G・I編
名前変換
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「名前変えといて正解だったかも…」
ぱくりと、ケーキを一欠片口にする。
魔法都市マサドラのデパートにある喫茶店で、バインダーを前に一人つぶやいていた。
「お待たせ。それ、どうやって見るんだい?」
「わざわざ耳元でささやかない」
「照れない、照れない」
うしろから現れたヒソカは、テーブルの向かい側に座ると紅茶を頼む。
適当に「交信(コンタクト)」の呪文カードを渡して、最後のページに入れるよう説明する。
ヒソカのバインダーをのぞき込むと、会ったことのあるプレイヤーリストにほぼ同じ名前が並んでいた。
「旅団か」
「ヒソカ、除念師のこと伝わってるだろうけど説明よろしく」
「なまえもついてくるんだろ?」
「いや、遠慮しとく」
会いたいのは山々だけど、まだ会えない。
フィンクスにクロロを連れ戻すって約束したし、顔を合わせるのは除念後だ。
ティーカップを置いたあと頬杖をついて満面の笑みの浮かべているヒソカに、冷や汗をかいて口元が引きつる。
「ひ、ヒソカさん…?」
「クロロから依頼を受けた条件、忘れてないよね?」
相変わらず顔だけはいいんだけどな、この男。
喫茶店を出て、カードを片手に「同行(アカンパニー)」使用、シャルナークと泣く泣く唱える。
光に包まれたあと、草木が生い茂る森の中へと着地した。
「ちょっと訂正があるね」
「ヒソカ!」
クロロの偽名を使ったのは自分のアイディアだと、一人茂みから出て旅団の子たちに説明している傍ら、私は出るに出られず木陰にしゃがんで声だけを聞いていた。
バレてない、バレてない。
「それで、なまえと一緒にいるワケは?」
バレてた。
「退屈しのぎ」
「あ!さびしいとか言ってたのやっぱりウソだったんじゃん!」
「なまえ、てめェ…」
「ま、まだ会うつもりなかったんだけど、ヒソカが…!」
フィンクスに殺される…!
いや殺されても仕方ないけどさ!
思わず木々から飛び出したが、手の関節を鳴らすフィンクスに後ずさる。
今ここにいるのはシャル、フィンクス、フランクリン、シズクの4人。
みんなの視線がグサグサと胸に突き刺さる。
「落ち着け、フィンクス。今ここでなまえに八つ当たりしても団長は戻ってこねーぞ」
「んなことはわかってる。ヒソカの野郎と一緒にいるってのが納得いかねェ…!」
「ま、だいたい除念師探しに無理やり同行させられたってところかな」
シャルはやっぱり賢い子だなと涙目で頷くと、しばらく黙ったまま見つめられる。
これは、すましたような顔して怒ってらっしゃる…。
「ヒソカのバカァ!次に会う時はクロロと一緒って決めてたのに…!」
「くくく、いい顔だ。やっぱりキミをつれてきて正解だったよ」
こいつ、完全におもちゃにしてやがる…!
