五条
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◈◈◈
高校三年目の春。桜が見頃だと今朝のニュースでやってたコトを思い出しながら登校。
呪術高専に通い初めて三年目。普通とは違う日常に身を置くようになって、友達も出来た。大変ではあるけど、なんとかやっています。
ただ、一つだけ、出来ていないことがある。それはー・・・一つ下の男子二人と一度も顔を会わせていないこと。男性が苦手な私への配慮と、その二人は問題児とされているから。遠目から見かけたことはある。
一人は、透き通るようなビー玉みたいにキラキラした瞳に綺麗な顔立ち、高い身長に白髪の髪色。イケメンと騒がれているだけあると思う。
もう一人は、やはり高い身長に綺麗に纏められた黒髪。柔らかい雰囲気で、いつも笑みを浮かべてる。こちらもイケメンだと騒がれていた。
でも、見かけとは裏腹に中身は最低だと同級生が言っていた。仲の良い一年の男子も彼らと居る女子も共に出るのはクズの一言。問題児だとは聞いていたけどそこまでなの?と聞き返したくらい。最強と言われてる彼らと、戦力外の私ではきっと馬鹿にされるだろうからこのまま関わらずにいよう。そう、決めて一年が経ち。
今年もこのまま、と思っていた春の日。
・・・ーーーー今年は、違ったのです。
□■□■□■□
『お花見出来たらいいなァ』
何かと任務でそんな時間なかなかないけど。
些細なイベントも大事だと思うのです。常に死と隣り合わせの呪術師にとっては。甘い考えだと怒られてしまいそうですけど、思い出は必要だと私は考えています。
春とはいえ、まだ少し風が冷たく感じますね。お花見、ダメ元で誘ってみようかな。
歌「おはよう、あやめ」
『歌姫ちゃんおはようです』
歌「今日もちっちゃくて可愛い~vV」
『私は大きくなりたかったです(ムゥ』
歌「はいはい。でもね、大き過ぎるのもよくないのよ?」
『??』
歌「常に見下ろされてる感じがして凄くムカつくのよ!!」
『えぇ~~ι』
教室に入ってきた先輩の歌姫ちゃんからのハグは毎朝恒例で慣れました。最初はオロオロしてたんですけどね(笑)
いつもちっちゃくて可愛いと言ってくれるのですが、私としては複雑なのです。平均よりも低い身長がコンプレックス。身長を伸ばそうとあらゆるモノを試しましたがダメでした。チビな上に先輩って冗談かと思われるコトもしばしば。それに加えて呪術師としてもダメダメで・・・ハァ~・・・。
歌「そんなにしょげないでよ(苦笑)」
『む~・・・(ショモ』
歌「そういえば、硝子が最近会えてないって寂しそうだったわよ。アンタ、調査に駆り出されるコト増えたもんね」
『私にはそれしか出来ないから・・・。硝子ちゃんには後でメールしておきますね』
歌「そうしなさい。調査とはいえ危険にはかわりないんだから気を付けなさいよ?」
『はい』
心配してくれる優しい歌姫ちゃんは自慢の先輩で親友です!硝子ちゃんは一つ下の後輩さん。大人っぽい雰囲気の子で凄い術式が使えるんです!自慢の後輩さんなのです!
