RELOAD編
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今までの喧騒がまるで嘘のよう。
薄暗い森の中、蛍の光が飛び交い、鈴虫の鳴き声が響き渡る。
「虫、すげー鳴いてやがんな」
「……うん」
力尽きて倒れる四人のそばに、私は力なく膝をついてうつむく。
冗談を言い合いながら笑い合う、四人の声をただ耳にする。
しばらく、そうしていると。
「あれ、名前ヘーキ?怪我とか、してないよな?」
悟空の声に答える事が出来ずにいると、一番そばにいた三蔵に腕をつかまれる。
黙り込む私へ、傷だらけの三蔵の口の端が上がる。
「名前、なんて顔してやがる」
「三、蔵」
気がつけば、ぽろぽろと涙を流していた。
止まる事を知らない大粒の涙。
動かすのもつらいはずなのに、伸ばした三蔵の手によりそっと涙が拭われる。
「あーあ、名前ちゃん泣かしてやんの。三蔵サマ」
「いけませんねぇ、好きな女の子を泣かすなんて小学生のする事ですよ?」
「貴様ら……ふざけるのも大概にしろ」
「ごめん、なさい」
私は声をつまらせながらも、再びあふれ出す涙を必死に拭う。
きょとんとした顔で、目を丸くした悟空が見上げる。
「なんで?なんで名前が謝ってんの?」
「……烏哭の事、見限れなくて。みんなの事、こんなひどい目に遭わせたのに」
「何だ、そんな事ですか」
「まぁ、こうして無事に名前ちゃん奪還出来た事だし、上出来っしょ。しかも、今まで知らなかった黒三蔵との愛憎劇も垣間見れた訳だし?」
「茶化すな、ヘボ河童」
「でもさ、意外と泣き虫なんだな。名前」
「そうですか?結構前から、名前は泣き虫ですよ」
ホント、私はいつも泣いてばかりだ。
寝転がったままの八戒に名前を呼ばれて、碧緑の瞳に見つめられる。
「ようは、元カレが忘れられないって話ですよね?」
「え、えーと……?」
「いいや、アイツはただのストーカーだ」
「元カレがストーカー化して困ってるけど、やさしさ故にいまだにフリ切れない、ってカンジですか」
「そういう事だ」
「三蔵……?」
「なるほどな〜」
ある意味あってるのか、あってないのか。
私自身もよくわからないが、そういう事でみんな納得したようだった。
「それならまだチャンスがあるって訳ですね、三蔵」
「あ?」
「僕ら、ライバルなので」
「……上等だ」
「ついに始まったか、社内恋愛のドロドロ愛憎劇の幕開けが」
「ちょっと待てって。三蔵と八戒、何の話してんの?なぁ、名前はわかるか?」
「いや、私にもなんだかサッパリで……」
「名前。いいんですよ、今はわからなくて」
顔に傷跡が残る八戒に、にっこりと微笑まれる。
なぜか事情を知っているらしい悟浄は、身体の傷を痛ませながらも笑っていた。
そうだ、早くみんなの手当てをしないと。
「八戒、私ジープを連れて来ます」
「待ってください、名前。三蔵、動けますか?」
「動けると思うか?」
「じゃあ悟空、悟浄じゃんけんしましょうか」
「負けた奴が三蔵を運ぶってか」
「オイ」
なぜか三蔵も加わり、じゃんけん大会が始まる。
私がジープをこの場に連れて来るって言ったのに。
三蔵曰く、男の意地だそうで。
「そうそう、男は皆カッコつけたい生き物なの」
「みんながかっこいいのは、十分知ってますから」
「そういう名前の素直なとこ、僕は好きですよ」
急な八戒からの言葉と微笑む視線に、思わず顔を赤くする。
じゃり、と隣から土を握る音がした。
「お、怒りのあまり三蔵が立ち上がろうとしてるぞ」
「三蔵!もう、無理したら本当に死んじゃいますって!」
「あはは」
「あー、なんかもうすげー腹減ってきた〜」
これだ、この感じ。
いつもの調子の四人に、いつの間にか涙も引っ込んでいて。
「ふふっ」
「あ、名前やっと笑った!コレだコレ!なーんか物足んないと思ってたんだよな〜」
「そーそー。泣いた顔も可愛いけど、名前ちゃんは笑ってるのが一番だって」
「名前がいないと、僕らしまりませんからね」
「名前」
私を見上げる、昔から変わらない紫暗の瞳。
「そうやって笑ってろ。これからもずっと、俺達のそばで」
ぽろりと雫がこぼれ落ちる。
月のひかりに照らされながら、私は四人とともに心の底から笑っていた。
「ありがとう、みんな」
私を三蔵一行の仲間にしてくれて。
一緒に、旅をしてくれて。
今までも、これから先もずっと。
「大好きです」
