RELOAD編
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翌日も仕事を終えて、部屋で晩御飯を食べていたところ。
聞こえてきた騒ぎに、四人で外へ出てみる。
砂漠化により川が干上がり、一帯の山もすっかり枯れてしまったという。
「あのオアシスさえ、俺たちのものになれば!」
丘の向こうにある、人間たちの占領されたオアシス。
居場所を奪われた挙句、異変により水の供給さえしなくなった人間たちへの憎悪が深まる。
ピリピリと、肌を刺すような空気。
そんな妖怪たちの目の当たりにして後ずさると、誰かに手をつかまれた。
八戒だ。
黙ったまま、私をかばうように背中の後ろへと隠す。
「オイオイ、きな臭ェ話になってきたぞ」
「まずいですね」
殺せ、殺せと妖怪が口にするたび八戒の握る手が強くなる。
「大丈夫です、名前。貴方には指一本触れさせませんよ」
「八戒……ありがとうございます」
今にも人間たちへ攻め入ろうとする妖怪たちを、悟空が声を上げて止めた。
八戒もジープがあれば、多少遠くの川まで水を汲みに行く事が出来ると提案する。
渋々納得した妖怪たちだったが、私たちもいつまでもこの集落にいるわけではない。
「どこかで答えを出さなくちゃならねぇんだ。人間たちとの戦いによ」
妖怪と人間。
違うところなど、そうないはずなのに。
耶雲の顔が思い起こされて、悲しみに目を伏せる。
新しい水汲み場まで向かうため、悟浄と八戒がジープに乗り込んだ。
「名前も僕らと行きましょう」
「でも、そしたら悟空一人に」
「……彼らの人間への憎しみが高まっている中、そう易々と置いていく事は出来ません」
「うん、俺はヘーキだからさ!大丈夫だって、名前!」
笑顔で見送る悟空のうしろには、妖怪の女の子もいる。
一人じゃない、か。
「悟空、周りの人たちの言う事ちゃんと聞いて、お仕事も一生懸命手伝うんだよ」
「わかってるって!名前はすぐ俺を子供扱いすんだから!」
「はは、なんかあんたら姉弟みたいだな」
「てゆーか、親子じゃね?」
「言えてますね」
巨大な缶を乗せたジープに乗り、手を振って別れて集落を後にする。
ここに戻るのは明日の夜だ。
それまで、何事もないといいんだけど。
◇
嫌な予感は的中だった。
ドラム缶に水をたっぷりと入れて、村へと戻っている道中。
「そろそろ、村に着く頃か」
「なんだ、アレは?村の方だ……」
「そんな、燃えてる……!」
星が輝く夜空の下で、妖怪の集落が赤々と燃え上がっている。
八戒はアクセルを踏みスピードを上げる。
たどり着いた頃には、建物はほぼ全焼しており見るも無惨な光景が広がっていた。
そんな中、生き残って泣き喚いている子供たちに話を聞く。
人間の、仕業だ。
「悟空!オイ、無事か!?」
村から少しだけ離れた場所に、悟空はいた。
ジープから降りて駆け寄るが、地面に膝をついて呆然としている。
「悟空」
背中を丸めて嗚咽を漏らし、砂上を思いっきり殴っていた。
起こってしまったんだ、人間と妖怪の戦争が。
あの女の子の姿も、どこにもない。
悟空がお兄さんからもらった、落ちていた帽子を拾い手渡す。
止めどなくあふれる涙。
私はその背中をさすり、悲しみに暮れる悟空を抱きしめる事しか出来なかった。
◇
「本当にいいのか?」
「ここを、このまま去るわけにはいかんしな。これ以上、アンタ方の世話にはなれんよ」
「わかりました」
「じゃ……元気でな」
「名前」
「うん……みんな、またね」
「バイバイ、お姉ちゃん」
後ろ髪を引かれる思いで子供たちに手を振り、ジープを発車させて村を出る。
「結局、妖怪ったって所詮、俺らはよそ者でしかねぇんだよなぁ。ま、どーでもいいけど」
「そうですね、僕らの居場所はどこにもないのかもしれません。だからこそ、僕らこうして旅を続けて来られたんじゃないでしょうか」
「……私も同じです」
帰る居場所などもうどこにもないが、いるべき居場所はここにある。
私はそう信じている。
信じてきたからこそ、ここまでやって来れた。
突如聞こえた爆発音に目を見張り、ジープが止まる。
あそこは、たしかオアシスのある人間の丘。
「行こう……行こうぜ、西に」
そう切り出したのは、今まで黙っていた悟空だった。
初めは三蔵が西に行くからついて行く、それくらいにしか思っていなかったが、今は違うと話す。
自分が行きたいから行く。
そう、覚悟のあるきれいな金眼で言った。
悟空、八戒、悟浄の三人の顔を見て、強く頷く。
「えぇ。行きましょう、みんな」