それに比べたら私の術なんて大したことなどないです。探索が得意で戦闘には不向き。運動神経もないため体術も武器も扱えない。呪術師よりも補助監督向きなのです。
私がすべき事は探索範囲を広げられる様にする事。それを視覚で視認出来るようにする事なのです。
『(無駄な足掻き、ですかね・・・)』
周りは命を掛けているのに私は、役立たずもいいとこです。それでも、出来る事はしたいと思って今日も此処に居る。誰かの役に立てるように。
歌「あ、あやめまだ硝子の同期でクズの二人には会ったことないのよね?」
『はい。男性が苦手だからか、組まないようにしてくださってるみたいで。そもそも最強だと聞きましたし、私なんて居ても邪魔ですよ』
歌「アンタじゃなくても邪魔でしょうよ。アイツらにとっちゃ下の呪術師は雑魚らしいし」
『雑魚、ですか・・・』
歌「関わらない方がいいわ。アイツら人を馬鹿にするのは上手いし」
『(余程嫌なコトを言われたのですね・・・ι)
大丈夫ですよ。私なんて眼中にも入らないでしょうから』
歌「だといいんだけど。てゆーか、自己評価低過ぎよ!」
『そうかな(笑)』
きっとその二人に会ったら私なんか気に止めるコトもないと思うのです。雑魚中の雑魚な私には。縁のない人達。最強様と雑魚じゃ天と地程の差があるでしょうし。私は今の日常で充分なのですよ。
『あ!次の休み合ったらお花見行きませんか?』
歌「お花見かァ。いいわね!硝子も誘って予定の合いそうな日に行こうか!」
『・・・はい!』
楽しみがまた一つ増える度に頑張れるのです。
先の分からない世界だからこそ日々を大切にしていきたいと私は思うのです。大切な人との時間を。大切な人との思い出を。
ーーーーーーー・・・
午前の授業を終えて、午後から任務に出る歌姫ちゃんを外で見送り、校舎へと踵を返したらー・・・
『え?』
?「お前、誰?」
『・・・ヒュ』
聳え-ソビ-立つ人の壁?に驚いた私の声は悲鳴にもならずに小さな音を残して消えた。
身長差からか、見下ろす顔は影になっていて見えず。恐怖から身体が震えだしていた。嫌な記憶が重なって見える。息の仕方が分からなくなりかけた時。
?「あれ?あやめ先輩?」
聞き慣れた声に振り返ると硝子ちゃんがいた。それに安心してゆっくりと息を吸って吐いた。
硝「・・・おい、クズ。あやめ先輩が怖がってるから離れろ」←察した
?「は?何、怖いって?」
硝「お前だよ、五条」
悟「俺のドコが怖いんだよ?」
硝「すみません。コイツ他人との距離の詰め方知らないんですよ」
『だ、大丈夫です。驚いただけ、なので・・・』
吃驚した。振り返ったら人が居るんだもん。気配なんてなかったし。何より、大きいから余計に驚いて、怖かったです。硝子ちゃんが居なかったら泣いてましたよ。よしよし、しながら守るように抱き締めてくれる硝子ちゃんに感謝です。
悟「・・・あ、傑」
傑「何してるんだい?」
悟「アイツ知ってる?先輩らしいんだけど」
傑「・・・いや、見たことないな」
悟「だよなァ。硝子ちゃ~ん、俺らに紹介してくれない?」
硝「は?なんで?嫌に決まってんじゃん?」
悟「なんでだよッ!?」
傑「悟、落ち着いて。彼女が怯えてるから」
硝「そういところだよ」
悟「う゛っ・・・」
硝子ちゃんの背に隠れながら彼らを見る。
関わりない男子二人。最強で問題児。こうして見るのは初めてで、ちょっと、というか、かなり怖い・・・。どうしよう?今すぐこの場から逃げ出してしまいたい(泣)
傑「硝子。流石に知らないというのもあれだから紹介してくれないか?先輩なんだろう」
硝「仕方ないなァ。三年の神崎 あやめ先輩、以上」
傑「以上って・・・ι」
悟「俺らの紹介はいいのかよ!」
硝「知らない奴居ないだろう?歌姫先輩からも聞いてるし。最強で最悪のクズって」
悟「それほぼ悪口じゃん!?」
硝「事実じゃん」
傑「まぁまぁ。一応、此方のコトは知ってる様だしいいんじゃない。これから組むこともあるだろうしね。ともあれ名乗るのを忘れてはいけないな。二年の夏油 傑です」
穏やかな声色でそう言った夏油くんは柔らかい笑みを浮かべていた。
傑「ほら、悟も」
悟「チッ、同じく二年の五条 悟くんでーす」
舌打ちされた・・・ι
黙ってたらカッコいいのに勿体ないですね。でも、五条くんとは仲良くなれそうにないです。真っ直ぐな瞳はサングラス越しでも分かる。見透かされているような感覚。次に出るであろう言葉に身構えながら名乗る。
『神崎・・・あやめ、です』
