ハンター試験編
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三次試験の会場へ向かう飛行船内。
元気に駆け回る少年たちの姿を見て、頬がゆるむ。
「子供は元気でいいですね」
「あなたも大概子供だと思うが」
ツッコミの声にうしろを振り返り、きらりと光る金髪の青年クラピカを見上げる。
「ゴンたちと探索に行かないのか?」
「男の子たちの青春を邪魔したら悪いかなと思いまして」
「別に二人とも、なまえのことを邪魔だとは思わないだろう」
ゴンはわかるけど、キルアはどうかな。
なんて言葉を飲み込み、近くのベンチに腰かけて周囲を見渡す。
現時点で合格者43名、まだ二次試験が終わったばかりなのにずいぶんと減ったな。
「なまえはなぜハンターに?」
お決まりの質問である。
クラピカの奥にレオリオもいて、会話に耳をかたむけている。
私のことよりも二人はどうなんですか、と聞こうと思ったが質問を質問で返すのはアレか。
本当のこと言ったら、二人は怒るかな。
「楽しそうだったから」
「何ィ!?」
「いいか、なまえ。よく聞くんだ。ハンターとはこの世で最も気高い仕事だ。そのハンターを目指す者ならば…」
素っ頓狂な声を上げたのはレオリオで、クラピカは真面目な顔でハンターとはなんたるかを諭す。
悪いが、私には二人のように誠実だったり確固たる意志を持ってハンターという職業に就きたいわけではない。
ハンターになりたいのではなく、ハンター試験を受けに来たかった。
ただ、それだけだった。
「人の話をちゃんと聞いているか?なまえ」
「クラピカ、顔怖い。笑って笑って」
口の端を両手の人差し指で持ち上げながら言えば、盛大なため息が降ってくる。
子供はのんきでいいよなー、とレオリオのぼやきが聞こえた。
「でもまー、下手すりゃ死人が出るハンター試験でここまで合格してんだから、たいしたもんだぜ」
「それです!」
びしっと、レオリオに向けて人差し指を立てると彼の肩がびくりと揺れた。
「資格を取得しに来ただけなのに命を落とすなんて、あまりにも理不尽じゃないですか!」
「そういうところはしっかりしてんだな」
「たしかになまえの言いたいこともわかるが、それだけハンターの仕事とは厳しく、過酷で、気高いものなのだ。残酷な世界だがこれが現実だ」
クラピカの言葉に唇を尖らせていると、苦笑いをしたレオリオから頭をぽんぽんとなでられる。
「厳しいこと言うようだが、人生楽しいことだけじゃないって話だぜ。ま、お説教はこれくらいにして、もう少し大人になったらオレと楽しくデートでもしようや」
「レオリオ、貴様まさか女児にまで手を出すとは…」
サッと離れてクラピカのうしろへと回り、二人してじとーっと冷めた目でレオリオを見る。
彼はひどく焦って、あわてふためいていた。
「冗談!成長してからの話だって!つーか、なまえとは同じ10代だから引くほどじゃねーだろ!」
「うそぉ」
「あ、なまえまであいつらと同じリアクションしやがって!どいつもこいつも、ヒデー奴らだぜ!」
ふっ、驚くのはお約束である。
それから話を元に戻して、クラピカとレオリオのハンター志望の理由におとなしく耳を傾けた。
旅団の言葉をクラピカから聞いて、飛行船のガラス張りの窓から星空を見つめる。
脳裏に映るのは、逆十字のコートの背中。
「何か少しでもいい。情報があれば、教えてほしい」
「ごめん、私から言える事は何もないや」
「そうか…」
肩を落とすクラピカだったが、すぐに元の表情に戻る。
「私、ゴンとキルアのところに行ってくるね!」
「ああ」
「走って転ばねーよう、気ィつけてな」
二人に背を向けて、ひとり足早に向かう。
まだネテロ会長と遊んでる頃かな、と考えていたら通路に男二人とキルアが立っていた。
