少女と悪魔
「レイン、どう?」
私達はお父さんとお母さんが居なくなってしまった研究室を調べていた。
地下室は常に鍵を掛けてあり、現場は当時のままになっている。魔力を自由に操ることのできるレインがこの地下室で魔力を探知すれば、また地下室にオグルが近づいたかどうかわかるということだ。
地下室の床にレインが手を置き、息を吐く
「どうやらこの部屋では魔力が使われたような形跡はありませんね」
「そっか…やっぱ地下室には……え?この部屋には?」
「はい、こちらの部屋は3年以上魔力が使われた気配はありませんがお隣の部屋には美味しそうな香りがしますよ」
レインがそう言いながら指したのはお父さんが研究用主に使っていた輸血を保管してある部屋だった。
「…私が開けましょうか?」
ゴクリと息を飲む
「い、いい私が開ける」
ひと息着くと、ドアノブを開け思い切り扉を開ける。
するとそこにはウィーンと低音の電子音の4台の冷蔵庫とホコリ被った実験機器があるだけだった。
「はぁ…なんだ、なんにも無いじゃん」
「いいえ、お嬢よく見てください」
すると、ホコリ被ったテーブルの下にホコリの被ってない綺麗なゴミ袋が出てきた。恐る恐る中を確認すると中身が綺麗に無くなった空の輸血パックが幾つか無くなっていた。
よく見ると、献血装置も使用した形跡がある。
「これは…どういう…」
すると、レインは先程のように地面に手を置き数秒後、少し口角を上げた。
「お嬢、この件は我々はあまり関係が無いようです」
「え!?どういうこと?」
「ご両親が失踪したこととは関係無いということです。あくまで我々が見つけ無ければいけないのはご両親の行方でしょう?」
「う…うんそうだけど…」
な、なんかモヤモヤするな…
「まぁすぐにわかりますよ、さぁ!関係無いとわかったらこんなとこ出て一緒にマカロンでも食べましょ♡」
すぐにわかる?ということはまた近くにこの輸血パックについてわかることがあるのか?そう思ったが、レインの言った『マカロン』に気を取られマカロンの方に気持ちが移っていた。
ガチャリと地下室の扉を閉めると、地下室を出てすぐの隅に置いてある猫用の座布団にヴァーゼ…いや、リップがヴァーゼの姿に化けて眠っていた。
「おや、こんなところに腿肉が美味しい化け猫が落ちているではありませんか。どう料理しましょうか」
そう言いながらリップを持ち上げたが、すぐに化けを解いた
「はぁ!?冗談にもならねぇこと言うんじゃねぇぞ悪魔!!」
「まぁまぁ、ところでここにわざわざ居たということは何かしら私達に用事があったのでしょう?」
そういうと、リップはハッとした顔をして
咳払いをした。
「そ、そうだ、お嬢ちゃんに言っておかなきゃなんねーことがあった。100%という訳では無いが、恐らく俺はお前の親を攫った奴を知っている」
「えええ!?」
「もっと早く言って欲しかったですね」
「うるせー!忘れてたんだから仕方ないだろ」
「で、どんな人なの?」
「いや、俺も実際に見たわけじゃないがお前の親が話してる会話を聞いただけだ。」
「で?どなたなんですか?」
「コーデュ・ロイ…だ」
「……………」
すると、私にはよくわからないけど空気が凍った。チラリと、レインを見るとどこか焦りを見せた表情をした。
すると、私が心配そうな顔をしていたのかレインが
「…大丈夫ですよ」
と、言いながら私の髪を撫でたがいつものような余裕が無い。
「いいかお嬢ちゃん、コーデュ・ロイってのは人間もオグルも分け隔てなく食い散らかす上、食べる目的じゃなくて快楽人を殺すような奴だ。」
「じゃあ…私達は…どうしたらいいの?」
すると、暫く考え込んだ後リップは口を開いた。
「俺は──ここに来る前は鹿の子、8号帆布っていう2人の仲間と悪魔を殺してきた。その2人の力があれば─」
「へぇ?懐かしい声がすると思ったら君なんだ」
と聞き慣れない声がした。
慌てて声をするの方を見ると、和恋と蓬と──見たことがないキツネの耳をした青年がいた。
1時間前───
俺は、薙乃と悪魔が来る前に地下室へと向かった。案の定地下室の鍵は空いていた。
奥の部屋の扉を開けると、その辺に散らばった空の輸血パックがそこらじゅうに落ちていた。
やはりそうだ。兄貴は異生物に取り憑かれている。輸血パックを見てみると「A型」と書かれていた。この家では俺と兄貴以外全員AB型だ───だから兄貴が…!
