ヨークシン編
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やられた…!
ヒゲと女には知らされてなかった二重尾行。
同じく女二人に捕まったゴンと車に乗せられて、廃墟のような建物へ連れて行かれる。
「アジトへようこそ」
全身が凍りつく感覚に襲われた。
ヨークシンで、ずっと会いたかった人。
なまえが旅団に混じって、何の気ないような顔をして瓦礫に座っている。
あまりに自然なその姿。
捕まってるわけでも、脅されてる様子でもない。
「あ!」
ゴンの視線の先にはヒソカがいた。
それから、その下にいるなまえにも気づいたみたいで「あ」とまた声を出す。
アホ…二重にアホ…!
「何だ?顔見知りでもいるか?」
ヒゲとジャージの男が振り向き、汗がにじむ。
ヒソカはゴンを気に入ってるから、何とかしてくれるはず。
なまえは、どうだろうか。
電話で交わした言葉の意味を、今さら理解しても遅かった。
「おかえり」
その声に、肩が跳ねる。
オレの前にいるジャージの男に腕を伸ばして、なまえが飛びついた。
首からぶら下がって、男はめんどくさそうに引きはがす。
チクリと胸が痛んだが、今はそんな場合じゃない。
「いまだにこんなので照れるなんて、乙女ちくね」
「誰が照れてるだと、テメェ…!」
「はいはい、喧嘩はあと!それで、顔見知りはいるのか?」
「あ!腕相撲の女!」
袖なしの男ににらまれて、ヒソカの近くにいた眼鏡の女を指差す。
落ち着け。
なまえが味方なら、まだ希望はあるはず。
ヒゲに言われて、ゴンが腕相撲を組まされた。
手の甲から血が流れても、拷問のような一方的な勝負は続く。
「だから、鎖野郎なんて知らないって言ってるだろ?」
「おいガキ。次に許可なくしゃべったら、ぶっ殺す」
それはただの脅し文句じゃないと、瞬時に理解する。
ウボォーという男の話に涙を流したヒゲを、ゴンがキレて負かした。
一瞬で拘束されたゴンを見て、足を一歩踏み出すも止まる。
殺気で、動けない。
ヒソカのトランプが、首筋を伝う。
こいつ、オレが動いたらためらわず本気で殺るつもりだ。
ゴン。
ゴンを、助けないと。
「ねえ、パク」
はりつめた空気を打ち破ったのは、他の旅団と同じように様子を見ていたなまえだった。
視線は合わない。
頬を伝う汗が、地面へと落ちる。
心配の顔など何一つしていなかった。
「この子たち、何か知ってた?」
「いいえ。来る途中調べてみたけど、この二人本当に心当たりはないわね」
「ホント?」
「ええ、彼らに鎖野郎の記憶はないわ」
ジャージの女が怪しんでいたが、パクノダという女が言うなら間違いないだろうと納得していた。
「フェイタン、放してやれ」
舌打ちが聞こえて、ゴンの拘束が解かれる。
スッと、ヒソカも離れていった。
「鎖野郎と関係ねーなら、帰してもいいんじゃねーか?」
「ここに置いといてもしょうがないしな」
黒幕を吐かせると男が言い始めたが、結局鎖野郎以外は放っておけばいいと言う結論に落ち着いた。
ホッと胸をなで下ろす。
「いやだめだ。そいつは帰さねェ」
今度はヒゲが、ゴンに旅団に入れと言ってきた。
オレはなまえの様子をうかがう。
やはり、視線は合わない。
長い耳たぶの傷だらけの大男と、顔を見合わせていた。
「本気かよ!?」
「団長が認めるハズないね」
「その子たちめっちゃ嫌がってんじゃん。はんたーい」
「言うと思ったぜ。なまえはガキ好きだからなァ」
瓦礫に腰かけて、ヒゲの男は笑っている。
むくれるなまえは、立ったまま腕を組んでヒゲを見下ろす。
「子供うんぬんより、フェイタンの言う通りなんだけど」
「そこはオレが説得する」
「ノブナガがクロロを説得ねー…」
「んな顔すんなよ。オレだって、やる時はやるぜ?」
「フィンクス、どう思う?」
「無理だな」
「おめェらな…」
青筋を立てるヒゲに、二人そろって頷いている。
見ていてわかる。
おそらく、昨日今日のつきあいじゃない。
ジャージの女が、なまえの服の袖をひっぱる。
「放っておきな。そいつらが逃げても、アタシらは知らないよ」
「見張りはお前が一人でやれよ」
出口に向かう旅団に続いて、なまえも腕を引かれながら歩き出す。
オレは、そのうしろ姿をただ見ることしかできなかった。
そのあとすぐ、目を丸くする。
足音が聞こえて、ものの数秒でなまえが戻ってきた。