光明様、私は私のために今ここにいます。
夜明けとともに、私達は再び西へと歩き出した。
薄暗い森の中、蛍の光が飛び交い、鈴虫の鳴き声が響き渡る。
「虫、すげー鳴いてやがんな」
「……うん」
力尽きて倒れる四人のそばに、私は力なく膝をついてうつむく。
冗談を言い合いながら笑い合う、四人の声をただ耳にする。
しばらく、そうしていると。
「あれ、名前ヘーキ?怪我とか、してないよな?」
悟空の声に答える事が出来ずにいると、一番そばにいた三蔵に腕をつかまれる。
黙り込む私へ、傷だらけの三蔵の口の端が上がる。
「名前、なんて顔してやがる」
「三、蔵」
気がつけば、ぽろぽろと涙を流していた。
止まる事を知らない大粒の涙。
動かすのもつらいはずなのに、伸ばした三蔵の手によりそっと涙が拭われる。
「あーあ、名前ちゃん泣かしてやんの。三蔵サマ」
「いけませんねぇ、好きな女の子を泣かすなんて小学生のする事ですよ?」
「貴様ら……ふざけるのも大概にしろ」
「ごめん、なさい」
私は声をつまらせながらも、再びあふれ出す涙を必死に拭う。
きょとんとした顔で、目を丸くした悟空が見上げる。
「なんで?なんで名前が謝ってんの?」
「……烏哭の事、見限れなくて。みんなの事、こんなひどい目に遭わせたのに」
「何だ、そんな事ですか」
「まぁ、こうして無事に名前ちゃん奪還出来た事だし、上出来っしょ。しかも、今まで知らなかった黒三蔵との愛憎劇も垣間見れた訳だし?」
「茶化すな、ヘボ河童」
「でもさ、意外と泣き虫なんだな。名前」
「そうですか?結構前から、名前は泣き虫ですよ」
ホント、私はいつも泣いてばかりだ。
寝転がったままの八戒に名前を呼ばれて、碧緑の瞳に見つめられる。
「ようは、元カレが忘れられないって話ですよね?」
「え、えーと……?」
「いいや、アイツはただのストーカーだ」
「元カレがストーカー化して困ってるけど、やさしさ故にいまだにフリ切れない、ってカンジですか」
「そういう事だ」
「三蔵……?」
「なるほどな〜」
ある意味あってるのか、あってないのか。
私自身もよくわからないが、そういう事でみんな納得したようだった。
「それならまだチャンスがあるって訳ですね、三蔵」
「あ?」
「僕ら、ライバルなので」
「……上等だ」
「ついに始まったか、社内恋愛のドロドロ愛憎劇の幕開けが」
「ちょっと待てって。三蔵と八戒、何の話してんの?なぁ、名前はわかるか?」
「いや、私にもなんだかサッパリで……」
「名前。いいんですよ、今はわからなくて」
顔に傷跡が残る八戒に、にっこりと微笑まれる。
なぜか事情を知っているらしい悟浄は、身体の傷を痛ませながらも笑っていた。
そうだ、早くみんなの手当てをしないと。
「八戒、私ジープを連れて来ます」
「待ってください、名前。三蔵、動けますか?」
「動けると思うか?」
「じゃあ悟空、悟浄じゃんけんしましょうか」
「負けた奴が三蔵を運ぶってか」
「オイ」
なぜか三蔵も加わり、じゃんけん大会が始まる。
私がジープをこの場に連れて来るって言ったのに。
三蔵曰く、男の意地だそうで。
「そうそう、男は皆カッコつけたい生き物なの」
「みんながかっこいいのは、十分知ってますから」
「そういう名前の素直なとこ、僕は好きですよ」
急な八戒からの言葉と微笑む視線に、思わず顔を赤くする。
じゃり、と隣から土を握る音がした。
「お、怒りのあまり三蔵が立ち上がろうとしてるぞ」
「三蔵!もう、無理したら本当に死んじゃいますって!」
「あはは」
「あー、なんかもうすげー腹減ってきた〜」
これだ、この感じ。
いつもの調子の四人に、いつの間にか涙も引っ込んでいて。
「ふふっ」
「あ、名前やっと笑った!コレだコレ!なーんか物足んないと思ってたんだよな〜」
「そーそー。泣いた顔も可愛いけど、名前ちゃんは笑ってるのが一番だって」
「名前がいないと、僕らしまりませんからね」
「名前」
私を見上げる、昔から変わらない紫暗の瞳。
「そうやって笑ってろ。これからもずっと、俺達のそばで」
ぽろりと雫がこぼれ落ちる。
月のひかりに照らされながら、私は四人とともに心の底から笑っていた。
「ありがとう、みんな」
私を三蔵一行の仲間にしてくれて。
一緒に、旅をしてくれて。
今までも、これから先もずっと。
「大好きです」
光明様、私は私のために今ここにいます。
夜明けとともに、私達は再び西へと歩き出した。