ヨークシン編
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「誰、その子」
アジトの大広間。
瓦礫に座る、大きな眼鏡をかけた女の子の視線が突き刺さる。
「やっぱり眼鏡っ子はサイコーだな」
「気をつけろよ、シズク。そいつ男女見境ねーから」
フィンクスの言葉に疑問符を浮かべるシズクの手を握り、ぶんぶんと大きく縦に振る。
かわいい女の子は大好きだ。
近くにいたフランクリンが、私の頭の上に大きな手を乗せて紹介してくれた。
「旅団結成前から付き合いのあるやつだ。よろしくしてやってくれ。まあ、こいつは団員じゃないがな」
「じゃあ、なんでここにいるの?」
不思議そうな顔をするシズク。
当然の疑問だな。
「オレが呼んだ」
薄暗い廃墟の、ろうそくの火が揺らめく。
オールバックの額に十字の刺青、幻影旅団の団長クロロ=ルシルフルの登場だ。
私は旅団のみんなに会いに来ました。
「しばらくヨークシンにいるので、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
ぺこりとお辞儀をすると、シズクも同じように頭を下げてくれた。
他のメンバーはすでにそろっていて、一番最後に遅れてヒソカがやってきた。
なんかヒソカがここにいるの、変な感じ。
実際、旅団じゃないしな。
旅団13名、全員集合だ。
パタンと読んでいた本を閉じて、クロロが立ち上がる。
おまけでついてきた私は、適当に本の山の近くに腰かける。
今回の旅団の仕事は、地下競売のお宝丸ごとかっさらうこと。
世界中のマフィアを敵にまわすことになる、とウボォーがすこぐうれしそうだ。
「ウボォー 」
アジトを出て行く襲撃組の中、旅団一のたくましい大男に声をかける。
「また大きくなった?」
「お!やっぱなまえもそう思うか?」
「それ、毎回言ってんな。これ以上デカくなっても、しょうがねーだろうがよォ」
そんなことを言いつつ、ノブナガはうれしそうに笑っている。
だってほら、と手で測るようにノブナガとウボォーの以前より開いた気がする身長差を比べる。
まげの結い具合だろ、と真っ当な意見が飛んできた。
「こうしてみたら、わかるんじゃねーか?」
「わっ」
ひょいっとウボォーに体をつかまれて、肩に座るように乗せられる。
ウボォーの目線、相変わらずたっかー。
前より高くなったろ?と言うウボォーにうなずく。
「いい眺めー。ね、このまま走ってみて」
「おっしゃ、まかせとけ!」
落とされないようにウボォーの首にしがみつきながら、その猛スピードにキャッキャッとはしゃぐ。
「でかい親父とその娘かよ」
「なまえ、そのへんにしとけ。ウボォーも早く行くぞ」
「はーい」
「おう」
残念だが、フランクリンに止められたので素直に降りる。
背中を見せたウボォーに、思わず手が伸びた。
その手は空を掴み、反対の手で押さえる。
いかないで、なんて口が裂けても言えなかった。
「そうだ、たまにはなまえも一緒に暴れねェか?」
振り返ったウボォーの言葉に一瞬、決意が揺らいだ。
こうやって話ができるのは、きっとこれで最後。
それならば。
「なまえ、お前は待機だ」
「…だそーです」
私が声を発するより先に、それまで静観していたクロロが口を開いた。
目を閉じて人知れず深呼吸をして、パッと笑いかける。
「そもそも私が行っても、誰も手を出すなって言うじゃん。ウボォー」
「違いねェ」
「油断大敵だよ、気をつけてね」
「おう!」
ガッツポーズを取るウボォーと襲撃組を、手を振って見送る。
アジトが一気に静寂に包まれる。
