花束を君に 前編
ダイの電話にショーマは出なかった。
僕らからの連絡より一足早くマオの行き先を把握して、ショーマもこちらに向かっていると、ジェーニャは言った。
オオカミたちの予知ははっきりしない、とぼやきながら。
マオは、緊急事態宣言中のイギリスに来るのに、政府の特別なパスポートを使ったらしかった。
マオたちは、世界中に飛んでヴァンパイア絡みの事件の解決に当たっているのだ。
そのおかげで、ショーマもマオの行き先を突き止めることができたらしかった。
「とりあえず、今晩マオにはここに泊まってもらって、ショーマの到着を待ちましょ。」
ジェーニャは、てきぱきとそう言って、僕とダイのベッドをゲストルームに運んで行った。
「…ユヅ、こっちに来て。」
フロアに足を投げ出したままのダイが僕を呼ぶ。
僕はダイの膝の上に乗って、ぎゅっと抱きついた。
「…ユヅ、愛してる。」
「うん…」
優しいキス。
ふわりと温かなシールドの気配がして、ダイの思念が僕に伝わってくる。
僕への愛情と、僕を傷つけることへの恐れ。
ダイが見せてくれる偽りのない気持ちに、胸がいっぱいになった。
それから、ダイは意図していないかもしれないけれど、マオへの思いやりと心配も。
誰よりも幸せになってほしい、と。
ダイは心からそう願っていた。
ダイが僕を選んでくれたことが、マオを傷つけるかもしれない。
そのことに苦しむダイを見たくなかった。
「…ねぇ、ダイ。もしマオが望むなら、ダイはマオと一緒にいてあげて。」
「……ユヅ?」
「僕にはたくさん時間があるから。マオの一生より、たくさん。」
ダイを人間に戻すことはできないけれど。
マオとの時間はいつか終わりが来る。
そうしたら、僕のところへ戻ってきてほしい。
「僕は、ずっと待ってるから…」
胸を抉られるような痛みに耐えながら、そう声を絞り出すと、ダイは黙った。
「……っ?!」
突然、ぱちんとシールドが弾け、乱暴にフロアに体を押し付けられて、僕は戸惑う。
「……ひどいな、ユヅは。」
「ダ、イ……?」
低い声がして、着ていたシャツが引き裂かれ、首元にダイの牙が当てられる。
「……っつ…」
いつもの愛撫よりも強めに噛み付かれて、鈍い痛みに身体が震えた。
「何度言ったら信じてくれるんだ?俺にはユヅしかいないのに。」
「……っあ……」
「それとも、ユヅは平気なのか?」
「……ひ…っ……」
ジーンズをずり下げられ、そこだけ露わにされて、前触れもなく押し開かれる。
いきなり最奥まで突き上げられて、喉が鳴った。
「俺はユヅがそばにいないと、気が狂いそうに辛いのに。」
「……っダ…イ……」
「いつだって、俺のそばで笑っててほしい。何があっても。誰を傷つけても。…ユヅは違うのか?」
「……っあぁあ…っ……」
ダイはそのまま、無言で僕を責めるように腰を動かした。
気の遠くなるような痛みと、それにも増して肌をピリピリと突き刺すほどのダイの怒り。
僕はダイに縋り付いた。
「ダイ…っ、ダ…イ…っ…っ」
ダイが噛み付くようなキスをする。
……ごめんなさい。
切れ切れにそう囁くと、ダイの動きが少し優しくなった。
僕らからの連絡より一足早くマオの行き先を把握して、ショーマもこちらに向かっていると、ジェーニャは言った。
オオカミたちの予知ははっきりしない、とぼやきながら。
マオは、緊急事態宣言中のイギリスに来るのに、政府の特別なパスポートを使ったらしかった。
マオたちは、世界中に飛んでヴァンパイア絡みの事件の解決に当たっているのだ。
そのおかげで、ショーマもマオの行き先を突き止めることができたらしかった。
「とりあえず、今晩マオにはここに泊まってもらって、ショーマの到着を待ちましょ。」
ジェーニャは、てきぱきとそう言って、僕とダイのベッドをゲストルームに運んで行った。
「…ユヅ、こっちに来て。」
フロアに足を投げ出したままのダイが僕を呼ぶ。
僕はダイの膝の上に乗って、ぎゅっと抱きついた。
「…ユヅ、愛してる。」
「うん…」
優しいキス。
ふわりと温かなシールドの気配がして、ダイの思念が僕に伝わってくる。
僕への愛情と、僕を傷つけることへの恐れ。
ダイが見せてくれる偽りのない気持ちに、胸がいっぱいになった。
それから、ダイは意図していないかもしれないけれど、マオへの思いやりと心配も。
誰よりも幸せになってほしい、と。
ダイは心からそう願っていた。
ダイが僕を選んでくれたことが、マオを傷つけるかもしれない。
そのことに苦しむダイを見たくなかった。
「…ねぇ、ダイ。もしマオが望むなら、ダイはマオと一緒にいてあげて。」
「……ユヅ?」
「僕にはたくさん時間があるから。マオの一生より、たくさん。」
ダイを人間に戻すことはできないけれど。
マオとの時間はいつか終わりが来る。
そうしたら、僕のところへ戻ってきてほしい。
「僕は、ずっと待ってるから…」
胸を抉られるような痛みに耐えながら、そう声を絞り出すと、ダイは黙った。
「……っ?!」
突然、ぱちんとシールドが弾け、乱暴にフロアに体を押し付けられて、僕は戸惑う。
「……ひどいな、ユヅは。」
「ダ、イ……?」
低い声がして、着ていたシャツが引き裂かれ、首元にダイの牙が当てられる。
「……っつ…」
いつもの愛撫よりも強めに噛み付かれて、鈍い痛みに身体が震えた。
「何度言ったら信じてくれるんだ?俺にはユヅしかいないのに。」
「……っあ……」
「それとも、ユヅは平気なのか?」
「……ひ…っ……」
ジーンズをずり下げられ、そこだけ露わにされて、前触れもなく押し開かれる。
いきなり最奥まで突き上げられて、喉が鳴った。
「俺はユヅがそばにいないと、気が狂いそうに辛いのに。」
「……っダ…イ……」
「いつだって、俺のそばで笑っててほしい。何があっても。誰を傷つけても。…ユヅは違うのか?」
「……っあぁあ…っ……」
ダイはそのまま、無言で僕を責めるように腰を動かした。
気の遠くなるような痛みと、それにも増して肌をピリピリと突き刺すほどのダイの怒り。
僕はダイに縋り付いた。
「ダイ…っ、ダ…イ…っ…っ」
ダイが噛み付くようなキスをする。
……ごめんなさい。
切れ切れにそう囁くと、ダイの動きが少し優しくなった。