RELOAD編
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「じとぉーーーっ」
「悟空、何です?それ」
「効果音じゃないですか?」
「名前、あたり!」
「いんや、ジメジメ~~だろ。コレは」
「じっとぉ~~~~だってばっ」
「どっちでもいいがな、その鬱陶しい会話を今すぐ切り上げんと死体にして放り出すぞ」
「あはは。これだけ湿度が高いと腐乱も早いでしょうねぇ」
暑さと湿気で、全身が汗ばむ。
八戒が地図を広げて進むと、広大な川へたどり着いた。
見てるだけで少し涼しくなる。
でも、これだけ大きな川なのに橋もなければ、舟も見当たらなかった。
「渡れないよ。この向こうへは、渡れないんだ」
声に振り返ると、一人の少年が立っていた。
どういう事か聞ことする前に、走ってどこかへ行ってしまう。
「なんだ、ありゃ」
「悟浄の顔が怖くて、逃げ出したんじゃない?」
「お前、最近三蔵に感化されてきたろ!?」
「はあ!?どこが三蔵に似てるんだよ!あんなに口悪くは、」
軽快に叩かれる音が、二つ。
「ふふ。似てるですって、三蔵」
「似てねぇよ」
似てるのを嫌う様は、まさに親子のようで微笑む。
私たちは川を越える方法を、村で聞いてみる事となった。
「舟が出せない?どういう事でしょう」
一年前、妖怪が川に棲みついて襲われてから、誰一人舟を出さなくなった。
先ほど、川辺で出会った少年の名前は坤。
元々川の向こうの村から親の使いで来たが、帰れなくなってしまったそうだ。
西へは山を越えて遠回りする道もあるが、二ヶ月もかかるという。
「おいおい、本気で行く気か!?兄ちゃんたち、あぶねぇって!」
「ありがとうございます。でも、私達の事なら大丈夫ですから」
舟を買い取り、心配して止めてくれるおじさんにお礼を言って川へ向かう。
もちろん、坤くんも連れて。
「うわ〜!すげー!すげー!」
「ったく、人に舟こがせていい気なもんだぜ」
「悟浄、代わりましょうか?」
「いいんですよ、名前。力仕事は悟浄の役目ですから」
「ちょっと待て、いつからそんな役割分担になったんだよ!?」
突然、舟が大きく揺れる。
水飛沫をあげながら、周りに不自然な渦ができる。
噂の、水に棲む妖怪だ。
「うわぁ!」
「坤くん!」
舟から投げ出された、坤くんの腕をつかむ。
引き上げようと思ったが、また舟が大きく揺れてそのまま一緒に川の中へと落ちた。
まずい、このままじゃ二人とも流されてしまう。
「ピィー!」
「ジープ!来ちゃダメ!」
「名前!」
「悟空!」
悟空の如意棒が飛んできて、坤くんを抱えながらつかむ。
川に飛び込んだ悟空とともに、なんとかその場に留まった。
「悟空!名前!あとで合流しましょう!坤くんを頼みますよ!」
「はい!」
そう言葉を交わし、八戒たちを乗せた舟は下流へと流れていった。
◇
「坤くん、大丈夫?」
「うん、平気」
「悟空も大丈夫そうだね、ありがとう。あのまま流されていくとこだったよ」
「おう!」
三人とも無事に地上へたどり着いた。
そばにいてくれたジープも無事で、肩に乗ったその頭をなでる。
離れ離れになってしまった三蔵達は大丈夫かな。
ここはもう西側で、坤くんはお母さんと妹が村で待ってるとうれしそうに話す。
「こっちだよ!お兄ちゃん!お姉ちゃん!」
村に着いたが、その光景に愕然とする。
建物は破壊され、荒れ果てて、人の気配はない。
駆け出した坤くんについていくが、誰一人見当たらなかった。
「どうしよう!母さんも妹も、どこにもいない!妖怪に殺されて……!」
「落ち着けって!なあ、名前。村の人たちの死体、見たか?」
「ううん」
「だよな、俺も」
「坤くん、お母さん達はまだ生きてるかもしれないよ」
「え……?」
妖怪か何かに襲われたのは確かだろうけど、血の跡も、死体もどこにも見当たらない。
