📂file2
記録開始
━━━━━━━━━━━━━━━
「おい、おまえ。」
「ん、なにか用か?ダフネ。それと俺にはゼルクという名があって…」
「お菓子を作ってみたい。」
突然の要求に俺は目を丸くした。…否。正直語弊がある。俺は表情を変えることができない。故にこれはあくまでたとえ話だ。しかしあえてこのような大げさな表現を用いて俺の驚きようを示したのには理由がある。彼女が読書以外の活動に意欲的になるのはこれが初めてだったからだ。
彼女のやる気を削がない程度に俺は純粋な疑問を投げかけた。
「ダフネからそのような提案をしてくるなんて珍しいな。」
「だってそうでもしないと外出ろってうるさいだろ、おまえ。」
「…。」
ダフネは一冊の本を手に取るとそれを念力で浮かせ、こちらに寄越してきた。ひとりでに開かれたページには、なにやら黄色くてつやのある台形型のものが皿に乗っている写真が添付されていた。その物体には上から糖蜜のようなものが掛けてある。
「これは…プリンと呼ばれている物だな。」
「今渡した本に作り方が書いてある。それはそれは甘くておいしいらしい。」
「調べてみたことはある。一説には人間はこの甘味を巡って血で血を洗うような戦いを繰り広げることが多々あると。」
「…野蛮だな。」
そうダフネは吐き捨てるように言うと再び本を手元にもどし、
おもむろに立ち上がった。
「まぁいい。とにかく今私はプリンとやらを作ってみたい。」
「唐突だな。」
「だが私はこの書斎からほとんど出ない。故に屋敷の調理場の場所も知らない。だから私よりこの屋敷を隅々まで見て回っているおまえに案内してほしいんだ。」
「…心苦しいのだがダフネ、申し上げさせてもらうと」
「かまわない。申し上げて。」
「この屋敷、調理場がない。」
「ぬ、」
ダフネの動きがぴたりと止まった。
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「おい、おまえ。」
「ん、なにか用か?ダフネ。それと俺にはゼルクという名があって…」
「お菓子を作ってみたい。」
突然の要求に俺は目を丸くした。…否。正直語弊がある。俺は表情を変えることができない。故にこれはあくまでたとえ話だ。しかしあえてこのような大げさな表現を用いて俺の驚きようを示したのには理由がある。彼女が読書以外の活動に意欲的になるのはこれが初めてだったからだ。
彼女のやる気を削がない程度に俺は純粋な疑問を投げかけた。
「ダフネからそのような提案をしてくるなんて珍しいな。」
「だってそうでもしないと外出ろってうるさいだろ、おまえ。」
「…。」
ダフネは一冊の本を手に取るとそれを念力で浮かせ、こちらに寄越してきた。ひとりでに開かれたページには、なにやら黄色くてつやのある台形型のものが皿に乗っている写真が添付されていた。その物体には上から糖蜜のようなものが掛けてある。
「これは…プリンと呼ばれている物だな。」
「今渡した本に作り方が書いてある。それはそれは甘くておいしいらしい。」
「調べてみたことはある。一説には人間はこの甘味を巡って血で血を洗うような戦いを繰り広げることが多々あると。」
「…野蛮だな。」
そうダフネは吐き捨てるように言うと再び本を手元にもどし、
おもむろに立ち上がった。
「まぁいい。とにかく今私はプリンとやらを作ってみたい。」
「唐突だな。」
「だが私はこの書斎からほとんど出ない。故に屋敷の調理場の場所も知らない。だから私よりこの屋敷を隅々まで見て回っているおまえに案内してほしいんだ。」
「…心苦しいのだがダフネ、申し上げさせてもらうと」
「かまわない。申し上げて。」
「この屋敷、調理場がない。」
「ぬ、」
ダフネの動きがぴたりと止まった。
