ハンター試験編
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楽しい時間は、あっという間に過ぎ去るもの。
今日は最終試験日。
試験会場で発表された組み合わせを見て、私はわなわなと全身を震わせていた。
「何か質問は?」
「あるに決まってるでしょ!私のポックル大作戦を返せー!」
急に名前を呼ばれて驚いたのか、ポックルはビクリと肩を震わせる。
組み合わせ表の一番右側にある私の番号をたどると、トーナメント頂上の手前、決勝戦へと一気に行き着く。
不合格者一人を決める負け上がりのトーナメントで、私以外の負け続けた受験生が唯一の対戦相手。
つまり、チャンスは一回切り。
たしかに、面接で誰とも戦いたくないと言った記憶はある。
あるけども。
どういうこったと、ギロリと効果音がつくほどネテロ会長をにらみつけたら、いえーいとピースされた。
む、むかつくー!
噛みつく勢いの私に、クラピカから落ち着けと冷静になだめられた。
「組み合わせが公平でない理由は?」
「うむ、当然の疑問じゃな」
ボドロさんの質問にネテロ会長が答える。
今までの成績とハンターとしての資質評価が加味されての組み合わせなんだけど、それって私ダメダメってことじゃん。
かなしい。
キルアもムッとして抗議していた。
自分がゴンよりも、ハンターの資質が下だと評価されたのが解せないのだ。
「300番の組み合わせ、絶対ネテロ会長の私情入ってるわよ。何があったか知らないけど」
「ちょっとかわいそう」
委員会側に立ってるメンチとブハラの声が聞こえて、ひとり涙を流す。
サトツさんの表情はいつもと変わらず、紳士的で素敵だった。
最終試験の試合展開は、記憶通りであった。
一番最初はハンゾー対ゴン戦。
圧倒的な実力差を見せつけたハンゾーが、ゴンの腕を折る。
根比べの結果まいったと言われたのに、納得いかないと受け入れないゴン。
青筋を立てたハンゾーがゴンをぶっ飛ばして、気絶したゴンは隣の控え室へと運ばれた。
ハンター試験合格おめでとう、ゴン。
キルア対ポックルの試合が始まる前、試合破棄するつもりのキルアに声をかける。
「キルア、この試合ちゃんと受けた方がいい」
「なんだよ、オレがパスするってよくわかったな」
「キルア」
「ヘーキだって、次で決めるから。なまえはオレよりも自分の心配した方がいいぜ?」
余裕たっぷりといった様子のキルアに、私の声は届かず目を伏せる。
そしてついに、キルア対ギタラクルの試合が始まる。
顔の針を取って素顔に戻ったイルミと、大量の汗を吹き出し動揺するキルアを静かに見つめる。
「おや、前みたいによろこばないんだね?なまえ」
腰を曲げて私の耳元でささやくヒソカを、冷めた目で見上げる。
ヒソカの笑みが一層濃くなった。
「そんな目で見つめるなよ。興奮しちゃうじゃないか」
これだからヒソカは苦手なんだ。
物理的に距離を置いてレオリオの側に立ち、イルミとキルアの行く末を見守る。
キルアが望むものはわかってる。
彼は人殺しをやめて、ゴンと友達になりたいだけなんだ。
「ゴンと、それからなまえと…友達になりたい」
目を見開いた。
必死に喉から声をしぼり出すキルアの言葉に、イルミがこちらを振り向く。
闇しか映さない瞳と視線がぶつかる。
私はこの試合に限って、手も口も出さないと決めていた。
再びキルアを否定するイルミに、レオリオが一歩踏み出して審判が止めに入る。
レオリオは、私の肩に手を置いた。
「ゴンとなまえと友達になりたいだと?寝ぼけんな!とっくにお前ら友達同士だろーがよ!なあ、なまえ!」
「そうなの?」
二人の問いかけに、キルアも恐る恐るこちらに顔を向ける。
私はしっかりとキルアの目を見てうなずく。
あごに手を当てて考えるイルミは、そうだ、と人差し指を立てて口を開いた。
「よし、ゴンとなまえを殺そう」
一気に受験生たちの空気が張りつめる。
イルミ、ちょっとヒソカの顔を見てほしい。
ぐいっとレオリオに腕をつかまれて、イルミから隠すように大きな背中のうしろへと引っ張られる。
