【長編】伸ばした手の先に。
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その日は、初めて会う侑くんと夕食を食べに行く日だった。待ち合わせのレストランで彼と会うなり、彼は嬉しそうに笑っていた。
「いおりちゃん、2週間ぶりやな!」
『なんかほぼ毎日のように侑くんが写真送ってくるから、私は2週間ぶりって感じがしないけどね』
「作戦成功やな!俺の顔忘れられたら困る思て、とりあえず写真送りまくったわ」
『……(え、策略士?)』
目をぱちくりさせている私をよそに、彼は屈託ない笑顔を浮かべながら首を傾げた。
「いおりちゃんも毎日写真送ってええんやで?」
『いやいや遠慮します』
料理は美味しくて、侑くんのトークも面白くて、思った以上に時間はあっという間に過ぎていった。”楽しかった”で終わるはずだと思っていたのに、この後、事態は急変していったーー
レストランを出て、途中まで送る、と言い張る彼のお言葉に甘えて、二人肩を並べて夜道を歩く。ふわり、と舞う夜風が気持ちいい。相変わらず、おしゃべりな侑くんがトークを繰り広げていて、ほんとよく喋るなぁ、と思っていれば、
ーーブーブーッ
ふとスマホのバイブ音が響いた。スマホ画面を見て、息をのむ。
『……っ』
思わず足を止めて、固まってしまった私に、侑くんが怪訝そうに振り返った。
「どしたん?」
スマホ画面には、一件のLINE通知が表示されていた。元彼からの1年ぶりのLINEメッセージ。
たった一言だけ。「元気?」というメッセージに、どくん、と心臓が鳴った。
どうして今頃?どういうこと?1年以上も連絡をとっていなかったのに、なんで急に?しかも「元気?」って何?
突然の連絡に動揺してしまい、急に過去の出来事が脳内にフラッシュバックした。
「俺、遠距離は無理。それに好きな人できたから別れよう」と、呆気なく終わったあの日。心の痛みが和らいでいたはずなのに、もう1年も経ったから大丈夫だと思っていたのに、なんでこんなに動揺しているんだろう。
スマホを握りしめたまま固まっている私の様子がただごとじゃないことに、侑くんは気付いたのだろう。「少し、ベンチで休まへん?」と、私を近くの公園のベンチに誘導した。
「ーーもしかしてやけど元彼から、とか?」
彼の静かな声に、目を見開く。
『……っ、なんで…』
「いやいおりちゃん滅多に動揺しぃひんけど、前に電話でちょびっとだけ恋愛の話したときに動揺してたから、なんや関係あるんかな思うて」
『…っ』
「話聞いてもええか?」
そう言われて、躊躇したものの、ぽつりぽつりとゆっくり元彼のことを話し始めた。3年付き合ったいたけど、こっちに引っ越してくるときに急に振られたことや、今急に連絡が向こうからきたことも。
ふいに、「あかん、」と侑くんがいきなりベンチから立ち上がった。突然の出来事に、ビクッと私は肩を揺らす。
や、やっぱ重すぎな話題だよね…!?
今更になって、彼の好意に甘えてぺらぺらと話してしまったことを後悔し始める。ご、ごめんなさい…、と謝ろうとした時だったーー
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その日は、初めて会う侑くんと夕食を食べに行く日だった。待ち合わせのレストランで彼と会うなり、彼は嬉しそうに笑っていた。
「いおりちゃん、2週間ぶりやな!」
『なんかほぼ毎日のように侑くんが写真送ってくるから、私は2週間ぶりって感じがしないけどね』
「作戦成功やな!俺の顔忘れられたら困る思て、とりあえず写真送りまくったわ」
『……(え、策略士?)』
目をぱちくりさせている私をよそに、彼は屈託ない笑顔を浮かべながら首を傾げた。
「いおりちゃんも毎日写真送ってええんやで?」
『いやいや遠慮します』
料理は美味しくて、侑くんのトークも面白くて、思った以上に時間はあっという間に過ぎていった。”楽しかった”で終わるはずだと思っていたのに、この後、事態は急変していったーー
レストランを出て、途中まで送る、と言い張る彼のお言葉に甘えて、二人肩を並べて夜道を歩く。ふわり、と舞う夜風が気持ちいい。相変わらず、おしゃべりな侑くんがトークを繰り広げていて、ほんとよく喋るなぁ、と思っていれば、
ーーブーブーッ
ふとスマホのバイブ音が響いた。スマホ画面を見て、息をのむ。
『……っ』
思わず足を止めて、固まってしまった私に、侑くんが怪訝そうに振り返った。
「どしたん?」
スマホ画面には、一件のLINE通知が表示されていた。元彼からの1年ぶりのLINEメッセージ。
たった一言だけ。「元気?」というメッセージに、どくん、と心臓が鳴った。
どうして今頃?どういうこと?1年以上も連絡をとっていなかったのに、なんで急に?しかも「元気?」って何?
突然の連絡に動揺してしまい、急に過去の出来事が脳内にフラッシュバックした。
「俺、遠距離は無理。それに好きな人できたから別れよう」と、呆気なく終わったあの日。心の痛みが和らいでいたはずなのに、もう1年も経ったから大丈夫だと思っていたのに、なんでこんなに動揺しているんだろう。
スマホを握りしめたまま固まっている私の様子がただごとじゃないことに、侑くんは気付いたのだろう。「少し、ベンチで休まへん?」と、私を近くの公園のベンチに誘導した。
「ーーもしかしてやけど元彼から、とか?」
彼の静かな声に、目を見開く。
『……っ、なんで…』
「いやいおりちゃん滅多に動揺しぃひんけど、前に電話でちょびっとだけ恋愛の話したときに動揺してたから、なんや関係あるんかな思うて」
『…っ』
「話聞いてもええか?」
そう言われて、躊躇したものの、ぽつりぽつりとゆっくり元彼のことを話し始めた。3年付き合ったいたけど、こっちに引っ越してくるときに急に振られたことや、今急に連絡が向こうからきたことも。
ふいに、「あかん、」と侑くんがいきなりベンチから立ち上がった。突然の出来事に、ビクッと私は肩を揺らす。
や、やっぱ重すぎな話題だよね…!?
今更になって、彼の好意に甘えてぺらぺらと話してしまったことを後悔し始める。ご、ごめんなさい…、と謝ろうとした時だったーー