◈愛しい人よ
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冬「‥‥茅‥」
「‥ぅ~‥ι」
冬「返せ‥‥」
「な、なら‥私も!!
冬「断る」
‥どうして―‥?」
苛々する。
ここまで、頭に来たのは久しぶりだろうな。何度も茅には手を焼いたが、今回ばかりは許すことは出来ねー。
冬「はっきり言って、面倒だ」
「!!?」
冬「連れて行ったってお前、駄々こねるだろ‥やる気はねー、下らねーことで騒ぎ出す‥そんな奴連れて行くわけねーだろ
大体、俺と一緒に居たいからって理由で誰が連れて行くか」
「‥‥‥」
カシャン‥
茅の手から滑り落ちたネックレスを拾おうとした‥‥そのとき―‥。
「‥‥コレが、いけないんだ‥」
冬「‥ぇ‥?」
ッジャリ、パキッ―‥‥
一瞬、何が起こったのかわからなかった‥‥
否、ワカリタクナカッタ―‥。
届きそうなくらいの距離で、残酷にもネックレスは茅に踏みつぶされた‥。俺にとって、コレは‥御守り同然で、いつも眺めて居るだけで‥心が落ち着き、安らいだ。
雛「茅ちゃん!!?」
乱「あんた‥‥!」
パァンッ‥
乱「何てことしてるの!!」
「‥って‥‥だって‥!!」
冬「松本、もういい‥‥」
乱「隊長‥‥」
雛「日番谷君‥‥」
ゆっくりネックレスを拾い上げる‥‥欠けちまったな‥‥修復なんて出来ねーし‥。
女々しいが、かなりショックが大きい。
ふと、あやめの笑顔が頭に浮かび、逢いたくなった‥。
冬「‥茅、お前はもう、いらねー」
「‥ぇ‥?!!」
冬「面倒みるなんてごめんだ‥移動して平からやり直せ」
恋「それはねーんじゃないんですか‥日番谷隊長」
冬「何がだ‥‥阿散井」
恋「確かに茅のやったことはいけないですが、隊長であるあんたの私情で移動に降格なんでやりすぎじゃないッすか!!」
乱「恋次!!」
恋「!!?‥乱菊さん」
乱「隊長の意見に私は賛成よ」
恋・雛「「「Σ?!!」」」
乱「この子が隊に迷惑を掛けてるのも事実、そのたびに隊長がカバーしてるのよ?
本来、カバーしなきゃならないのは私たちでしょう‥違う?」
黙り込んだ三人から視線を寄越す松本に後を頼み、現世に向かった。
早く‥早く‥‥あの、柔らか笑顔が見たい。
冬「くそっ…柄にもなく、泣きそうだ…」
―――――――‥
ゆっくり、人並みを歩く。
私に気付く人なんて居やしないものね。幽霊を見る人はそう多くはないもの‥ふと、見ると‥小さな女の子が母親の手をしっかり握り締める姿が見えた。
一度離してしまったら、見つけるのは大変だろう。
『そういえば、冬華もよく迷子になってたなぁ‥(微笑)』
よく、困ったものだ。
同じようなことを何度も注意するのに、次には同じように迷子になっているんだものι
不安げな顔をしていたと思いきや、いきなり安心して大泣き‥今思えば、笑っていられるけど…その時の私は余裕なんてなかった。あの人の忘れ形見のあの子まで居なくなったら‥‥そんな考えさえしてしまうくらい‥。見つけた瞬間泣きたくなるのはいつものこと。
私は、母親らしいことをちゃんとしてあげられたかしら?
冬華の花嫁姿を生きて見ることは出来なかったけれど、この目でちゃんと見れたからね。
貴女の幸せを心から望んでいるから‥
そして、冬獅郎さんも‥‥。
『どうか、幸せに生きて下さい』
―――――――‥
冬「居ない‥‥‥」
いつも居るはずの場所にあやめは居なかった。アイツが行きそうな場所なんて知るわけもない、親しいわけでもないから当たり前なんだが‥‥‥どうしてもあやめに逢いたかった。
何故かなんてわからねーんだ‥アイツに惹かれてるのは分かる。今時、一目惚れなんて流行らねーが‥俺は、アイツに一目惚れしたんだ。
冬「何処行ったんだよ‥‥
あれは?」
いつも見下ろしていた家から出て来たのは、俺のように白銀の髪に翡翠の瞳。
そして、アイツに良く似た女。
『冬獅郎さん?』
冬「‥あやめ」
『また、来てるとは思わなかったわ(微笑)』
冬「あぁ‥ちょっとな‥」
フワリと笑うあやめを見たらホッとした。
さっきまでの苛立ちさえ、一瞬で消えちまった。
不思議な奴だ‥其処に居るだけなのに当たり前とさえ感じるんだからな。
『それ‥』
冬「あぁ、ちょっと色々あってな‥」
手の中のネックレスは、傷が目立ち、欠けちまった‥‥。
なんで、こんなに大切なのかわからねーが‥ないと不安になるほど大切な物だ。
『‥‥はい』
冬「‥これ、なんでお前が‥?」
其処にあったのは、俺のとまったく同じのネックレスだった。驚く俺をよそに、あやめは俺のそれと自分のそれを交換した。
冬「ぁ、おい!」
『‥私も同じ物持ってたから、交換ね(微笑)』
冬「交換ってな‥
それ、傷だらけだぞ?