クラピカやハンゾーたちも、ゴンへの道を阻むため扉の前に固まった。
ゴンの居場所を聞こうと針を構えるイルミに、私はレオリオの陰から顔をのぞかせた。
「ゴンでも私でも、殺した時点で不合格になってハンターの資格取れないですよー」
「おいなまえ!何をそんなのんきな」
「あ、いけない。それもそうか」
レオリオの背中に大丈夫、と小さく声をかける。
そしてイルミは、まず合格してからゴンと私を殺そうという結論にたどり着いた。
ルール上は問題ない、とネテロ会長もうなずく。
レオリオが、何があってもイルミを止めると必死に訴えるが、これほどキルアにとって空虚な言葉はない。
あらがうことのできないキルアは、弱々しく負けを宣言した。
殺すのはウソだと、戦闘解除したイルミがキルアの肩を叩く。
私は目の前のレオリオの背中をつついた。
「かばってくれてありがとう、レオリオ」
「たりめーだ、気にすんな。でもキルアのやつ、どうしちまったんだ。兄貴がとんでもない野郎なのはわかったが…」
そう、とんでもないほどイルミの愛は歪んでいる。
ゾルディック家の人間として、後継者である弟を洗脳してまで。
闇に染まってうつろなキルアは、クラピカとレオリオに何を言われてもピクリとも反応しない。
委員会は淡々と進行して、レオリオ対ボドロの試合開始が宣言された。
時間がたったとはいえ、ボドロさんは前のヒソカとの試合でかなり負傷している。
キルアが動く気配を感じて、私も床を蹴り飛ばした。
今までの、少女の形を捨てて。
切っ先が胸を突き刺す。
その光景に、会場が凍りついた。
私を見上げる、返り血を浴びたキルアも例外ではない。
元の姿に戻って正解だった。
キルアの鋭くとがった手は私の胸に突き刺さり、うしろでボドロさんが息を呑む気配に安堵する。
口の端から流れる血と共に、にやりと笑う。
キルア、受け止めてあげるから。
望まない人殺しはこれで最後にしなさい。
体が燃えるように熱くて、冷たい。
驚愕するキルアの手が引き抜かれたのと同時に、意識を失い床に倒れ込む。
苦しむ子供の姿を見るのは、もうたくさんよ。
今日は最終試験日。
試験会場で発表された組み合わせを見て、私はわなわなと全身を震わせていた。
「何か質問は?」
「あるに決まってるでしょ!私のポックル大作戦を返せー!」
急に名前を呼ばれて驚いたのか、ポックルはビクリと肩を震わせる。
組み合わせ表の一番右側にある私の番号をたどると、トーナメント頂上の手前、決勝戦へと一気に行き着く。
不合格者一人を決める負け上がりのトーナメントで、私以外の負け続けた受験生が唯一の対戦相手。
つまり、チャンスは一回切り。
たしかに、面接で誰とも戦いたくないと言った記憶はある。
あるけども。
どういうこったと、ギロリと効果音がつくほどネテロ会長をにらみつけたら、いえーいとピースされた。
む、むかつくー!
噛みつく勢いの私に、クラピカから落ち着けと冷静になだめられた。
「組み合わせが公平でない理由は?」
「うむ、当然の疑問じゃな」
ボドロさんの質問にネテロ会長が答える。
今までの成績とハンターとしての資質評価が加味されての組み合わせなんだけど、それって私ダメダメってことじゃん。
かなしい。
キルアもムッとして抗議していた。
自分がゴンよりも、ハンターの資質が下だと評価されたのが解せないのだ。
「300番の組み合わせ、絶対ネテロ会長の私情入ってるわよ。何があったか知らないけど」
「ちょっとかわいそう」
委員会側に立ってるメンチとブハラの声が聞こえて、ひとり涙を流す。
サトツさんの表情はいつもと変わらず、紳士的で素敵だった。
最終試験の試合展開は、記憶通りであった。
一番最初はハンゾー対ゴン戦。
圧倒的な実力差を見せつけたハンゾーが、ゴンの腕を折る。
根比べの結果まいったと言われたのに、納得いかないと受け入れないゴン。
青筋を立てたハンゾーがゴンをぶっ飛ばして、気絶したゴンは隣の控え室へと運ばれた。
ハンター試験合格おめでとう、ゴン。
