◈愛しい人よ
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あのね‥
私、貴方を好きになって
愛されて凄く幸せよ?
だって、あの子を残してくれたもの‥
冬「確か、報告ではこの辺りだったな」
乱「はい‥気配はないですね~」
雛「用心した方がいいですね」
冬「そうだな‥聞いてんのか!!
茅!!」
「聞いてるよ~☆
冬獅郎とお仕事だよね(笑)」
冬「‥‥もういい‥兎に角、注意しろ」
乱・雛「「はい」」
「はぁ~い」
茅を連れて来たのは間違いだな‥。完全に緊張感の欠片もないアイツが一番危険だろうな‥先が思いやられるι
報告によると、この辺りに現れているらしいが‥‥気配を消せるのか、それらしい気配はまったく感じられない。手違いかとも思ったが結論を出すには早過ぎるか‥。
乱「辺りをくまなく探しましたが出て来ませんね」
雛「手違いかな?」
冬「さぁな、兎に角もう少し探すぞ」
「えぇ~‥まだやるのォι」
やっぱり連れて来るんじゃなかったな‥ハァ~‥。
というか、
冬「そんなにやりたくないなら付いて来なきゃいいだろうが」
「だってぇ~‥冬獅郎と一瞬でも離れたくないし‥」
冬「‥‥‥馬鹿だろ」
「Σんなっ?!」
乱・雛「「うわぁ~~‥ι」」
雰囲気を一瞬でぶち壊す一言に幼なじみと自隊の部下ふたりは呆れかえる。
やっぱり連れて来るんじゃなかったな‥ここまで、馬鹿だとは‥‥深く息を吸い吐く。
大体、なんでコイツは“こう”なんだ‥?
毎日毎日毎日――‥俺の行く先々に必ず現れる、ストーカーだろう?
前に告白もされたが、俺にはその気はなかった。
茅自身はモテる‥気さくな性格だし、外見も可愛いだろう、事実一部ではファンクラブまであるくらいだからな。
だけど‥‥。
首から下げたシンプルなネックレスを見つめる。
死神は勿論、魂魄はソウルサエティに送ると同時に前世の記憶は消される。覚えている奴は少ない‥それだけ想いが強かったのだと思う。残念ながら俺には前世の記憶はない‥が、モヤモヤしたものが胸に広がる。このネックレスが忘れている何かを思い出す鍵なのはわかっているが、それ以外は思い出せずにいる。
大切な、何かを―‥‥‥。
♪~~‥
冬「‥‥なんだ‥?」
乱「歌、ですね‥」
雛「魂魄でしょうか?」
「行ってみよう☆」
冬「なっ!?
~~‥‥行くぞ」
乱・雛「「はい!」」
この出逢い自体‥
奇跡でしかなかった
―――――――‥
ある家を電柱の先に座り、見下ろしている少女がいた。
白のワンピースに肩より長い黒髪。落ち着いた雰囲気の小柄な少女は、柔らかな声色で子守歌を口ずさんでいた。
♪‥揺りかごの歌を
カナリアが歌うよ
ねんね子
ねんね子
ねんね子よ―‥‥
『‥‥誰?』
「私たちは死神よ!」
『死神‥‥』
「そう!
‥‥あ!冬獅郎」
『‥‥ぇ‥』
振り返る先には、同じように黒い着物を纏った死神がいた。
その中でも、一際目立つ銀髪の少年に視線がいく‥。
やっと、来てくれた‥
そう思った私に突きつけられた悲しい現実。
冬「ったく‥‥さっきのはその魂魄か」
「そうみたいだよ!」
『‥‥』
話しをしている内にフワリと電柱から降りる。
乱「ぁ、ちょっと!?」
雛「日番谷君!逃げちゃうよ?!」
冬「何ッ?!」
「あらぁ~‥」
冬「チッ‥追うぞ!!」
覚えてなかった。
彼は、私を忘れている‥‥。
死んであの世に逝くのだから前世の記憶など必要ないのはわかる、けれどね‥貴方は私を忘れたりしないって思っていただけにショックが大きいの‥。
私、ずっと待ってたのよ?
