秘密
まだ日も沈まないうちに夢を見た
自分の部屋に落ちている包丁を
拾い上げる夢を見た
そのまま私は包丁の柄を
汗ばむ両手で大事そうに握りながら
刃を前に突き出して
そのまま歩く夢を見た
夢でしか無かった
本当に残念だけど
夢を夢だと分かるくらいには
私はまだ融解していないらしい
それにしたって不幸中の幸いだったのは
目が覚めたら
さっきまで聞こえていた轟音が
何度かの鈍い打撃音が
会話のふりをした自我意識の殺し合いが
嘘のように消えていたってこと!
ああきっと夢だったの!
仲裁もせず逃げ回っていた私は
本当は疲れて眠たがってただけで
当然のように嵐が過ぎるまで眠っていようとした
そんな私は
命綱を手放さない為に何も言えない
そうして泣いた私なんて
きっと最初から存在しなかったって!
逃げ回っていた蚊の腹を爪で潰したあと
ある男女が愛と定義したものを信じたふりをしてその限界に触れないような模範囚として
壊れきったものの横を
笑顔でも涙でもない顔で通り過ぎる
硝子の破片を片付ける音がしたとき
ほんの少しだけ号泣しそうになった
本当に残念だけど
夢を夢だと分かるくらいには
私はまだ融解していないらしい
自分の部屋に落ちている包丁を
拾い上げる夢を見た
そのまま私は包丁の柄を
汗ばむ両手で大事そうに握りながら
刃を前に突き出して
そのまま歩く夢を見た
夢でしか無かった
本当に残念だけど
夢を夢だと分かるくらいには
私はまだ融解していないらしい
それにしたって不幸中の幸いだったのは
目が覚めたら
さっきまで聞こえていた轟音が
何度かの鈍い打撃音が
会話のふりをした自我意識の殺し合いが
嘘のように消えていたってこと!
ああきっと夢だったの!
仲裁もせず逃げ回っていた私は
本当は疲れて眠たがってただけで
当然のように嵐が過ぎるまで眠っていようとした
そんな私は
命綱を手放さない為に何も言えない
そうして泣いた私なんて
きっと最初から存在しなかったって!
逃げ回っていた蚊の腹を爪で潰したあと
ある男女が愛と定義したものを信じたふりをしてその限界に触れないような模範囚として
壊れきったものの横を
笑顔でも涙でもない顔で通り過ぎる
硝子の破片を片付ける音がしたとき
ほんの少しだけ号泣しそうになった
本当に残念だけど
夢を夢だと分かるくらいには
私はまだ融解していないらしい
