願い叶えし刻
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次の日。目が覚めると、沖田さんは既にもういなくて。伸びをした後、どうしようかと考えを巡らす。食欲もないし、何もすることない。部屋から少しくらい出ても平気だろうか?
恐る恐る障子を開けると、眩しい朝日に目がくらむ。
「え…?お、お、女の子!?」
その瞬間響き渡った女の人の声。ビクッと肩を震わせ、声のした方を見ると私より少し年上っぽい女の人が目を見開いていた。
「こ、こ、ここは沖田さんの部屋だよね?」
動揺している彼女に、私は「は、はい」と頷く。誰だろう、この人。
「あの沖田さんが女の子連れ込むなんて。滅多に遊郭にも行かないのに!貴女、沖田さんと恋仲なの!?」
「え、違いますよ!」
「え?じゃあ、どうして沖田さんの部屋から貴方が?」
不思議そうに首をかしげる彼女に、私は事情を話す。
一通り聞き終わった彼女は、私の手を掴むなり言った。
「疑われているのかもしれないけど、私にとってみればそんなことどうでもいいわ!それより、こんなむさ苦しい男所帯に、女の子が来てくれるなんて!」
目を輝かせる彼女はどうやらここで住み込みながら働く女中さんのようで。私より2つ上の
「ねぇねぇ散歩がてらにちょっとお喋りしようよ!」
「あ、あの私部屋から勝手に出たら土方さんが怒ると思うので…」
「え、じゃあ部屋に軟禁状態なの?」
目をぱちくりさせて驚く彼女。私が頷くと、彼女は私の腕を掴むなりいきなり歩き始めた。
「え、ちょ、咲さん!どこ行くんですか?私、部屋にいないと・・・」
「土方さんのところに行くのよ!!!」
何故か怒っている咲さんに、私は「え!?」と声をあげる。
「そんな……それはマズイですよ…」
引っ張られながら、私は土方さんの般若のような怖い顔を思い出してゾワリと背中が粟立つ。
「土方さん、入りますよっ!」
彼の返事を待たないで、部屋に突入した咲さんに机に向かって仕事をしていた土方さんは眉間に皺を寄せてふり返った。
「お咲・・・お前なぁ。いつもいつも、返事を・・・おい、どういう事だ?」
隣にいる私の存在に気付くなり、彼の眉間の皺は倍になり、冷たい目線が私を射抜く。
「何をしている?」
「え、あ、あの」
何をしているとか聞かれても、私が聞きたい方で。困り果てていると、咲さんが口を開いた。
「土方さん!私に何故この子のこと教えてくれなかったんですか?女の子が一人で部屋に放置していくのは可哀そうじゃありませんか!」
まくし立てた彼女に、心の中でおおー!と称賛の拍手を送っていると、土方さんがため息をついた。そして、さっき私が説明した事情を再び咲さんに話しはじめて。
「それはひまりさんから聞きました。沖田さんは今日は不在でしょう?そしたら、今日は私が彼女と一緒にいます!」
きっぱりと断言した咲さんには何を言っても無駄なような気がして。土方さんも黙ったまま、再びため息をついていた。それにしても、鬼の副長相手にここまで言えるなんて凄いなぁって思う。こんな風に堂々とできたらカッコいいんだろうな。
「分かった。好きにしろ」
「はい!!ひまりちゃん、行こう!」
微笑む彼女につられて、私はいそいそと土方さんの部屋から抜け出した。