あの時“約束”したから‥‥。
ふと、足を止めるとしんしんと雪が降り出した。
『後、三日でおしまいにするわ
‥‥冬獅郎さん』
後三日、貴方の誕生日‥。
覚えていなくても、貴方に逢えた‥‥それでも、直ぐに消えないのは‥心の奥底で、まだ、信じているから‥。
首から下げるシンプルなネックレスは、彼とまったく同じ物だった。
―――――――‥
冬「居たか‥?」
乱「いえ、まったく見当たりませんよ~」
雛「こっちにも居なかったよ‥どこ行っちゃったのかな?
虚も出るし、心配だよね」
「疲れた~~‥ι」
逃げたあの魂魄を見たとき、胸の辺りがざわついたの感じた。
俺は、アイツを知っている‥‥?
あの歌声、夢の中の女によく似てたな‥。優しく、柔らかな声‥‥
とても落ち着くあの声に。
冬「夢、か‥‥」
昔からよく同じ夢を何度も見る。
顔は見えないが、女がいつも俺を見ながら泣いてるんだよな‥そして、俺はソイツと約束を交わした‥聞き取れなかったが。
そんな夢を繰り返し見続けてる。あれも、俺の前世の記憶なんだろうが‥‥それ以上は、思い出せていない。
俺自身がそれを望んでいないのかも知れねぇな‥。前世は過去になったのだから今を生きる為には必要ないのかもな‥。
乱「隊長、どうします?
しかも、雪降って来ましたしι」
雛「寒いね‥ι」
「うぅ~‥‥帰ろうよ、冬獅郎~!」
冬「ハァ~‥‥ι
明日、出直すか‥」
魂魄の安全も気掛かりではあるが‥‥防寒対策してねーからなι風邪でも引かれるのも面倒だし、俺だけでも手が空き次第もう一度来ればいいか。
とりあえず‥‥
「寒い寒い寒い寒い!さ~~む~~い~~‥!!」
冬「このバカを黙らすのが先だな‥」
乱「そうですねι」
雛「茅ちゃん‥ι」
次はぜってぇ連れて来ねぇ‥。そう心に決めて一旦帰還した。
―――――――‥
何年振りだっかしら‥あの人を見たのは‥。
もう、随分時が流れてしまったのね‥。
ふわっ
彼等が帰って行った後、私はまたある家の電柱の先に座った。
もう何年もこうして此処に座っている‥ただ、座って‥見てる。あの家で暮らす家族を‥。
『もう少しで、見納めね‥』
そう思うと、寂しいけれど‥あの子なら大丈夫だって信じてる。
だって、私の自慢の‥‥
娘だから――‥。
次第に明るくなって行く空を見上げていると‥‥
ぱさっ
『‥‥ぁ‥』
振り返ると、彼が‥居た。
冬「そんな薄着だと風邪引くぞ‥」
『‥‥そうね‥ありがとう』
ぶっきらぼうに心配してくれる死神の彼。
本当に、忘れてしまったのだと‥微かな痛みを胸に感じた。
こんなに、近くに居るのに‥
こんなに、思っているのに‥
神様が居るなら、よっぽど意地悪なんだろう。
なら‥‥
冬「何故、こんな所に座ってんだ?」
『‥なんとなく‥此処なら、直ぐ見つけくれるかな‥て』
冬「誰にだ?」
『愛しい人に‥‥(微笑)』
貴方に、何も話さない事にするわ。きっと知ってしまったら‥貴方は困ってしまうから‥‥
私は、貴方に逢えた―‥‥それだけで、充分なのだから‥。
せめて、後二日間‥傍に、居させて下さい。
居るかもわからない神様にそう願った。
『何か用かしら?』
冬「あぁ‥俺たち死神はお前みたいにさまよってる魂を送るのが仕事だ」
『そう、私を迎えに来たの‥‥
でも、ごめんなさい‥私は逝けないわ』
冬「このまま此処に留まれば、いずれ化け物になっちまうぞ」
『それでも、逝けないの‥ごめんなさい』
あの日交わした約束―‥。
彼と死に際に交わした‥大切な約束があるから。
それを、破ってしまったら‥本当に、貴方との絆-ツナガリ-を失ってしまいそうだから‥
冬「こんな所に居たって、迎えになんか来ないぜ‥」
『‥‥‥』
冬「生前の記憶が残ってる奴なんてそう居るもんじゃない」
『それでも!
