ヨークシン編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「なまえー、シャルがまた泣いてるー」
飛んでくるボールをキャッチして振り返る。
地面に突っ伏しているシャルのそばに、しゃがんで様子を見ているマチがいた。
最初はあんなに毛嫌いしてたのに、なんだかんだやさしいから今ではすっかり仲良しだ。
ボールを投げ返すとあらぬ方向へと飛んでいって、あっと声をあげた。
「テメェ、わざとやってんのか!」
「ごめんごめーん!フィンクス、あとよろしくー」
手を振って謝りつつ、呼ばれたシャルたちの元に行く。
まだ幼い少年の体を起こすと、ぎゅっと首にしがみついてくる。
怪我もなさそうだし、大丈夫そうだ。
今度はまたどこかから大きな物音が聞こえる。
パクが走ってきて、ウボォーとノブナガが喧嘩していると伝えてくれた。
「オーケイ。殺し合いになりそうだったら、またおしえてね」
「とめなくていいの?」
不安げに見上げてくるパクの頭を笑ってなでる。
「ノブナガが先に倒れるからね」
「それ、見殺しにしてないか」
鋭い目とともにツッコミが飛んでくる。
通り過ぎていくフェイタンをうしろから抱きしめると、あごに思いっきり頭突きされた。
うっ、愛が痛い。
涙目になってしゃがんでいると、よしよしとなぐさめられる。
顔を上げると手を伸ばすクロロがいて、腕にしがみつくシャルからもだいじょーぶ?と声がかかる。
私は両手でまとめて抱きしめた。
「今度はフランクリンもケンカし始めたー」
子供たちは今日も元気だ。
保護した子供の数も日に日に増えて、教会は孤児院との共同施設になっていた。
「シスター、神父がお帰りですよ」
「はーい」
ここのコミュニティーにいると、たまにそう呼ばれる。
べつに修道女でも聖職者でもないが、それは世話になっている神父も同じだった。
背中にシャルをくっつけたまま、運ばれてきた荷物の箱を開ける。
「今日はこれだけ?」
「運んできただけでもありがたいと思いなさい」
「いつも感謝してますよー神父様ー」
唇をとがらせて、小麦粉と砂糖の袋を持って厨房に向かう。
パンケーキが焼き上がっていくのを見て、シャルの目がかがやく。
「オイ、押すなって」
甘い匂いにつられて、子供たちが入り口から顔をのぞかせていた。
傷だらけの顔を見て、あの二人またやられたなと笑う。
子供たちが持つ皿にパンケーキをのせていき、みんなが座る長机に移動する。
イスを引くと、シャルは私の膝の上へと座った。
さあ、召し上がれ。
「ノブナガ、フランクリン。あとで組み手の特訓しよう」
「ずるい!アタシも!」
フォーク片手に噛みつく勢いのマチも、もちろんオッケーだ。
結局、他のみんなも中庭に集まって食後の運動タイムとなった。
負けず嫌いの子たちとのあそびは夕暮れまで続いた。
無事に一日を終えて、クロロの手を握り自室の扉を開ける。
先にベッドに入ったクロロの隣に横になると、腕の中に小さな体が潜り込む。
かわいくてしょうがないんだけど、これがいつまで許されるのかと眉を下げて頬をなでる。
きっと、大人になったら私のことなど忘れてしまうだろう。
記憶通りの幻影旅団となったとしても、この子たちへの気持ちは変わらない。
だって、血の通った彼らに出会ってしまったから。
「おやすみ、クロロ」
夜空のような瞳で見上げる髪をかき分けて、額に唇を落とす。
「おやすみ、母さん」
甘えてくるクロロに微笑んで、頭をなでながら目を閉じる。
この子が、彼らが望むのなら母にでも何にでもなろう。
家族も故郷も、私の帰る場所などもうこの世界のどこにもないのだから。