一人笑顔のヒソカへと、再びみんなの注目が集まる。
「滅多なことペラペラしゃべるんじゃねェ…!てめェはてめェで黙ってやるべきことをやれ。ここでオレがぶっ殺したいとこだが…団長に任せるぜ」
ピキピキと怒るフィンクスに、そーだそーだ!と便乗するとがしりと頭を鷲掴みされた。
「てめェも、ヒソカにいいように使われてんじゃねェ…!」
「これもクロロの除念師探しのためなんだってば〜!」
「団長…ヒソカに依頼したのね。でもどうしてなまえじゃないの?」
「あいつは中立の立場だからな」
「旅団の味方ってわけじゃないんだ。なんか複雑」
「何、敵になりはしねェさ。たとえ、何があったとしてもな」
シズクとフランクリンの声が聞こえたような気がする。
頭をつかまれたまま大人しく正座していると、しばらくして舌打ちとともに解放された。
何かあったら「交信(コンタクト)」の呪文カードで知らせてくれよと、先に立ち去るヒソカもずいぶんとG・Iに慣れたもんだ。
相変わらずカード集めは何一つ興味示さないし、除念師探しも他人頼りにしてるけど。
それじゃあ、と立ち上がり私もあとを追おうとすると名前を呼ばれて振り返る。
「なまえ、ヒソカは敵だってわかってる?」
「…うん」
ヒソカが旅団にとってどういう存在なのかは、嫌というほど理解している。
シャルは腰に手を当てて、はあと大きく息を吐く。
「変にしおらしいと調子狂うな。誰にも飛びつかないし」
「まったくだ」
ケッと、腕を組んで背中を向けるフィンクスに眉を下げる。
すべてを知っていながら、私は大切な人を二人も見殺しにしたのだ。
両手を握りうつむいていると、影とともに腕が伸びてきて頬を包み込むようにふれられる。
シャルの翡翠色の瞳と視線が交わり、むにーっといきなりつねられた。
いた…くはないな。
「らしくないな。なまえは自由にしてればいいんだよ」
「シャル…」
「ん?」
「あいしてる」
「べつに今すぐそうしろって意味じゃないんだけど。まあ、いいや」
ぎゅっとシャルの首に腕を伸ばして抱きついても、振り払われることはなかった。
そうだ、この子たちの前で不甲斐ない姿を見せてる場合じゃないな。
そのまま耳元でブックと声が聞こえて、バインダーが出される。
「このみょうじって、なまえのことだよね」
「すご、よくわかったね」
「なまえが偽名使うときは大抵コレだから」
ほー、よくご存知で。
でも、今までこの子たちの前でこの名前を使ったことあっただろうか。
ま、いっか。
「うう、ヒソカの元に戻りたくないよー」
「もう少しの辛抱さ。これで時間の問題だ、団長の復活…!」
4人に手を振って別れる前に、そうだと長身の背中に声をかける。
「シャル、マチにあいしてるって伝えといて」
「げ、やだよ。オレらだけなまえに会ったって知ったら、マチのやつカンカンに怒るだろ」
ぱくりと、ケーキを一欠片口にする。
魔法都市マサドラのデパートにある喫茶店で、バインダーを前に一人つぶやいていた。
「お待たせ。それ、どうやって見るんだい?」
「わざわざ耳元でささやかない」
「照れない、照れない」
うしろから現れたヒソカは、テーブルの向かい側に座ると紅茶を頼む。
適当に「交信(コンタクト)」の呪文カードを渡して、最後のページに入れるよう説明する。
ヒソカのバインダーをのぞき込むと、会ったことのあるプレイヤーリストにほぼ同じ名前が並んでいた。
「旅団か」
「ヒソカ、除念師のこと伝わってるだろうけど説明よろしく」
「なまえもついてくるんだろ?」
「いや、遠慮しとく」
会いたいのは山々だけど、まだ会えない。
フィンクスにクロロを連れ戻すって約束したし、顔を合わせるのは除念後だ。
ティーカップを置いたあと頬杖をついて満面の笑みの浮かべているヒソカに、冷や汗をかいて口元が引きつる。
「ひ、ヒソカさん…?」
「クロロから依頼を受けた条件、忘れてないよね?」
相変わらず顔だけはいいんだけどな、この男。
喫茶店を出て、カードを片手に「同行(アカンパニー)」使用、シャルナークと泣く泣く唱える。
光に包まれたあと、草木が生い茂る森の中へと着地した。
「ちょっと訂正があるね」
「ヒソカ!」
クロロの偽名を使ったのは自分のアイディアだと、一人茂みから出て旅団の子たちに説明している傍ら、私は出るに出られず木陰にしゃがんで声だけを聞いていた。
バレてない、バレてない。
「それで、なまえと一緒にいるワケは?」
バレてた。
「退屈しのぎ」
「あ!さびしいとか言ってたのやっぱりウソだったんじゃん!」
「なまえ、てめェ…」
「ま、まだ会うつもりなかったんだけど、ヒソカが…!」
フィンクスに殺される…!
