会長選挙・アルカ編
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「ずっと待っていたよ、この時を…さあやろう」
「ああ」
人気のない廃墟ビルで、念を取り戻したクロロとヒソカが対峙するのを漫画片手に眺める。
長きにわたりヒソカと嫌々同行していたG・Iでの生活も、すでに終わりを迎えていた。
パタンッと私は本を閉じて、その場でヒソカへと向けて親指と人差し指を向ける。
チラリと、ヒソカの意識がこちらへ向かう。
0.5秒でも注意を引きつけられたらそれでいい。
「霊丸!…なんちゃって」
「?」
爆発音とともに煙を巻き上げて崩れ落ちる天井の瓦礫。
クロロと二人、手を繋いでその中から駆け出した。
「ワハハ!さらばだ、ヒソカ!そのまま埋もれてしまえ!」
「なまえ、舌噛むよ」
今はまだ、面と向かって闘う気などさらさらない。
ビルの屋上をぴょんぴょんと飛び越えて、猛スピードで街の中心部へと走って繁華街まで来ると人混みに紛れる。
がやがやと賑わう通りを歩きながら、頭にかぶったキャスケット帽のツバを少しだけ上げた。
「とりあえず、まいたみたいだけど」
「これであきらめたとは思えないな」
「はあ…やっと解放されたと思ったら、次はオニごっこねー」
「先にシャルたちのところに戻ってる?」
うーんと、あごに指先を当てて考える。
もうすでに議会から依頼を受けて、流星街に侵入しているキメラアントの討伐に向かっている頃だろうか。
「いや、よく考えたらクロロと一緒じゃないとダメだわ」
「じゃあ、しばらく逃亡生活ってことで」
「ん、早いとこパクに挨拶しに行かなきゃね」
ウボォーの隣に建てられた逆十字の墓標。
頷いたクロロに、指先を絡め取られる。
再びつながれた手に微笑み、ぎゅっと握り返した。
◇
太陽の日差しが容赦なく照りつける青空の下。
雑踏の中、聞こえてきたニュースに足を止める。
街頭ビジョンに映し出されている、東ゴルトー共和国の映像を眺める。
ニュースキャスターの口から、真実が語られることはない。
「ゴン、キルア…」
一人そっとつぶやき、目を閉じる。
脳裏に浮かぶのは、キメラアントと戦ったハンターたち。
胸の前で、両手を重ねて握りしめた。
「おやすみなさい、ネテロ会長」
ホテルの個室でパソコンを開き、ハンターサイトにアクセスする。
チェックするのは、今日配信されたばかりの動画。
イスの背もたれに手をついたクロロも、画面をのぞき込む。
ネテロ会長の辞任と後任人事についてのメッセージを、二人で視聴した。
「遺言だな」
「というわけで、私は選挙にいってきます」
「いってらっしゃい。その間に準備しておくか」
「ね、ホントにヒソカと闘うの?」
「なまえもそろそろ面倒になってきただろ?」
「むー…」
くるりとイスを回転させてクロロと向き合い、唇をとがらせる。
たしかに、逃げても逃げても行く先々で追いかけられて、あの奇術師はあきらめるということを知らない。
標的はクロロ一人だけだから、私は単にそのジャマをしてるだけなんだけど。
私は座ったままクロロの腰へ腕を伸ばして、顔を埋めて抱きつく。
「恋敵さえいなければなー!」
「なまえは、オレがヒソカに負けると思う?」
「思わない。クロロが勝つよ、絶対」
満足げに笑ったクロロから、髪をとかすように頭をなでられる。
それでも顔をしかめていると、いつもの逆十字のコートを手に取り肩へかけられた。
通話している横顔を眺めながら、クロロの匂いに包まれてコートの端をぎゅっとつかむ。
着信音が鳴り私もケータイを手にすると、画面に表示された名前に一瞬息を止めた。
「なまえ、アルカの力が必要なんだ。ウチに来られるか?」
「今からソッコーで向かうよ。ククルーマウンテンのふもとまで行ったらまた連絡するから、じゃ」
「あれ、選挙はいいの?」
「いいの!予定変更!」
キルアとの通話を終えてバタバタと支度をする中、腕が伸びてきてコートの上からクロロに抱きしめられる。
こつんと、額と額が合わせられると鼻先が軽くふれあった。
「今回は長居しすぎたな」
「さみしくなっちゃった?」
「まさか」
「だよね」
至近距離で見つめ合ったあと笑い合って、ぽすんっと肩口に顔を埋める。
そう、私たちは一緒にいなくても大丈夫。
「ああ、シャル。何でもないこっちの話」
「シャル、あいらびゅーあいにーじゅー」
