The Origin Of Love
@雪の結晶
ユーリの綺麗な指がリモコンの停止ボタンを押す。
「ゆづ……」
心配そうに見つめてくる銀青の瞳を見つめて、俺はにっこりした。
「すっごく、いいと思う。」
ユーリの顔がぱっと華やぐ。
抱きついてくるユーリを受け止めて、俺は囁いた。
「完成が楽しみだよ。」
ユーリが初めて手がけるミュージカルのテーマソング。
音楽だけじゃなく、芹沢さんの書く作詞にも少しだけ参加した。
神話の時代、ひとつだった人間が神の手によってふたつに分かたれ、自分の片われを探し求める、それが愛の始まり…という歌詞は、とても哲学的だ。
「…これ、ボクとゆづ。」
「……え?」
「ボクとゆづ、ふたりでひとつ。」
ユーリは両手の人差し指を立てて、くっつけて見せた。
「…この歌詞のこと?」
「ん。」
俺は、なんとも言えず嬉しくなって、ユーリに唇を寄せた。
明日には来季のためにトロントに行かなきゃいけないけど。
競技に戻る以上中途半端なことはできない。
しばらくユーリとは別々の生活が続く。
それでもいつも一緒だと言ってくれているみたいだった。
「……おっと、お邪魔だったかな。」
芹沢さんが部屋に入ってきて、俺は少し赤くなってユーリから離れた。
一方のユーリは、わりと平気な顔をして、芹沢さんの方へ歩いて行った。
「これ、ウィーンに送る。」
差し出したのは、発売したばかりのユーリの初めてのCDだった。
昨年の夏からこの春先まで、俺と一緒にしていたアイスショーの楽曲を納めたものだ。
「そうだったね。分かってるよ。」
芹沢さんは、優しく頷いた。
詳しくは知らないけど、昨年の夏に芹沢さんがコラボしたウィーンのピアニストを、ユーリはひどく気に入ったらしかった。
珍しいこともあるもんだ。
けど、ユーリの世界が拡がっていくのは嬉しい。
「ゆづ。」
ユーリは、にこにこと俺のそばに戻ってくる。
「…もういっかい、聴く?」
リモコンを手に首を傾げられて、俺は笑って頷いた。
「あぁ、もう1回聴こう。俺たちの歌。」
Last time I saw you we had just split in two.
最後に君を見たのは、ちょうど僕らが真っ二つに裂かれたとき
You were looking at me.
君は僕を見ていて
I was looking at you....
僕は君を見ていた…
That the pain down in your soul
君の魂の奥にある痛みは
Was the same as the one down in mine....
僕のここにあるのと同じ
That's the pain, we called it love.
その痛みを僕らは愛と呼んだ
So we wrapped our arms around each other,
だから僕らは互いに腕を回して
Trying to shove ourselves back together.
どうにか元どおりひとつになれないかと
We were making love,
抱き合って愛を交わすんだ
Making love.
愛を交わすんだ
ユーリの綺麗な指がリモコンの停止ボタンを押す。
「ゆづ……」
心配そうに見つめてくる銀青の瞳を見つめて、俺はにっこりした。
「すっごく、いいと思う。」
ユーリの顔がぱっと華やぐ。
抱きついてくるユーリを受け止めて、俺は囁いた。
「完成が楽しみだよ。」
ユーリが初めて手がけるミュージカルのテーマソング。
音楽だけじゃなく、芹沢さんの書く作詞にも少しだけ参加した。
神話の時代、ひとつだった人間が神の手によってふたつに分かたれ、自分の片われを探し求める、それが愛の始まり…という歌詞は、とても哲学的だ。
「…これ、ボクとゆづ。」
「……え?」
「ボクとゆづ、ふたりでひとつ。」
ユーリは両手の人差し指を立てて、くっつけて見せた。
「…この歌詞のこと?」
「ん。」
俺は、なんとも言えず嬉しくなって、ユーリに唇を寄せた。
明日には来季のためにトロントに行かなきゃいけないけど。
競技に戻る以上中途半端なことはできない。
しばらくユーリとは別々の生活が続く。
それでもいつも一緒だと言ってくれているみたいだった。
「……おっと、お邪魔だったかな。」
芹沢さんが部屋に入ってきて、俺は少し赤くなってユーリから離れた。
一方のユーリは、わりと平気な顔をして、芹沢さんの方へ歩いて行った。
「これ、ウィーンに送る。」
差し出したのは、発売したばかりのユーリの初めてのCDだった。
昨年の夏からこの春先まで、俺と一緒にしていたアイスショーの楽曲を納めたものだ。
「そうだったね。分かってるよ。」
芹沢さんは、優しく頷いた。
詳しくは知らないけど、昨年の夏に芹沢さんがコラボしたウィーンのピアニストを、ユーリはひどく気に入ったらしかった。
珍しいこともあるもんだ。
けど、ユーリの世界が拡がっていくのは嬉しい。
「ゆづ。」
ユーリは、にこにこと俺のそばに戻ってくる。
「…もういっかい、聴く?」
リモコンを手に首を傾げられて、俺は笑って頷いた。
「あぁ、もう1回聴こう。俺たちの歌。」
Last time I saw you we had just split in two.
最後に君を見たのは、ちょうど僕らが真っ二つに裂かれたとき
You were looking at me.
君は僕を見ていて
I was looking at you....
僕は君を見ていた…
That the pain down in your soul
君の魂の奥にある痛みは
Was the same as the one down in mine....
僕のここにあるのと同じ
That's the pain, we called it love.
その痛みを僕らは愛と呼んだ
So we wrapped our arms around each other,
だから僕らは互いに腕を回して
Trying to shove ourselves back together.
どうにか元どおりひとつになれないかと
We were making love,
抱き合って愛を交わすんだ
Making love.
愛を交わすんだ