[さらにカオス]鬼時間へようこそ[妖ウォ×コナン+まじ快]
「「な、なんだよこれ?!」」
コナンと快斗は声を揃えて叫ぶ。世界があっという間に文字通りの異世界になってしまったのだから、驚くなという方が無理がある。しかし、イナホは慌てて二人の口を塞いだ。
「だ、ダメですよ!ここでそんな大きな声を出しちゃ!見つかっちゃいます!」
イナホは、二人の耳元でそうささやいた。普段なら、”リアル鬼ごっこ~♪”なんて調子こいたことを言うのだが、流石に素人二人の手前、イナホも遠慮していた。コナンと快斗はコクコクと頷く。その様子にイナホは二人が真剣であることを感じ取り、そっと塞いでいた口を開放した。
「ぷはっ……!おいイナホ!これって何なんだよ!!妙に怖ぇし、不気味だし!」
焦ったように問うコナンに、イナホは辺りを警戒しながら小声で答えた。
「鬼時間です。」
”鬼時間”。
それは、子供たちが見る悪夢。どんな手を使っても倒せない鬼から逃げることしかできない恐怖の時間。鬼時間から脱出するためには、鬼に倒されるか出口となる襖をくぐるかの二択。それ以外に脱出の手段はない。イナホの住む町・さくらニュータウンでは妖怪ウォッチの使い手が二人もいる為か割と耳にし遭遇する現象だが、どうやらコナンとKIDこと快斗は初めてだったようだ。しかし、鬼の手下である見回り鬼がうろついている状況で鬼時間について説明する余裕はない。
「詳しいことは後で説明します!とにかく今はここから逃げましょう!」
イナホの言葉に二人は頷き、訳が分からぬままコナンと快斗はイナホの後に続いた。数分歩いた公園の草むらの中。そこに三人とUSAピョンは息をひそめて隠れていた。
「で、”鬼時間”って奴を説明してくれないか?」
もう演じる気力もない快斗は地でイナホに問う。しかし、イナホも詳しくはない。鬼時間を"リアル鬼ごっこ"として楽しんでいるイナホには説明する力はなかったのだ。どう鬼時間を説明したらいいのか悩んでいるイナホを見て、USAピョンが二人の前に飛び出した。コナンと快斗は今まで視えていなかった存在が急に現れたことに驚いて声が出ていなかった。
「う、USAピョン?!」
「ユーが全く説明しないから、代わりにミーが説明するダニ!」
USAピョンはそう言い、妖怪パッドを取り出して説明を始める。その説明を聞いているうちに、コナンと快斗の顔が青ざめていく。二人とも、”普通の出来事"にはある程度の耐性はある。寧ろコナンは事件に囲まれた日々を送っているが、その事件だらけの日々がコナンにとっての日常でどんな事件が起きようとも冷静に対処できる自信はある。しかし、己の武器が一切通用せずただ逃げることしかできない異空間に閉じ込められている恐怖は拭いきれなかった。そんな二人の肩をポンと優しく叩いたのはイナホである。
「大丈夫!このリアル鬼ごっこに慣れている私にお任せを!」
あまりに脳天気にそう言うのでコナンと快斗は思わず顔を見合せた。なぜそこまで呑気でいられるのかと言いたいだろうが、それは黙認された。幾ら鬼時間という異空間にいて妖怪の存在を視れるようになっていたとしても、それはあくまで一時的なものに過ぎない。快斗に関しては近くに魔女がいるから余計に踏み込みはしないだろうが、コナンはそうはいかないだろう。殺人事件を早く解決させたいがために友達妖怪を喚んだ事さえまだ疑っているのが分かっているから、この鬼時間が終わったらきっと徹底的に調べ上げる気だろう。そうされては、イナホたちにとって困る事態となる。最悪の場合、妖魔界の王たるエンマ大王を召喚する羽目になるのだから……。イナホは記憶消去の可能性も考え、大辞典からある妖怪のメダルを抜き取りポケットにしまった。
四人で見回り鬼に警戒しながら、USAピョンの妖怪パッドに表示された出口—大きな金色の襖を目指して歩いていた。コナンと快斗は不安で堪らなかったのだが、意外にもイナホは普通に歩いている。イナホ曰く、”このリアル鬼ごっこは何度もしているので”とのことだが、小学5年生の子供がそうしょっちゅう怪奇現象に出逢うものだろうか?という疑問がコナンと快斗の中に浮かぶ。果たして信憑性があるのかどうか判断できないが、二人の精神安定剤となるのだからイナホは凄い。まぁ、妖怪ウォッチを手にしてから怪事件に意気揚々と巻き込まれに行くイナホだからこそ、こんなに脳天気な事を言えるのだが。イナホに”妖怪マスター”などと呼ばれているケータでも、流石にここまで呑気ではいられない。
「こ、怖いもの知らず……」
「イナホはいっつもこうダニ……。」
コナンは何気なくそう言った。イナホはそれを聞いていながら態と聞き流し、USAピョンは半ば呆れながら申し訳なさげに呟いた。
ただ黙々と鬼とのかくれんぼをしていたのだが、ハプニングはいつ起こるか分からないモノ。見回り鬼に見つからぬように歩いていたはずなのに、イナホはうっかり枯れ枝を踏んだ。ポキッという、そこまで大きくない音が出る。
しかし、やはり"鬼"は"鬼"である。
その微かな音に反応し、見回り鬼全員がイナホの方を向く。けたたましい笛の音とともに、赤鬼の怒声が響き渡る。
