秘密

どれだけ願おうが叶わないことがあると知った。

人智を超えた麗しいあの子に救われたかった。
絶望の底で幾重にも咲く花を見た時も、視線と叱責に耐えかねて逃げ出した時も、自分の不出来さに許しを乞うた時も。
貴方を愛することで、大嫌いな人間にすらなれず死んでいく私が肯定される気がした。生まれたことを感謝なんてしなくていいと言われているかのような錯覚。その存在だけで私は救われてしまった。

だから私は殺されたかった。あまりにも残酷に、冷徹に、無慈悲に、あなたの体を数秒前まで巡っていたおぞましくも美しい力の奔流を受けて死にたい。でも叶わない。願うことをやめた私が再びみつけた最後の願いは叶うことは無い。冷たい壁越しに真剣に恋をした私の涙はあなたの肌を濡らすことはない。

どうせ来世なんかあったって全て忘れてしまうの。だから私はあなたに殺されたかった。
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