俺は持ってきたゴミ袋の中に空の輸血パックを入れ、まだのギリギリ残っていたA型の輸血パックと三角フラスコを持ち、地下室を出た。
俺は朝から寝込んでいる兄貴の部屋に入り枕元に三角フラスコにA型の血液を入れ白いバラを浸した。
「…おい、化け物。兄貴に取り憑いてるんだろ、出てこいよ」
すると眠っている兄貴の体光り輝き、あまりの眩しさに目を瞑るとベッドの傍に髪が長くキツネの耳が付いた青年が座っていた。
「…いつから気づいていた?」
「俺は生きてきた17年間ずっと兄貴と一緒に居た、そんな変化に気づかない訳がないだろう」
「だが─良いのか?私は他のオグルに比べ特別血液を消耗するが?」
「あぁ、俺は兄貴が苦しむ姿をもう見たくない。兄貴が苦しむなら、俺が全部背負う」
「兄弟愛か…美しいな」
そう言うと青年は立ち上がった。
「いいだろう気に入った、契約を結ぼう。私の名は鹿の子、化け狐のオグルだ」
すると再び光り輝いた。
すると、今朝からずっと体調が悪く寝込んでいた兄貴が目を覚ました。
「…ん………和恋?」
「…!…兄貴!」
兄貴はムクリと半身を起き上がらせると、鹿の子に目をやり再び俺に戻した
「和恋、お前…」
「あ、兄貴…実は…」
「皆まで…言わなくてもいい」
そう言うと、そっと俺を抱き締めた。
「和恋…頼りない兄貴ですまない…いつも、俺ばかり迷惑かけて…」
そう話す兄貴に慌てて反論する。
「違う……!そんなことない…!俺こそいつもいつも兄貴頼ってばっかだから…だから…その…、俺は今度は1人で全部背負いたい」
「…俺こそ…俺こそ和恋のことを幼く見すぎていたようだ」
「…!兄貴…!」
するとなにやら背後からのやけに視線が五月蝿い。
「…なんだ」
「いやぁ…美しい。私にも義弟がいるがそんな風には懐いてくれなくてね…いやぁ羨ましい」
「じゃあ、薙乃達のところへ行こう。新しい家族ができたって言わなきゃね」
「おう!」
─────────────
「あとメンバー1人だって。どう思う?ロッキー?」
白髪の長い髪を持つ少女は赤い髪の少年に話かける
「………」
「ロッキー?」
もう一度少女が呼びかけるとロッキーと呼ばれた少年はハッとする。
「…!も、申し訳ありません琥珀お嬢様名前に慣れなくて」
「そ、でももうすぐ慣れてね。あの子たちが来る前に」
「はい」
と、少年は静かに返事をした。
私達はお父さんとお母さんが居なくなってしまった研究室を調べていた。
地下室は常に鍵を掛けてあり、現場は当時のままになっている。魔力を自由に操ることのできるレインがこの地下室で魔力を探知すれば、また地下室にオグルが近づいたかどうかわかるということだ。
地下室の床にレインが手を置き、息を吐く
「どうやらこの部屋では魔力が使われたような形跡はありませんね」
「そっか…やっぱ地下室には……え?この部屋には?」
「はい、こちらの部屋は3年以上魔力が使われた気配はありませんがお隣の部屋には美味しそうな香りがしますよ」
レインがそう言いながら指したのはお父さんが研究用主に使っていた輸血を保管してある部屋だった。
「…私が開けましょうか?」
ゴクリと息を飲む
「い、いい私が開ける」
ひと息着くと、ドアノブを開け思い切り扉を開ける。
するとそこにはウィーンと低音の電子音の4台の冷蔵庫とホコリ被った実験機器があるだけだった。
「はぁ…なんだ、なんにも無いじゃん」
「いいえ、お嬢よく見てください」
すると、ホコリ被ったテーブルの下にホコリの被ってない綺麗なゴミ袋が出てきた。恐る恐る中を確認すると中身が綺麗に無くなった空の輸血パックが幾つか無くなっていた。
よく見ると、献血装置も使用した形跡がある。
「これは…どういう…」
すると、レインは先程のように地面に手を置き数秒後、少し口角を上げた。
「お嬢、この件は我々はあまり関係が無いようです」
「え!?どういうこと?」
「ご両親が失踪したこととは関係無いということです。あくまで我々が見つけ無ければいけないのはご両親の行方でしょう?」
「う…うんそうだけど…」
な、なんかモヤモヤするな…
「まぁすぐにわかりますよ、さぁ!関係無いとわかったらこんなとこ出て一緒にマカロンでも食べましょ♡」
すぐにわかる?ということはまた近くにこの輸血パックについてわかることがあるのか?そう思ったが、レインの言った『マカロン』に気を取られマカロンの方に気持ちが移っていた。
ガチャリと地下室の扉を閉めると、地下室を出てすぐの隅に置いてある猫用の座布団にヴァーゼ…いや、リップがヴァーゼの姿に化けて眠っていた。