‥待って居てはいけない?』
顔を見ることが出来ない‥‥わかっていたことを指摘されたのが苦しくてギュッと手を握り締める。
貴方にとって、私は‥簡単に消せてしまう存在だったの?
冬「‥‥これ以上待って居ても、お前が辛いだけだ」
『‥‥‥わかっているの‥そんなこと‥
それでも、信じているの彼の言葉を』
真っ直ぐ見つめながら‥。
後二日‥待ってもらえるように頼み、彼はそれを呑んでくれた。
その後場所を移して、たわいもない世間話をした。一つ一つの仕草、表情がとても懐かしい‥‥何一つ変わってはいないのね‥昔もよく眉間に皺を作って不機嫌な顔をしてた。
それでも、優しく笑う表情は柔らかで‥ドキッとする。
『その子、本当に貴方が好きなのね‥』
冬「行動は犯罪に近いがな‥」
『でも、嫌いじゃない‥でしょ?』
冬「‥‥まぁ、な」
『フフッ‥‥
素直にならないと誰かに取られちゃうわよ?』
冬「なっ//!!?アイツはそんなんじゃねー!!」
『違うの?』
冬「当たり前だ//!!
‥‥ったく、茅に恋愛感情はねーよ‥」
『どうかした?
‥‥ぁ‥』
彼の手に握られたネックレス‥。無意識に自分のそれを握り締める。
持っていた‥‥それだけで、彼が私の待ち望んだ彼である証拠‥‥でも、記憶のない彼に見せたりしたらきっと――‥。
さっき、決めたじゃない‥
言わないでおこうって。
『‥‥綺麗ね』
冬「‥‥あぁ、ずっと持っている物だ
生きていた頃の‥大切な物―‥だったんだろうな」
『‥‥とても、大事なのね‥
すごく優しく笑っているから(微笑)』
冬「‥あぁ、コイツのおかげで今まで頑張ってこれたからな‥」
私もよ‥‥この世で私たちを繋ぎ止めるのは、このネックレスだけだから‥。貴方の記憶に私が居ないなら、せめて‥これだけは離さないで‥。
冬「‥‥どうした?」
『‥何でも、ないわ』
冬「何でもないわけないだろ‥」
『‥‥ぁ‥』
冬「気付くのおせ―よ
‥泣いてんだろうが‥お前」
知らずに涙は頬を伝い零れ落ちていた。
あぁ‥‥神様‥私は、なんて‥幸せなのでしょう
無駄なのだと思い始めていたのに―‥彼が、心から愛した人が今‥目の前に居るなんて。
そして、なんて‥‥残酷なのでしょう
優しくも罪深い‥それが、神様なのかしら‥。
それでも、私は感謝です。
最後の最後に暖かな気持ちで‥
消えて行けそうだから―‥‥。
冬「大丈夫なのか?」
『えぇ‥‥ごめんなさい‥いきなり、泣いたりして(苦笑)』
冬「ったく‥‥焦っただろうが‥」
『貴方でも、焦るの?』
冬「当たり前だ‥‥ぁ‥」
『何?』
冬「名前‥名乗ってなかったなι」
『そういえば、そうね(笑)』
知ってるわ‥ずっと、呼んでいたもの。貴方は、忘れてしまっているけど‥また、覚えてね?
今度は、絶対に忘れないで‥。
冬「日番谷 冬獅郎だ」
『私は、あやめよ』
冬「あやめ‥‥?」
『どうかした?冬獅郎さん?』
冬「‥ぇ‥‥ぁ‥いや、何でもない」
『そう‥』
その後、冬獅郎さんは仕事があるからと言って、帰って行った。
ちょっと、期待したんだけど‥やっぱりダメよね。未練がましいな‥私も‥。
いつものように、指定席に座る。
だけど、今日はいつもと違うところがある。
それは‥首に巻かれたマフラーだ。寒いだろうと冬獅郎さんが貸してくれた物。
『本当に、優しい人‥』
そんな所に惹かれたのだけれど。不器用な彼なりの優しさ‥それが、私が惹かれた理由。
そのとき、いつも見ていた家から女性が出て来た。
『父さんにやっと逢えたわ‥
冬華』
これで、貴女ともお別れね‥。
―――――――‥
昨夜、出逢った魂魄の名はあやめ‥。その名を聞いた時ふと、違和感を感じたな‥。
聞いたことがある‥‥気がしする。いや、それどころか‥その名を口にしたとき、不思議と胸が高鳴った。
一体、何なんだ‥自分のことの筈なのにワケがわからねー‥。
それに‥なんで、アイツはいつ現れるかもわからないような奴を待っていられるんだ?