おまけに欠けちまってるし‥」
『そうね‥
でも、私‥
冬獅郎さんの悲しそうな顔、見たくないわ…』
冬「‥んな顔、してねー‥」
精一杯の強がりだ。
コイツの前じゃ、そんなモノも意味はないらしいな‥良く、気がつく奴だ。
『付けてあげるわね』
冬「ぉ、おい‥///!?
恥ずかしいだろうがι///
細い腕を首に回し、軽く背伸びをするあやめに対して‥俺はされるまま熱くなった頬を隠すように顔を逸らした。
甘く香るあやめの匂いに脳が麻痺していく‥。抱きしめて、その唇を奪いたい―‥‥そんな衝動に駆られる。
コイツには、待ってる奴が居るんだ‥そんなことしたって悲しむだけだろう‥?
『これで大丈夫ね
‥‥‥冬獅郎さん?』
冬「悪い‥‥
少しだけ、こうしてていいか?」
『‥‥えぇ』
肩に額を乗せるとあやめは優しい声色で頷いてくれた。
その細い腕を背中に回し、ポンポンと優しく叩く。
完璧にガキ扱いしてやがるなι
でも、今は、何も言わねーでおいてやる。それが、心地良いと感じてるから‥。
『明日で、此処とサヨナラしなきゃならないのね…』
小さく、だけどしっかりとした声色であやめは言った。
冬「寂しいか?」
『少し、それに‥冬獅郎さんにも逢えなくなるもの』
冬「‥!?」
驚いた‥。
あやめの言葉よりも、その表情に‥。
今にも、泣き出しそうな顔に‥‥。
なんでだよ‥なんで、そんな顔すんだよ。
お前が待ってんのは、俺じゃない他の奴だろ?
夢の中のアイツと重なる‥‥あれは、あやめなのか?
『貴方は、私を忘れないでくれる?』
冬「ぇ‥?」
『あの人は私を忘れてしまっているなら‥‥貴方だけでも、私を覚えていてくれない?』
儚げに微笑むコイツを、忘れるなんて俺には出来ねー。
冬「あぁ‥忘れたりしねーよ」
『ありがとう‥』
冬「必ず、見つけてやる」
『うん‥』
どちらともなく、抱き締め合った。
ずっと、辛かっただろうに‥何年も待ち続けて。
なら、今度は俺が、見つけてやる。必ず‥そう、心に決めた。
―――――――‥
『‥‥‥決意が、揺れてしまいそう』
貴方との約束が、冬獅郎さんの言葉で揺らいでしまう。
出来るなら‥今すぐ、全てを話して楽になってしまいたい。けれど、それじゃ‥意味がない気がするから。
意地悪だと思う‥でも、やっぱり貴方自身で思い出して欲しいの‥
わがままかもしれないけど‥。
『‥‥中、見てなかったのね
冬獅郎さんらしいけど(微笑)』
ロケットになっているなんてわからなかったのね…。
カチッ―‥
『‥‥!
‥‥ふっ‥ッ‥』
中には、私の写真と文字が刻まれていた。
“I'll love you forever―永遠に君を愛してる―”
知らなかった‥こんな‥普段から言う人じゃなかったけれど‥。
『愛されてた‥のね…私‥‥』
私も、貴方だけを愛してるわ‥‥冬獅郎さん。
明日は貴方の誕生日―‥‥
そして、私が‥消える日―‥。
最後まで、信じてみようと思うの‥‥最後の悪あがき‥。
『気付いて下さい‥
私は、今も貴方だけを愛し‥
待ち続けています‥‥
冬獅郎さん‥』
―――――――‥
夢を、見た―‥‥。
いつも見続けているあの夢を‥‥。
『冬獅郎さんッ‥!!?』
冬「‥必ず、見つけ‥‥からッ‥」
『待ってるわ‥‥ずっと、待ってるから‥見つけッ‥私を!!!』
冬「あぁ‥‥」
『もし、来なかったら‥―――――――‥』
冬「約束、な‥‥」
何度も、何度も同じところを繰り返し見続けて来た。
それでも、女の言った“約束”だけが、どうしても聞き取れない‥。
思い出さなきゃ、なんねー気はしてるのに‥な‥。
冬「‥‥しかし、なんだこれはι」
乱「偶には、いいじゃないですか~vV
せっかくの誕生日partyなんですから☆」
冬「わかってんなら、休ませろよ‥‥ハァ~‥ι」
ガヤガヤと騒ぐ連中に溜め息しか出ねー‥ι
今日は、俺の誕生日partyとかで、現世で祝う事になった訳だが‥‥明らかに松本が楽しんでんじねーかよ。
茅は、あれから六番隊に移動し、楽しくやってるみたいだ‥。にしても‥‥疲れるな‥‥
あれは―‥。
あの時見掛けた女が花束を抱えているのを見掛けた。あやめと関係があるかも知れねーし‥‥行ってみるか。
俺は、黙って松本から離れて女の後を追った。
―――――――‥
冬「墓、参り‥‥‥ぁ‥」
墓石の上に座り込んで柔らか笑顔を浮かべるあやめの姿―‥。
知り合いだったのか?
「‥‥お父さんお誕生日おめでとう、今頃仲良くお母さんとお祝いしてるかな‥毎年お祝いしてたもんね」
『そうね‥』
アイツは、あやめの子供だったのか‥‥。よく見れば似てるな‥笑った顔が特に。