キルア対ポックルの試合が始まる前、試合破棄するつもりのキルアに声をかける。
「キルア、この試合ちゃんと受けた方がいい」
「なんだよ、オレがパスするってよくわかったな」
「キルア」
「ヘーキだって、次で決めるから。なまえはオレよりも自分の心配した方がいいぜ?」
余裕たっぷりといった様子のキルアに、私の声は届かず目を伏せる。
そしてついに、キルア対ギタラクルの試合が始まる。
顔の針を取って素顔に戻ったイルミと、大量の汗を吹き出し動揺するキルアを静かに見つめる。
「おや、前みたいによろこばないんだね?なまえ」
腰を曲げて私の耳元でささやくヒソカを、冷めた目で見上げる。
ヒソカの笑みが一層濃くなった。
「そんな目で見つめるなよ。興奮しちゃうじゃないか」
これだからヒソカは苦手なんだ。
物理的に距離を置いてレオリオの側に立ち、イルミとキルアの行く末を見守る。
キルアが望むものはわかってる。
彼は人殺しをやめて、ゴンと友達になりたいだけなんだ。
「ゴンと、それからなまえと…友達になりたい」
目を見開いた。
必死に喉から声をしぼり出すキルアの言葉に、イルミがこちらを振り向く。
闇しか映さない瞳と視線がぶつかる。
私はこの試合に限って、手も口も出さないと決めていた。
再びキルアを否定するイルミに、レオリオが一歩踏み出して審判が止めに入る。
レオリオは、私の肩に手を置いた。
「ゴンとなまえと友達になりたいだと?寝ぼけんな!とっくにお前ら友達同士だろーがよ!なあ、なまえ!」
「そうなの?」
二人の問いかけに、キルアも恐る恐るこちらに顔を向ける。
私はしっかりとキルアの目を見てうなずく。
あごに手を当てて考えるイルミは、そうだ、と人差し指を立てて口を開いた。
「よし、ゴンとなまえを殺そう」
一気に受験生たちの空気が張りつめる。
イルミ、ちょっとヒソカの顔を見てほしい。
ぐいっとレオリオに腕をつかまれて、イルミから隠すように大きな背中のうしろへと引っ張られる。
クラピカやハンゾーたちも、ゴンへの道を阻むため扉の前に固まった。
ゴンの居場所を聞こうと針を構えるイルミに、私はレオリオの陰から顔をのぞかせた。
「ゴンでも私でも、殺した時点で不合格になってハンターの資格取れないですよー」
「おいなまえ!何をそんなのんきな」
「あ、いけない。それもそうか」
レオリオの背中に大丈夫、と小さく声をかける。
そしてイルミは、まず合格してからゴンと私を殺そうという結論にたどり着いた。
ルール上は問題ない、とネテロ会長もうなずく。
レオリオが、何があってもイルミを止めると必死に訴えるが、これほどキルアにとって空虚な言葉はない。
あらがうことのできないキルアは、弱々しく負けを宣言した。
殺すのはウソだと、戦闘解除したイルミがキルアの肩を叩く。
私は目の前のレオリオの背中をつついた。
「かばってくれてありがとう、レオリオ」
「たりめーだ、気にすんな。でもキルアのやつ、どうしちまったんだ。兄貴がとんでもない野郎なのはわかったが…」
そう、とんでもないほどイルミの愛は歪んでいる。
ゾルディック家の人間として、後継者である弟を洗脳してまで。
闇に染まってうつろなキルアは、クラピカとレオリオに何を言われてもピクリとも反応しない。
委員会は淡々と進行して、レオリオ対ボドロの試合開始が宣言された。
時間がたったとはいえ、ボドロさんは前のヒソカとの試合でかなり負傷している。
キルアが動く気配を感じて、私も床を蹴り飛ばした。
今までの、少女の形を捨てて。
切っ先が胸を突き刺す。
その光景に、会場が凍りついた。
私を見上げる、返り血を浴びたキルアも例外ではない。
元の姿に戻って正解だった。
キルアの鋭くとがった手は私の胸に突き刺さり、うしろでボドロさんが息を呑む気配に安堵する。
口の端から流れる血と共に、にやりと笑う。
キルア、受け止めてあげるから。
望まない人殺しはこれで最後にしなさい。
体が燃えるように熱くて、冷たい。
驚愕するキルアの手が引き抜かれたのと同時に、意識を失い床に倒れ込む。
苦しむ子供の姿を見るのは、もうたくさんよ。