ‥‥どうすりゃいんだよ‥。胸に広がるモヤモヤは消えてはくれず、次第に濃くなる‥。
―――――――‥
昨日姫ちゃんに誘われた花火大会が行われる神社は凄い人だかり、出店などで賑わっている。
姫ちゃんと合流するといつものメンバーが揃って居て‥少しだけ、居ずらい‥と感じてると‥はしゃぐように人だかりの中を歩く。
最初は戸惑ったけど、いつの間にか楽しんでる私が居た‥。
だけど、彼は‥ずっと難しい顔をしていた。
乱「そろそろ花火が上がるわよvV」
恋「んじゃ、見えるとこに移動しようぜェ」
ル「あぁ」
黒「井上はぐれんなよ」
織「うん!」
雛「ほら!日番谷君行くよ!」
冬「うわっ!?引っ張るなよ!」
『‥‥‥』
仲良いなぁ‥
なんだか、カップルに見えてきた‥。その光景にチクッと痛みを感じていると‥‥。
『‥ぁ‥れ‥?』
俯いている内に、前に居たはずのみんなの姿がなくなっていた。
はぐれ‥ちゃった‥‥あはは‥馬鹿だな、私。この分だと誰も気付いてない‥。
ゆっくり歩いていると‥神社の裏手にある泉に来ていた。
此処‥前におばあちゃんに聞いた縁結びの泉、だよね。
『やってみよう‥』
下駄を脱いで、そっと‥泉に足を浸す。
冷たい水は火照った体を冷ましてくれる‥。
そして‥‥ただ、ひとりを思い浮かべる。
三年の月日が流れても、私の心に芽生えた彼に対する気持ちは枯れることなく‥ずっと芽吹いたまま‥。
最初はただ、いつもあそこで寝てるんだ‥その程度だった。それが、毎日居るから‥いつも窓の外を見てる自分が居た‥。
寝顔は可愛いなぁ‥とか
あんな風に笑うんだ‥とか
ひとつひとつ見つけている内に‥‥好きに、なってたの‥。
でも‥それも、今日でおしまい‥いつまでも彼を追ってばかりじゃいけないもんね‥。
サクッ
不意に聞こえた足音に振り返る‥そこには‥
冬「‥‥何してんだよ、こんな所で」
彼が、居た‥‥。
『‥‥う、そ‥』
凄く嬉しい‥その思いが胸に広がる。
だけど、次の彼の言葉で目の前が真っ暗になる。
冬「‥‥お前でもこんなの信じてんだ」
『‥‥ぁ‥//』
冬「縁結び‥確か、好きな奴思い浮かべるんだよな?
‥悪かったな」
『‥ぇ‥』
どうして、謝るの?
私が、心から思い浮かべてたのは日番谷君のことだよ?
だけど、口にする事が出来なくて‥ただ、彼を見つめることしか出来なかった。
冬「俺の時は手紙だったのに、次は神頼みかよ」
『‥‥‥』
冬「そんな好きなら告白すりゃいいだろ‥まぁ、お前に言っても出来やしねーだろうがな」
チクチクと刺さる彼の言葉‥。
言い訳も出来なくて、ただ俯いて聞いてるしかなかった。
呆れられた、よね‥馬鹿だな‥わかってたことじゃない‥
それでも、来てくれたことが嬉しかったのに‥‥
『‥‥なの、ないよ‥』
冬「‥ぇ‥‥ぁ、おいッ!!」
瞳から溢れては流れていく涙に気付かれたくなくて、その場から‥‥逃げた。
下駄を履かず、手に下げて神社を離れた。結局、また‥最悪の幕引きだ―‥でも、吹っ切るには、ちょうど良かった‥かな‥‥。
―――――――‥
アイツが居ないことに気付いて、探していたら‥なんとなく泉の方に足が向いていた。
まさか、本当に居るとは思わなくて‥同時に、縁結びの話を思い出した。
一護のこと考えてたのかよ‥
そう思ったら、どす黒いモンが広がって‥また、あやめを傷つけていた。
震えた声が聞こえたと思ったら、アイツは走って、消えた‥。
また、繰り返す自分に腹が立って来た‥。
冬「告白出来ねーのは俺も同じじゃねーかよ‥」
冷えた頭に後悔だけが残る‥。
泣かせちまった‥‥
そんな罪悪感に襲われながら、アイツ等の所に戻った。
黒「冬獅郎、アイツは?一緒じゃねーのか?」
冬「‥‥帰った」
黒「はぁ?