「おや、こんなところに腿肉が美味しい化け猫が落ちているではありませんか。どう料理しましょうか」
そう言いながらリップを持ち上げたが、すぐに化けを解いた
「はぁ!?冗談にもならねぇこと言うんじゃねぇぞ悪魔!!」
「まぁまぁ、ところでここにわざわざ居たということは何かしら私達に用事があったのでしょう?」
そういうと、リップはハッとした顔をして
咳払いをした。
「そ、そうだ、お嬢ちゃんに言っておかなきゃなんねーことがあった。100%という訳では無いが、恐らく俺はお前の親を攫った奴を知っている」
「えええ!?」
「もっと早く言って欲しかったですね」
「うるせー!忘れてたんだから仕方ないだろ」
「で、どんな人なの?」
「いや、俺も実際に見たわけじゃないがお前の親が話してる会話を聞いただけだ。」
「で?どなたなんですか?」
「コーデュ・ロイ…だ」
「……………」
すると、私にはよくわからないけど空気が凍った。チラリと、レインを見るとどこか焦りを見せた表情をした。
すると、私が心配そうな顔をしていたのかレインが
「…大丈夫ですよ」
と、言いながら私の髪を撫でたがいつものような余裕が無い。
「いいかお嬢ちゃん、コーデュ・ロイってのは人間もオグルも分け隔てなく食い散らかす上、食べる目的じゃなくて快楽人を殺すような奴だ。」
「じゃあ…私達は…どうしたらいいの?」
すると、暫く考え込んだ後リップは口を開いた。
「俺は──ここに来る前は鹿の子、8号帆布っていう2人の仲間と悪魔を殺してきた。その2人の力があれば─」
「へぇ?懐かしい声がすると思ったら君なんだ」
と聞き慣れない声がした。
慌てて声をするの方を見ると、和恋と蓬と──見たことがないキツネの耳をした青年がいた。
1時間前───
俺は、薙乃と悪魔が来る前に地下室へと向かった。案の定地下室の鍵は空いていた。
奥の部屋の扉を開けると、その辺に散らばった空の輸血パックがそこらじゅうに落ちていた。
やはりそうだ。兄貴は異生物に取り憑かれている。輸血パックを見てみると「A型」と書かれていた。この家では俺と兄貴以外全員AB型だ───だから兄貴が…!
俺は持ってきたゴミ袋の中に空の輸血パックを入れ、まだのギリギリ残っていたA型の輸血パックと三角フラスコを持ち、地下室を出た。
俺は朝から寝込んでいる兄貴の部屋に入り枕元に三角フラスコにA型の血液を入れ白いバラを浸した。
「…おい、化け物。兄貴に取り憑いてるんだろ、出てこいよ」
すると眠っている兄貴の体光り輝き、あまりの眩しさに目を瞑るとベッドの傍に髪が長くキツネの耳が付いた青年が座っていた。
「…いつから気づいていた?」
「俺は生きてきた17年間ずっと兄貴と一緒に居た、そんな変化に気づかない訳がないだろう」
「だが─良いのか?私は他のオグルに比べ特別血液を消耗するが?」
「あぁ、俺は兄貴が苦しむ姿をもう見たくない。兄貴が苦しむなら、俺が全部背負う」
「兄弟愛か…美しいな」
そう言うと青年は立ち上がった。
「いいだろう気に入った、契約を結ぼう。私の名は鹿の子、化け狐のオグルだ」
すると再び光り輝いた。
すると、今朝からずっと体調が悪く寝込んでいた兄貴が目を覚ました。
「…ん………和恋?」
「…!…兄貴!」
兄貴はムクリと半身を起き上がらせると、鹿の子に目をやり再び俺に戻した
「和恋、お前…」
「あ、兄貴…実は…」
「皆まで…言わなくてもいい」
そう言うと、そっと俺を抱き締めた。
「和恋…頼りない兄貴ですまない…いつも、俺ばかり迷惑かけて…」
そう話す兄貴に慌てて反論する。
「違う……!そんなことない…!俺こそいつもいつも兄貴頼ってばっかだから…だから…その…、俺は今度は1人で全部背負いたい」
「…俺こそ…俺こそ和恋のことを幼く見すぎていたようだ」
「…!兄貴…!」
するとなにやら背後からのやけに視線が五月蝿い。
「…なんだ」
「いやぁ…美しい。私にも義弟がいるがそんな風には懐いてくれなくてね…いやぁ羨ましい」
「じゃあ、薙乃達のところへ行こう。新しい家族ができたって言わなきゃね」
「おう!」
─────────────
「あとメンバー1人だって。どう思う?ロッキー?」
白髪の長い髪を持つ少女は赤い髪の少年に話かける
「………」
「ロッキー?」
もう一度少女が呼びかけるとロッキーと呼ばれた少年はハッとする。
「…!も、申し訳ありません琥珀お嬢様名前に慣れなくて」
「そ、でももうすぐ慣れてね。あの子たちが来る前に」
「はい」
と、少年は静かに返事をした。