どこかに避難してるんだろうと言う悟空に頷いて、避難場所があるという丘に向かった。
キュウ、と鳴いたジープが何かを発見する。
「洞窟だ」
「おーい!誰かいる!?俺、坤だよ!俺、帰ってきたよ!」
「……坤?坤なのか?」
「おじさん!」
洞窟の奥から人影が見えて、続々と表に出てくる。
よかった、村の人たちはみんな無事だった。
そろそろ三蔵たちの元へ合流しようとした、その時。
「なるほどな、こんなところに隠れてやがったが」
「みなさん!下がってください!」
突如現れた、妖怪の集団。
悲鳴と混乱の中、悟空が真っ先に妖怪達の元へと向かう。
「坤、村のみんなを連れて洞窟の奥へ!名前は俺の後ろに!」
「坤くん、お願い!」
「う、うん!」
避難したみんなを確認すると、悟空は洞窟上の岩を壊して入り口をふさぐ。
悟空が一人で果敢に立ち向かうも、数が多すぎる。
胸の前で両手を握りしめる。
三人が、いれば。
気がつけば、悟空は崖際ギリギリまで追い込まれていた。
「……だっせぇ」
「悟空!」
悟空が自ら飛び降りたように見えた、が。
崖際一体の地面が割れて、妖怪ごと崩れ落ちる。
悟空が、たった一人で見事に一掃した。
私は走って崖下から伸びてきた手をつかみ、上へ引っ張る。
「さんきゅ、名前!ふう、あぶねぇあぶねぇって、わっ!」
傷だらけの悟空を、ぎゅっと抱きしめる。
「ごめん、悟空。一人でがんばって戦ってたのに……私、三人が来てくれれば、なんて考えてた」
「名前……へへ、実は俺も。だせぇよな……でも、よかったよ」
「え?」
「名前が側にいてくれて。見てくれて。一人じゃないんだって。だから、がんばれた」
そう言って笑う悟空を、またきつく抱きしめた。
「私、なんにも、してないよ!」
「名前!へへッ……くすぐってぇって!」
一陣の風が吹いて、人影に後ろを振り返る。
褐色の肌に尖った耳、腰の下まで伸びた紅い髪。
久しぶりに再会した紅孩児が、私達を虚な瞳で見下ろしていた。
「悟空、何です?それ」
「効果音じゃないですか?」
「名前、あたり!」
「いんや、ジメジメ~~だろ。コレは」
「じっとぉ~~~~だってばっ」
「どっちでもいいがな、その鬱陶しい会話を今すぐ切り上げんと死体にして放り出すぞ」
「あはは。これだけ湿度が高いと腐乱も早いでしょうねぇ」
暑さと湿気で、全身が汗ばむ。
八戒が地図を広げて進むと、広大な川へたどり着いた。
見てるだけで少し涼しくなる。
でも、これだけ大きな川なのに橋もなければ、舟も見当たらなかった。
「渡れないよ。この向こうへは、渡れないんだ」
声に振り返ると、一人の少年が立っていた。
どういう事か聞ことする前に、走ってどこかへ行ってしまう。
「なんだ、ありゃ」
「悟浄の顔が怖くて、逃げ出したんじゃない?」
「お前、最近三蔵に感化されてきたろ!?」
「はあ!?どこが三蔵に似てるんだよ!あんなに口悪くは、」
軽快に叩かれる音が、二つ。
「ふふ。似てるですって、三蔵」
「似てねぇよ」
似てるのを嫌う様は、まさに親子のようで微笑む。
私たちは川を越える方法を、村で聞いてみる事となった。
「舟が出せない?どういう事でしょう」
一年前、妖怪が川に棲みついて襲われてから、誰一人舟を出さなくなった。
先ほど、川辺で出会った少年の名前は坤。
元々川の向こうの村から親の使いで来たが、帰れなくなってしまったそうだ。
西へは山を越えて遠回りする道もあるが、二ヶ月もかかるという。
「おいおい、本気で行く気か!?兄ちゃんたち、あぶねぇって!」
「ありがとうございます。でも、私達の事なら大丈夫ですから」
舟を買い取り、心配して止めてくれるおじさんにお礼を言って川へ向かう。
もちろん、坤くんも連れて。
「うわ〜!すげー!すげー!」
「ったく、人に舟こがせていい気なもんだぜ」