命がけの鬼ごっこが、今始まった。
コナンと快斗は声を揃えて叫ぶ。世界があっという間に文字通りの異世界になってしまったのだから、驚くなという方が無理がある。しかし、イナホは慌てて二人の口を塞いだ。
「だ、ダメですよ!ここでそんな大きな声を出しちゃ!見つかっちゃいます!」
イナホは、二人の耳元でそうささやいた。普段なら、”リアル鬼ごっこ~♪”なんて調子こいたことを言うのだが、流石に素人二人の手前、イナホも遠慮していた。コナンと快斗はコクコクと頷く。その様子にイナホは二人が真剣であることを感じ取り、そっと塞いでいた口を開放した。
「ぷはっ……!おいイナホ!これって何なんだよ!!妙に怖ぇし、不気味だし!」
焦ったように問うコナンに、イナホは辺りを警戒しながら小声で答えた。
「鬼時間です。」
”鬼時間”。
それは、子供たちが見る悪夢。どんな手を使っても倒せない鬼から逃げることしかできない恐怖の時間。鬼時間から脱出するためには、鬼に倒されるか出口となる襖をくぐるかの二択。それ以外に脱出の手段はない。イナホの住む町・さくらニュータウンでは妖怪ウォッチの使い手が二人もいる為か割と耳にし遭遇する現象だが、どうやらコナンとKIDこと快斗は初めてだったようだ。しかし、鬼の手下である見回り鬼がうろついている状況で鬼時間について説明する余裕はない。
「詳しいことは後で説明します!とにかく今はここから逃げましょう!」
イナホの言葉に二人は頷き、訳が分からぬままコナンと快斗はイナホの後に続いた。数分歩いた公園の草むらの中。そこに三人とUSAピョンは息をひそめて隠れていた。
「で、”鬼時間”って奴を説明してくれないか?」
もう演じる気力もない快斗は地でイナホに問う。しかし、イナホも詳しくはない。鬼時間を"リアル鬼ごっこ"として楽しんでいるイナホには説明する力はなかったのだ。どう鬼時間を説明したらいいのか悩んでいるイナホを見て、USAピョンが二人の前に飛び出した。コナンと快斗は今まで視えていなかった存在が急に現れたことに驚いて声が出ていなかった。
「う、USAピョン?!」
「ユーが全く説明しないから、代わりにミーが説明するダニ!」
USAピョンはそう言い、妖怪パッドを取り出して説明を始める。その説明を聞いているうちに、コナンと快斗の顔が青ざめていく。二人とも、”普通の出来事"にはある程度の耐性はある。寧ろコナンは事件に囲まれた日々を送っているが、その事件だらけの日々がコナンにとっての日常でどんな事件が起きようとも冷静に対処できる自信はある。しかし、己の武器が一切通用せずただ逃げることしかできない異空間に閉じ込められている恐怖は拭いきれなかった。そんな二人の肩をポンと優しく叩いたのはイナホである。
「大丈夫!このリアル鬼ごっこに慣れている私にお任せを!」
あまりに脳天気にそう言うのでコナンと快斗は思わず顔を見合せた。なぜそこまで呑気でいられるのかと言いたいだろうが、それは黙認された。幾ら鬼時間という異空間にいて妖怪の存在を視れるようになっていたとしても、それはあくまで一時的なものに過ぎない。快斗に関しては近くに魔女がいるから余計に踏み込みはしないだろうが、コナンはそうはいかないだろう。殺人事件を早く解決させたいがために友達妖怪を喚んだ事さえまだ疑っているのが分かっているから、この鬼時間が終わったらきっと徹底的に調べ上げる気だろう。そうされては、イナホたちにとって困る事態となる。最悪の場合、妖魔界の王たるエンマ大王を召喚する羽目になるのだから……。イナホは記憶消去の可能性も考え、大辞典からある妖怪のメダルを抜き取りポケットにしまった。
四人で見回り鬼に警戒しながら、USAピョンの妖怪パッドに表示された出口—大きな金色の襖を目指して歩いていた。コナンと快斗は不安で堪らなかったのだが、意外にもイナホは普通に歩いている。イナホ曰く、”このリアル鬼ごっこは何度もしているので”とのことだが、小学5年生の子供がそうしょっちゅう怪奇現象に出逢うものだろうか?という疑問がコナンと快斗の中に浮かぶ。果たして信憑性があるのかどうか判断できないが、二人の精神安定剤となるのだからイナホは凄い。まぁ、妖怪ウォッチを手にしてから怪事件に意気揚々と巻き込まれに行くイナホだからこそ、こんなに脳天気な事を言えるのだが。イナホに”妖怪マスター”などと呼ばれているケータでも、流石にここまで呑気ではいられない。
「こ、怖いもの知らず……」
「イナホはいっつもこうダニ……。」
コナンは何気なくそう言った。イナホはそれを聞いていながら態と聞き流し、USAピョンは半ば呆れながら申し訳なさげに呟いた。
ただ黙々と鬼とのかくれんぼをしていたのだが、ハプニングはいつ起こるか分からないモノ。見回り鬼に見つからぬように歩いていたはずなのに、イナホはうっかり枯れ枝を踏んだ。ポキッという、そこまで大きくない音が出る。
しかし、やはり"鬼"は"鬼"である。
その微かな音に反応し、見回り鬼全員がイナホの方を向く。けたたましい笛の音とともに、赤鬼の怒声が響き渡る。
命がけの鬼ごっこが、今始まった。