Hallelujah 後編

「……ごめんね。」

マオとショーマと別れた後、ダイは僕と並んで歩きながら小さな声で謝った。

「なんか…、取り乱しちゃって。」

「仕方ないよ。僕がダイでもそうなるもの。」

御台さまと大輔さまの間に御子がいたことを知ったばかりなのに。

真桜さんと大尉の間にもいたなんて。

そして、その子孫がマオだなんて。

しかもオオカミ人間だ。

こんなことって、ある?

僕は今でも少し信じられなかった。

「…幸せだったのかな、真桜……」

ダイが思わずといったふうに呟いて、はっと口をつぐむ。

僕はにっこりした。

「幸せだったよ、きっと。」

だって、大尉のお子さんと一緒に暮らせたんだから。

そして今生のマオは、きっとショーマとずっと一緒にいられる。

もし子どもが生まれたら、その子とも。

「御台さまも真桜さんも、それにマオも、周りを幸せにできる人だもん。そんな人が幸せにならないはずがない。」

神さまの祝福を受けた女性ひと

それを羨ましく思う気持ちがないわけではないけど、今の僕は、こんな僕でも神さまが等しく見ていてくれるって信じられる。

ダイがいるから。

「ありがとう、ユヅ。」

ダイは僕の方を向いて微笑んだ。

「俺、ユヅとこんなふうに一緒にいられて、幸せだよ。」

「…僕も。」

桜並木の下で、ダイがそっと僕に唇を寄せる。

永い時の流れの中で、僕とダイとマオをつなぐ桜。

今は、枯葉をまとっているけれど。

春になれば、満開の花を咲かせるにちがいない。



It’s a cold and it’s a broken Hallelujah

Hallelujah Hallelujah
Hallelujah Hallelujah


——たとえ冷たく壊れたハレルヤでも

ハレルヤ 主に栄光を

ハレルヤ 喜びと賛美を





終わり


※※作中の歌詞は Leonard Cohenの「Hallelujah」よりお借りしました。ワタクシの妄想を広げてくださったぴぴまま様に感謝を込めて♡
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