「悟浄、代わりましょうか?」
「いいんですよ、名前。力仕事は悟浄の役目ですから」
「ちょっと待て、いつからそんな役割分担になったんだよ!?」
突然、舟が大きく揺れる。
水飛沫をあげながら、周りに不自然な渦ができる。
噂の、水に棲む妖怪だ。
「うわぁ!」
「坤くん!」
舟から投げ出された、坤くんの腕をつかむ。
引き上げようと思ったが、また舟が大きく揺れてそのまま一緒に川の中へと落ちた。
まずい、このままじゃ二人とも流されてしまう。
「ピィー!」
「ジープ!来ちゃダメ!」
「名前!」
「悟空!」
悟空の如意棒が飛んできて、坤くんを抱えながらつかむ。
川に飛び込んだ悟空とともに、なんとかその場に留まった。
「悟空!名前!あとで合流しましょう!坤くんを頼みますよ!」
「はい!」
そう言葉を交わし、八戒たちを乗せた舟は下流へと流れていった。
◇
「坤くん、大丈夫?」
「うん、平気」
「悟空も大丈夫そうだね、ありがとう。あのまま流されていくとこだったよ」
「おう!」
三人とも無事に地上へたどり着いた。
そばにいてくれたジープも無事で、肩に乗ったその頭をなでる。
離れ離れになってしまった三蔵達は大丈夫かな。
ここはもう西側で、坤くんはお母さんと妹が村で待ってるとうれしそうに話す。
「こっちだよ!お兄ちゃん!お姉ちゃん!」
村に着いたが、その光景に愕然とする。
建物は破壊され、荒れ果てて、人の気配はない。
駆け出した坤くんについていくが、誰一人見当たらなかった。
「どうしよう!母さんも妹も、どこにもいない!妖怪に殺されて……!」
「落ち着けって!なあ、名前。村の人たちの死体、見たか?」
「ううん」
「だよな、俺も」
「坤くん、お母さん達はまだ生きてるかもしれないよ」
「え……?」
妖怪か何かに襲われたのは確かだろうけど、血の跡も、死体もどこにも見当たらない。
どこかに避難してるんだろうと言う悟空に頷いて、避難場所があるという丘に向かった。
キュウ、と鳴いたジープが何かを発見する。
「洞窟だ」
「おーい!誰かいる!?俺、坤だよ!俺、帰ってきたよ!」
「……坤?坤なのか?」
「おじさん!」
洞窟の奥から人影が見えて、続々と表に出てくる。
よかった、村の人たちはみんな無事だった。
そろそろ三蔵たちの元へ合流しようとした、その時。
「なるほどな、こんなところに隠れてやがったが」
「みなさん!下がってください!」
突如現れた、妖怪の集団。
悲鳴と混乱の中、悟空が真っ先に妖怪達の元へと向かう。
「坤、村のみんなを連れて洞窟の奥へ!名前は俺の後ろに!」
「坤くん、お願い!」
「う、うん!」
避難したみんなを確認すると、悟空は洞窟上の岩を壊して入り口をふさぐ。
悟空が一人で果敢に立ち向かうも、数が多すぎる。
胸の前で両手を握りしめる。
三人が、いれば。
気がつけば、悟空は崖際ギリギリまで追い込まれていた。
「……だっせぇ」
「悟空!」
悟空が自ら飛び降りたように見えた、が。
崖際一体の地面が割れて、妖怪ごと崩れ落ちる。
悟空が、たった一人で見事に一掃した。
私は走って崖下から伸びてきた手をつかみ、上へ引っ張る。
「さんきゅ、名前!ふう、あぶねぇあぶねぇって、わっ!」
傷だらけの悟空を、ぎゅっと抱きしめる。
「ごめん、悟空。一人でがんばって戦ってたのに……私、三人が来てくれれば、なんて考えてた」
「名前……へへ、実は俺も。だせぇよな……でも、よかったよ」
「え?」
「名前が側にいてくれて。見てくれて。一人じゃないんだって。だから、がんばれた」
そう言って笑う悟空を、またきつく抱きしめた。
「私、なんにも、してないよ!」
「名前!へへッ……くすぐってぇって!」
一陣の風が吹いて、人影に後ろを振り返る。
褐色の肌に尖った耳、腰の下まで伸びた紅い髪。
久しぶりに再会した紅孩児が、私達を虚な瞳で見下ろしていた。