悟「先輩なのに後輩の後ろに隠れてるとかウケる」
『・・・!!(ビクッ』
悟「歌姫よりも雑魚じゃん?弱そうだし、大した術式じゃなさそうだな。チビで雑魚な奴が先輩って冗談にしか聞こえねェよ」
硝「五条・・・」
傑「言い過ぎだよ、悟」
悟「事実だろ?こんなコトで挫ける様なメンタルならさっさと辞めた方がいいだろう?死にたくなけりゃな」
硝「チッ!ちょっと、五条ッー・・・あやめ先輩?」
『ぃ、いいよっι ありがとう、硝子ちゃん。大丈夫です!言われ慣れてますから、大丈夫ですよ・・・』
そう、聞き慣れた台詞に今更動揺なんてしないもの。
硝「・・・ハァ~。あやめ先輩がそう言うなら。五条、二度とあやめ先輩に近付くな。分かった?」
悟「任務はどうすんだよ?」
『組むことはないかと・・・』
傑「そうなのかい?」
『・・・私に出来るのは、探索ですし。戦力外、なので・・・お二人と組むコトは先ずないです。足手まといにしかならないので』
悟「だろうな。コッチも願い下げだ。自分の身ですら守れないような雑魚のお守りなんて嫌だね
バシッ
・・・ーーってェ!?」
傑「言い過ぎだって言ってるだろう。気を悪くしないでくれると助かる。口は悪いけど・・・」
『い、いえっ!事実、なので・・・。ぁ、えと、失礼します!』
堪えられそうにない涙を隠すようにその場から逃げ出した。後で硝子ちゃんに謝っておかなきゃ。
硝「ホント五条ってクズだね」
傑「だな。嫌われたのは確定だろうね」
悟「別にいいし。実際、真っ先に死にそうじゃん?努力でなんとかなるもんでもないしさ。・・・胸はあったけど、チビのクセに」
硝「・・・最低のクズに改変しとく」
悟「なんでだよッ!?」
傑「やれやれ・・・ι」
悟「(しかし、どっかで会った様な気もするんだよなァ。何処だっけ?)」
■□■□■□■□
歌「ホンットに最低最悪のクズね!」
硝「同感です」
『で、でもっ!弱いのはホントだし。五条くんが言ったのは間違いじゃないよ』
その日の夜。私の部屋に硝子ちゃんと歌姫ちゃんが来て、午後にあったコトを話した。案の定、怒りだした歌姫ちゃんを宥めながら苦笑い。私の為に怒ってくれる二人に嬉しくなります。
歌「もぅ~!アンタはもう少し自信持ちなさい!祓うだけが仕事じゃないんだから」
硝「そうですよ。調査してくれる補助監督が居るから呪術師は的確に祓えるんですから」
『・・・私も、役に立てるかな?』
硝「・・・」
歌「・・・」
むぎゅ~~ぅぅぅvV
『Σうひゃいッ!?・・・どうしたのですか///?』
硝「先輩はちゃんと役に立ててますよ!」
歌「そうよ!私達が証明してやるわ!」
『ありがとうございます!』
その夜はいつもより賑やかで楽しかった。
二人が自室に戻った頃、一人部屋を出て共有スペースへ。この時間は誰も居ないのですが、一人で部屋に居ると色々考えてしまうので。こうして共有スペースに来てはココアを飲んでいるんです。
『(やっぱり、怖かったですね・・・ι)』
はっきり告げられた言葉を否定出来る筈もなく。言われるがままになってしまいました。ですが、弱いのも足手まといなのもちゃんと分かっている。だからこそ、出来るコトを頑張っているのだけど。それさえも、否定された気分です。ぼんやりと手に持つカップを眺めていると脳裏に浮かぶ母を思い出す。優しい母はいつも私に謝っていた。
「"ごめんなさい、あやめ"」
腕の中に抱かれながら母は謝っては泣いていた。死ぬ間際でさえも、ずっとー・・・。
『(お母さん。私、ちゃんと出来てますか?笑っていますか?誇れる様な娘になれてますか?)』
どんなに思い浮かべても母の笑ってる顔は思い出せないのが凄く悲しい。
自信が持てないのは呪術師は呪霊を祓う存在で。それが出来ない私は価値がないのだと思うからだろう。五条くんの言ったコトは間違いじゃない、ホントのコトだ。せめて足手まといにならないようにと自分の身は自分で守れるようになろうと出来るコトは試してはみたけど、私は戦闘向きじゃないと分かっただけで何も得られなかった。
『(せめて、皆の役には立ちたいのに・・・)』
?「こんばわ」
『Σ・・・ぁ、夏油、くん。五条、くん・・・』
傑「眠れないのかい?」
『はぃ・・・。お二人は・・・任務、ですか?』
傑「そう。少し手こずってしまってね。ついさっき帰って来たんだ」
悟「雑魚相手に追い駆けっこだぜ?逃げ足速いわ、追跡すんの面倒だわ。最悪だ。しかも、帰りが今ってどんだけ人使い荒いんだよ」
