エピローグ
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「シャル、ジャポンへいこう!」
アジトの扉を開けて、ぱちぱちと瞬きするシャルに向かって勢いよく飛びつく。
「合流して早々、いきなり何?」
「名付けて、愛の逃避行大作戦!」
「ワケわかんないんだけど。団長、笑ってないで説明してよ」
「ちょっと、シャル!まさかなまえと二人きりで行く気じゃないだろうね」
「うわー、すごいとばっちり」
ヘッドロックを決められたので、ギブギブ!と声を上げながらシャルの腕をぺちぺちと叩く。
解放されたあと、そばで眉をつり上げるマチをハグして落ち着かせる。
「ていうか団長、ヒソカとのタイマンは?」
「んなもん、バックレるに決まってるでしょ!」
「ってなまえが言ってるけど、ホント?」
「ああ」
「マジかよ。しつけーぞ、あいつは」
ノブナガの言う通り。
一番いいのはヒソカがクロロ以外の好敵手を見つけて、そっちの方をストーカーしてくれたりとか、そういうのが理想なんだけど。
頬に手を当てて首を左右に振りながら、はぁとため息を吐く。
「クロロみたいに魅力的な人、そうそういないからねぇ」
「それはどうも」
「それで、なんでシャルとジャポン?」
「未来を予知する能力でわかった。天空闘技場で約束の日、オレがヒソカと闘うとシャルとコルトピが死ぬ」
ポンッとうしろから肩に手を置かれて、そーゆー事と頷く。
急に名前を出されたコルトピが首を傾げていた。
ま、べつにジャポンじゃなくてもどこでもいいんだけどね。
「もちろんみんなでいこうよ!春になると桜がきれいなんだよー。行った事ないけど」
「ねーのかよ」
「未来を予知…ああ、ヨークシンで盗んだ奴の能力か」
「団長、あたしももう一度占ってもらえません?」
「それは出来ない。いつの間にか本から消えていた」
「それって…」
クロロに声をかけたシズクの言葉に、目を閉じて頷く。
つまり、そういう事だ。
◇
それは誰も知るはずのない未来の記憶。
本当は、言うつもりなどなかった。
誰にも言わず、墓場まで持っていくつもりだった。
この世界へ来たとわかった瞬間、あらゆる事を阻止するために殺傷能力の高い念能力を身につける事も可能だった。
でも、そうしなかった。
出来なかった。
「クロロ、あんまり驚かなかったね。私が違う世界から来たって言っても」
「まあ、なんとなくそんな気はしてた」
「マジですか」
「マジ」
隣に立つクロロを見上げて、じっと黒の瞳と見つめ合う。
やっぱり、この男には敵わないな。
でも、だからこそかな。
旅団の中でもクロロ、あなただけには打ち明けられた。
「私、ヒソカが大嫌い」
瓦礫の上で遠くを見据えて、吐き捨てるようにつぶやく。
ゴトーとともにヒソカと対峙した時、はっきりとわかった事がある。
何があっても結局のところ、私はこの世界が好きだから。
狂った己の運命さえ、愛してしまったから。
ホント、おかしな人生ね。
私にヒソカは殺せない。
「妬けるな」
言葉とは裏腹に、クロロは穏やかに微笑んでいる。
「きれいな星空を見ると、いつもクロロの事を思い出すんだ。それでも?」
「それでも」
「強欲なんだから、私に似て」
「なまえ限定だよ」
私は旅団に入らなかった。
欲しいものは、そこにいたら手に入らないから。
曇天の空。
砂埃が舞い上がる中、しゃがみこんで二つの墓標に白百合を手向ける。
「今度生まれ変わったら、同じ世界の住人がいいな」
同じ世界に生きる一人の人間として、同じ時の中で年をとって。
その時は、何も知らないままでいい。
この気持ちはきっと、どこにいても忘れないから。
サァと風が吹いて、逆十字のコートが大きくなびく。
「世界の果てにいても、見つけ出すよ」
「ロマンチストだね、クロロは」
「本気なんだけどな」
「私も、どこにいてもまたみんなと会いたいな」
次はどうか、平和な世界の片隅で。
「なまえ」
「クロロ」
お互いの名前を呼ぶ声が重なり、笑い合う。
どうやらまだ、この幸せな呪いは解けないようだ。
あるべき運命など、もうこの世に存在しない。
ここから始まるのは、誰も知らない物語。