「なんかひっどい発音、聞こえてきたんだけど」
影から伸びる黒い魔の手は、もう目前まで迫ってきていた。
「ああ」
人気のない廃墟ビルで、念を取り戻したクロロとヒソカが対峙するのを漫画片手に眺める。
長きにわたりヒソカと嫌々同行していたG・Iでの生活も、すでに終わりを迎えていた。
パタンッと私は本を閉じて、その場でヒソカへと向けて親指と人差し指を向ける。
チラリと、ヒソカの意識がこちらへ向かう。
0.5秒でも注意を引きつけられたらそれでいい。
「霊丸!…なんちゃって」
「?」
爆発音とともに煙を巻き上げて崩れ落ちる天井の瓦礫。
クロロと二人、手を繋いでその中から駆け出した。
「ワハハ!さらばだ、ヒソカ!そのまま埋もれてしまえ!」
「なまえ、舌噛むよ」
今はまだ、面と向かって闘う気などさらさらない。
ビルの屋上をぴょんぴょんと飛び越えて、猛スピードで街の中心部へと走って繁華街まで来ると人混みに紛れる。
がやがやと賑わう通りを歩きながら、頭にかぶったキャスケット帽のツバを少しだけ上げた。
「とりあえず、まいたみたいだけど」
「これであきらめたとは思えないな」
「はあ…やっと解放されたと思ったら、次はオニごっこねー」
「先にシャルたちのところに戻ってる?」
うーんと、あごに指先を当てて考える。
もうすでに議会から依頼を受けて、流星街に侵入しているキメラアントの討伐に向かっている頃だろうか。
「いや、よく考えたらクロロと一緒じゃないとダメだわ」
「じゃあ、しばらく逃亡生活ってことで」
「ん、早いとこパクに挨拶しに行かなきゃね」
ウボォーの隣に建てられた逆十字の墓標。
頷いたクロロに、指先を絡め取られる。
再びつながれた手に微笑み、ぎゅっと握り返した。
◇
太陽の日差しが容赦なく照りつける青空の下。
雑踏の中、聞こえてきたニュースに足を止める。
街頭ビジョンに映し出されている、東ゴルトー共和国の映像を眺める。
ニュースキャスターの口から、真実が語られることはない。
「ゴン、キルア…」
一人そっとつぶやき、目を閉じる。
脳裏に浮かぶのは、キメラアントと戦ったハンターたち。
胸の前で、両手を重ねて握りしめた。
「おやすみなさい、ネテロ会長」
ホテルの個室でパソコンを開き、ハンターサイトにアクセスする。
チェックするのは、今日配信されたばかりの動画。
イスの背もたれに手をついたクロロも、画面をのぞき込む。
ネテロ会長の辞任と後任人事についてのメッセージを、二人で視聴した。
「遺言だな」
「というわけで、私は選挙にいってきます」
「いってらっしゃい。その間に準備しておくか」
「ね、ホントにヒソカと闘うの?」
「なまえもそろそろ面倒になってきただろ?」
「むー…」
くるりとイスを回転させてクロロと向き合い、唇をとがらせる。
たしかに、逃げても逃げても行く先々で追いかけられて、あの奇術師はあきらめるということを知らない。
標的はクロロ一人だけだから、私は単にそのジャマをしてるだけなんだけど。
私は座ったままクロロの腰へ腕を伸ばして、顔を埋めて抱きつく。
「恋敵さえいなければなー!」
「なまえは、オレがヒソカに負けると思う?」
「思わない。クロロが勝つよ、絶対」
満足げに笑ったクロロから、髪をとかすように頭をなでられる。
それでも顔をしかめていると、いつもの逆十字のコートを手に取り肩へかけられた。
通話している横顔を眺めながら、クロロの匂いに包まれてコートの端をぎゅっとつかむ。
着信音が鳴り私もケータイを手にすると、画面に表示された名前に一瞬息を止めた。
「なまえ、アルカの力が必要なんだ。ウチに来られるか?」
「今からソッコーで向かうよ。ククルーマウンテンのふもとまで行ったらまた連絡するから、じゃ」
「あれ、選挙はいいの?」
「いいの!予定変更!」
キルアとの通話を終えてバタバタと支度をする中、腕が伸びてきてコートの上からクロロに抱きしめられる。
こつんと、額と額が合わせられると鼻先が軽くふれあった。
「今回は長居しすぎたな」
「さみしくなっちゃった?」
「まさか」
「だよね」
至近距離で見つめ合ったあと笑い合って、ぽすんっと肩口に顔を埋める。
そう、私たちは一緒にいなくても大丈夫。
「ああ、シャル。何でもないこっちの話」
「シャル、あいらびゅーあいにーじゅー」
「なんかひっどい発音、聞こえてきたんだけど」
影から伸びる黒い魔の手は、もう目前まで迫ってきていた。