RELOAD編
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チュンチュン、と木漏れ日の下で小鳥のさえずりが聞こえる。
「なんだ、これ?」
「どうしたの、悟空」
果実の匂いに誘われて、一人森の奥へと進む悟空を追いかけたところ。
草木の間、誰かが倒れているのを見つけた。
長く尖った耳が、ピクピクとわずかに動く。
妖怪のようだ。
「……み、み」
「耳?」
「水をよこすのだッ!」
「はい、どうぞ」
「え……?」
◇
三人で近くの川へと移動する。
私は先ほど空になった水筒に、再び水を汲み入れる。
むしゃむしゃとリンゴを食べる妖怪に、悟空がなぜ行き倒れていたのかと聞いた。
「行き倒れていたのではない。この深い森の、迷宮に囚われてしまったのだ」
つまり、迷ったというわけだ。
私たちも三蔵たちからだいぶ離れた所まで来てしまった。
日が暮れる前に合流しないと。
「しかし、世話になったな少年少女。礼を言うぞ」
「おう!」
「どういたしまして」
少女なんて年じゃないけど、と思ったけど言及は心の中だけにしておこう。
どうやら彼は、人捜しの最中らしい。
「我が宿敵とでも言おうか。我が同族を次々と死に至らしめている、極悪非道な連中だ」
びくりと、肩が揺れて冷や汗が流れる。
それってまさか私たちの事では。
「悪い奴らなのか?」
「あぁ、俺も戦いを挑んで一網打尽にしたのだがな。あと一歩というところで、奴らはしっぽを巻いて逃走しよった」
いや違うかと、ほっと胸をなで下ろす。
彼の名前は、幻術使いの雀呂。
悟空と私も名乗ろうとしたところ、雀呂が険しい顔をして手で制止する。
「おめぇら、ここで何してやがる」
「妖怪に、人間のガキと女?おかしな三人組だな」
背後から現れたのは、武器を手にした妖怪たち。
「よそモンだな?この森は俺たちの縄張りなんだよ!とっとと立ち去りな!」
「何だと」
「いや待て、そっちのガキと女は置いてけ。特に女。なかなか美味そうだ、ヒッヒッヒ……」
悟空が戦おうとしたその瞬間。
悟空と私の前に背中を向けて、妖怪からかばうように立ちふさがる。
「雀呂さん?」
「逃げろ、少年少女。我が身を救われた恩義、返させてもらうぞ。この雀呂様にケンカを売ろうとは、笑止千万!貴様らに、俺のこの目を直視する度胸はあるか?」
そう言うと、急に倒れ始めた妖怪たちに驚く。
一体、何が起こったのだろう。
ぐいっと、そばにいた悟空から急に手を引っ張られた。
「名前!あいつの目を見ろ、だって!」
「え?」
言われるがまま雀呂の目を見る。
すると、森の中から一変。
視界が一気に、おどろおどろしい場所へと変貌した。
「うわー!なんだここ!どうなってんだぁ!」
「!?なぜ、お前らがここにいるのだッ!」
「いや、目を見ろって言うから」
「すみません、雀呂さん……」
どうやら敵へかけた術に、私たちも引っかかってしまったようだ。
先ほどの妖怪たちもここにいて、襲いかかってくる。
ドロドロに溶けた武器、火が服に燃え移る。
そう雀呂が口にすると、それはすべて現実のものとなる。
幻術使い雀呂……この人、強い。
自身についた火を消そうとする悟空へ、雀呂が耳をふさげと怒る。
「落ち着いて、悟空。その火は本物じゃないよ」
「へ?あ、ホントだ!」
しばらくして敵も、これが幻覚だと気づいてしまった。
「女だッ!女さえ捕らえれば手出し出来まい!」
迫りくる妖怪に後ずさると、ポンッと肩に手が置かれる。
「安心しろ、少女。この雀呂様が必ずや守ってやる」
「そーだ!名前に手出しさせるかよ!」
悟空は幻覚の事など気にせず、勢いよく走り出す。
「よくわかんねぇけど、力で倒しちまえばいいじゃんかよ!」
「待て少年!お前の武器は、その手に戻ったぞ!」
「雀呂さん……!」
