銀時
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◈お巡りさんとヤキモチと面影◈
天気の良い朝。まだ寝ている同居人を起こさない様に台所へ。ゴミをまとめてゴミ捨て場に向かう為に静かに玄関を開けて外に。
『(今日も良い天気ですね。・・・あら?)』
?「!・・・アンタ、どっかで会ったか?」
『いえ、ないと思いますが。朝早くからお仕事ですか?お巡りさん』
?「まぁな。張り込み中なんだ、邪魔しないでもらえると助かる」
『はい、それはもちろん。ですが、ゴミ箱から退いてもらえると有り難いのですが?』
?「ぁ、すまねェ・・ι」
『ありがとうございます』
ゴミ捨てを済ませて、その場を後にした。
?「(あの女、何処かで・・・)」
ーーーーー・・・
朝食を済ませて依頼へと出掛けた銀たちを見送り。いつものように家事を済ませる。洗濯して布団を干して。家の中を行ったり来たり。午前中には全て終え。買い物ついでに散歩へと出掛け様と家を出た。
賑やかな町を歩きながら町の人を眺めた。
元気な子供たちに若い女性から年配の女性。お仕事中の男性に恋人同士の姿も。色んな人が今日という日を生きている。この穏やかな日々の中に今、自分が居るのが不思議な感じがした。
町を歩いていれば"万事屋の奥さん" と呼ばれるようになっていました(苦笑)
その度に思う。この町は確かに銀の居場所になっているのだと。
兄さんも小太郎くんも辰馬くんも居場所を見つけた。なのに、私は・・・今の生活に馴染めないでいるのだから笑ってしまう。些細な違和感が消えないのだ。
『(こんなにも穏やかで、暖かい日常に死神が居てはいけないと分かっているのに・・・)』
あの日。あの時。銀に掴まれた手を振りほどけなかったのは私の心の弱さだ。それでも、彼の傍に居たいと願ったのかもしれない。
あの日・・・彼と歩めなかったから、かな。
『(いけません。独りだとどうにも暗くなってしまう。散歩の続きをしましょう)』
町をあてもなく歩いていると今朝のお巡りさんに再び会った。
『今朝はどうも。お仕事ですか?』
?「アンタか。休憩だ。働き過ぎだとよ」
『お忙しいのですね』
?「まぁな。と、名乗ってなかったな。真選組副長の土方だ」
『坂田 あやめです』
土「知ってる。万事屋に嫁が出来たって騒ぎになってたからな」
顔が広いと言いますか。捕まるような事でもしない限りご縁はなさそうなんですけどねι
土「フゥー・・・。アンタも物好きだな。あんなマダオを夫に選ぶとは」
『ふふっ。そうですね。皆さん同じコトを言われますが、アレでも根は優しい人なんですよ?』
土「曲者の間違いじゃねーのか?」
『そうとも言いますね』
なんとも良くは思われていないのは分かりますが、嫌われていないのだから不思議ですね。ちゃんと理解してもらえているようです。迷惑をかけているのも間違いではないのが困り者ですけどね(苦笑)
『ウチの人がご迷惑をお掛けしているようで、申し訳ありません』
土「!?い、否ッ!アンタが謝るコトはないし!そもそも野郎とは反りが合わないだけだι」
『ありがとうございます。ですが、私は銀と土方さんは似ている気がしますよ』
土「そいつぁ御免だッ!」
『ふふっ』
強面な割りに優しい人ですね。何となく銀と縁があるのが良く分かる。類は友を呼ぶってヤツです。当人達は嫌がるでしょうけど。昔、同じことを兄さんに言ったら心底嫌そうな顔をしてました。銀だって言葉にはしませんが気を許しているんですけど、何分、天の邪鬼ですからね(笑)
土「大体なーー・・・」
『どうかなさいましたか?』
土「・・・はぁ~。アンタの後ろに今すぐにでも斬りかかって来そうな人相の野郎が居るんだが?」
『私の知り合いにそんな短気な方はいらっしゃいませんね。土方さんのお知り合いでは?』
土「あんなマジ顔した天パの知り合いは居ねェな」
『天パですか?私の知り合いの天パは死んだ魚みたいな目をした間抜け面ですけど(ニッコリ』
土「奇遇だな。俺の知ってる天パも同じだ」
・・・・
土「悪いな、どうやら人違いだ」←関わるのをやめた
『そのようですね』←察した
?「ちょっと待てェェェェェェッッ!!」
『あら、銀?』
土「なんだ、やっぱりお前か。万事屋」
大きな声でツッコミを入れる方へと振り返ると銀が居た。と言う事は、土方さんが言ってた今にも斬りかかって来そうな人相の野郎って銀だったんですね。そんな顔してないんですけど。首を傾げて考えてる内に何やら言い合いを始めています。
『(神楽ちゃんと新八くんが居ない。先に帰したんでしょうか)』
