ゾルディック家編
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ゾルディック家に来たのは何年ぶりだろうか。
「はーいミケ、元気?見ないうちにまたおっきくなったねー」
私の何十倍もの大きな体格の毛むくじゃらを見上げ、かわいらしい小さな丸い目と視線が合う。
鋭くとがった爪の足を持ち上げ、舌を垂らしながら一歩一歩こちらへ近づいてくる。
くんっと鼻を鳴らしたのを合図に、私とミケは全速力でククルーマウンテンの庭を駆けまわった。
勘違いしないでほしい、あの子は私を捕食しようとしているのではない。
ただ、じゃれているだけなのだ。
たぶん。
「見つけた」
「また食べられそうになってるし」
紙吹雪が舞い、木の上から着物姿のカルトと先ほど別れたばかりのイルミが降りてきた。
息を荒くしていたミケの動きが、ぴたりと止まる。
「イルミ!?私いまだに、ただの侵入者なの!?」
「知らないよ。ミケを調教してるのオレじゃないから」
シルバよ、これで私が家族同然などとよく言ってくれたな。
うっかり骨だけになって正門の前で観光客の見せ物になる日は近いぞ。
「カルトくん、大きくなったねー」
ミケがおとなしくその場に座り込んだので、お人形さんみたいにかわいいカルトへ、にこにこと近づく。
頭をなでようと思ったら、ぎゅんっと効果音がつきそうなほど大きな瞳でにらまれた。
え、泣きそう。
まだ私の足元の服つかむくらい小さかったし、覚えてないかな。
「兄さん、こいつがなまえ?」
うん、覚えてなさそう。
どこにでもいる気のいい親戚のお姉さんです。
よろしく。
「お母様が呼んでる。ついてきて」
執事たちの屋敷を通り過ぎて、ゾル家の家族が住む大豪邸へとたどり着く。
次はもう迷子にならないでよねイルミくんと言うと、その場に正座させられた。
床とカルトちゃんからの視線がとても冷たい。
「お姉様!!」
キュイインと鳴る機械音とともに聞こえてきた金切り声に、目を閉じて頬に汗をかく。
片目を開けると、派手な帽子にフリフリのドレスの裾を持ち上げたキキョウちゃんが、こちらに勢いよく駆けよってきた。
こら、廊下を走っていいのは子供だけですよ。
なかなか会いに来てくれないだの、すぐ勝手にどこかへ行くなだの、人殺しの姿が見たいだの、いつもの小言を右から左へと受け流す。
あれよあれよという間に屋敷の奥へ連行されて、老執事のツボネにうしろから両肩をつかまれた。
シルバ本気モードじゃん、逃げらんねぇ。
「ツボネちゃん、アルカは?」
「はい。なまえ様が以前いらっしゃった時と、変わりはございません」
ありがとう、と言うとツボネはシワを深く刻んでにこりと笑う。
アルカのことを直接シルバに聞くと、やつの機嫌が大層なことになるのだ。
物々しい部屋の扉を開けると、獣のような瞳と波打つ銀髪がこちらを見据えて待ち構えていた。
いつ見てもいい部屋の趣味してらっしゃることで。
「久しぶりだな。なまえ」
山盛りのクッションに片膝を立て座るシルバに、どーもと挨拶をする。
お互いの近況について軽く話したあと、こっちに来いと呼ばれ、差し出されたナイフをまじまじと見つめる。
鈍く光る独特のデザイン、ベンズナイフだ。
「お前も好きだったろう。やる」
「いいの?」
シルバから手渡されたナイフを光にかかげて、久しぶりに見るそれに目を輝かせる。
後期型は市場によく出回ってるからなと言われたが、それでも貴重なものに変わりはない。
いくら渡せばいいか聞くと、金はいらないと鼻で笑われた。
「オレが金に困っているように見えるか?」
ごもっとも。
不思議と私の周りはそういう人たちばかりだ。
お礼を言って、上機嫌でケースに納める。
「今からでもここに住まないか?キキョウもよろこぶぞ」
笑いかけるシルバに眉尻を下げて微笑み、首を横に振る。
こんな私を受け入れようとしてくれるのはありがたいけど、ここはゾルディック家。
キキョウは私をまるで本物の姉のように慕ってくれているが、彼女の家族はここにいる。
影が降ってきて顔を上げると、わしゃわしゃと髪をかき回すようになでられた。
「ねえシルバ、キルアのことだけど」
ここまで、出てこなかった話題を口にする。
ゾルディック家と血のつながりがない私にとって、とやかく言うべきではないとわかっている。
シルバは頬杖をつき、微笑んで次の言葉を待っている。
「ハンター試験中、本当にたのしそうだったよ。キルアが帰ってきてから話はした?」
「いや、まだだ。キルは今独房にいる」
ミルキにお仕置き受けてる最中か。