傑「愚痴を言っても仕方ないさ。呪術師は人手不足だ。下級とは言え、あの速さを追うのは大変だろうからね」
悟「あ~、腹減った~。傑、飯どうする?コンビニ行く?」
傑「今から出るのは面倒だし。作るのも・・」
何やら二人で話し始めましたね・・・ι
こんな遅くまで駆り出されていたとは。呪術界はブラック企業ですよι 未成年への人使いがおかしいですしね(苦笑)
悟「・・・ーーおいっ!!」
『Σひゃいっ!??』
悟「呼んでんのに無視かよ?」
『・・・ヒェッ///!!』
全く聞こえていなかったコトに加えて、振り返ったら顔が近くて驚いてしまった。あんな綺麗な顔近付けられたら驚くと思います。心なしか動悸がする。心臓に悪いです・・・。
悟「お前、料理出来んの?」
『へ?・・・料理?』
悟「そっ、料理。俺らクタクタなんだよねェ。でも、腹減ったけど買いに行くの面倒だし、作りたくもないワケ」
『私に、作れと・・・?』
悟「正解!頑張った後輩を労うと思って頼むよ、セ・ン・パ・イvV」
『・・・・・・ι』
昼間のコトはもうなかったコトになっているのでしょうか?切り替えが早いと言うか、人を転がすのが上手いと言うか・・・。
傑「悟・・・。いくら先輩だからって無理を言うものじゃないよそれに、硝子に近付くなって言われたの忘れたのか?」
悟「あ・・・」
そういえば、硝子ちゃんがそんなコトを言ってたかも。
でもーー・・・なんとなく、無視出来ない。どう言ったらいいのか、悩む。自分から言うのも変だし・・・そもそも、今日初めて会ったばかりです。こんな遅くまで駆り出されているのにご飯抜きというのも可哀想ですよね。私よりも引っ張りだこでしょうし、出来るコトがあるならやってあげたい。料理は人並みに出来る方ですが、作って口に合わなかったらどうしよう・・・?う~ん・・・。
ちらっ、
何やら話し込む二人を見て、俯く。
私なんかが何かしたいなんておこがましいだろうか? 先輩だと言っても階級で言えば二人が上だ。苦手だと逃げた私が今更、何を言ってるんだろう・・・。
傑「先輩を困らせるものじゃないよ」
悟「ちぇ~、いい考えだと思ったんだけどなぁ」
傑「まったく。すみません、悟が無茶を言って」
『ぃ、いえっ!・・・ぁの、』
傑「?」
『大したモノは出来ませんが、作りますか・・・?』
傑「え?」
悟「マジ?」
『Σぁ、ほっ、ホントっ大したモノは出来ませんよ!口に合うかも・・・わか、りません・・・けど・・・』
傑「・・・なら、お言葉に甘えようかな。ね、悟」
悟「やっりィ!」
『用意しますから、先にお風呂済ませては?』
傑「そうします。ありがとう」
悟「サンキューセンパイ」
我ながらお人好しですよね。
何と言いますか・・・ああしていると普通の男の子なんですよね。ううん、ホントはまだ無邪気な年頃なんだ。それを忘れそうになる日常を生きているせいで大人びてしまったのかもしれない。
『(そう考えると、少し・・・ほんの少しだけ、怖くない、かも?)
あ、早く用意しなくちゃ!』
なんて単純かな?二人に言ったら呆れ顔で溜め息吐きそう(笑)
わたわたしながら食事の用意。ホントに大したモノは出来ないのです。時間的にι
冷凍ご飯がありましたし、作り置きしたモノとお味噌汁を並べた。
『(こんなものでよかったかな・・・?)』
悟「おっ、美味そう」
『Σヒィッ・・・!??』
悟「驚き過ぎだろう。逆にこっちが驚くわ」
『すみ・・・ません。ぁの、ちゃんと拭かないと風邪引きますよ?』
悟「・・・んじゃ、拭いてよ?」
『ふぇッ!?』
悟「はーやーくー」
なんとワガママな・・・ι
最強で最悪で最低でクズ、とまで言われてる人物は子供の様に自由です。関わってしまった自分を呪うしかないですね。
『失礼、しますね』
悟「ん・・・」
わしゃわしゃしないように出来るだけ優しくタオルで拭いた。シャンプーの香りが仄かに鼻を掠める。キツくない優しい香りは彼の印象とは真逆で笑った。
『はい、終わりましたよ』
悟「・・・」
『ぁ、えと、何か・・・ι?』
悟「いや、別に」
傑「あれ?先に食べてたんじゃないのかい?」
悟「髪拭いてもらってた。腹ペコだし、早く食おうぜ」
傑「ぁ、ああ。(珍しいな。初対面の相手に無下限解いて、尚且つ背後に立たせたなんて。)
・・・ーー有り得るのか?」
悟「傑?」
『??』
傑「何でもないよ。(硝子に話してみよう。きっと驚くだろうな)」
夏油くん、何を考えて笑っているのだろうか?ちょっと不安な感じがしたのですが、気のせいでしょうか?
