【短(中)編集】その他の高校
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『鉄くん鉄くん、一緒にバレーしよう?』
「うん!」
あの頃は確か、私たちがまだ小学生1年生の頃。私は家が近くの鉄くんをほぼ毎日のように遊びに誘っていた。
周りの女の子はスポーツで遊ぶような活発な子はいなくて、でも私は家の中でお絵描きとか本を読むよりも、最近習い始めたバレーをしたくて仕方なくて。そこで、鉄くんを誘っていたのだ。
最初はすごくおどおどされた。
少し人見知りの彼は口数が少なくて。
でも仲良くなるとすごく目をきらきらさせたり、目を細めて屈託ない笑顔を浮かべたりするようになって。私はそんな鉄くんの笑った顔がすごく好きだった。
だけどある日、
鉄くんの引っ越しが決まってしまってーー
離れるのが嫌で嫌で仕方なくて、泣きじゃくる私に、鉄くんが困ったように眉をひそめながらも、私の涙を優しく掬った。そして、私をジッと真正面から見つめながら言った。
「大きくなったら、ぜったい迎えに行くから…」
『…っそれってプロポーズ?』
「…そう…だよ」
照れたようにそっぽを向いた鉄くんの顔が赤くて、こっちまで赤くなってしまってーー
ーーと、過去の記憶が蘇った私は、
ふと目の前でスーツを着ている鉄くんをじっと見た。
「?なんですか」
『あの頃の鉄くんはどこ行っちゃったのかなぁ、って』
「?」
『だって子どもの頃は全然喋らないくて引っ込み思案だから私の後ろひっついて回っていたのに、今じゃその面影まったくないなぁって』
びっくりするくらい変わったなぁ、と思っていれば、彼はネクタイを結んでいた手を止めて、ふぅん、と目を細めた。
「--そりゃあ男は変わりますよ?」
じりじりと壁に追いやられていく。
「--好きな人にカッコイイって思われたいし?」
トン、と背中に壁が当たった。
背の高い鉄くんと壁に挟まれた私は、ごくり、と息をのむ。
『あの頃の可愛い鉄くんが消えてしまった…!』
「ーーその代わりにイケメンが迎えに来たデショ?」
掠れた低い声が耳元で響いたと思えば、チュッとキスが降ってきて。
『~~~~っ!』
思わず顔を赤くしていれば、彼がフッと笑った。
「ーーあの頃と立場逆転だな」
『~~っ!鉄くん仕事遅れるよ!!!』
「はいはい、俺の奥さんは照れ屋さんですねー」
ーFinー