この悲しみの連鎖を止めるために。
三蔵が今、どこにいるかはわからない。
でも、目指す場所は同じだから。
聞こえてきた騒ぎに、四人で外へ出てみる。
砂漠化により川が干上がり、一帯の山もすっかり枯れてしまったという。
「あのオアシスさえ、俺たちのものになれば!」
丘の向こうにある、人間たちの占領されたオアシス。
居場所を奪われた挙句、異変により水の供給さえしなくなった人間たちへの憎悪が深まる。
ピリピリと、肌を刺すような空気。
そんな妖怪たちの目の当たりにして後ずさると、誰かに手をつかまれた。
八戒だ。
黙ったまま、私をかばうように背中の後ろへと隠す。
「オイオイ、きな臭ェ話になってきたぞ」
「まずいですね」
殺せ、殺せと妖怪が口にするたび八戒の握る手が強くなる。
「大丈夫です、名前。貴方には指一本触れさせませんよ」
「八戒……ありがとうございます」
今にも人間たちへ攻め入ろうとする妖怪たちを、悟空が声を上げて止めた。
八戒もジープがあれば、多少遠くの川まで水を汲みに行く事が出来ると提案する。
渋々納得した妖怪たちだったが、私たちもいつまでもこの集落にいるわけではない。
「どこかで答えを出さなくちゃならねぇんだ。人間たちとの戦いによ」
妖怪と人間。
違うところなど、そうないはずなのに。
耶雲の顔が思い起こされて、悲しみに目を伏せる。
新しい水汲み場まで向かうため、悟浄と八戒がジープに乗り込んだ。
「名前も僕らと行きましょう」
「でも、そしたら悟空一人に」
「……彼らの人間への憎しみが高まっている中、そう易々と置いていく事は出来ません」
「うん、俺はヘーキだからさ!大丈夫だって、名前!」
笑顔で見送る悟空のうしろには、妖怪の女の子もいる。
一人じゃない、か。
「悟空、周りの人たちの言う事ちゃんと聞いて、お仕事も一生懸命手伝うんだよ」
「わかってるって!名前はすぐ俺を子供扱いすんだから!」
「はは、なんかあんたら姉弟みたいだな」
「てゆーか、親子じゃね?」
「言えてますね」
巨大な缶を乗せたジープに乗り、手を振って別れて集落を後にする。
ここに戻るのは明日の夜だ。
それまで、何事もないといいんだけど。
◇
嫌な予感は的中だった。
ドラム缶に水をたっぷりと入れて、村へと戻っている道中。
「そろそろ、村に着く頃か」
「なんだ、アレは?村の方だ……」
「そんな、燃えてる……!」
星が輝く夜空の下で、妖怪の集落が赤々と燃え上がっている。
八戒はアクセルを踏みスピードを上げる。
たどり着いた頃には、建物はほぼ全焼しており見るも無惨な光景が広がっていた。
そんな中、生き残って泣き喚いている子供たちに話を聞く。
人間の、仕業だ。
「悟空!オイ、無事か!?」
村から少しだけ離れた場所に、悟空はいた。
ジープから降りて駆け寄るが、地面に膝をついて呆然としている。
「悟空」
背中を丸めて嗚咽を漏らし、砂上を思いっきり殴っていた。
起こってしまったんだ、人間と妖怪の戦争が。
あの女の子の姿も、どこにもない。
悟空がお兄さんからもらった、落ちていた帽子を拾い手渡す。
止めどなくあふれる涙。
私はその背中をさすり、悲しみに暮れる悟空を抱きしめる事しか出来なかった。
◇
「本当にいいのか?」
「ここを、このまま去るわけにはいかんしな。これ以上、アンタ方の世話にはなれんよ」
「わかりました」
「じゃ……元気でな」
「名前」
「うん……みんな、またね」
「バイバイ、お姉ちゃん」
後ろ髪を引かれる思いで子供たちに手を振り、ジープを発車させて村を出る。
「結局、妖怪ったって所詮、俺らはよそ者でしかねぇんだよなぁ。ま、どーでもいいけど」
「そうですね、僕らの居場所はどこにもないのかもしれません。だからこそ、僕らこうして旅を続けて来られたんじゃないでしょうか」
「……私も同じです」
帰る居場所などもうどこにもないが、いるべき居場所はここにある。
私はそう信じている。
信じてきたからこそ、ここまでやって来れた。
突如聞こえた爆発音に目を見張り、ジープが止まる。
あそこは、たしかオアシスのある人間の丘。
「行こう……行こうぜ、西に」
そう切り出したのは、今まで黙っていた悟空だった。
初めは三蔵が西に行くからついて行く、それくらいにしか思っていなかったが、今は違うと話す。
自分が行きたいから行く。
そう、覚悟のあるきれいな金眼で言った。
悟空、八戒、悟浄の三人の顔を見て、強く頷く。
「えぇ。行きましょう、みんな」
この悲しみの連鎖を止めるために。
三蔵が今、どこにいるかはわからない。
でも、目指す場所は同じだから。