それにしても、今日はどうしたんでしょう?こんなコトいつもなら絶対あり得ないのに。不思議です。
楽しげに食事をする二人はホントに仲良しで。信頼し合っているのが見て分かる。遠い存在の二人が目の前に居るのが不思議ですね。関わることなんかないと思っていたのに。
傑「料理得意なんですね。美味しいです」
『得意という程では。お口に合ったのならよかったです』
悟「自炊してんの?」
『はい』
悟「へー。暇なんだ」
傑「悟・・・」
『お二人に比べれば、そうですね(苦笑)』
物言いがストレートと言うか。言葉を選ばないと言うか。傷付けたくて言ってるのではないのだろうけど・・・結構、刺さりますね。
夏油くんに注意されてるけど、気にしていない五条くん。一々気にしていたら身が持たない気がします。とはいえ、的確に痛いところ突いてくるから困る。
傑「ごちそうさまです」
『は、はい。お粗末様です』
悟「意外と美味かった」
『・・・ありがとう、ございます』
傑「意外と、はいらないだろう。まったく・・・」
『あはは・・・ι』
綺麗に平らげられた食器を下げて、洗う。
『(美味しいって言われるのはやっぱり嬉しいですね)』
傑「手伝いますよ」
『へ?ぁ、いえっ!大丈夫ですよ!お疲れでしょうし、休んだ方が・・・』
傑「ワガママ言ったのこっちですから」
『言い出したのは私です。それに、少しでも長く休んだ方がいいですから。一人でも大丈夫です。ありがとうございます、気遣ってくれて』
傑「・・・」
悟「どした?傑」
傑「いや、意外と頑固だと思ってね」
悟「甘えときゃいいのに。絶対面倒を一人で背負って自滅するタイプだろ、アイツ」
傑「それには同意だけど、先輩なんだしアイツはないだろう」
悟「ヘーヘー。眠ィし部屋戻ろうぜ」
傑「そうだね」
悟「センパーイ、俺ら部屋戻るわ」
『ぁ、はい。おやすみなさい』
悟「じゃあねー」
傑「おやすみなさい」
『・・・ハァ』
やっと息がしやすくなった気がします。
何だか、夢みたいな一日でしたね。関わらないで終わると思ってたのに。たまたまなのかもしれません。きっと、明日になれば、そんなに関わることもないですよね。最強の彼らと最弱の私ですからね。うん、そうですよね。
『私も部屋に戻ろう・・・』
□■□■□■□■□■
・・・ーーーーと、思っていたのですがι
悟「よっ!セーンパイ」
『Σふひゃっ!!?』
悟「ぶっあはははッ!!驚き過ぎ、ウケる!」
『~~・・・!!』
翌日から何故か、五条くんに驚かされる様になってしまいました・・・。ホントに急に現れるから心臓に悪い。何がそんなに面白いのかも分からないし、やめて欲しいとも言えないし・・・。
悟「ビビりじゃん。呪術師なんてやっていけんのかよ?」
『そ、れは・・・(ショモ』
悟「(あれ?なんか、耳が垂れた?幻覚か?)・・・ーーってェ!?!?」
傑「イジメはよくないよ?悟」
悟「イジメてねーし。からかってるだけじゃん」
硝「それ、やられてる方はどっちも変わらないよ。大丈夫ですか?あやめ先輩」
『硝子ちゃん・・・』
よしよし、
硝「五条。先輩に近付くなって言ったじゃん。忘れたの?」
悟「あ、忘れてた」
関わらないで終わる方が余程マシだったです。毎日毎日驚かされてる身としてはいい加減にして欲しいのですが、言ったら後が面倒になりそうなので言いませんけど。
硝「あ、そうだ。次の休み合いそうですからお花見行けますよ」
『ホントですか!』
硝「はい。歌姫先輩も休みらしいんで」
『嬉しいです!楽しみです!~~♪』
悟⋅傑「「・・・・・・」」
硝「何?どしたの?」
傑「いや、なんか、耳が見えるような。幻覚かな?」
悟「さっきまで垂れ耳だったのに」
硝「ちなみに、何耳?」
悟⋅傑「「・・・ウサギ」」
硝「だよねェ。可愛いでしょう?」