これは、私が言わなくてもいいことだけど。
「キルアの話、ちゃんと聞いてあげてね」
「はーいミケ、元気?見ないうちにまたおっきくなったねー」
私の何十倍もの大きな体格の毛むくじゃらを見上げ、かわいらしい小さな丸い目と視線が合う。
鋭くとがった爪の足を持ち上げ、舌を垂らしながら一歩一歩こちらへ近づいてくる。
くんっと鼻を鳴らしたのを合図に、私とミケは全速力でククルーマウンテンの庭を駆けまわった。
勘違いしないでほしい、あの子は私を捕食しようとしているのではない。
ただ、じゃれているだけなのだ。
たぶん。
「見つけた」
「また食べられそうになってるし」
紙吹雪が舞い、木の上から着物姿のカルトと先ほど別れたばかりのイルミが降りてきた。
息を荒くしていたミケの動きが、ぴたりと止まる。
「イルミ!?私いまだに、ただの侵入者なの!?」
「知らないよ。ミケを調教してるのオレじゃないから」
シルバよ、これで私が家族同然などとよく言ってくれたな。
うっかり骨だけになって正門の前で観光客の見せ物になる日は近いぞ。
「カルトくん、大きくなったねー」
ミケがおとなしくその場に座り込んだので、お人形さんみたいにかわいいカルトへ、にこにこと近づく。
頭をなでようと思ったら、ぎゅんっと効果音がつきそうなほど大きな瞳でにらまれた。
え、泣きそう。
まだ私の足元の服つかむくらい小さかったし、覚えてないかな。
「兄さん、こいつがなまえ?」
うん、覚えてなさそう。
どこにでもいる気のいい親戚のお姉さんです。
よろしく。
「お母様が呼んでる。ついてきて」
執事たちの屋敷を通り過ぎて、ゾル家の家族が住む大豪邸へとたどり着く。
次はもう迷子にならないでよねイルミくんと言うと、その場に正座させられた。
床とカルトちゃんからの視線がとても冷たい。
「お姉様!!」
キュイインと鳴る機械音とともに聞こえてきた金切り声に、目を閉じて頬に汗をかく。
片目を開けると、派手な帽子にフリフリのドレスの裾を持ち上げたキキョウちゃんが、こちらに勢いよく駆けよってきた。
こら、廊下を走っていいのは子供だけですよ。
なかなか会いに来てくれないだの、すぐ勝手にどこかへ行くなだの、人殺しの姿が見たいだの、いつもの小言を右から左へと受け流す。
あれよあれよという間に屋敷の奥へ連行されて、老執事のツボネにうしろから両肩をつかまれた。
シルバ本気モードじゃん、逃げらんねぇ。
「ツボネちゃん、アルカは?」
「はい。なまえ様が以前いらっしゃった時と、変わりはございません」
ありがとう、と言うとツボネはシワを深く刻んでにこりと笑う。
アルカのことを直接シルバに聞くと、やつの機嫌が大層なことになるのだ。
物々しい部屋の扉を開けると、獣のような瞳と波打つ銀髪がこちらを見据えて待ち構えていた。
いつ見てもいい部屋の趣味してらっしゃることで。
「久しぶりだな。なまえ」
山盛りのクッションに片膝を立て座るシルバに、どーもと挨拶をする。
お互いの近況について軽く話したあと、こっちに来いと呼ばれ、差し出されたナイフをまじまじと見つめる。
鈍く光る独特のデザイン、ベンズナイフだ。
「お前も好きだったろう。やる」
「いいの?」
シルバから手渡されたナイフを光にかかげて、久しぶりに見るそれに目を輝かせる。
後期型は市場によく出回ってるからなと言われたが、それでも貴重なものに変わりはない。
いくら渡せばいいか聞くと、金はいらないと鼻で笑われた。
「オレが金に困っているように見えるか?」
ごもっとも。
不思議と私の周りはそういう人たちばかりだ。
お礼を言って、上機嫌でケースに納める。
「今からでもここに住まないか?キキョウもよろこぶぞ」
笑いかけるシルバに眉尻を下げて微笑み、首を横に振る。
こんな私を受け入れようとしてくれるのはありがたいけど、ここはゾルディック家。
キキョウは私をまるで本物の姉のように慕ってくれているが、彼女の家族はここにいる。
影が降ってきて顔を上げると、わしゃわしゃと髪をかき回すようになでられた。
「ねえシルバ、キルアのことだけど」
ここまで、出てこなかった話題を口にする。
ゾルディック家と血のつながりがない私にとって、とやかく言うべきではないとわかっている。
シルバは頬杖をつき、微笑んで次の言葉を待っている。
「ハンター試験中、本当にたのしそうだったよ。キルアが帰ってきてから話はした?」
「いや、まだだ。キルは今独房にいる」
ミルキにお仕置き受けてる最中か。
これは、私が言わなくてもいいことだけど。
「キルアの話、ちゃんと聞いてあげてね」