KANADE

「ハビ! ジェーニャ!」

8年ぶりに現れたユヅは、挨拶もそこそこに、ジェーニャからダイが到着する予定の航空便を聞き出すと、ものすごい勢いで駆けて行った。

「なんなんだ、あいつ……」

呆れる俺に、ジェーニャがくすくす笑う。


期待と不安に満ちた、必死な顔をして。

俺がどれだけ心配したか、分かっているのか?

「後でたっぷり返してもらいましょ。」

俺の考えを読んだみたいに、ジェーニャがいたずらっぽく囁く。

「ユヅったら、あたしが2人に用意したプレゼントに気づかなかったわ。ちゃんと頭にビジョンを浮かべていたのに。」

「へぇ……」

珍しいこともあるもんだ。

「ダイのことで頭がいっぱいね。」

「まったく…」

俺とジェーニャは顔を見合わせた。

「後でたっぷり返してもらおう。」




その後、連れ立って現れたユヅとダイ(大人っぽくて格好良くて、いい男になっていた)は、もう二度と離れないというように、ぴったりと寄り添っていた。

慌ただしくジェーニャがプレゼントした無人島に旅立って、またしても音沙汰がない。


…まぁ、もういいけどね。

2人が幸せなのは、疑いようがない。

お返しをもらう時間は、まだたっぷり残されている。


俺たちは、永遠にファミリーなのだから。




終わり




※冒頭の詩はスキマスイッチ「奏」よりお借りしました。
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