願い叶えし刻
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目が覚めて自分の部屋とはずいぶん違って固まるも、昨日のことを思い出し、ため息をつく。
「やっぱ夢じゃなかったんだ」と、少し憂鬱になるも、学校に行かなくて済むと思うと少し心が軽くなった。 障子を開けると、まだ少し冷たい風が入って来て。
「おはよう、陽奈ちゃん。具合はどうだい?」
「あ、もう大丈夫です。すみません、心配かけました」
「いいのいいの、それよりも朝餉食べましょう」
昨夜、何も食べなかったせいかお腹が空いてたみたいで。 夢中になって朝餉を食べた。
お腹いっぱいになって、私は幸さんの食器洗いの手伝いをする。 食洗器も、洗剤もお湯もないから、冷たい水でひたすら洗いながら、考え事をする。 これからどうしよう。 お金もないし、行く当てもない。これっていわゆるタイムスリップってやつだよね?なんでこんなことに……?
江戸時代で、生きていく方法なんて当たり前だけど家でも学校でも教わらなかった。 でも、幸さんと五郎さんの迷惑をかけないよう 一人でどうにか――…
「お幸!!新選組がすぐそこまでいる。一応陽奈ちゃんのことは彼らは知らないと思うが、用心にこしたことはねぇ」
どたばたと駆け込んでくるなり、五郎さんは切羽詰まった声で言った。
「新選組……そんなにひどい人たちなんですか?」
「あぁ、人斬り集団だよ。恐ろしい恐ろしい」
幸さんの真っ青な顔を見て、評判悪いってよく歴史とかの本に書いてあったのを思い出す。もし昨日の変な恰好をした私がこの家に入ったところを見られていたら。そこまで考えてふと昨日、目が合った青年を思い出す。
――もしかしたらあの青年が新選組に告げ口した?いや、まさか新選組の関係者?
「……っ!」
どうしよう。どうにかしなきゃ。今にも暴れそうな心臓を抑えるように唇をぎゅっと噛みしめると、意を決して二人に口を開いた。
「――幸さん、五郎さん。もし彼らが私のことを訪ねても知らないと言い張ってください」
静かに言って、頭を下げる。
「短い間でしたけど、お世話になりました」
早くここから立ち去らなきゃ。早くどこか遠いところへ。私は別に捕まえられても、例え殺されても、構わない。だけど、幸さんと五郎さんは――…
「いきなり、どうしたんだい!?」
お幸さんが口を開いたと同時に、表が騒がしくなった。私は2人を置いて、表へ飛び出した。青色よりも水色に近い羽織が目に入る。2,3人の男が、私を見て近寄ってきた。ふと私はある青年と目が合って、ハッと固まる。
「昨日の……」小さく呟いたのを聞き逃さなかった彼は、隣の人に言った。「沖田組長!この人です!俺が見たのはこの人で間違いないです」
「へぇ…」
沖田組長と呼ばれた男は私をじろじろと見て、めんどくさそうに口を開いた。
「大人しく屯所までついて来てくれます?乱暴はしたくないので」
ここで逃げられるわけもなく、私が頷こうとした時、五郎さんの声が響いた。
「陽奈ちゃんついていったらあかんよ!」
「っ!」
知らないふりをしてって言ったのに、と喉まで出かかった言葉を飲み込む。新選組は五郎さんを訝しげな目で見る。
「知り合いか?」
「そうです!陽奈ちゃんを返してください!」
幸さんまでもが、震えた声で叫ぶ。新選組の隊士の一人が幸さんの腕を乱暴に掴む。野次馬がどんどん増えていく。駄目だ。このままじゃ、2人も疑われてしまう。私と関わったばかりに、最悪の場合「死」が待っているかもしれない。ゆっくりとはっきりと声を絞り出す。
「彼女たちとは知り合いじゃありません。町の人々を巻きこむのはやめてあげて下さい」
「そう。2人は君のこと知ってるみたいですけど」
「私、陽奈って名前じゃありませんし。きっと人違いでしょう」
目線を下に向ける。ごめんなさい、幸さん、五郎さん。罪悪感がひしひしと胸を締め付けて、苦しくなって顔をしかめたくなる。
私は2人の顔を見ずに言葉も交わさずに、新選組に連れられてゆっくりと歩きだした。
「陽奈ちゃん……」と、背後で聞こえた小さな呟きに、ぐっと唇を噛んだ。これで良かったんだ。2人には迷惑かけれないもの。ごめんなさい――こんなことになってしまって――
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目が覚めて自分の部屋とはずいぶん違って固まるも、昨日のことを思い出し、ため息をつく。
「やっぱ夢じゃなかったんだ」と、少し憂鬱になるも、学校に行かなくて済むと思うと少し心が軽くなった。 障子を開けると、まだ少し冷たい風が入って来て。
「おはよう、陽奈ちゃん。具合はどうだい?」
「あ、もう大丈夫です。すみません、心配かけました」
「いいのいいの、それよりも朝餉食べましょう」
昨夜、何も食べなかったせいかお腹が空いてたみたいで。 夢中になって朝餉を食べた。
お腹いっぱいになって、私は幸さんの食器洗いの手伝いをする。 食洗器も、洗剤もお湯もないから、冷たい水でひたすら洗いながら、考え事をする。 これからどうしよう。 お金もないし、行く当てもない。これっていわゆるタイムスリップってやつだよね?なんでこんなことに……?
