【短(中)編集】その他の高校
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小学生の頃、お母さんに可愛く髪の毛をアレンジしてもらうことが好きだった。だけどーー
「似合わねぇぞ、ぶーす!」などと、男の子に髪の毛を引っ張られてぐしゃぐしゃになって泣いてしまったことがある。後から振り返れば、あれはきっと小学生男子特有の照れ隠しのからかいだったと分かるけど、当時は酷く傷ついて。不器用な自分ではぐしゃぐしゃになった髪を綺麗にすることもできなくて。
そんな時、研磨くんが「……貸して」と小さな声で呟くなり、私の髪をおずおずと、でも優しく丁寧に結い始めた。
「いおりは…、かわいい…と思う…」
ゆっくりと紡がれたその言葉に、え?と目を丸くしてしまう。
「ねえ…そんな意地悪言うひとたちじゃなくて、今度から…俺に見せてよ」
少しだけ恥ずかしそうに、目を伏せて、でもしっかりとした声で言い放った彼が「はい、できた」と言った。いつの間にか、私は彼によって魔法をかけられていた。
--と、洗面所で過去のことを思い出していた私は、さっきまで自分でアレンジしていた髪の毛を下して、リビングへ走っていく。
『けーんまー!』
「なに?」
『髪の毛やって?』
スマホをいじっていた彼が顔をあげて、目を細めた。
「ん、ここ座って」
彼がぽんぽんと叩いた位置に座れば、背後からふわりと彼の香りがして、彼の手がそっと私の髪に触れた。小学生の頃から変わらない、優しくて丁寧な触れ方。魔法がかかるこの瞬間が好きだ。
「はい、できた」
『ど?かわいい?』
「俺がやったんだけどね」
『ふふっ、子どもの頃からずっとやってもらってるね』
フッと、短く笑って目を細めた彼。
「いおりの髪をいじっていいのは、俺だけ、だから」
そう言うなり「かわいい、」と短い言葉とともに、優しく甘いキスが降ってきた。
ーFINー