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少女と悪魔

俺は─ずっと考えていた。
両親が残したオグルの研究。正直両親が残した研究というものは悪魔に関するものとオグルの召喚方法についてだった。だから─ある日薙乃が悪魔を召喚してきた時は心底驚いた。まるでこんな時が来ることを予期しているかのようだ。

両親が消えたのが3年前

ヴァーゼが突然リップになり、コーデュ・ロイとかいう悪魔の話を聞いたのが5年前

俺の体調が悪化し、鹿の子曰く俺に取り憑いたのが5年前

上手く出来すぎていないだろうか?
まるで5年前にリップと鹿の子が死に、こちらの人間界にやってきて、コーデュ・ロイを召喚する為に2年間準備を済ませ、いざ召喚させたら──いいや、そうじゃない。自分達が失踪することを知っていて俺達にリップの仲間を集めさせているのかもしれない。

いや、考えすぎか──

ふとデスクの上の写真に目をやる。
そこにはまだ幼い頃唯一連れて行ってくれた遊園地での両親との写真だ。
俺達の両親は、研究者というのもあり俺達を遊びに連れていくことが滅多に無かった。しかし、俺が行きたい大学や薙乃や和恋の高校への資金はきちんと用意してくれていた。
だから、俺達を置いて魔界へ行ったとは考えにくい──いや、これは考えたくないだけか。

ダメだ。あまり思考が定まらない。
鹿の子が俺の身体から抜けてからは、貧血で目眩を起こすことも、突然気を失うことも無くなったが、この思考が定まらないのはそれとは関係ないということか。
…ん?そういえば鹿の子には、どうやって死に何年前に俺の体に取り憑いたのか聞いていない
そこで、その辺でヴァーゼに化けたリップと猫じゃらしで遊んでいた鹿の子に聞く

「鹿の子、単刀直入だが死因と何年前から俺の体に取り憑いていたのか教えてくれませんか」
「君ってばプライバシーってものがないのかい?」
「…俺の体を勝手に使っていた貴方にプライバシーという言葉があったとは思いませんでした……」
「ははは…それもそうか。俺の死因はコーデュ・ロイに腹を抜かれて死んだんだ」
「はぁ!?鹿の子お前コーデュ・ロイに殺されてたのか!?」
と、ヴァーゼになっていたリップが飛び起きる
「あれ?言ってなかったっけ?魔界でコーデュ・ロイを倒す為に立ち向かったらアッサリ腹を抜かれちゃってねぇ…それが5年程前だったかな?目が覚めたら君の中にいたからね」

これも5年前─
つまり、リップ達が悪魔殺しをしていたところレインに殺され転生し鹿の子がコーデュ・ロイによって殺され俺に取り憑き、そして俺の両親がコーデュ・ロイを召喚する準備をして、その2年後失踪─

「そういえば8号くんはどこにいるんだろうねぇ?」
「さぁな、どっかでもう召喚されてたりな」
「…その8号というのは?」
「あぁ、説明してなかったねぇ。8号くんは私が以前言った最後の仲間の1人さ。8号くんはほんっと君みたいに真面目でね、忠犬とかいうものだ」

…………………

「魔力探知ができるのはレインだけですか?」
「いや?私もできるが?」
「…では、付いてきてください」
俺はレインと鹿の子(どうしても着いていくと駄々をこねた薙乃も)を連れて、地下室へと向かった。
「何をする気なんだい?もしかして地下室に莫大な魔力が埋まってるとか?」
「鹿の子さん、私達は前に調べたけどここ最近魔力使われた形跡無かったよ」
「お嬢の仰る通り、ここ2年のうちにここで魔力が使われた形跡はありませんでした。」
…ここ1年…やっぱりか
両親が残したオグル研究資料のメモを思い出す

バックの中から、魔力を帯びた犬の血液と海水を組み合わせたものを三角フラスコに入れ、それを地下室の地面に垂らす。
すると、その血液はグルグルと渦を描きすると魔法陣のような姿になった。
魔法陣の上に真っ白な薔薇の花びらを魔法陣の上に置く。
すると、魔法陣が眩い光に包まれ─そこには─
「8号帆布。再び現界しました、お久しぶりです秋彦様」
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