【長編】「俺が跳ばせたる」
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でも、確かに銀の言う「お人好し」っていうのは、納得できた。気付けば、彼女はいつも誰かのために動いていた。
例えば、廊下ですれ違ったとき
「いおりちゃんや〜!なにしとん?」
「先生にこの資料、視聴覚室に運ぶよう頼まれたんや」
サムに教科書借りに2組に行ったとき
「あれ、いおりちゃんおらんやん」
「あー、なんか先生に頼まれごとされて職員室行ったで」
放課後、忘れ物を取りに校舎へ行ったとき
「なんやいおりちゃん、一人で日誌書いとるんか?」
「せや、今日日直の子、体調悪くなって早退したから」
別の日。放課後の練習終わって、帰ろうと校門出たとき
「あれ、こんな遅い時間に帰るん?」
「文化祭委員の手伝いしとったから」
――なんや、この子…
「ずいぶん暇なんやな」
と、思わず本音がポロリと口から出てしまい、あっアカン、と思わず口を手で覆った。
いつもサムに「もっと言葉オブラートに包めや」って言われとるんやった。
普通の女子の反応だったら、ここで怒ったり、気悪くして不機嫌になってしまうに違いない。彼女も気悪くしたかな、と思えば、彼女は「ほんまや」と笑ってた。
「せやさかい、侑くんも何かあったら頼ってええで。私が、ぴゅんって飛んでくわ」
顔をクシャっとさせて、無邪気に笑う彼女。胸がギュンっとつかまれたみたいに、締め付けられて、思わず魅入ってしまった。
ドキっとしたことを誤魔化すように、
「なんや男前な発言やな!」
と、笑い飛ばせば、「惚れたやろ」とカラカラ笑う彼女。
その横顔に、また心臓が脈打って。
あかん、好きやわーー
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