必死に、けれど、儚げに微笑むあやめは‥‥素直に綺麗だとさえ思った。柄じゃねーけど‥。
話をしていても、アイツ‥笑ってたな。
小柄な外見に似合わねーくらい大人びた柔らかな雰囲気の綺麗な女‥‥。
知らず知らず、気を許して愚痴っちまったι
初めて、逢った筈‥‥なんだがな―‥。何故か、当たり前と感じた。
冬「‥‥何でだ?」
乱「どうかしたんですか?隊長」
冬「いや‥何でもないそれより、茅はどうした?」
乱「いつもの昼寝じゃないですか?」
冬「またか‥‥」
乱「探さないんですか?」
冬「戻って来たってうるさいだけだろ」
乱「うわぁ~ι
‥隊長、酷いですよ?その言い方は」
冬「事実だ」
言い方も何も‥アイツが戻って来て静かな日があったかよι
バカ騒ぎした挙げ句に書類は終わらず‥結局、毎回俺がやってるっつう―のに‥ハァ~‥。
乱「‥‥隊長は茅が嫌いですか?
あ!もちろん、恋愛対象として、です☆」
冬「普通」
乱「Σ早っ!!」
冬「前にも言っただろうが‥アイツをそう言う対象として見てねーって下らねーこと言ってないで手を動かせ」
恋愛対象‥‥
強さだけを追い求めて、必死になって‥隊長になってからも職務に追われてたからな‥そんな暇さえなかった。
いや‥そんな対象者に出逢わないだけか‥事実、何度か告白されたことがあるが‥全て断って来た。
茅も例外なく、断った‥‥が、アイツは今もしつこい。どうにかして欲しいくらいだι
乱「そういえば、隊
「ただいま、冬獅郎☆」
・・・」
うるさいのが来たか、完璧に松本の言葉を遮ったな‥。いきなり賑やかだ‥‥疲れる‥。
と、忘れるところだった。
「でねでね!そこに‥
冬「茅‥うるさい」
‥‥むぅ~‥」
冬「松本、さっき何言おうとしたんだ?」
乱「そうでした!昨日逢ったあの子どうするんですか?
今朝、逢って来たんですよね?」
冬「そのことか‥本人の希望で後二日待つことにした
その間は手が空き次第様子見に行く
少し、気になることもあるしな」
アイツがいつも見つめている家。留まり続ける理由がわかるかもしれねーし‥‥何より、俺個人が知りたい‥なんでかはわからねーけど、あやめを知りたいんだ。
「また、現世行くの?冬獅郎が行くなら私も
冬「来なくていい」
‥‥ぇ‥?」
冬「現世へは俺ひとりで行く‥お前は書類終わらせろ」
「‥‥‥えい☆」
冬「なっ!?」
乱「茅?!」
「連れて行ってくれないなら代わりにこれ貰うね☆
バイバァ―イ(笑)」
たかだかネックレスを取られただけ‥‥いつもなら、それで終わっただろうが‥‥あれは特別だ。
流石に、頭に来た。
雛森にさえ触れさせなかったんだ‥それを―‥。
冬「幻滅だな‥‥」
乱「隊長、茅は気を惹きたくてι」
冬「関係ねーな‥」
兎に角、さっさと取り返しに行くか‥。
今度という今度は許さねー‥。
バタンッ
乱「Σ~~‥‥ハァ~‥バカね、あの子」
まぁ、これでキッパリ振られてくるでしょう。
はじめから茅じゃ無理だったんだから‥。
隊長は、無意識にネックレスが繋ぐ不確かなモノを追って居るんだからね。