無印編
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とある町に到着した時の事。
ジープから降りた瞬間、身体がふらつき誰かに支えられる。
すぐ近くにみんながいるはずなのに、声が遠のく。
だめだ、力が入らない。
次に気がついた時には、宿屋のベッドの上だった。
「起きたか」
「三蔵、」
「失礼します。名前さん、水と食事を持ってきました」
部屋に入って来た八戒に、すみませんとあわてて身体を起こす。
それをやんわりと、止められた。
「無理しないでください。倒れた原因は、疲労と睡眠不足だそうです。慣れない旅路に、肉体的にも精神的にも限界が来てたんでしょう。すみません、気がついてあげられなくて」
「そんな……私こそ、迷惑かけてすみません」
「いつ誰が、迷惑だなんて言った」
「そうですよ。泣き言の一つや二つ、もっと言ったって構わないんですよ?」
三蔵と八戒のやさしい言葉に、居た堪れなくなる。
思わず泣きそうになるのを、ぐっとこらえた。
「ありがとうございます……」
「三蔵のためにも、しっかりと休んで元気になってくださいね。三蔵をこんな情けない姿に出来るのは、名前さんくらいですから」
「悪かったな、情けなくて」
それじゃあ、と八戒が部屋を出て行く。
椅子に座る三蔵が、ぽつりとつぶやいた。
「……すまなかった。あの時、遅れて」
あの時、とは。
寺院での出来事を思い出して、静かに首を横に振る。
あの日、私は初めて妖怪を殺した。
生々しい感覚が、今もこの手に残っている。
罪悪感に押し潰されそうになり、何度も悪夢にうなされた。
ベッドのシーツを握りしめる。
「三蔵。足手まといになるようだったら、私を置いていってください」
目を見張り、苦渋の表情を浮かべる三蔵。
そんな三蔵の顔を見て、私はふっと笑いかけた。
「と言いたいところですけど、私、決めたんです。皆についていくって」
「名前、」
最初は、観世音菩薩様の命で始まった旅だった。
数えきれないほど妖怪たちに襲われて、命の危機に苛まれる毎日。
それでも。
「私は、四人と一緒に生きていたいから。そう、決めたので」
再び戻ってきた桃源郷に、愛する人はもういなくて。
その傷と苦しみは今も、これから先も決して癒える事はないけれど。
今、たしかに感じるものがある。
ここが、三蔵一行が、私の居場所だって。
「どこにも置いていったりしねぇよ」
三蔵の、紫暗の瞳を見つめて頷く。
それはきっと、置いていかれる痛みを知っているから。
私も、もう決して置いていかない。
「名前!起きたんだって!?ヘーキかっ!?」
「名前ちゃん、大丈夫か?寝込みを生臭坊主に襲われたりしてねぇか?」
ガチャリと、扉が開いて勢いよく入ってきた悟空と悟浄。
悟空たちのうしろで、八戒が困ったように笑っていた。
二人から同時に言葉をかけられて、一気に賑やかになる。
「すみません、しばらくそっとしておくように言ったんですけど」
「……てめぇら、病人の前くらいおとなしく出来ねぇのか!」
いつものように三蔵にハリセンで怒られる二人と、それを見守る八戒。
私は四人と一緒にいられるのが、うれしくて。
一人じゃないって、わかったから。
ジープから降りた瞬間、身体がふらつき誰かに支えられる。
すぐ近くにみんながいるはずなのに、声が遠のく。
だめだ、力が入らない。
次に気がついた時には、宿屋のベッドの上だった。
「起きたか」
「三蔵、」
「失礼します。名前さん、水と食事を持ってきました」
部屋に入って来た八戒に、すみませんとあわてて身体を起こす。
それをやんわりと、止められた。
「無理しないでください。倒れた原因は、疲労と睡眠不足だそうです。慣れない旅路に、肉体的にも精神的にも限界が来てたんでしょう。すみません、気がついてあげられなくて」
「そんな……私こそ、迷惑かけてすみません」
「いつ誰が、迷惑だなんて言った」
「そうですよ。泣き言の一つや二つ、もっと言ったって構わないんですよ?」
三蔵と八戒のやさしい言葉に、居た堪れなくなる。
思わず泣きそうになるのを、ぐっとこらえた。
「ありがとうございます……」
「三蔵のためにも、しっかりと休んで元気になってくださいね。三蔵をこんな情けない姿に出来るのは、名前さんくらいですから」
「悪かったな、情けなくて」
それじゃあ、と八戒が部屋を出て行く。
椅子に座る三蔵が、ぽつりとつぶやいた。
「……すまなかった。あの時、遅れて」
あの時、とは。
寺院での出来事を思い出して、静かに首を横に振る。
あの日、私は初めて妖怪を殺した。
生々しい感覚が、今もこの手に残っている。
罪悪感に押し潰されそうになり、何度も悪夢にうなされた。
ベッドのシーツを握りしめる。
「三蔵。足手まといになるようだったら、私を置いていってください」
目を見張り、苦渋の表情を浮かべる三蔵。
そんな三蔵の顔を見て、私はふっと笑いかけた。
「と言いたいところですけど、私、決めたんです。皆についていくって」
「名前、」
最初は、観世音菩薩様の命で始まった旅だった。
数えきれないほど妖怪たちに襲われて、命の危機に苛まれる毎日。
それでも。
「私は、四人と一緒に生きていたいから。そう、決めたので」
再び戻ってきた桃源郷に、愛する人はもういなくて。
その傷と苦しみは今も、これから先も決して癒える事はないけれど。
今、たしかに感じるものがある。
ここが、三蔵一行が、私の居場所だって。
「どこにも置いていったりしねぇよ」
三蔵の、紫暗の瞳を見つめて頷く。
それはきっと、置いていかれる痛みを知っているから。
私も、もう決して置いていかない。
「名前!起きたんだって!?ヘーキかっ!?」
「名前ちゃん、大丈夫か?寝込みを生臭坊主に襲われたりしてねぇか?」
ガチャリと、扉が開いて勢いよく入ってきた悟空と悟浄。
悟空たちのうしろで、八戒が困ったように笑っていた。
二人から同時に言葉をかけられて、一気に賑やかになる。
「すみません、しばらくそっとしておくように言ったんですけど」
「……てめぇら、病人の前くらいおとなしく出来ねぇのか!」
いつものように三蔵にハリセンで怒られる二人と、それを見守る八戒。
私は四人と一緒にいられるのが、うれしくて。
一人じゃないって、わかったから。