会長選挙・アルカ編
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「でさー、ゴンったらひでェーんだぜ?オレ一人で倒すからってハブられたし、お前関係ねーからって言われたりしてさ」
「うう、ホントにゴメンよォォ」
「お兄ちゃんっ」
「あはは」
ゴン、キルア、アルカの3人と一緒に世界樹がそびえ立つ街を観光しながら、NGLでの数々の出来事を聞く。
観光写真を撮り一段落したところで、キルアがぎょっとして私を見た。
「ちょ、なんで泣いてるんだよ。なまえ」
「お姉ちゃん、どこか痛いの?」
「うえ…だって……こうやって笑い合って話せてることが、奇跡なんだもん」
ぐずぐずと涙を流していると、背伸びをするアルカから頭をなでられる。
記憶通りなら大丈夫とわかっていても、知らない間で何が起こるか、起こらないか不安だった。
今こうやって3人の笑顔を間近で見ることが出来て、うれしくて自然と涙があふれ出た。
「だからって、んな泣くなって」
「やっぱりなまえがいてくれてよかったね。キルア」
「ん、そうだな…ってお前がソレ言うか〜?」
「だから、それはごめんって…!」
「?」
ゴンの言葉に首を傾けると、二人は目を合わせてニッと笑い合う。
なんだなんだ、仲間外れはお姉さんもっと泣くぞ。
「NGLに行く前、生きて帰ろうって約束したんだ。自分のためだけじゃなくて、家族や友達のためにも」
「ま、死ぬつもりなんて鼻からなかったけどな。なまえなんか、オレらがいなくなったら一ヶ月はずっと泣いてそうだし」
「甘いぞキルア。数年、いや一生引きずるわ」
「重てェー奴…」
「キルアってば、本当はうれしいくせに」
「まあな。気にかけて思ってくれる誰かがいるってのは、ありがたい事だよな」
再びゴンとキルアが笑い合うのを見て、私の涙腺はさらにゆるむ。
心配そうな顔でのぞき込むアルカを、ぎゅっと抱きしめた。
「えへへ、お姉ちゃん苦しいよ〜」
「3人の孫を持ったおばあちゃんの気分だ…ぐす…」
「子供とかじゃなくて孫かよ」
「たとえ年が離れてても、ずっと友達だよ!」
「ゴン〜」
「お前いっつも火に油注いでるな、ゴン」
「へへ、それほどでも」
「褒めてねェっつーの」
笑って涙を拭い落ち着いたところで、キルアがゴンにアルカの能力を話してナニカを呼び出す。
「ゴン、お前がきっかけでこうして今アルカは外に出られた。ホントに感謝してるぜ、オレたち」
「あい」
「なまえもありがとな。思い出したんだ。なまえはずっと昔からアルカの事、自由にしようと親父たちに言ってくれてたんだよな」
「ううん、私は何も。ゴンのおかげだよ」
「そんな!オレの方こそ本当にありがと!」
それぞれ感謝の言葉を述べたところで、ナニカに服の袖を引っ張られる。
「なまえ、なまえ」
「キルア、ちょっと向こうでナニカと話してきていい?」
「べつにいいけど…一体なんだよ?」
「女の子同士の秘密!」
そう言ってナニカの手を握って、不思議そうにするキルアたちから離れる。
ここなら私たちの話し声は向こうに聞こえない。
「なまえ、お願い。お願い、して」
ナニカには、おそらくキルアも知らないルールが存在する。
お願いと聞いて、真っ先に頭に浮かぶことがあった。
どれだけ年を取って忘れようとしても、忘れられない事。
「ナニカ。この世界から私という存在を消して、元の世界に戻してくれる?」
本当はずっと探していた。
この世界に来たなら、帰る方法も必ずあるはずだって。
時間さえ忘れるほど夢中になって夢を見た、恋焦がれてた世界。
でも、私という存在はこの世界にいるはずはなくて。
そう、ただ本来の元のかたちに戻るだけ。
「なまえ」
ナニカの、空洞のような暗闇の瞳と見つめ合う。
「なまえ、スキ」
「ナニカ…」
「なまえ、スキ」
こちらに向けて両手を伸ばすナニカを、腕の中へと引き寄せる。
昔からナニカはキルアを慕うのと同様に、私のことも好きだと言ってくれていた。
だから、本当はなんとなくわかっていた。
「今のは冗談!ごめんね、ナニカ。まだやり残したこともあるしね」
「なまえ、ココ、キライ?」
ナニカの問いかけに、目を伏せて首を横に振る。
そんなこと決まってる。
「ナニカにアルカ、キルアやゴン…みんながいるこの世界が大好きだよ。だから、私はここまで生きてこれた」
ナニカをぎゅっと抱きしめて、アルカと交代する前に別れを告げる。
「二人ともお待たせ」
「もういいのか?」
「うん、キルア。アルカのことよろしくね」
「ああ、大丈夫。一生かけて守る覚悟出来たから」