もし、そのときが来たらどこへでも共にゆこう。
元より地獄なこの世界、愛しいこの手をそっと握って。
飛んでくるボールをキャッチして振り返る。
地面に突っ伏しているシャルのそばに、しゃがんで様子を見ているマチがいた。
最初はあんなに毛嫌いしてたのに、なんだかんだやさしいから今ではすっかり仲良しだ。
ボールを投げ返すとあらぬ方向へと飛んでいって、あっと声をあげた。
「テメェ、わざとやってんのか!」
「ごめんごめーん!フィンクス、あとよろしくー」
手を振って謝りつつ、呼ばれたシャルたちの元に行く。
まだ幼い少年の体を起こすと、ぎゅっと首にしがみついてくる。
怪我もなさそうだし、大丈夫そうだ。
今度はまたどこかから大きな物音が聞こえる。
パクが走ってきて、ウボォーとノブナガが喧嘩していると伝えてくれた。
「オーケイ。殺し合いになりそうだったら、またおしえてね」
「とめなくていいの?」
不安げに見上げてくるパクの頭を笑ってなでる。
「ノブナガが先に倒れるからね」
「それ、見殺しにしてないか」
鋭い目とともにツッコミが飛んでくる。
通り過ぎていくフェイタンをうしろから抱きしめると、あごに思いっきり頭突きされた。
うっ、愛が痛い。
涙目になってしゃがんでいると、よしよしとなぐさめられる。
顔を上げると手を伸ばすクロロがいて、腕にしがみつくシャルからもだいじょーぶ?と声がかかる。
私は両手でまとめて抱きしめた。
「今度はフランクリンもケンカし始めたー」
子供たちは今日も元気だ。
保護した子供の数も日に日に増えて、教会は孤児院との共同施設になっていた。
「シスター、神父がお帰りですよ」
「はーい」
ここのコミュニティーにいると、たまにそう呼ばれる。
べつに修道女でも聖職者でもないが、それは世話になっている神父も同じだった。
背中にシャルをくっつけたまま、運ばれてきた荷物の箱を開ける。
「今日はこれだけ?」
「運んできただけでもありがたいと思いなさい」
「いつも感謝してますよー神父様ー」
唇をとがらせて、小麦粉と砂糖の袋を持って厨房に向かう。
パンケーキが焼き上がっていくのを見て、シャルの目がかがやく。
「オイ、押すなって」
甘い匂いにつられて、子供たちが入り口から顔をのぞかせていた。
傷だらけの顔を見て、あの二人またやられたなと笑う。
子供たちが持つ皿にパンケーキをのせていき、みんなが座る長机に移動する。
イスを引くと、シャルは私の膝の上へと座った。
さあ、召し上がれ。
「ノブナガ、フランクリン。あとで組み手の特訓しよう」
「ずるい!アタシも!」
フォーク片手に噛みつく勢いのマチも、もちろんオッケーだ。
結局、他のみんなも中庭に集まって食後の運動タイムとなった。
負けず嫌いの子たちとのあそびは夕暮れまで続いた。
無事に一日を終えて、クロロの手を握り自室の扉を開ける。
先にベッドに入ったクロロの隣に横になると、腕の中に小さな体が潜り込む。
かわいくてしょうがないんだけど、これがいつまで許されるのかと眉を下げて頬をなでる。
きっと、大人になったら私のことなど忘れてしまうだろう。
記憶通りの幻影旅団となったとしても、この子たちへの気持ちは変わらない。
だって、血の通った彼らに出会ってしまったから。
「おやすみ、クロロ」
夜空のような瞳で見上げる髪をかき分けて、額に唇を落とす。
「おやすみ、母さん」
甘えてくるクロロに微笑んで、頭をなでながら目を閉じる。
この子が、彼らが望むのなら母にでも何にでもなろう。
家族も故郷も、私の帰る場所などもうこの世界のどこにもないのだから。
もし、そのときが来たらどこへでも共にゆこう。
元より地獄なこの世界、愛しいこの手をそっと握って。