Hallelujah 前編
大尉と真桜さんのお墓は、街中のこじんまりしたお寺にあった。
正式に籍を入れたわけではない二人だったけれど、結納を交わしていたので、同じお墓で一緒に眠っていた。
「…ありがとう、ユヅ。」
目を閉じて手を合わせていたダイが、僕の方を見て微笑む。
「この花、真桜にぴったりだ。」
色とりどりの花を丸いブーケにした花束は、お墓参りには不釣り合いかもしれないけど、僕の真桜さんのイメージだ。
そこにいるだけで、周りがぱっと華やぐような人だった。
「……鳳櫻院大翔居士。大尉の戒名かな。」
ダイがお墓に刻まれている文字を読む。
「ふふ、ぴったりだね。」
僕たちは、顔を見合わせて笑った。
ふと、人の気配がして、僕たちは慌てて立ち上がった。
あまり人に見られないほうがいい。
足早に立ち去ろうとしたときだった。
「…あれ?? ダイとユヅじゃない、どうしたの、こんなとこで。」
立ち並ぶお墓の陰から、ぴょこんと顔を出した2人に、僕はびっくりして足を止めた。
「……マオ! それにショーマも。」
隣に立つダイも驚いた声を出した。
「びっくりしたぁ、こんなとこで会うなんて。日本に来てるなら連絡しろよ。」
ショーマは、両手に水の入った桶と樒を持っていた。
「お墓参り? ここにお墓があるのか?」
「マオのお祖母ちゃんだよ。結婚する前に、報告しとかなきゃと思って。」
ダイとショーマが話している間に、マイペースなマオはすたすたと歩き出し、そして足を止めた。
「…あれ、珍しい。誰かお参りに来てる。」
………え?
僕は、今度こそ驚きのあまり固まった。
だって、マオは僕たちがさっき手を合わせたばかりの大尉と真桜さんのお墓の前に、立っていたんだ。
続く
正式に籍を入れたわけではない二人だったけれど、結納を交わしていたので、同じお墓で一緒に眠っていた。
「…ありがとう、ユヅ。」
目を閉じて手を合わせていたダイが、僕の方を見て微笑む。
「この花、真桜にぴったりだ。」
色とりどりの花を丸いブーケにした花束は、お墓参りには不釣り合いかもしれないけど、僕の真桜さんのイメージだ。
そこにいるだけで、周りがぱっと華やぐような人だった。
「……鳳櫻院大翔居士。大尉の戒名かな。」
ダイがお墓に刻まれている文字を読む。
「ふふ、ぴったりだね。」
僕たちは、顔を見合わせて笑った。
ふと、人の気配がして、僕たちは慌てて立ち上がった。
あまり人に見られないほうがいい。
足早に立ち去ろうとしたときだった。
「…あれ?? ダイとユヅじゃない、どうしたの、こんなとこで。」
立ち並ぶお墓の陰から、ぴょこんと顔を出した2人に、僕はびっくりして足を止めた。
「……マオ! それにショーマも。」
隣に立つダイも驚いた声を出した。
「びっくりしたぁ、こんなとこで会うなんて。日本に来てるなら連絡しろよ。」
ショーマは、両手に水の入った桶と樒を持っていた。
「お墓参り? ここにお墓があるのか?」
「マオのお祖母ちゃんだよ。結婚する前に、報告しとかなきゃと思って。」
ダイとショーマが話している間に、マイペースなマオはすたすたと歩き出し、そして足を止めた。
「…あれ、珍しい。誰かお参りに来てる。」
………え?
僕は、今度こそ驚きのあまり固まった。
だって、マオは僕たちがさっき手を合わせたばかりの大尉と真桜さんのお墓の前に、立っていたんだ。
続く