頬をゆるめて、頼もしいお兄ちゃんの顔のキルアの頭をなでる。
「なまえ、オレ…なまえに言いたいことがあって」
「?」
「なんていうか、その…」
急に歯切れの悪くなったキルアを、首を傾げながら見つめる。
「あ〜もう!やっぱナシ!今の忘れろ!」
「えー、そこまで言っといて?気になる〜」
「そうだよ、キルア。言っちゃいなよ」
「え、何?ゴンも知ってる感じ?ハブり、よくない!」
「いや、ダメだ。…オレが、なまえより背が高くなったら言う」
そっぽを向いてしまったキルアを見て、まだまだ子供だなと目を細めて微笑む。
それにしても、私より背の高い大人のキルアか。
全然想像つかないや。
「うん、楽しみにしてる」
「…余裕なの、すげームカつく」
「ごめんね、お姉ちゃん。お兄ちゃん、お姉ちゃんの事となると素直じゃなくなるから」
「アルカ…!」
「あはは」
アルカにたじたじのキルアを見て、ゴンと、みんなと一緒に笑い合う。
ああ、なんて愛しい時なのだろう。
本当はいつまでもこうしていたいけど。
「ゴン、そろそろ行かないと。待ちくたびれてジン、どっか行っちゃうかも」
「そうだな。親父さんによろしくな」
「うん…カイトも言ってたよ!オレたちどこにいても仲間だから!」
「おう!」
「もちろん!」
「じゃあ…また!!」
手を振り、三方向へそれぞれの道へと歩き出す。
この先、私たちが交わることはしばらくないだろう。
始まりは遠い昔だけど、ハンター試験からここまで長いようで短い旅路だった。
何も知らなければと、幼い私は運命を呪うことさえあった。
孤独の中、一人で歩いてきたつもりだけど、気がつけばたくさんの人と心の中で繋がっている。
もう、独りじゃない。
「とっても楽しかったよ、ジン」
しあわせな夢をありがとう。
あなたがいたから、いま私はここにいる。
沈みゆく茜色の夕日に照らされながら、震えるコウモリ型の携帯電話を手に取る。
「なまえ、今から迎えに行くよ」
「クロロ、どっからか私のこと見てた?」
「いや?どうして?」
「あまりにもタイミングがよかったから」
偶然だよ、とケータイ越しに言われて、それもそっかと話を戻す。
「じゃあ、世界樹の木の下で待ち合わせでもする?」
「ああ、すぐに行くよ。というか、すでに向かってるんだけど」
「やっぱりあやしい…」
「偶然、偶然」
ここからは、どこへ続くかわからない道。
さあ、この身が滅びるまで共に行こう。
この世のおわりでも、忘れられない人よ。
「うう、ホントにゴメンよォォ」
「お兄ちゃんっ」
「あはは」
ゴン、キルア、アルカの3人と一緒に世界樹がそびえ立つ街を観光しながら、NGLでの数々の出来事を聞く。
観光写真を撮り一段落したところで、キルアがぎょっとして私を見た。
「ちょ、なんで泣いてるんだよ。なまえ」
「お姉ちゃん、どこか痛いの?」
「うえ…だって……こうやって笑い合って話せてることが、奇跡なんだもん」
ぐずぐずと涙を流していると、背伸びをするアルカから頭をなでられる。
記憶通りなら大丈夫とわかっていても、知らない間で何が起こるか、起こらないか不安だった。
今こうやって3人の笑顔を間近で見ることが出来て、うれしくて自然と涙があふれ出た。
「だからって、んな泣くなって」
「やっぱりなまえがいてくれてよかったね。キルア」
「ん、そうだな…ってお前がソレ言うか〜?」
「だから、それはごめんって…!」
「?」
ゴンの言葉に首を傾けると、二人は目を合わせてニッと笑い合う。
なんだなんだ、仲間外れはお姉さんもっと泣くぞ。
「NGLに行く前、生きて帰ろうって約束したんだ。自分のためだけじゃなくて、家族や友達のためにも」
「ま、死ぬつもりなんて鼻からなかったけどな。なまえなんか、オレらがいなくなったら一ヶ月はずっと泣いてそうだし」
「甘いぞキルア。数年、いや一生引きずるわ」
「重てェー奴…」
「キルアってば、本当はうれしいくせに」
「まあな。気にかけて思ってくれる誰かがいるってのは、ありがたい事だよな」
再びゴンとキルアが笑い合うのを見て、私の涙腺はさらにゆるむ。
心配そうな顔でのぞき込むアルカを、ぎゅっと抱きしめた。
「えへへ、お姉ちゃん苦しいよ〜」
「3人の孫を持ったおばあちゃんの気分だ…ぐす…」
「子供とかじゃなくて孫かよ」
「たとえ年が離れてても、ずっと友達だよ!」
「ゴン〜」
「お前いっつも火に油注いでるな、ゴン」
「へへ、それほどでも」
「褒めてねェっつーの」
笑って涙を拭い落ち着いたところで、キルアがゴンにアルカの能力を話してナニカを呼び出す。
「ゴン、お前がきっかけでこうして今アルカは外に出られた。ホントに感謝してるぜ、オレたち」