いや殺されても仕方ないけどさ!
思わず木々から飛び出したが、手の関節を鳴らすフィンクスに後ずさる。
今ここにいるのはシャル、フィンクス、フランクリン、シズクの4人。
みんなの視線がグサグサと胸に突き刺さる。
「落ち着け、フィンクス。今ここでなまえに八つ当たりしても団長は戻ってこねーぞ」
「んなことはわかってる。ヒソカの野郎と一緒にいるってのが納得いかねェ…!」
「ま、だいたい除念師探しに無理やり同行させられたってところかな」
シャルはやっぱり賢い子だなと涙目で頷くと、しばらく黙ったまま見つめられる。
これは、すましたような顔して怒ってらっしゃる…。
「ヒソカのバカァ!次に会う時はクロロと一緒って決めてたのに…!」
「くくく、いい顔だ。やっぱりキミをつれてきて正解だったよ」
こいつ、完全におもちゃにしてやがる…!
一人笑顔のヒソカへと、再びみんなの注目が集まる。
「滅多なことペラペラしゃべるんじゃねェ…!てめェはてめェで黙ってやるべきことをやれ。ここでオレがぶっ殺したいとこだが…団長に任せるぜ」
ピキピキと怒るフィンクスに、そーだそーだ!と便乗するとがしりと頭を鷲掴みされた。
「てめェも、ヒソカにいいように使われてんじゃねェ…!」
「これもクロロの除念師探しのためなんだってば〜!」
「団長…ヒソカに依頼したのね。でもどうしてなまえじゃないの?」
「あいつは中立の立場だからな」
「旅団の味方ってわけじゃないんだ。なんか複雑」
「何、敵になりはしねェさ。たとえ、何があったとしてもな」
シズクとフランクリンの声が聞こえたような気がする。
頭をつかまれたまま大人しく正座していると、しばらくして舌打ちとともに解放された。
何かあったら「交信(コンタクト)」の呪文カードで知らせてくれよと、先に立ち去るヒソカもずいぶんとG・Iに慣れたもんだ。
相変わらずカード集めは何一つ興味示さないし、除念師探しも他人頼りにしてるけど。
それじゃあ、と立ち上がり私もあとを追おうとすると名前を呼ばれて振り返る。
「なまえ、ヒソカは敵だってわかってる?」
「…うん」
ヒソカが旅団にとってどういう存在なのかは、嫌というほど理解している。
シャルは腰に手を当てて、はあと大きく息を吐く。
「変にしおらしいと調子狂うな。誰にも飛びつかないし」
「まったくだ」
ケッと、腕を組んで背中を向けるフィンクスに眉を下げる。
すべてを知っていながら、私は大切な人を二人も見殺しにしたのだ。
両手を握りうつむいていると、影とともに腕が伸びてきて頬を包み込むようにふれられる。
シャルの翡翠色の瞳と視線が交わり、むにーっといきなりつねられた。
いた…くはないな。
「らしくないな。なまえは自由にしてればいいんだよ」
「シャル…」
「ん?」
「あいしてる」
「べつに今すぐそうしろって意味じゃないんだけど。まあ、いいや」
ぎゅっとシャルの首に腕を伸ばして抱きついても、振り払われることはなかった。
そうだ、この子たちの前で不甲斐ない姿を見せてる場合じゃないな。
そのまま耳元でブックと声が聞こえて、バインダーが出される。
「このみょうじって、なまえのことだよね」
「すご、よくわかったね」
「なまえが偽名使うときは大抵コレだから」
ほー、よくご存知で。
でも、今までこの子たちの前でこの名前を使ったことあっただろうか。
ま、いっか。
「うう、ヒソカの元に戻りたくないよー」
「もう少しの辛抱さ。これで時間の問題だ、団長の復活…!」
4人に手を振って別れる前に、そうだと長身の背中に声をかける。
「シャル、マチにあいしてるって伝えといて」
「げ、やだよ。オレらだけなまえに会ったって知ったら、マチのやつカンカンに怒るだろ」