帰りは夕方になると言っていたのですが、思ったよりも早く終わったみたいですね。後ろに居たのなら普通に声をかけてくれればいいと思うのですけど。
それにしても、本当に仲良しですね。
言い合いをする二人に昔の面影を重ねていた。
『(兄さんともいつも言い合いしてた。仲が良いのか、悪いのか。でも、認め合ってた。語らずとも通じ合う様に。男の友情なのでしょうね)』
銀「・・・ーーッたく。元はと言えばお前がッ!!」
『私ですか??』←身長差の為上目遣い
銀「・・・くぅ~~ッ!!」←余りの可愛さに叱れない
土「(この野郎がここまで振り回されるとはな。変わった感じはしねェが、何か・・・何だ?)」←何かを感じていた
『どうしたんです?二人揃って黙り込んで』
銀「何でもねェっ!」
土「何でもない」
『・・・ふふっ』
反応は違えど同じ言葉を口にする二人はやっぱり気が合っているようです。
土方さんと別れて、買い物を済ませ。家へと帰る道。銀は一言も喋らないのです。買い物している時も。余程ご立腹なのかとも思ったのですけど。横顔を見る限り怒ってはいないみたいで。何の感情も読み取れないんですよね。銀の特技です。本心はなかなか悟らせないんですから・・・。
『(でも、少しは私には見せてくれているんじゃないかとは思ってるんです。本当に少し、ですけどね)』
二人きりの時だけ見せてくれる。寂しそうな顔や拗ねた顔。優しい顔も。気を許してくれていると分かるからこそ愛おしくなる。これは内緒ですけどね(笑)
『銀、今日の夕飯は何にしましょうか?』
銀「何でもいい」
『そうですか。
(やっぱり怒ってるんですかね?)』
銀「・・・お前が作ったモンは、美味いからな」
『・・・え?』
銀「あ??・・・Σあァァァーーッ!!?」←無意識だった
『・・・////』←不意打ちに弱い
銀「あッ、だッ、がッ///!?」
『良かった・・・(ポツリ』
銀「・・・?」
『美味しいって言って貰えて嬉しいです(満笑)』
銀「!」
『食べてくれはするので不味くはないのだと分かってはいますが。言葉にされると凄く嬉しいモノですね』
銀「・・・そうか///。
(察しが良いから言葉にしなくても分かる、なんて思って改めて言うコトが出来なかったんだが・・・こんな笑顔が見れんならたまには言葉にしてやるのも悪かねェな)」
『何を考えていたんですか?』
このまま聞かないということも出来たのですが、やっぱり気になって聞いてみた。
銀「・・・ι」
『言いにくいのなら無理に言わなくてもいいですよ』
銀「・・・正直、言えば・・・妬いた(ポツリ」
『え?』
銀「お前と野郎が、お似合いで・・・妬いてたんだよ///」
顔を隠しながら紡がれた言葉に胸がトクン、と鳴るのがわかった。
偽りである筈の夫婦関係が本物のようで。銀の言葉が私の心を満たして、温かくしてくれる。その度に募る。この人への愛しさがー・・・。
銀「依頼が思ってたよりも早く終わってさ。帰りにお前の後ろ姿を見つけて、ガキ共を先に帰して近づいたら他の男と楽しそうに喋ってたから・・・」
『だからって今にも斬りかかって来そうな人相はどうかと思いますけどね(笑)』
銀「んな顔してねェ!大体、あの野郎の方が人相悪いだろうが!」
『そうですか?真面目な方だと思いますけど?ですが、確かに強面かもしれませんね』
常に仕事に追われているのか。立場上、厳しくあらねばならないから怖い顔になるのか。どちらにしても働きすぎと言われたと言っていましたから大変なんでしょうね。体を壊さないといいのですけど?
銀「いつ知り合ったんだ?」
『今朝ですよ。ゴミ捨て場で張り込み中の所に出くわしたもので。まさか、昼間にも会うとは思わなかったです』
銀「随分と親しげだったな」
『少し、兄さんを重ねていたからかもしれません』
銀「・・・」
『二人が言い合いしてる間も昔を重ねてしまって・・・懐かしくて』
銀「会いたいか?アイツに」
『その内会えると信じてます。現に銀と小太郎くんには会えたもの(微笑)』
銀「(会えたら、コイツは兄貴に付いて行くんだろうか?そうなったら俺ァ、アイツをぶん殴っても離さねェだろうなァ)」
『心配しなくても黙って消えたりしませんよ』
銀「!!」
『兄さんに付いて行くかはその時の状況によりますが。ちゃんと言ってから行きますから。ご心配なく(微笑)』
銀「・・・約束、だからな///」
『はい』
昔よりも素直ですよね。あの頃の銀なら気にしてないとか、俺には関係ないとか、言っていたでしょうに。少しは言葉にする事を覚えたんですかね。
成長したと言いますか。あの子達の影響も少なからずあるのでしょうね。
離れていた間に人は変わるものです。今の銀は私の知らない顔をよくしますからね。
私は、変わったのだろうか?