「あい」
「なまえもありがとな。思い出したんだ。なまえはずっと昔からアルカの事、自由にしようと親父たちに言ってくれてたんだよな」
「ううん、私は何も。ゴンのおかげだよ」
「そんな!オレの方こそ本当にありがと!」
それぞれ感謝の言葉を述べたところで、ナニカに服の袖を引っ張られる。
「なまえ、なまえ」
「キルア、ちょっと向こうでナニカと話してきていい?」
「べつにいいけど…一体なんだよ?」
「女の子同士の秘密!」
そう言ってナニカの手を握って、不思議そうにするキルアたちから離れる。
ここなら私たちの話し声は向こうに聞こえない。
「なまえ、お願い。お願い、して」
ナニカには、おそらくキルアも知らないルールが存在する。
お願いと聞いて、真っ先に頭に浮かぶことがあった。
どれだけ年を取って忘れようとしても、忘れられない事。
「ナニカ。この世界から私という存在を消して、元の世界に戻してくれる?」
本当はずっと探していた。
この世界に来たなら、帰る方法も必ずあるはずだって。
時間さえ忘れるほど夢中になって夢を見た、恋焦がれてた世界。
でも、私という存在はこの世界にいるはずはなくて。
そう、ただ本来の元のかたちに戻るだけ。
「なまえ」
ナニカの、空洞のような暗闇の瞳と見つめ合う。
「なまえ、スキ」
「ナニカ…」
「なまえ、スキ」
こちらに向けて両手を伸ばすナニカを、腕の中へと引き寄せる。
昔からナニカはキルアを慕うのと同様に、私のことも好きだと言ってくれていた。
だから、本当はなんとなくわかっていた。
「今のは冗談!ごめんね、ナニカ。まだやり残したこともあるしね」
「なまえ、ココ、キライ?」
ナニカの問いかけに、目を伏せて首を横に振る。
そんなこと決まってる。
「ナニカにアルカ、キルアやゴン…みんながいるこの世界が大好きだよ。だから、私はここまで生きてこれた」
ナニカをぎゅっと抱きしめて、アルカと交代する前に別れを告げる。
「二人ともお待たせ」
「もういいのか?」
「うん、キルア。アルカのことよろしくね」
「ああ、大丈夫。一生かけて守る覚悟出来たから」
頬をゆるめて、頼もしいお兄ちゃんの顔のキルアの頭をなでる。
「なまえ、オレ…なまえに言いたいことがあって」
「?」
「なんていうか、その…」
急に歯切れの悪くなったキルアを、首を傾げながら見つめる。
「あ〜もう!やっぱナシ!今の忘れろ!」
「えー、そこまで言っといて?気になる〜」
「そうだよ、キルア。言っちゃいなよ」
「え、何?ゴンも知ってる感じ?ハブり、よくない!」
「いや、ダメだ。…オレが、なまえより背が高くなったら言う」
そっぽを向いてしまったキルアを見て、まだまだ子供だなと目を細めて微笑む。
それにしても、私より背の高い大人のキルアか。
全然想像つかないや。
「うん、楽しみにしてる」
「…余裕なの、すげームカつく」
「ごめんね、お姉ちゃん。お兄ちゃん、お姉ちゃんの事となると素直じゃなくなるから」
「アルカ…!」
「あはは」
アルカにたじたじのキルアを見て、ゴンと、みんなと一緒に笑い合う。
ああ、なんて愛しい時なのだろう。
本当はいつまでもこうしていたいけど。
「ゴン、そろそろ行かないと。待ちくたびれてジン、どっか行っちゃうかも」
「そうだな。親父さんによろしくな」
「うん…カイトも言ってたよ!オレたちどこにいても仲間だから!」
「おう!」
「もちろん!」
「じゃあ…また!!」
手を振り、三方向へそれぞれの道へと歩き出す。
この先、私たちが交わることはしばらくないだろう。
始まりは遠い昔だけど、ハンター試験からここまで長いようで短い旅路だった。
何も知らなければと、幼い私は運命を呪うことさえあった。
孤独の中、一人で歩いてきたつもりだけど、気がつけばたくさんの人と心の中で繋がっている。
もう、独りじゃない。
「とっても楽しかったよ、ジン」
しあわせな夢をありがとう。
あなたがいたから、いま私はここにいる。
沈みゆく茜色の夕日に照らされながら、震えるコウモリ型の携帯電話を手に取る。
「なまえ、今から迎えに行くよ」
「クロロ、どっからか私のこと見てた?」
「いや?どうして?」
「あまりにもタイミングがよかったから」
偶然だよ、とケータイ越しに言われて、それもそっかと話を戻す。
「じゃあ、世界樹の木の下で待ち合わせでもする?」
「ああ、すぐに行くよ。というか、すでに向かってるんだけど」
「やっぱりあやしい…」
「偶然、偶然」
ここからは、どこへ続くかわからない道。
さあ、この身が滅びるまで共に行こう。
この世のおわりでも、忘れられない人よ。