私はおとなしく瓦礫に座り、積まれている本を一冊手に取る。
しばらくして、缶コーヒーを飲んでいたクロロのケータイに着信が入る。
消えた品物、裏切り者のユダ、陰獣の話。
私は一瞬だけ、奇術師を見る。
彼は裏切り者だけど、ユダではない。
通話がおわると、ヒソカは人と会う約束をしてたと立ち上がる。
悪企みとわかっていながらクロロは了承して、アジトからヒソカが立ち去った。
「あーしんどー!肩こったー」
やっと自由の身だ。
本を放り出して、両腕を伸ばしたまま背中から倒れる。
フッと、クロロが小さく笑った。
「そうだ。みんなでドーナツ食べよー」
「ありがとう」
はい、とパクに大量に入ってる箱ごと渡す。
どれを選ぼうか悩んでるコルトピに、ちょっと待ったとストップをかける。
「2つあげるから、ヒソカが帰ってくる前にアジトのダミー10増やそう」
「オーケイ、50はいける」
「増やさなくていいからな」
本から顔を外さないクロロの冷静なツッコミが飛んでくる。
ま、結局は近いうち増やす事になるんですけどね。
再びケータイが鳴って、今度はウボォーが連れ去られたとの報告に心臓がどくりと鳴る。
この場にいるフィンクスが追加要員で向かう事となった。
「あのウボォーが?マジかよ」
「フィンクス」
「なまえ、ダメだ」
無意識に立ち上がった私の手を、座ったままのクロロに捕らえられる。
まだ、何も言ってないのに。
「自分の役割、忘れちゃねーだろ?おとなしく待っとけって」
「…うん」
フィンクスは、得意げに肩を回している。
わかってる、私は旅団じゃない。
ストンと腰を下ろすと、クロロから口の開いた缶コーヒーを渡された。
ごくりと一口飲み、再びクロロに返す。
膝の上で両手を組んで、重なり合う指に力を込める。
自然と祈るような形になっていた。
隣でコーヒーを飲むクロロや、他の旅団の子たちはまだ知らない。
大切な暦が一部、欠けてしまうことに。
アジトの大広間。
瓦礫に座る、大きな眼鏡をかけた女の子の視線が突き刺さる。
「やっぱり眼鏡っ子はサイコーだな」
「気をつけろよ、シズク。そいつ男女見境ねーから」
フィンクスの言葉に疑問符を浮かべるシズクの手を握り、ぶんぶんと大きく縦に振る。
かわいい女の子は大好きだ。
近くにいたフランクリンが、私の頭の上に大きな手を乗せて紹介してくれた。
「旅団結成前から付き合いのあるやつだ。よろしくしてやってくれ。まあ、こいつは団員じゃないがな」
「じゃあ、なんでここにいるの?」
不思議そうな顔をするシズク。
当然の疑問だな。
「オレが呼んだ」
薄暗い廃墟の、ろうそくの火が揺らめく。
オールバックの額に十字の刺青、幻影旅団の団長クロロ=ルシルフルの登場だ。
私は旅団のみんなに会いに来ました。
「しばらくヨークシンにいるので、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
ぺこりとお辞儀をすると、シズクも同じように頭を下げてくれた。
他のメンバーはすでにそろっていて、一番最後に遅れてヒソカがやってきた。
なんかヒソカがここにいるの、変な感じ。
実際、旅団じゃないしな。
旅団13名、全員集合だ。
パタンと読んでいた本を閉じて、クロロが立ち上がる。
おまけでついてきた私は、適当に本の山の近くに腰かける。
今回の旅団の仕事は、地下競売のお宝丸ごとかっさらうこと。
世界中のマフィアを敵にまわすことになる、とウボォーがすこぐうれしそうだ。
「ウボォー 」
アジトを出て行く襲撃組の中、旅団一のたくましい大男に声をかける。
「また大きくなった?」
「お!やっぱなまえもそう思うか?」