「二人とも、そこに座って」
包帯を持ってきたなまえにうながされて、ゴンの手とオレの脚と首を手当てされる。
この光景を、うしろのヒゲも不審に思ってる様子はない。
もどかしくて、指先に力が入る。
聞きたいこと、しゃべりたいことがたくさんあるのに。
ギリギリと鳴る拳の上になまえの手が重なり、ゆっくりと指を解かれる。
顔を上げると、胸がしめつけられた。
ゴンやオレに殺気が向けられたとき、一歩も動かなかったくせに。
なんで、なまえがそんな、かなしそうな顔してんだよ。
ごめんね、と音は出さずに唇の動きのみで伝えられた。
「なまえ、これから団長と仕事だろ」
長い耳たぶの大男が、なまえの背中に声をかける。
はーい、とすぐに立ち上がり大男の元へと向かう。
その隣を歩いて、今度こそ去っていく。
いかないでくれ。
首を横に振る。
ダメだ、何頼りにしてるんだオレは。
何もかもが、甘かった。
「子供は放っておけない性分なんだとよ」
3人になり、ヒゲは遠くを見るような目をしている。
何がおかしいのか、額を押さえて懐かしいなと笑い出す。
「あの人は、本当に旅団なの?」
ゴンは相手が敵であろうが、臆することなく疑問をぶつける。
こういう時、こいつの性格助かるな。
「ボウズ。旅団って言うのはな、頭の団長とその手足である12人のメンバーで構成されている。なまえは、そのどれでもねェ」
「じゃあ、違うんだ」
「最悪の場合、あいつの出番だがな」
最悪の場合?
誰かがいなくなったときの、その穴埋めや代役か?
だとすると、ウボォーって男の代わりってことか。
さっき、これから仕事だと言っていたし。
旅団の仕事を、なまえもしている。
「いつから旅団にいるの?そのなまえって女」
「なんだァ?そんなこと気にするとは、さてはニイちゃんも惚れた口か?悪いことは言わねェ。やめときな」
ヒゲの男はノドを鳴らしたあと、オレを見据えて口の端を上げる。
「あいつは旅団設立時からいるが…まあ、くわしい話を聞きたきゃ旅団に入れ。んで、本人の口から聞けや」
唇を噛みしめる。
全部、知っていたんだ。
そこになまえもいたと、まだ決まったわけじゃないが。
今まで、どんな気持ちでクラピカと一緒に笑っていたんだよ。
なまえ。
ヒゲと女には知らされてなかった二重尾行。
同じく女二人に捕まったゴンと車に乗せられて、廃墟のような建物へ連れて行かれる。
「アジトへようこそ」
全身が凍りつく感覚に襲われた。
ヨークシンで、ずっと会いたかった人。
なまえが旅団に混じって、何の気ないような顔をして瓦礫に座っている。
あまりに自然なその姿。
捕まってるわけでも、脅されてる様子でもない。
「あ!」
ゴンの視線の先にはヒソカがいた。
それから、その下にいるなまえにも気づいたみたいで「あ」とまた声を出す。
アホ…二重にアホ…!
「何だ?顔見知りでもいるか?」
ヒゲとジャージの男が振り向き、汗がにじむ。
ヒソカはゴンを気に入ってるから、何とかしてくれるはず。
なまえは、どうだろうか。
電話で交わした言葉の意味を、今さら理解しても遅かった。
「おかえり」
その声に、肩が跳ねる。
オレの前にいるジャージの男に腕を伸ばして、なまえが飛びついた。
首からぶら下がって、男はめんどくさそうに引きはがす。
チクリと胸が痛んだが、今はそんな場合じゃない。
「いまだにこんなので照れるなんて、乙女ちくね」
「誰が照れてるだと、テメェ…!」
「はいはい、喧嘩はあと!それで、顔見知りはいるのか?」
「あ!腕相撲の女!」
袖なしの男ににらまれて、ヒソカの近くにいた眼鏡の女を指差す。
落ち着け。
なまえが味方なら、まだ希望はあるはず。
ヒゲに言われて、ゴンが腕相撲を組まされた。
手の甲から血が流れても、拷問のような一方的な勝負は続く。
「だから、鎖野郎なんて知らないって言ってるだろ?」
「おいガキ。次に許可なくしゃべったら、ぶっ殺す」
それはただの脅し文句じゃないと、瞬時に理解する。
ウボォーという男の話に涙を流したヒゲを、ゴンがキレて負かした。
一瞬で拘束されたゴンを見て、足を一歩踏み出すも止まる。
殺気で、動けない。
ヒソカのトランプが、首筋を伝う。
こいつ、オレが動いたらためらわず本気で殺るつもりだ。
ゴン。
ゴンを、助けないと。
「ねえ、パク」
はりつめた空気を打ち破ったのは、他の旅団と同じように様子を見ていたなまえだった。