どちらからともなく差し出した手を繋いで、故郷と呼べる流星街に別れを告げた。
アジトの扉を開けて、ぱちぱちと瞬きするシャルに向かって勢いよく飛びつく。
「合流して早々、いきなり何?」
「名付けて、愛の逃避行大作戦!」
「ワケわかんないんだけど。団長、笑ってないで説明してよ」
「ちょっと、シャル!まさかなまえと二人きりで行く気じゃないだろうね」
「うわー、すごいとばっちり」
ヘッドロックを決められたので、ギブギブ!と声を上げながらシャルの腕をぺちぺちと叩く。
解放されたあと、そばで眉をつり上げるマチをハグして落ち着かせる。
「ていうか団長、ヒソカとのタイマンは?」
「んなもん、バックレるに決まってるでしょ!」
「ってなまえが言ってるけど、ホント?」
「ああ」
「マジかよ。しつけーぞ、あいつは」
ノブナガの言う通り。
一番いいのはヒソカがクロロ以外の好敵手を見つけて、そっちの方をストーカーしてくれたりとか、そういうのが理想なんだけど。
頬に手を当てて首を左右に振りながら、はぁとため息を吐く。
「クロロみたいに魅力的な人、そうそういないからねぇ」
「それはどうも」
「それで、なんでシャルとジャポン?」
「未来を予知する能力でわかった。天空闘技場で約束の日、オレがヒソカと闘うとシャルとコルトピが死ぬ」
ポンッとうしろから肩に手を置かれて、そーゆー事と頷く。
急に名前を出されたコルトピが首を傾げていた。
ま、べつにジャポンじゃなくてもどこでもいいんだけどね。
「もちろんみんなでいこうよ!春になると桜がきれいなんだよー。行った事ないけど」
「ねーのかよ」
「未来を予知…ああ、ヨークシンで盗んだ奴の能力か」
「団長、あたしももう一度占ってもらえません?」
「それは出来ない。いつの間にか本から消えていた」
「それって…」
クロロに声をかけたシズクの言葉に、目を閉じて頷く。
つまり、そういう事だ。
◇
それは誰も知るはずのない未来の記憶。
本当は、言うつもりなどなかった。
誰にも言わず、墓場まで持っていくつもりだった。
この世界へ来たとわかった瞬間、あらゆる事を阻止するために殺傷能力の高い念能力を身につける事も可能だった。
でも、そうしなかった。
出来なかった。
「クロロ、あんまり驚かなかったね。私が違う世界から来たって言っても」
「まあ、なんとなくそんな気はしてた」
「マジですか」
「マジ」
隣に立つクロロを見上げて、じっと黒の瞳と見つめ合う。
やっぱり、この男には敵わないな。
でも、だからこそかな。
旅団の中でもクロロ、あなただけには打ち明けられた。
「私、ヒソカが大嫌い」
瓦礫の上で遠くを見据えて、吐き捨てるようにつぶやく。
ゴトーとともにヒソカと対峙した時、はっきりとわかった事がある。
何があっても結局のところ、私はこの世界が好きだから。
狂った己の運命さえ、愛してしまったから。
ホント、おかしな人生ね。
私にヒソカは殺せない。
「妬けるな」
言葉とは裏腹に、クロロは穏やかに微笑んでいる。
「きれいな星空を見ると、いつもクロロの事を思い出すんだ。それでも?」
「それでも」
「強欲なんだから、私に似て」
「なまえ限定だよ」
私は旅団に入らなかった。
欲しいものは、そこにいたら手に入らないから。
曇天の空。
砂埃が舞い上がる中、しゃがみこんで二つの墓標に白百合を手向ける。
「今度生まれ変わったら、同じ世界の住人がいいな」
同じ世界に生きる一人の人間として、同じ時の中で年をとって。
その時は、何も知らないままでいい。
この気持ちはきっと、どこにいても忘れないから。
サァと風が吹いて、逆十字のコートが大きくなびく。
「世界の果てにいても、見つけ出すよ」
「ロマンチストだね、クロロは」
「本気なんだけどな」
「私も、どこにいてもまたみんなと会いたいな」
次はどうか、平和な世界の片隅で。
「なまえ」
「クロロ」
お互いの名前を呼ぶ声が重なり、笑い合う。
どうやらまだ、この幸せな呪いは解けないようだ。
あるべき運命など、もうこの世に存在しない。
ここから始まるのは、誰も知らない物語。
どちらからともなく差し出した手を繋いで、故郷と呼べる流星街に別れを告げた。