言葉通り妖怪たちに向かった悟空の手には如意棒が戻り、敵の障壁を砕いて吹き飛ばす。
「いいぞ少年!飛ばされた貴様らのその先は、崖!断崖絶壁に、真っ逆さまだ!」
幻術が解けて、目の前には倒れて気絶する妖怪たち。
悟空と雀呂のおかげで見事、敵を破ることができた。
私は隣にいる雀呂へ頭を下げた。
「ありがとうございました、雀呂さん」
「何?」
「そうだ、さんきゅな!俺たちの事、助けようとしてくれただろ?」
「かっこよかったですよ」
「か、かッ……!?俺様、当然の事をしたまでで、感謝されて褒められる事なんて、べつに……」
頬を染めて、頭のうしろへ手を置く雀呂。
草木をかき分ける音がして視線を向けると、三蔵たちの姿が見えた。
「三蔵!」
「探しましたよ、二人共。何かあったんですか、って……」
「あ」
雀呂を見て、なぜか三蔵たち三人の声がそろう。
「劇団ひとりじゃん」
「何やってんだ、お前らそろって」
「三、蔵?三蔵一行!どどどどういう事だ!?」
雀呂が三蔵を指差して、わなわなと震えている。
知り合いなのだろうか。
地面に伏していた妖怪たちが、むくりと顔を上げた。
「そうか……てめぇら、あの三蔵一行の仲間だったというわけか」
「貴様!何を!?」
「あぁ、そうだ」
「はぁ!?」
「ええ、他のお仲間さんにも伝えておいてくださいね。雀呂さんは三蔵一行に寝返りましたよって」
悪魔。
きらきらとした笑顔の八戒の後ろに、そんな文字が見えた気がした。
「この裏切り者が!」
「覚えてやがれ!」
「お、おい!ちょっと待て!」
お腹を抱えて笑う悟浄に、首を傾げる悟空。
私はなんとなく事態がわかって苦笑いする。
「少女!まさか貴様が名前かッ!?」
「はい、すみません。隠してたつもりはなかったんですけど」
「名前、とっとと行くぞ」
「そうですね、日が暮れる前に出発しないと」
「本当、くだらねぇ!」
「あの、雀呂さん。どうかお元気で」
呆然と立ち尽くす雀呂に哀れみながらも手を振り、四人とともに森を抜けた。
「なんだ、これ?」
「どうしたの、悟空」
果実の匂いに誘われて、一人森の奥へと進む悟空を追いかけたところ。
草木の間、誰かが倒れているのを見つけた。
長く尖った耳が、ピクピクとわずかに動く。
妖怪のようだ。
「……み、み」
「耳?」
「水をよこすのだッ!」
「はい、どうぞ」
「え……?」
◇
三人で近くの川へと移動する。
私は先ほど空になった水筒に、再び水を汲み入れる。
むしゃむしゃとリンゴを食べる妖怪に、悟空がなぜ行き倒れていたのかと聞いた。
「行き倒れていたのではない。この深い森の、迷宮に囚われてしまったのだ」
つまり、迷ったというわけだ。
私たちも三蔵たちからだいぶ離れた所まで来てしまった。
日が暮れる前に合流しないと。
「しかし、世話になったな少年少女。礼を言うぞ」
「おう!」
「どういたしまして」
少女なんて年じゃないけど、と思ったけど言及は心の中だけにしておこう。
どうやら彼は、人捜しの最中らしい。
「我が宿敵とでも言おうか。我が同族を次々と死に至らしめている、極悪非道な連中だ」
びくりと、肩が揺れて冷や汗が流れる。
それってまさか私たちの事では。
「悪い奴らなのか?」
「あぁ、俺も戦いを挑んで一網打尽にしたのだがな。あと一歩というところで、奴らはしっぽを巻いて逃走しよった」
いや違うかと、ほっと胸をなで下ろす。
彼の名前は、幻術使いの雀呂。
悟空と私も名乗ろうとしたところ、雀呂が険しい顔をして手で制止する。
「おめぇら、ここで何してやがる」
「妖怪に、人間のガキと女?おかしな三人組だな」
背後から現れたのは、武器を手にした妖怪たち。
「よそモンだな?この森は俺たちの縄張りなんだよ!とっとと立ち去りな!」
「何だと」
「いや待て、そっちのガキと女は置いてけ。特に女。なかなか美味そうだ、ヒッヒッヒ……」