傑「そうだな。ほっとけない感じではあるかな」
悟「タイプじゃねーな。胸はあるけど」
硝「(ならなんでちょっかい出すんだよ?)」
傑「(気になるからちょっかい出してたんじゃないのか?)」
『Σ・・・!?(ビクゥゥッ』
悟「そんなに花見したかったの?」
『ぁ、えと、その・・・』
オドオドし出す私を見下ろす五条くんは、その綺麗な顔に似合わない眉間に皺を寄せ不機嫌を全面に露にしていた。怖くて言葉が出ない。
悟「あのさぁ、その一々オドオドすんのやめて欲しいんだけど?俺の何が怖いワケ?」
『ぁ、ぁ、えと・・・』
硝「そういところだろ?」
悟「どこだよ?意味わかんねー」
そう言って去る背中に申し訳なくなる。五条くんが悪いワケじゃない、そう伝えるべきだったのに。言葉が上手く出なかった。
傑「気にしないで。悟にも問題があるのは確かですから」
硝「夏油。それ、フォローになってないからな」
傑「フォローするつもりないからね」
硝「クズ」
『ぁはは・・・』
元はと言えば、私が弱いからいけないんです。ちゃんとしなきゃって思うのに。強くならなきゃって分かってるのに。ダメダメですよね。
硝「あんまり気にしなくていいですよ?」
『でも、悪いのは私です。・・・強くなりたいって思うのに全然で。男性が怖いのだって、小さい頃を思い出すからで五条くんが悪いんじゃないのに・・・』
硝「(優し過ぎるんだろうなァ。先輩の良いところなんだけど)
・・・お花見、楽しみですね」
『・・・はい(微笑)』
硝子ちゃんと別れて教室へ。誰も居ない教室に一人、自分の席に座る。戦力外の私には任務が回ることはない。調査でしか出ないから一人の時が多い。だから、自分への課題を成功させる為に集中する。
自分を中心に範囲を拡げる。限界まで拡げて、人の気配を感じとるまでは出来る。それを視覚に・・・。
『ッ!?』
やっぱりまだ出来ない。視覚への呪力移動をさせると瞳が耐えられずに痛む。少しずつ馴染ませるしかないのだけど、なかなか出来ないでいた。
悟「・・・」
傑「悟、どうかした?」
悟「硝子、センパイの術ってどんなの?」
硝「広域探索だったと思うけど?気配を感じとるだけで場所の特定はまだ出来ないらしい。今は、目視出来るように練習してるって言ってたよ」
傑「成程。それなら、探し歩くよりは効率が良くなるな」
悟「だとしても、自分の身すら守れないんじゃ意味ねーだろう?」
傑「確かに。随分と気にかけてるんだな」
悟「べっつにィ。ただ、どっかで会ったことある気がすんだよねェ。思い出せないんだけど」
硝「・・・五条。霞家って知ってる?」
悟「あ~、多分」
傑「?」
硝「あやめ先輩の生家なんだよ」
悟「あ?だって名字が・・・」
硝「母方の姓だよ」
傑「じゃあ・・・」
硝「そっ。術の弱さから役立たず呼ばわりされた挙げ句、家を追い出されてんの。男が怖いのは父親の叱責を幼少期に受け続けた結果トラウマになったってワケ」
傑「あ~、納得」
悟「なんだよ?」
傑「悟に父親が重なったから怯えていたんだよ。自分を否定し続けた父親にそっくりだったんだろう」
悟「・・・」
ーーーーー・・・
その日の夜。一度は眠りに就いたものの夢見の悪さから目が覚めて、眠気が飛んでしまった。ココアでも飲もうと共有スペースへ。
『・・・・・・』
ぼんやりとカップを見つめているとー・・・
?「あ、センパイじゃん。何してんの?」
『Σ・・・五条くん?』
悟「なんで疑問系?」
『え、ぁ、すみません・・・』
悟「・・・」
『五条くんは、どうして・・・?』
悟「俺は腹減ったからカップラーメン食おうと思って。センパイは?」
『・・・眠れ、なかったのでココアを飲みに』
悟「ふーん・・・」
それきりお互い無言になり、時計の針の音が響いて聞こえる。
