【長編】伸ばした手の先に。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
大阪に引っ越してきて1年が経とうとしているけど、一度も元彼と連絡をとっていないし、新しい恋愛もしていない。
「次の恋いくで、次の恋!」
同期の言葉には、曖昧に笑って受け流す。
恋愛をしたいっていう気持ちが、今はまったく湧いてこなかった。今は仕事にやりがいを感じている。確かに残業多いし、疲れるし、たまに辞めたいと思うけど、仕事に忙しくしていれば余計なことを考えないで済むから――。
𓂃◌𓈒𓐍
お手洗いのために席を立って、廊下を歩いていると、ふと知らない男2人組に絡まれてしまった。
「連絡先だけでいいから、教えてよ!」
『(いや連絡先だけって何!?)』
やんわりと断っているけど、相手は酔っ払いでかなりしつこくて。困り果てているところに、
「なんやこの子嫌がってんの、見て分からへんのか?自分らの目、腐っとるんちゃう?」
私と男2人組の間に割って入るようにして、背の高い金髪の男の人が立ちふさがった。
「は?誰、お前」と顔を顰める酔っ払いに対して「お前こそ誰や。あんまししつこいと店員呼ぶで」と低い声で威嚇する金髪の人。
酔っ払い2人組はぶつくさ文句言いながらも、その場から消え去った。
ふいに、くるり、と私のほうを向いた彼は思った以上にイケメンで。「えらい災難やったな。なんもされてへんか?」と聞く彼に、『え?あ、はい』と間抜けな声が出てしまう。
そしてハッと我に返って『あ、た、助けてくれてありがとうございました!』と頭を下げれば「ええねんええねん」と彼が笑う。