悟空が戦おうとしたその瞬間。
悟空と私の前に背中を向けて、妖怪からかばうように立ちふさがる。
「雀呂さん?」
「逃げろ、少年少女。我が身を救われた恩義、返させてもらうぞ。この雀呂様にケンカを売ろうとは、笑止千万!貴様らに、俺のこの目を直視する度胸はあるか?」
そう言うと、急に倒れ始めた妖怪たちに驚く。
一体、何が起こったのだろう。
ぐいっと、そばにいた悟空から急に手を引っ張られた。
「名前!あいつの目を見ろ、だって!」
「え?」
言われるがまま雀呂の目を見る。
すると、森の中から一変。
視界が一気に、おどろおどろしい場所へと変貌した。
「うわー!なんだここ!どうなってんだぁ!」
「!?なぜ、お前らがここにいるのだッ!」
「いや、目を見ろって言うから」
「すみません、雀呂さん……」
どうやら敵へかけた術に、私たちも引っかかってしまったようだ。
先ほどの妖怪たちもここにいて、襲いかかってくる。
ドロドロに溶けた武器、火が服に燃え移る。
そう雀呂が口にすると、それはすべて現実のものとなる。
幻術使い雀呂……この人、強い。
自身についた火を消そうとする悟空へ、雀呂が耳をふさげと怒る。
「落ち着いて、悟空。その火は本物じゃないよ」
「へ?あ、ホントだ!」
しばらくして敵も、これが幻覚だと気づいてしまった。
「女だッ!女さえ捕らえれば手出し出来まい!」
迫りくる妖怪に後ずさると、ポンッと肩に手が置かれる。
「安心しろ、少女。この雀呂様が必ずや守ってやる」
「そーだ!名前に手出しさせるかよ!」
悟空は幻覚の事など気にせず、勢いよく走り出す。
「よくわかんねぇけど、力で倒しちまえばいいじゃんかよ!」
「待て少年!お前の武器は、その手に戻ったぞ!」
「雀呂さん……!」
言葉通り妖怪たちに向かった悟空の手には如意棒が戻り、敵の障壁を砕いて吹き飛ばす。
「いいぞ少年!飛ばされた貴様らのその先は、崖!断崖絶壁に、真っ逆さまだ!」
幻術が解けて、目の前には倒れて気絶する妖怪たち。
悟空と雀呂のおかげで見事、敵を破ることができた。
私は隣にいる雀呂へ頭を下げた。
「ありがとうございました、雀呂さん」
「何?」
「そうだ、さんきゅな!俺たちの事、助けようとしてくれただろ?」
「かっこよかったですよ」
「か、かッ……!?俺様、当然の事をしたまでで、感謝されて褒められる事なんて、べつに……」
頬を染めて、頭のうしろへ手を置く雀呂。
草木をかき分ける音がして視線を向けると、三蔵たちの姿が見えた。
「三蔵!」
「探しましたよ、二人共。何かあったんですか、って……」
「あ」
雀呂を見て、なぜか三蔵たち三人の声がそろう。
「劇団ひとりじゃん」
「何やってんだ、お前らそろって」
「三、蔵?三蔵一行!どどどどういう事だ!?」
雀呂が三蔵を指差して、わなわなと震えている。
知り合いなのだろうか。
地面に伏していた妖怪たちが、むくりと顔を上げた。
「そうか……てめぇら、あの三蔵一行の仲間だったというわけか」
「貴様!何を!?」
「あぁ、そうだ」
「はぁ!?」
「ええ、他のお仲間さんにも伝えておいてくださいね。雀呂さんは三蔵一行に寝返りましたよって」
悪魔。
きらきらとした笑顔の八戒の後ろに、そんな文字が見えた気がした。
「この裏切り者が!」
「覚えてやがれ!」
「お、おい!ちょっと待て!」
お腹を抱えて笑う悟浄に、首を傾げる悟空。
私はなんとなく事態がわかって苦笑いする。
「少女!まさか貴様が名前かッ!?」
「はい、すみません。隠してたつもりはなかったんですけど」
「名前、とっとと行くぞ」
「そうですね、日が暮れる前に出発しないと」
「本当、くだらねぇ!」
「あの、雀呂さん。どうかお元気で」
呆然と立ち尽くす雀呂に哀れみながらも手を振り、四人とともに森を抜けた。