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少女と悪魔

「その程度か?」
引きちぎられた腕から絶え間無く血が流れ続ける。
「随分と痛そうだな」
そう言うと、奴は僕の右足を思い切り引きちぎった。骨の織れる音とブチブチと肉が引き裂かれる音がする。
「ぁ゛………ッッ………!」
「痛くて声もほとんど出ないか…つまらない」
そう言うと、奴は僕の足を投げ捨てた。
「まだあの狐共の方が歯ごたえがあったぞ」
…!!リップはやっぱり………それに鹿の子も……
「犬畜生に期待した俺もバカだったな」
「!!」
背を向いた瞬間奴のこめかみにアパッチリボルバーを突き刺し……
「だからつまらんと言うのだ犬畜生」
左腕を逆方向に曲げられる
そして

「"来世"にでも倒しに来い」

脳が潰れる音がした

─────────────────

早朝、誰も居ない学校に入り込む
「…お嬢、そろそろなぜ私を学校に連れて来たのか教えて頂きますか…?」
「シー…静かに」
と、言うとレインは慌てて口をて塞ぐ
廊下に人が居ないのを確認すると、ほぼ物置と化している第4視聴覚室に入った。
「ここはほとんど人が来ないからレインが居て……もう塞がなくて大丈夫」
と、言うとニコニコしながら手を口から離した
「いい?学校では危険度の高い異生物は連れてきゃいけないの。でもここで大人しくしておけば絶対に人が来ないから待ってて!」
「なるほど、お嬢が楽しくご友人と楽しくスクールライフを謳歌する中、レインは1人寂しく視聴覚室ですか」
…(どうせ演技だろうが)レインは少し悲しげな顔をする。
「……そんな顔してもだめ!昼休みには絶対来るからここで待ってて!」
しょんぼりとしたレインを置いて部屋を出る。

────────────────

気がつくとホームルームが始まる8:30になっていた。私たちが来たのは5:30なのに、いつの間にそんな時間が経って居たのだろうか?
そんなことを考えながら席に着く
「はぁ…」
思わず溜め息が出る、昨晩レインを召喚してからほとんど眠れていない。今日の授業は寝てしまわないか心配になる。
「辻斬さん?大丈夫?」
そう声を掛けてくれたのは、クラスの委員長である鬼山菫だった。
「鬼山さんありがとう…!昨晩部活頑張っちゃって」
「あらそうなの?部活もいいけど勉強も集中しないとダメよ」
思わず嘘を付いたが、どうやらバレていないようだった。

ガラガラと、扉が開き担任の先生が入ってきた。
「皆さんおはようございます。突然ですが、理科室の3角フラスコが盗まれました。皆さんの中にはいないと信じたいですが、心当たりのある人は名乗り出るように。」

「……………………………」

───────────────
昼休み、駆け足でレインの居る第4視聴覚室へ向かう。
第4視聴覚室に着き扉を開けると、そこにはレインの姿は無かった。
「レイン?」
すると、突然目の前が真っ暗になり、
次の瞬間レインのギラギラと光る紅い瞳が目の前に現れた。
「全く…お嬢は私を孤独死させるおつもりですか?12時間も待たせるだなんて」
腰にまわされた腕に力が籠る。
「12時間!?朝から昼までだから4時間ぐらいしか経ってないよ」
「やはりですか…お嬢、私から離れないでください」
そんなこと言われても離れられないけど…と、思いつつもレインの腰にしがみつく。
するとレインはポケットの中からナイフを取り出すと、それを窓に向かって投げた。
するとガラスが割れ、外は赤黒い靄のようなものが溢れ出した。
「あら、もう見破っちゃうなんて」
すると、その靄の中から現れたのは…
「鬼山さん…?」
「辻斬さん、あなたはどうやらとても優秀なオグルを召喚したようね」
「オグル…?」
「お嬢の世界で呼ばれている異生物はこちらの世界ではオグルと呼ばれています。…ところで、よくこのような場所を創りあげましたね。私は最初は気づきませんでした。」
すると、鬼山さんはニヤリと笑った。
「もちろんよ。だって私みたいに"悪魔"のオグルは人を食べないと生きていけないんですもの!!」
思わずレインの顔を見る。レインも同じようなことを考えていたのか、少し悲しげに微笑む。
「辻斬さん、あなたはここで死んでもらうわ!」
そう言うと、腰に刺していたショーテルを取り出し私達に遅いかかる
「お嬢!しっかり掴まっていてください!」
レインは鬼山さんの攻撃を避け、反対側にあったテーブルの上へと着地する。
「なかなかやるじゃない、なら!これは!?」
と、言いながら先程レインが投げた2本のナイフをこちらに投げつけた。しかし、レインはそれをものともせずマントで弾き返した。
すると、レインが
「お嬢、目を瞑ってください」
「え!?」
「…私好きな人の前で酷い姿は見せたく無いんですよ」
「……わかった」
ゆっくりと目を閉じた。
その直後体が少し浮き、金属が何度か当たった後生暖かい風が頬を撫でた。
すると、
「ぎゃあああああああああ!!!」
という鬼山さんの悲鳴が聞こえた後、風は止んだ。
「お嬢、目を開けて」
恐る恐る目を開けると、先程の靄は無くなっており窓からは夕陽が指している。部屋の真ん中には少しネバネバした青い液体が飛び散っており、その真ん中には特に傷も無く気を失っている鬼山さんがいた。
「どうやら彼女は召喚したオグルに取り憑かれていたようです。あと数時間すれば元に戻るかと」
「そ、そうなんだ…良かった」
「はい、私たちもずっとここにいると怪しまれます。お嬢、外へ」
と、言うレインにずっと気になっていたことを問いかける
「レイン、悪魔のオグルは人間を……食べなきゃ死んじゃう…の?」
レインは神妙な顔つきで私に近寄りそのまま私を横抱きすると、
「私は…お嬢を必ずお守り致します。例えこの命が尽きたとしても……。」
「……う…うん、わかった」
「それに──」
レインはいつもの笑顔で
「私は下等な悪魔と違い、人間は食べません。"人間"はね」
と、言った。
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