視線は合わない。
頬を伝う汗が、地面へと落ちる。
心配の顔など何一つしていなかった。
「この子たち、何か知ってた?」
「いいえ。来る途中調べてみたけど、この二人本当に心当たりはないわね」
「ホント?」
「ええ、彼らに鎖野郎の記憶はないわ」
ジャージの女が怪しんでいたが、パクノダという女が言うなら間違いないだろうと納得していた。
「フェイタン、放してやれ」
舌打ちが聞こえて、ゴンの拘束が解かれる。
スッと、ヒソカも離れていった。
「鎖野郎と関係ねーなら、帰してもいいんじゃねーか?」
「ここに置いといてもしょうがないしな」
黒幕を吐かせると男が言い始めたが、結局鎖野郎以外は放っておけばいいと言う結論に落ち着いた。
ホッと胸をなで下ろす。
「いやだめだ。そいつは帰さねェ」
今度はヒゲが、ゴンに旅団に入れと言ってきた。
オレはなまえの様子をうかがう。
やはり、視線は合わない。
長い耳たぶの傷だらけの大男と、顔を見合わせていた。
「本気かよ!?」
「団長が認めるハズないね」
「その子たちめっちゃ嫌がってんじゃん。はんたーい」
「言うと思ったぜ。なまえはガキ好きだからなァ」
瓦礫に腰かけて、ヒゲの男は笑っている。
むくれるなまえは、立ったまま腕を組んでヒゲを見下ろす。
「子供うんぬんより、フェイタンの言う通りなんだけど」
「そこはオレが説得する」
「ノブナガがクロロを説得ねー…」
「んな顔すんなよ。オレだって、やる時はやるぜ?」
「フィンクス、どう思う?」
「無理だな」
「おめェらな…」
青筋を立てるヒゲに、二人そろって頷いている。
見ていてわかる。
おそらく、昨日今日のつきあいじゃない。
ジャージの女が、なまえの服の袖をひっぱる。
「放っておきな。そいつらが逃げても、アタシらは知らないよ」
「見張りはお前が一人でやれよ」
出口に向かう旅団に続いて、なまえも腕を引かれながら歩き出す。
オレは、そのうしろ姿をただ見ることしかできなかった。
そのあとすぐ、目を丸くする。
足音が聞こえて、ものの数秒でなまえが戻ってきた。
「二人とも、そこに座って」
包帯を持ってきたなまえにうながされて、ゴンの手とオレの脚と首を手当てされる。
この光景を、うしろのヒゲも不審に思ってる様子はない。
もどかしくて、指先に力が入る。
聞きたいこと、しゃべりたいことがたくさんあるのに。
ギリギリと鳴る拳の上になまえの手が重なり、ゆっくりと指を解かれる。
顔を上げると、胸がしめつけられた。
ゴンやオレに殺気が向けられたとき、一歩も動かなかったくせに。
なんで、なまえがそんな、かなしそうな顔してんだよ。
ごめんね、と音は出さずに唇の動きのみで伝えられた。
「なまえ、これから団長と仕事だろ」
長い耳たぶの大男が、なまえの背中に声をかける。
はーい、とすぐに立ち上がり大男の元へと向かう。
その隣を歩いて、今度こそ去っていく。
いかないでくれ。
首を横に振る。
ダメだ、何頼りにしてるんだオレは。
何もかもが、甘かった。
「子供は放っておけない性分なんだとよ」
3人になり、ヒゲは遠くを見るような目をしている。
何がおかしいのか、額を押さえて懐かしいなと笑い出す。
「あの人は、本当に旅団なの?」
ゴンは相手が敵であろうが、臆することなく疑問をぶつける。
こういう時、こいつの性格助かるな。
「ボウズ。旅団って言うのはな、頭の団長とその手足である12人のメンバーで構成されている。なまえは、そのどれでもねェ」
「じゃあ、違うんだ」
「最悪の場合、あいつの出番だがな」
最悪の場合?
誰かがいなくなったときの、その穴埋めや代役か?
だとすると、ウボォーって男の代わりってことか。
さっき、これから仕事だと言っていたし。
旅団の仕事を、なまえもしている。
「いつから旅団にいるの?そのなまえって女」
「なんだァ?そんなこと気にするとは、さてはニイちゃんも惚れた口か?悪いことは言わねェ。やめときな」
ヒゲの男はノドを鳴らしたあと、オレを見据えて口の端を上げる。
「あいつは旅団設立時からいるが…まあ、くわしい話を聞きたきゃ旅団に入れ。んで、本人の口から聞けや」
唇を噛みしめる。
全部、知っていたんだ。
そこになまえもいたと、まだ決まったわけじゃないが。
今まで、どんな気持ちでクラピカと一緒に笑っていたんだよ。
なまえ。