銀「どうかしたか?」
『いえ、何も・・・』
銀「お前は変わらねェな」
『え?』
ドキッとした。心で呟いた筈が口に出ていたのかと思った。
銀「昔から何か我慢するトコ。全然直ってないだろ?弱音は吐かない。いっつも笑って大丈夫ですって言ってよ。本心を語ろうともしねェで一人で何でも抱え込んでる。ちったァ、頼っちゃくれねェか?俺ァ、お前の旦那だよ?夫婦の間で隠し事はナシだろ?」
『・・・偽りの夫婦なのにですか?』
銀「なによ、本物の夫婦なら素直になってくれんの?」
『さぁ、どうでしょうね?』
銀「食えねェ女。もうちっと素直な方が可愛いと思うけど?女は愛嬌だろ」
『それが銀のタイプですか?』
銀「一般論ッ!!」
素直な方だと思うのですけどね?
何が不満なのか分からない。ヤキモチ焼いたり、拗ねたり。コロコロ変わりますね。可愛らしいと言ったら怒られそうだから言えませんけどね。すれ違う恋人同士の仲良さげに手を繋ぐ姿にそっと大きくて厚い手を握ってみた。
銀「Σ・・・な、ナニ///ι?」
『いえ、何となくです(微笑)』
銀「・・・あっそ」
そう言うと握り返してくれる。もしかしたら、私は刀を握るのではなく。手を握って欲しかったのかもしれない。一人じゃないと思えるように。
『(ずっとこうしたかっただけなのだろう。離さないで欲しくて。離れないで欲しくて。寂しかっただけ、なんて言ったら笑われそうね)』
銀「(刀じゃなくこの手を離さないでいればコイツが怪我をしなくても済んだんだろうなァ。置いていく事で守った気になって傷つけた)」
『(子供だったのね)』
銀「(ガキだったな)」
◆◇◆◇◆◇◆
『あら?』
?「・・・アンタか」
『こんにちは、土方さん。今日はお休みですか?』
土「まぁな。しかし、よく会うな。そっちは?野郎は一緒じゃないのか」
『お登勢さんのお使いの帰りです。銀なら家に・・・?』
今朝早くにお登勢さんからお使いを頼まれた。何事もなく頼まれたモノを届けた帰りに着物姿の土方さんに出会った。
土方さんの問いに答えようとしたら彼の表情が何かを見つけた。何となくですが、察しがついた。
『もしかして後ろに何か居ます?』
土「ああ、アホ面の天パが顔面蒼白で身震いしてる」
『まぁ、具合いでも悪いの?銀』
銀「(何でこう、野郎に出くわすんだよ!
クッソ!こうして並んで見ると余計ーー・・・顔が良いじゃねェかァァァアアッ!!
銀さん主人公だよね?!しかも、旦那だよねッ?!天パか?天パがダメなのか?正直、凹むんですけど・・・)」←ずっと後を付けてた
『銀?聞いてます?』
本当に具合い悪いのかしら?
反応がない銀に歩み寄り、手を伸ばした。頬に触れてみたものの熱は無さそうです。
ぎゅ、
『?』
銀「鬼の副長さんが昼間ッからナンパですかァ?」
土「誰がナンパだッ!?・・・フゥー。どうやらアンタの旦那は独占欲の塊らしいな。片時も離れねェとはストーカーだろ」
銀「うぐッ・・・ι ち、違いますゥー!たまたま、だなァーー・・・」
『(たまたま、ね。また始まっちゃった)』
まぁ、ずっとつけられてたのは知ってたんですけどね。一人でお使いも行けないとは。
掴まれた手を見つめながら笑みが浮かぶ。キツく掴む手は私を離さないでくれると信じられる。
土「ッたく、とんだ非番だぜ」
『なんだか、すみません』
土「アンタのせいじゃないだろ。まぁ、腐れ縁だ。何かあったら相談くらいなら聞いてやる」
?「じゃあ、死んでくだせェ」
土「は?・・・Σのわァッ!!」
?「おや?旦那じゃねェですかィ?そっちの美人が噂の奥さん・・・っと!」
土「総悟、テメェ・・・!」
沖「あれ?土方さんじゃないですか。なんだ、非番だからナンパしたら旦那の奥さんで。取り合ってたんですね。邪魔しちまいましたね」
土「ナンパなんかしてねェし!取り合ってもいねェわ!どうしたらそう解釈できんだよ!」
増えた。制服からしてお巡りさんなのは分かりますが、随分と幼い顔の方ですね。実力はかなり有るようですし。自由気ままな性格なのでしょうか?上司に斬りかかるとは・・・。土方さんは案外、気苦労が絶えない方なのでしょうね。
沖「あ、名乗ってませんでしたね。沖田 総悟です」
『坂田 あやめです。よろしくお願いいたします(微笑)』
沖「旦那」
銀「何よ?」
沖「どんな口八丁で詐欺働いたんです?」
銀「結婚詐欺じゃねェェエッ!!」
沖「え?違うんですかィ?」
土「はぁ、そろそろ帰るぞ」
銀「帰れ帰れ!」
沖「・・・」
土「どしたァ?」
沖「いえね。奥さん見てると奴の面影が重なるんでさァ」
土「あ?奴?」
銀「・・・」
沖「高杉 晋助に」
土「!!」
銀「ッ!!」
『??』
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