カタン、
悟「硝子から聞いたんだけど霞家の人間だったんだ」
『!?』
悟「(あー、分かりやすい。まともな扱い受けてないってコトね。自信を持ちたくても持てるだけの力がないからか)」
・・・ーー霞家。
御三家程の名家ではないものの、その歴史は古い。力こそが絶対であり、価値である。父はそんな考えの人でした。私には上に兄。下に腹違いの妹が居ます。どちらも私よりも強いと思います。父の寵愛は二人にのみ向けられ、私には興味もなければ失敗作呼ばわり。出来損ないの私に母はいつも泣いていた。泣きながら謝っていた。使用人の様に扱われ、高専に入学が決まるなり母は他界。これを機に家を追い出され。姓も母方に戻した。出る際に父から掛けられた言葉はー・・・
「金銭的援助はしてやる。だが、父娘の縁は切れたと思え。お前を娘などと思いたくもない」
・・・ーーそう言われました。
『(未練なんてないです。今の方が幸せですから・・・)』
悟「つーかさ、俺ってそんなに怖い?」
『へ・・・?』
悟「まぁ、言い方悪いってのは傑に注意されるからそうなんだろうけど。悪いとは思ってないけどね」
『ぁはは・・・ι』
悟「傑には怯えないじゃん?なんで、俺だけなのかとと思ってさ」
『すみません・・・。五条くんが悪いのでは、ないので・・・私が、弱いから・・・で・・・』
悟「あっそ。弱いのは事実だし、俺は悪いと思ってないから別にいいんだけど。態度の違いは正直、イラッてするんだよねェ」
『・・・ですよね(ショモ』
隣でラーメンを啜る五条くんはどんな表情をしてるのだろうか?怒ってる? 顔を上げられずにいるせいで確認は出来ない。情けないなぁ、私は・・・。何も変わらないんですから。
悟「ごちそうさま。まだ居んの?」
『はぃ、多分』
悟「なぁ、寝れないならさー・・・」
視界が暗くなる。五条くんが近くに立った為陰になったのか、なんて思っていたら。耳元でーー・・・。
悟「一緒に寝てやろうか?」
『····~~%$#$#%&#$##%%@ッ////!?!?!?』
近く囁かれる声に驚き。近くで囁かれた言葉に赤面。そして、言葉にも、音にもならない叫び。深夜なので声にしなくてよかったんですけどね・・・ι
耳を押さえて五条くんを見れば、してやったりとイタズラに笑っていた。
悟「茹でダコみてェ。センパイのエッチvV」
『////!?』
悟「じゃあ、俺は寝る。おやすみセンパイ」
『・・・おやすみ、なさい』
一人、カップを見つめながら呟く。
『此処にも居られなかったら困りますね・・・私には、帰る場所がないのだから・・・頑張らないと』
頑張らないと、じゃないと・・・また、捨てられる。机に突っ伏して小さく息を吐いた。息を吐きながら、涙が溢れて・・・静かに泣いた。泣いて、泣き疲れて眠くなって。意識を手放した。
悟「(あーぁ、こんな所で無防備に寝ちゃって。襲われても文句言えないぞ? つーか、泣いてる?なんか夢でも見てんのか?)」
『スー・・・』
悟「・・・・・・。(あ~~、なんでこんなチビ雑魚気にしてんだよ、俺は。飯が美味かったのはホントだけど、それだけだ)
・・・ーーー霞家か」
さらり、
悟「(一度だけ霞家の人間に会ったことがある。そいつは一緒に来た母親に隠れてたっけ。よく顔は見えなかったけど。もしかして、コイツだったのか?)
・・・ーーいい夢見れっといいな」
翌朝。共有スペースのソファで目を覚ました私に毛布が掛けられていた。誰が??思い当たる人が浮かばないまま、自室へと戻って着替えを済ませた。
そして、五条くんのイタズラは続いて。顔を合わせない日がないくらいよく驚かされる様になりました・・・ι。
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