ヨークシン編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
マチ視点
「やっぱりここにいた。クロロ、なまえ知らない?」
扉を開けると、本の山に埋もれている黒髪が顔を上げる。
クロロはアタシよりも先に教会にいた、子供の一人だった。
とてもきれいな顔をしている。
「仕事じゃないの?」
「それがさ、神父の野郎に聞いても知らないって言われて…」
嫌な予感がする。
そう伝えても、そのうち帰ってくるだろうと返事はのんきなものだった。
なまえの姿を見ないまま、一週間が経過した。
まわりの大人たちは、いつもと変わらぬ日々を過ごしている。
「なまえ、死んじゃったのかな」
「どうだろうね」
暗い灰色の空を眺める。
ここは流星街と名のつく街なのに、星も月も見ることができない。
なまえが簡単に死ぬような人じゃないのは知っている。
隣で本を読むクロロはいつも通りに見えるけど、ページをめくる音が一向に聞こえない。
アタシは知っている。
クロロが毎晩、教会を抜け出して一人で外を散策していることを。
アタシは出迎う人がいなかったらなまえがかなしむだろうから、代わりにここで待っていた。
「戻ってきた」
あれから、一ヶ月経過した頃。
本を放ってかけ出すクロロのあとを、あわてて追いかける。
どうしてわかったの、と聞けばなまえの足音がしたと言われてまばたきする。
待ち焦がれていたその人は、少しやせて顔に包帯を巻いていた。
見慣れない子供がなまえの足をつかんでいたが、それはいつものことだった。
「もう、今までどこに行ってたの!」
「ごめん、ごめん」
なまえは眉を下げてしゃがみ、アタシを抱きしめる。
視界がぼやけて、顔を見られないよう服に押し当てた。
「そっちの目、見えないの?」
「あ、取るの忘れてた」
シュルシュルと包帯を解いて、以前と変わらぬ目で笑うなまえを見上げてホッとした。
雰囲気変わったね、と言うクロロの言葉に眉をひそめる。
前からこんな感じじゃない?
クロロはあごに手を当てて、そうかなと小さくつぶやいた。
帰ってきてからなまえは、せわしなく教会を駆け回る。
留守中にたまっていた仕事を片付けているらしい。
毛布を抱えるなまえのうしろを、さっきの子供がヒナ鳥みたいにあとを追いかけて歩いている。
名前を、シャルナークと言う。
年はアタシたちと同じか少し下くらいか。
ずっとなまえにくっついて、片時も離れようとしなかった。
「マチの勘すごいや。よくあたるね」
「いや、さすがにここまでは予想してなかったけど」
だいぶ前に嫌な予感がするとは言ったが、まさかなまえを独り占めされるとは思っていなかった。
目を凝らすのもつかれて、机に手を置く。
なまえからもらった道具で裁縫をしようにも、なかなかうまくいかない。
指をくわえる子供を抱えて、なまえがやってきた。
「シャル、みんなとあそんでおいで」
首を横に振って、しゃがんでいるなまえの首に抱きつく。
かわいいと花を咲かせて、なまえは再び小さな背中に腕をまわした。
アタシは指先に力を入れて頬をふくらませる。
「その子ばっかずるい!なまえもなまえだよ!」
「マチちゃんは怒った顔もかわいいねー」
「もー!またそんなこと言って!」
クロロだってそう思うでしょ、とにらみつける。
なぜか余裕そうに口元を上げていたので、何かあるなと勘が働いた。
こうやって甘えているのは今だけだと、なまえは笑っていた。
いつからか、なまえが殺しを避けるようになった。
一番驚いていたのは神父の野郎だった。
クロロが言っていたことはこれか、とアタシは妙に納得した。
「やっぱりここにいた。クロロ、なまえ知らない?」
扉を開けると、本の山に埋もれている黒髪が顔を上げる。
クロロはアタシよりも先に教会にいた、子供の一人だった。
とてもきれいな顔をしている。
「仕事じゃないの?」
「それがさ、神父の野郎に聞いても知らないって言われて…」
嫌な予感がする。
そう伝えても、そのうち帰ってくるだろうと返事はのんきなものだった。
なまえの姿を見ないまま、一週間が経過した。
まわりの大人たちは、いつもと変わらぬ日々を過ごしている。
「なまえ、死んじゃったのかな」
「どうだろうね」
暗い灰色の空を眺める。
ここは流星街と名のつく街なのに、星も月も見ることができない。
なまえが簡単に死ぬような人じゃないのは知っている。
隣で本を読むクロロはいつも通りに見えるけど、ページをめくる音が一向に聞こえない。
アタシは知っている。
クロロが毎晩、教会を抜け出して一人で外を散策していることを。
アタシは出迎う人がいなかったらなまえがかなしむだろうから、代わりにここで待っていた。
「戻ってきた」
あれから、一ヶ月経過した頃。
本を放ってかけ出すクロロのあとを、あわてて追いかける。
どうしてわかったの、と聞けばなまえの足音がしたと言われてまばたきする。
待ち焦がれていたその人は、少しやせて顔に包帯を巻いていた。
見慣れない子供がなまえの足をつかんでいたが、それはいつものことだった。
「もう、今までどこに行ってたの!」
「ごめん、ごめん」
なまえは眉を下げてしゃがみ、アタシを抱きしめる。
視界がぼやけて、顔を見られないよう服に押し当てた。
「そっちの目、見えないの?」
「あ、取るの忘れてた」
シュルシュルと包帯を解いて、以前と変わらぬ目で笑うなまえを見上げてホッとした。
雰囲気変わったね、と言うクロロの言葉に眉をひそめる。
前からこんな感じじゃない?
クロロはあごに手を当てて、そうかなと小さくつぶやいた。
帰ってきてからなまえは、せわしなく教会を駆け回る。
留守中にたまっていた仕事を片付けているらしい。
毛布を抱えるなまえのうしろを、さっきの子供がヒナ鳥みたいにあとを追いかけて歩いている。
名前を、シャルナークと言う。
年はアタシたちと同じか少し下くらいか。
ずっとなまえにくっついて、片時も離れようとしなかった。
「マチの勘すごいや。よくあたるね」
「いや、さすがにここまでは予想してなかったけど」
だいぶ前に嫌な予感がするとは言ったが、まさかなまえを独り占めされるとは思っていなかった。
目を凝らすのもつかれて、机に手を置く。
なまえからもらった道具で裁縫をしようにも、なかなかうまくいかない。
指をくわえる子供を抱えて、なまえがやってきた。
「シャル、みんなとあそんでおいで」
首を横に振って、しゃがんでいるなまえの首に抱きつく。
かわいいと花を咲かせて、なまえは再び小さな背中に腕をまわした。
アタシは指先に力を入れて頬をふくらませる。
「その子ばっかずるい!なまえもなまえだよ!」
「マチちゃんは怒った顔もかわいいねー」
「もー!またそんなこと言って!」
クロロだってそう思うでしょ、とにらみつける。
なぜか余裕そうに口元を上げていたので、何かあるなと勘が働いた。
こうやって甘えているのは今だけだと、なまえは笑っていた。
いつからか、なまえが殺しを避けるようになった。
一番驚いていたのは神父の野郎だった。
クロロが言っていたことはこれか、とアタシは妙に納得した。