‥‥お前、なんか言ったのか?」
冬「‥‥別に、何も‥」
もう、追いかけることすら叶わない‥。アイツを追いかけるのは俺じゃねー‥。
黒「俺さ‥志乃とはダチでさ、アイツがお前の好きな奴誰だって聞かれて、教えちまったんだよ」
冬「‥お前‥」
黒「Σ怒るなよι
‥でさ、アイツ、あやめに告白するよう言ったんだよ‥大丈夫だからって」
冬「‥‥‥」
黒「それがあの日‥あんなことになって志乃は自分のせいだって泣いてたんだ」
一護の話を聞きながら、志乃に叩かれた日を思い出した。
パァンッ
冬「‥‥ぃって、いきなり何しやがる!!」
「あんたのせいよ‥‥
あんたのせいであやめは毎日クラスの子たちに悪口言われてんのよ!!」
冬「‥‥ッ‥?!!」
「“あんたみたいな根暗なんか日番谷君が相手にするわけないでしょう?身の程を知れ”って!女子だけじゃない男子も!!」
冬「俺の‥せいで‥‥」
それから、必死に笑いかける志乃に、あやめも次第に笑うようになってたんだよな‥。
黒「アイツ、いっつも図書室から冬獅郎見てだんだ」
冬「‥ぇ‥?」
黒「お前に気付かれないようにな、それに、昨日井上が聞いたんだと‥お前のことまだ好きなんだねって」
冬「なっ?!」
アイツが好きなのは‥一護じゃねーのか?
ずっと、見てたのかよ‥三年前のように‥。
黒「アイツ言ってたらしいぜ‥未練がましい、それでも‥嫌いになれないって」
俺は‥勝手に勘違いして‥思ってもないこと言って傷つけて‥離れてたのは、俺の方だった。
冬「‥サンキュー」
黒「早く行って来いよ」
冬「あぁ」
一護に感謝して走り出す。
会いたい‥
会って、今度はちゃんと伝えるから‥好きだ、って‥。
―――――――‥
キィッ、人気のない静かな公園のブランコに座りながら空を眺めてた。
『‥綺麗‥』
夜空を彩る、色鮮やかな大輪の花が咲き誇る。
結局、ひとりで見るなら‥来なきゃ良かった‥
止まることなく涙が頬を伝う‥。
ぼんやり空を見上げていたら、足音がして視線をそちらに移す。
『‥なん、で‥』
そこに居たのは、紛れもなく彼―‥日番谷君だった。
冬「はぁ‥‥はぁ‥見つけた‥」
走って、来たの?
私を探しに‥?
どうして‥混乱する頭に対して心は温かく感じる。
嬉しい‥そう、思っているんだろう‥なんて愚かなんだろうか‥。
冬「聞いて欲しいことがある‥お前に」
『‥‥‥』
私はただ俯いて頷いた。
冬「三年前、ほんとは俺‥
お前が好きだったんだ」
『‥!?』
驚く私をよそに、彼は淡々と話していった。
冬「でも、からかわれんのが嫌で‥あんなこと言っちまった‥‥ガキだったんだ」
『‥‥』
冬「お前が悪口言われてんの志乃から聞かされるまで知らなくて、守ってやれなかった‥」
彼の表情が気になって少し顔を上げる。
‥ぁ‥‥
そこには、昨日と同じ複雑な表情をしていた。
冬「まさか、昨日会えるなんて思わなくて、すげー嬉しかったんだ‥‥
でも、お前はもう俺のことなんかなんとも思ってないだろうって‥
好きな奴は別に居るんだって勘違いして‥」
思い当たる節が浮かんだ。
あの時、目があったこと‥
それを勘違いしてたんだ‥。
冬「今更、かもしれねーけど‥‥
あやめが好きだ」
『‥‥‥』
冬「悪ィ‥それだけ、言っておきたかっただけだ‥
‥じゃあ‥」
グイッ
冬「‥あやめ‥」
今言わなきゃ‥
ちゃんと、伝えなきゃ、後悔するから。
『‥私‥振られても、日番谷君を嫌いになれなかった‥
自分でも、釣り合わないってわかってる‥
でも、この気持ちだけは‥
無くならなかった』
日番谷君の服の裾をギュッと握る。
そうでもしないと立っていられそうにないから‥。
『だから‥あの泉で日番谷君が来なかったら本当に諦めようって‥
この気持ちとサヨナラしようって決めてた‥』
冬「じゃあ、お前が思い浮かべてたのは‥‥」
『日番谷君、です‥』
あなた以外思い浮かべる人なんか居ない‥。
俯いていたら、温かさを感じた。
抱き締められてる、そうわかるまで数秒かかった。
少し離れると頬に彼が触れ、顔を上げた。
冬「やっと、手に入れた‥もう離してやれねーからな」
『‥ん‥離さないで‥』
そっと唇を重ねると‥
ピュルルル~‥パァンッ
まるで、祝福するように花火が上がった。
遠回りの恋
(キスしたの二度目だな)
(え?!いつしたの!?)
(お前が図書室で寝てる時、唇の端だけどな)
(~~~~///)
(顔真っ赤、可愛い奴(笑))
(~~///(心臓に悪いよぉ///))
(好きだ‥あやめ)
(ふぁ‥///耳元でしゃべらないで///)
(‥楽しみだな(妖笑))
((身の危険を感じる‥ι))