【短(中)編集】その他の高校
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特に何かあった訳じゃない。でも寂しい気持ちになるのは、きっと秋の夜長のせいだ。昼間吹いていた木枯らしが、湖水に小さなさざ波を立てるように、なんとなく私の心もさざ波立っている。
ソファに座ってスマホをいじっている彼のところへ行くなり、無言で彼の隣に座りもたれかかった。
「ん、どうしたの」
開けっ放しになっている窓から夜風が舞い込んだ瞬間、その風に忍ばせるように
『……好きって言って』
と、普段言わないような言葉を小さく囁いた。聞こえないほどの小さな声だったのに、どうやら秋夜の風がしっかりとその言葉を彼の耳元まで運んだらしい。
ぐいっと、急に彼が私の体を引き寄せて、正面から向かい合う形になった。彼の大きな手が耳元の髪をふわりと撫で、そっと耳にかける。
「ーー愛してるよ」
本当に愛しそうに目を細めて微笑む彼が、私を優しくぎゅっと抱き締めた。好きって言って、と言ったはずなのに、それを遥か上に行く言葉を紡ぐ彼。
「ーー足りない?」
と、少し目を細めて、首を傾げながら意味ありげに笑う彼は「珍しく甘えたさんだね」と嬉しそう。
『…元々、甘えん坊の末っ子育ちだもん』と、自分の境遇を言い訳に使えば「うん、俺も末っ子」と謎に張り合いの言葉を返される。
「ーーだけど、末っ子にしてはいおり、甘え下手だよね」
そう言うなり、ぐいっと腰を掴まれ彼の腕の中に上半身が倒れ込んだと思えば、彼の腕にがっしりとホールドされて、強く抱き締められた。厚い胸板に顔を埋めいればーー
刹那、耳元で甘い声が鼓膜を震わせた。
「甘えたい時は”好きって言って”って言うんじゃなくて、”ぎゅってして”って言うもんでしょ」
ーFINー
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