江戸時代で、生きていく方法なんて当たり前だけど家でも学校でも教わらなかった。 でも、幸さんと五郎さんの迷惑をかけないよう 一人でどうにか――…
「お幸!!新選組がすぐそこまでいる。一応陽奈ちゃんのことは彼らは知らないと思うが、用心にこしたことはねぇ」
どたばたと駆け込んでくるなり、五郎さんは切羽詰まった声で言った。
「新選組……そんなにひどい人たちなんですか?」
「あぁ、人斬り集団だよ。恐ろしい恐ろしい」
幸さんの真っ青な顔を見て、評判悪いってよく歴史とかの本に書いてあったのを思い出す。もし昨日の変な恰好をした私がこの家に入ったところを見られていたら。そこまで考えてふと昨日、目が合った青年を思い出す。
――もしかしたらあの青年が新選組に告げ口した?いや、まさか新選組の関係者?
「……っ!」
どうしよう。どうにかしなきゃ。今にも暴れそうな心臓を抑えるように唇をぎゅっと噛みしめると、意を決して二人に口を開いた。
「――幸さん、五郎さん。もし彼らが私のことを訪ねても知らないと言い張ってください」
静かに言って、頭を下げる。
「短い間でしたけど、お世話になりました」
早くここから立ち去らなきゃ。早くどこか遠いところへ。私は別に捕まえられても、例え殺されても、構わない。だけど、幸さんと五郎さんは――…
「いきなり、どうしたんだい!?」
お幸さんが口を開いたと同時に、表が騒がしくなった。私は2人を置いて、表へ飛び出した。青色よりも水色に近い羽織が目に入る。2,3人の男が、私を見て近寄ってきた。ふと私はある青年と目が合って、ハッと固まる。
「昨日の……」小さく呟いたのを聞き逃さなかった彼は、隣の人に言った。「沖田組長!この人です!俺が見たのはこの人で間違いないです」
「へぇ…」
沖田組長と呼ばれた男は私をじろじろと見て、めんどくさそうに口を開いた。
「大人しく屯所までついて来てくれます?乱暴はしたくないので」
ここで逃げられるわけもなく、私が頷こうとした時、五郎さんの声が響いた。
「陽奈ちゃんついていったらあかんよ!」
「っ!」
知らないふりをしてって言ったのに、と喉まで出かかった言葉を飲み込む。新選組は五郎さんを訝しげな目で見る。
「知り合いか?」
「そうです!陽奈ちゃんを返してください!」
幸さんまでもが、震えた声で叫ぶ。新選組の隊士の一人が幸さんの腕を乱暴に掴む。野次馬がどんどん増えていく。駄目だ。このままじゃ、2人も疑われてしまう。私と関わったばかりに、最悪の場合「死」が待っているかもしれない。ゆっくりとはっきりと声を絞り出す。
「彼女たちとは知り合いじゃありません。町の人々を巻きこむのはやめてあげて下さい」
「そう。2人は君のこと知ってるみたいですけど」
「私、陽奈って名前じゃありませんし。きっと人違いでしょう」
目線を下に向ける。ごめんなさい、幸さん、五郎さん。罪悪感がひしひしと胸を締め付けて、苦しくなって顔をしかめたくなる。
私は2人の顔を見ずに言葉も交わさずに、新選組に連れられてゆっくりと歩きだした。
「陽奈ちゃん……」と、背後で聞こえた小さな呟きに、ぐっと唇を噛んだ。これで良かったんだ。2人には迷惑かけれないもの。ごめんなさい――こんなことになってしまって――