【短(中)編集】その他の高校
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あれは確か小学1年生の頃だった気がするーー
『光太郎…っ、どうしよう、この道さっきも通ったよ…っ』
「じゃ、じゃあこっちの道だっ!!!」
探検隊と称して、山へ遊びに来ていた私と光太郎くんは絶賛迷子になっていた。どのくらい歩いたか分からないけれど、歩き疲れた私は足が痛くて。そしてお日様はかなり傾いていて、夕暮れの森の中はだんだん不気味に思えてきて。
『…っ、うっ…うっ…』
思わず涙が出てきてしまい、しゃくりあげながら、その場にうずくまって泣いてしまった。
「いおりっ!⁈」
慌てた光太郎の声が振ってきて、私の周りをぐるぐると焦ったように周り始めた。だけど、ふと不意に彼がしゃがむなり、「ーーいおり、顔をあげろ」と、落ち着いた声で言った。
私はそっと顔をあげれば、彼は私の目をジッと真っすぐ見ていて。
「ーー泣くな、俺がついてるから。俺がちゃんと守るから」
いつものふざけた様子はどこにもなくて、大きなくりくりした目はとても真剣だった。そして、私に背中を見せるなり「ほら、乗れ」と促す。
『でも…っ』
「俺は力持ちだし体力には自信があるからな!!」
ニカッと笑った彼の顔がかっこよくて、眩しかった。
ーーで、あの後結局、警察の人が探しに来たんだっけ?
と、突然この過去の記憶を思い出したのは、ただ今絶賛、山登り中だからである。
「おーい!! いおり大丈夫かー⁈」
『だめ…山登り、しんどい…』
肩でゼェハァと息をしながら、私は前の方にいる光太郎を見た。元気いっぱいの体力お化けの彼は、現役バレー選手という訳もあって、息一つ乱れていない。一方、超インドアな私はすでに疲労がピークで。光太郎に「山登りしよう山登り!」と目をらんらんに輝かせて誘われて、いいよ~なんて軽率に返事した数日前の自分を呪いたい。
『(はぁ…あとてっぺんまであと少し…がんばれ、私の足…)』
と、再び前へ進もうと思った瞬間、いつの間にか光太郎が私のそばまで戻ってきていて。
「よし、俺に任せろ!!」と言うなり、私をふわりと抱き上げた。突然お姫様抱っこされた私は、え、と目を見開いて固まる。
『光太郎っ!わ、私重いから!』
「え?ぜんぜん?」
『で、でも…!』
「俺はいおりと一緒にてっぺんの景色見たい。だめなのか?」
『…だ、めじゃないです…』
「なら任せろ!俺は力持ちだし体力には自信があるからな!!」
『…っ!』
あの頃と全く同じ彼のセリフに、どくん、と胸が高鳴る。
「おーーしっ!ラストスパートォォーーっ!」
と、叫びながら私をお姫様抱っこしたまま走り出すもんだから、
『ぎゃーーっ!走るな走るな!転んだらどうすんだ!』と必死に光太郎にしがみつく羽目になった。
ーFinー