まずい。
「おいボウズ、ぶつかったらあやまりな」
「キルア!」
殺気が肌を刺すのと同時だった。
私の足元へと転がってきた男の頭部を見下ろす。
キルアの方を向くと、もう殺気を発してはいなかったがひどく冷たい目をしていた。
ずんずんとキルアの元まで歩いて、目の前で手を振り上げる。
ぺちり、と両手でキルアの頬を包み込むようにはさんだ。
「ダメだよ。人を殺したら」
驚いたような、ショックを受けたような瞳に見えた。
それも一瞬のことで、すぐに跡形もなく消える。
「なまえ。オレん家、暗殺家業なんだよ。人殺すのが日常、あたりまえ」
パシッと手を払われて、私は爪先立ちしていたかかとを床に下ろす。
人殺しが良い悪いの世界に住んでいない。
それはキルアも同じだった。
でも、本心では人殺しを望んでいない。
「仕事とか正当防衛なら、私は何も言いません!」
「…ふーん、今の話信じるんだ。ま、これ見たらあたりまえか。なまえって死体とか人殺すの見慣れてるんだな。なんか意外」
「でもあんまり好きじゃないよ」
鉄のさびたにおいが鼻につく。
命がなくなる瞬間を見て恐怖して泣き叫ぶのも、嘔吐して気絶しそうになるのも、もう遠い過去の事。
この世界に来て嫌でも慣れた光景だ。
キルアの方を見て、ふと大事なことに気がついてあわてて顔を両手で覆った。
「何?」
「キルア、上半身裸じゃん!」
「あー、ジーサンからボール奪おうとして汗かいたからな」
指の隙間から、服を片手に抱える白い体を見つめる。
細くも鍛えられた筋肉、でもそれはキルア本人の意思による結果ではない。
人知れず眉を落としたあと、パンッと両手を合わせる。
「さ、もう遅いし良い子も悪い子も寝ましょう!」
「フッ、なんだよソレ」
「風邪ひかないよう、汗ふいてから寝るんだよー!」
手を振り、ぱたぱたと走りながらその場をあとにする。
そういえばあの二人の死体、あとで協会の人に言って後片付けしてもらわなきゃな。
元気に駆け回る少年たちの姿を見て、頬がゆるむ。
「子供は元気でいいですね」
「あなたも大概子供だと思うが」
ツッコミの声にうしろを振り返り、きらりと光る金髪の青年クラピカを見上げる。
「ゴンたちと探索に行かないのか?」
「男の子たちの青春を邪魔したら悪いかなと思いまして」
「別に二人とも、なまえのことを邪魔だとは思わないだろう」
ゴンはわかるけど、キルアはどうかな。
なんて言葉を飲み込み、近くのベンチに腰かけて周囲を見渡す。
現時点で合格者43名、まだ二次試験が終わったばかりなのにずいぶんと減ったな。
「なまえはなぜハンターに?」
お決まりの質問である。
クラピカの奥にレオリオもいて、会話に耳をかたむけている。
私のことよりも二人はどうなんですか、と聞こうと思ったが質問を質問で返すのはアレか。
本当のこと言ったら、二人は怒るかな。
「楽しそうだったから」
「何ィ!?」
「いいか、なまえ。よく聞くんだ。ハンターとはこの世で最も気高い仕事だ。そのハンターを目指す者ならば…」
素っ頓狂な声を上げたのはレオリオで、クラピカは真面目な顔でハンターとはなんたるかを諭す。
悪いが、私には二人のように誠実だったり確固たる意志を持ってハンターという職業に就きたいわけではない。
ハンターになりたいのではなく、ハンター試験を受けに来たかった。
ただ、それだけだった。
「人の話をちゃんと聞いているか?なまえ」
「クラピカ、顔怖い。笑って笑って」
口の端を両手の人差し指で持ち上げながら言えば、盛大なため息が降ってくる。
子供はのんきでいいよなー、とレオリオのぼやきが聞こえた。
「でもまー、下手すりゃ死人が出るハンター試験でここまで合格してんだから、たいしたもんだぜ」
「それです!」