「それ、毎回言ってんな。これ以上デカくなっても、しょうがねーだろうがよォ」
そんなことを言いつつ、ノブナガはうれしそうに笑っている。
だってほら、と手で測るようにノブナガとウボォーの以前より開いた気がする身長差を比べる。
まげの結い具合だろ、と真っ当な意見が飛んできた。
「こうしてみたら、わかるんじゃねーか?」
「わっ」
ひょいっとウボォーに体をつかまれて、肩に座るように乗せられる。
ウボォーの目線、相変わらずたっかー。
前より高くなったろ?と言うウボォーにうなずく。
「いい眺めー。ね、このまま走ってみて」
「おっしゃ、まかせとけ!」
落とされないようにウボォーの首にしがみつきながら、その猛スピードにキャッキャッとはしゃぐ。
「でかい親父とその娘かよ」
「なまえ、そのへんにしとけ。ウボォーも早く行くぞ」
「はーい」
「おう」
残念だが、フランクリンに止められたので素直に降りる。
背中を見せたウボォーに、思わず手が伸びた。
その手は空を掴み、反対の手で押さえる。
いかないで、なんて口が裂けても言えなかった。
「そうだ、たまにはなまえも一緒に暴れねェか?」
振り返ったウボォーの言葉に一瞬、決意が揺らいだ。
こうやって話ができるのは、きっとこれで最後。
それならば。
「なまえ、お前は待機だ」
「…だそーです」
私が声を発するより先に、それまで静観していたクロロが口を開いた。
目を閉じて人知れず深呼吸をして、パッと笑いかける。
「そもそも私が行っても、誰も手を出すなって言うじゃん。ウボォー」
「違いねェ」
「油断大敵だよ、気をつけてね」
「おう!」
ガッツポーズを取るウボォーと襲撃組を、手を振って見送る。
アジトが一気に静寂に包まれる。
私はおとなしく瓦礫に座り、積まれている本を一冊手に取る。
しばらくして、缶コーヒーを飲んでいたクロロのケータイに着信が入る。
消えた品物、裏切り者のユダ、陰獣の話。
私は一瞬だけ、奇術師を見る。
彼は裏切り者だけど、ユダではない。
通話がおわると、ヒソカは人と会う約束をしてたと立ち上がる。
悪企みとわかっていながらクロロは了承して、アジトからヒソカが立ち去った。
「あーしんどー!肩こったー」
やっと自由の身だ。
本を放り出して、両腕を伸ばしたまま背中から倒れる。
フッと、クロロが小さく笑った。
「そうだ。みんなでドーナツ食べよー」
「ありがとう」
はい、とパクに大量に入ってる箱ごと渡す。
どれを選ぼうか悩んでるコルトピに、ちょっと待ったとストップをかける。
「2つあげるから、ヒソカが帰ってくる前にアジトのダミー10増やそう」
「オーケイ、50はいける」
「増やさなくていいからな」
本から顔を外さないクロロの冷静なツッコミが飛んでくる。
ま、結局は近いうち増やす事になるんですけどね。
再びケータイが鳴って、今度はウボォーが連れ去られたとの報告に心臓がどくりと鳴る。
この場にいるフィンクスが追加要員で向かう事となった。
「あのウボォーが?マジかよ」
「フィンクス」
「なまえ、ダメだ」
無意識に立ち上がった私の手を、座ったままのクロロに捕らえられる。
まだ、何も言ってないのに。
「自分の役割、忘れちゃねーだろ?おとなしく待っとけって」
「…うん」
フィンクスは、得意げに肩を回している。
わかってる、私は旅団じゃない。
ストンと腰を下ろすと、クロロから口の開いた缶コーヒーを渡された。
ごくりと一口飲み、再びクロロに返す。
膝の上で両手を組んで、重なり合う指に力を込める。
自然と祈るような形になっていた。
隣でコーヒーを飲むクロロや、他の旅団の子たちはまだ知らない。
大切な暦が一部、欠けてしまうことに。