このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

兄沢×殿鬼

もうずっと前から消えてしまいたかった
…とは言うもののそれは自殺願望や希死念慮がある訳ではない、それを感じるのは…そう、例えば
「兄沢!!」
そんな声に呼ばれて振り返ると、どこか嬉しそうな顔をした殿鬼がいた。
「なんだ?殿鬼?」
「実はさ、これお前ずっと前から欲しかったろ?」
と、殿鬼が渡してきたものは、俺が前話したときに言っていたHGUC 1/144 (032)MS-06S シャア専用ザクII だった。
「い、いいのか?」
「勿論!」
と、嬉しそうな顔をする殿鬼を見て、また消えたくなった。殿鬼はこんなに純粋な気持ちで俺に接しているのに、当の俺はこんな気持ちを殿鬼に抱いているだなんて…

そして先日、殿鬼が風邪で寝込んでいる間にとうとうやってしまった。話の流れで告白してしまったのだ。
あの日以降殿鬼とはまともな会話をしていない。
「よぉ、兄沢」
「お、道玄坂。おはよう」
「兄沢…殿鬼と喧嘩でもしたのか?」
「へ?」
「アイツ、兄沢の話を振るとどうも動揺してまともに会話ができなくてな」
「へ、へぇー…」
「まぁ、何かあったんなら仲直りしろよ?これでも同棲してる仲間なんだからな」
…仲間…!そうだよな、いつまでもウジウジして話さないのは男のやることじゃない!
と、言う訳で
「殿鬼!!!」
と、勢い良く殿鬼の部屋の扉を開ける。
「あ、あああ兄沢!?」
ビクッと肩を震わせこっちを向いた。
「俺は!……俺は、お前に伝えなきゃ…いや、改めて伝えなきゃいけないことがある」
「な、なんだよ」
…殿鬼も恐らく俺が今から何を言おうとしているのか勘づいているようで、俺と視線を合わせようとしない。
俺は殿鬼の座っているところに歩み寄り、視線を逸らせないように殿鬼の首の裏に手を回す。
「な、ななな、何…ッ…を」
「今から1回だけお前に言う、よく聞けよ」
「お、…おう」
「殿鬼、お前は…話してる最中に深夜アニラジ聞きに行くし、ロボット作り出したら何日も部屋から出てこない。でも、そんなところも含めて俺はお前のことが大好きだ」
「…………お、俺…実はお前にこの前好きって言われて、俺なりに色々考えたんだけど正直…嫌じゃなかった…だから…俺、お前のことが──」
そう言い終わらないうちに唇を重ねる。
「…こういうことで…いいんだよ…な?」
そう言うと、殿鬼は恥ずかしそうに黙って頷いた。その瞳があまりにも優しくて泣いてしまった。
2/2ページ
スキ