びしっと、レオリオに向けて人差し指を立てると彼の肩がびくりと揺れた。
「資格を取得しに来ただけなのに命を落とすなんて、あまりにも理不尽じゃないですか!」
「そういうところはしっかりしてんだな」
「たしかになまえの言いたいこともわかるが、それだけハンターの仕事とは厳しく、過酷で、気高いものなのだ。残酷な世界だがこれが現実だ」
クラピカの言葉に唇を尖らせていると、苦笑いをしたレオリオから頭をぽんぽんとなでられる。
「厳しいこと言うようだが、人生楽しいことだけじゃないって話だぜ。ま、お説教はこれくらいにして、もう少し大人になったらオレと楽しくデートでもしようや」
「レオリオ、貴様まさか女児にまで手を出すとは…」
サッと離れてクラピカのうしろへと回り、二人してじとーっと冷めた目でレオリオを見る。
彼はひどく焦って、あわてふためいていた。
「冗談!成長してからの話だって!つーか、なまえとは同じ10代だから引くほどじゃねーだろ!」
「うそぉ」
「あ、なまえまであいつらと同じリアクションしやがって!どいつもこいつも、ヒデー奴らだぜ!」
ふっ、驚くのはお約束である。
それから話を元に戻して、クラピカとレオリオのハンター志望の理由におとなしく耳を傾けた。
旅団の言葉をクラピカから聞いて、飛行船のガラス張りの窓から星空を見つめる。
脳裏に映るのは、逆十字のコートの背中。
「何か少しでもいい。情報があれば、教えてほしい」
「ごめん、私から言える事は何もないや」
「そうか…」
肩を落とすクラピカだったが、すぐに元の表情に戻る。
「私、ゴンとキルアのところに行ってくるね!」
「ああ」
「走って転ばねーよう、気ィつけてな」
二人に背を向けて、ひとり足早に向かう。
まだネテロ会長と遊んでる頃かな、と考えていたら通路に男二人とキルアが立っていた。
まずい。
「おいボウズ、ぶつかったらあやまりな」
「キルア!」
殺気が肌を刺すのと同時だった。
私の足元へと転がってきた男の頭部を見下ろす。
キルアの方を向くと、もう殺気を発してはいなかったがひどく冷たい目をしていた。
ずんずんとキルアの元まで歩いて、目の前で手を振り上げる。
ぺちり、と両手でキルアの頬を包み込むようにはさんだ。
「ダメだよ。人を殺したら」
驚いたような、ショックを受けたような瞳に見えた。
それも一瞬のことで、すぐに跡形もなく消える。
「なまえ。オレん家、暗殺家業なんだよ。人殺すのが日常、あたりまえ」
パシッと手を払われて、私は爪先立ちしていたかかとを床に下ろす。
人殺しが良い悪いの世界に住んでいない。
それはキルアも同じだった。
でも、本心では人殺しを望んでいない。
「仕事とか正当防衛なら、私は何も言いません!」
「…ふーん、今の話信じるんだ。ま、これ見たらあたりまえか。なまえって死体とか人殺すの見慣れてるんだな。なんか意外」
「でもあんまり好きじゃないよ」
鉄のさびたにおいが鼻につく。
命がなくなる瞬間を見て恐怖して泣き叫ぶのも、嘔吐して気絶しそうになるのも、もう遠い過去の事。
この世界に来て嫌でも慣れた光景だ。
キルアの方を見て、ふと大事なことに気がついてあわてて顔を両手で覆った。
「何?」
「キルア、上半身裸じゃん!」
「あー、ジーサンからボール奪おうとして汗かいたからな」
指の隙間から、服を片手に抱える白い体を見つめる。
細くも鍛えられた筋肉、でもそれはキルア本人の意思による結果ではない。
人知れず眉を落としたあと、パンッと両手を合わせる。
「さ、もう遅いし良い子も悪い子も寝ましょう!」
「フッ、なんだよソレ」
「風邪ひかないよう、汗ふいてから寝るんだよー!」
手を振り、ぱたぱたと走りながらその場をあとにする。
そういえばあの二人の死体、あとで協会の人に言って後片付けしてもらわなきゃな。